家族の会議で求められる士業・専門家の立ち回りとは!?

情報が公開されている時代だから、そこそこのレベルのものを一般の人でもできるようになっている知識・ノウハウの価値が低下しつつあるのが今の時代です専門家のサービスも情報公開されており、今後、自分で信託契約書つくりたい、遺言つくりたい、などなど自分でやるという動きが増えていくでしょう

僕自身、ここ最近、料理にはまっています
クックバッド、クラシル、DELISH KITCHENなど料理レシピがインターネットで情報公開されていて誰でもレシピをつかって、自分で料理できる時代になったとつくづく実感します

これも、情報公開の恩恵です

 

だからこそ、手続き面だけでなく、お客様のご家庭、内面に立ち入ったサービスが求められてきます
では、実際にどのように行えばいいのか?そんな相談を同業の先生から受けることが多くあります

そんな中、僕自身、最近関わったお客様に関する事例を紹介します

今回の記事は、下記のとおりです

・家族会議で専門家が行うべきこととは!?
・お客様は情報を既に持っている
・家族会議の場で何を提案するべきか!?
・斎藤の気になった記事

家族会議での実際の立ち回りの参考になれば、幸いです。

それでは、どうぞ!

|家族会議で専門家が行うべきこととは!?
ご家族構成は高齢の母(90歳代)、長男、次男、長女の3名
次男は離婚をしており、子が3名います
長女(独身)は母と同居しており、長男は別居(持家、子2名)といった家族でこのお客様はインターネットを通じて、相談にいらっしゃったお客様です

次男とは離婚をしたときのお嫁さんとのやり取りで母が、次男のお嫁さんに離婚しないでほしいという気持ちで介入してしまったこと、次男も母の介入が疎ましくなり、そのときのやりとりで、次男と疎遠になってしまったという経緯がありました

それ以来、数年次男とは連絡を取り合っていません

母の生前対策の相談だったのですが、資産のなかに亡父名義の資産がはいっていることから、遺産分割していない未分割財産の解消をしなければ、家族信託をはじめ、生前対策をとれない状況でした
未分割の財産として、自宅、貸家、金融資産があります金融資産も一部、父のままで凍結してしまっています

そのため、生活費は母自身の年金と預貯金の取り崩しで賄っていました
話を聞いていると、母は次男に対してとの間には、深い愛情がある、第三者の立場から見て、家族関係は悪くないんですだけど、ボタンの掛け違いが発生していると感じました

|お客様は情報を既に持っている
こういったお客様に対して、今まで提供してきたサービスは僕らは専門知識と専門サービスを提供していました
でも、僕のエリアが首都圏だからかもしれないですが、HPをみて問い合わせいただいたお客様はよく情報をネットで調べています

僕の本を読んで問い合わせしてくれたようで、小規模宅地も、生命保険も家族信託の損益通算の禁止や連続型信託のメリット・デメリットも理解していました
そうなんです専門知識や手続きについては、お客様は概要を知っているんです
僕らがやらなければならないこと、それは、ボタンが掛け違ったご家族の絆を元にもどすことだと判断しました

そこで、中立的な立場である長女に頼み、連絡をとっていただき、母の体調が最近優れなくなってきていることもあり、一度、将来のことで専門家を交えて話し合いをしたいという“家族会議”の場をつくっていただきました

|家族会議の場で何を提案するべきか!?
会議に臨むにあたっては、ある程度先を読み、情報を用意しておきました
お母さまの要望としては、不動産については、離婚した次男の子には継がせてしまうと次男の元お嫁さんにも影響が及んでしまうことから自宅は同居している長女、貸家は長男に継いでもらいたい、そして、長男には金融資産を継がせたいとの要望でした

亡き父名義の財産となっているため、税理士さんにも相談し、一次相続、二次相続を見据えた遺産分割案の試算、小規模宅地の適用、代償分割案などなど、母、長男、長女の話を聞いたうえで想定されうる二次相続までの分割案とここが落としどころと思われるプランを用意し、臨みました

最適解は当事者の意見を踏まえなければできないですが、僕らがやるべきこと、それは最適な落としどころとなるプランを提示することです
それが、その場で全て決める必要はないですが、中立な立場として、法務税務を踏まえた最適案、青写真の提案を行い、家族会議のアドバイスをしていくことが求められる役割です

僕が実際に行ったことは下記のとおりです「お母さんから、高齢になってきたこともあり、今後の〇〇家のこと、お母さんの財産のこと、資産承継のことの相談を受けてきました」
「ただ、お母さんのことを考える際に、その前に亡きお父さんの財産の名義のままになってしまっているので、その名義の変更が必要です」
「現状、不動産と金融資産がお父様の名義のままであるのでこのままだと、これからの対策もできない状態で、現在、お母さんの生活費は年金と預貯金の取り崩しで賄っている状態です」
「そのため、まずは、亡きお父さんの遺産の名義変更から行えればと思っています。お母さまの想いとしては、自宅は同居しているご長女、貸家はご長男、金融資産はご次男にと考えられており、僕の方で税理士の先生にも相談して、なるべく皆さんに公平で、税金も少なくするプランをいくつか考えてきました」

ここで、プランを提案します。
1.法定相続割合で相続するプラン
2.二次相続での相続税を考え、直接子に相続させるプラン(母他界時の相続税を節減)
3.1と2の折衷案(落としどころ)

話し合うためには、たたき台が必要ですそのたたき台を事前に用意しておくことで、実際に話し合いに入れます
この話し合いの場を通じて、将来のことを話し合う機会を経た結果、数年ぶりに、お母さんと次男さんが面と向かって話す機会をつくれました
出した案をもとに、若干の微調整を入れて、亡き父の遺産分割はまとまりました

何より一番の成果は、次男と母が話す機会がつくれたことです
今は、お母さまの信託の組成を行っていますが、今は次男とお母さまをはじめ、ご家族が家族の日常会話を行えるようになりました

BtoBも、BtoCもいずれも、今後、知識が一般化されるにつれて、専門家が持っている知識、ノウハウは相対的に価値がさがっていきます
ノウハウ、知識を持っていることよりも、また、会社、組織よりも、“その人”だから相談したい、頼みたい、その場を読んで、専門的な知識を踏まえて最適案を提案していく、そして、相談をうけるポジション、信用をつくっていく、個人が主役となるそんな時代に代わっていきそうです

|斎藤の気になった記事
今週、面白い記事が目についたので紹介します。

アリババのAI技術 お役所手続きにも
僕自身も今年の5月、中国貴陽でビックデータEXPOに行ってきましたが、アプリ内で行政手続きができる状況になっていました
州ごとに取り扱いは異なるようですが、アプリ内で国の公的身分証明書も格納されてます日本でも行政のオンライン化は進んでいますが、先を進んでる中国などの動きは注目しておくべきです。

公共事業に「高齢者リスク」 民有地取得、家族信託を活用 福岡・筑前町の実践識者「多様な対策必要」
僕自身も役所の道路拡幅事業に備え、オーナー所有の土地を家族信託を活用し、2年前に対策をとったことがあります。
ただ、その当時は役所の理解もなかったので、そもそも民有地を嘱託登記で市が取得できるのかという説明も役所に対してして、なんとか無事手続きを通しましたが、今後こういった活用事例増やしていきたいですね。

「後見支援預金」広がる、家裁指示で引き出し 3メガ銀や地銀
先日、後見申し立てをした後見案件(自宅の他、金融資産が数千万円ある方)で親族が後見人になる条件として、家裁から提示された条件が

①後見監督人をつける、
②後見制度支援信託を活用する(専門家を一時後見人として選任し信託契約を締結後辞任)、
③後見支援預金の活用
を求められました。

③後見支援預金については、専門家が後見人なることなく、親族後見人のみで手続きができるという形で許可がでました柔軟な運用に少しずつ変わり始めましたね。

「若返りの薬」の実現につながるか? 人間のエピジェネティック時計を“巻き戻せる”という研究結果
医療技術が進化しており、今ではHIVも必ず死なない病気となりました
認知症対策で現在は家族信託を活用している事例が多いですが、これも医療技術の進化により、将来、認知症対策がいらなくなるということも頭の片隅にいれておいてもよさそうです

国税、海外資産の監視強化
海外に資産をもつ富裕層からの相談で頭にいれておかないといけないですね。

テスラが「出迎え機能」を実装、自動運転でオーナーの元へ
これは実際に試してみたいですね。サンフランシスコで実際に自動運転車の実証実験をやってましたが、実際に取り組んでいる国とそうでない日本とではこの差が如実にでてきそうです

・投票所で立ち尽くす高齢者、選管職員が見た実態
成年被後見人の選挙権の現場、意識しておいた方がよさそうです

次回の記事をお楽しみに!

|成年後見制度のリアルな実情知っていますか?

高齢社会がますます加速し、サポートが必要な高齢者は増える一方です
顧問業がない業種にとっては、安定収入が見込める分野でもありますが、成年後見人の仕事は大変そうという思い込みや資産凍結のイメージが先行して本当は成年後見の導入が必要なお客様に提案を思いとどまってしまう、、、そんな状態が発生している可能性があります

成年後見制度の最新事情がわかれば、家族信託を含めた生前対策の提案の幅を広げることができます。
成年後見の相談を受けたらどのように答えたらスムーズか?問題にならない方法とは?最近の家裁の動向を踏まえたリアルな現場のお話をお届けします

【生前対策・家族信託コミュニティー~LFT~11月定例会】
そこが知りたかった!成年後見制度のリアル~お客様への説明、申立のコツ、後見人業務を効率的こなすためのポイント~

日時 11月9日水曜日13時30分~16時30分
会場 株式会社東京八重洲ホール
※オンライン受講も可能です!

★定例会内容★

◎家族信託の成約率アップにも☆成年後見の最新事情
◎成年後見人業務って割に合わなくない?お金の話もぶっちゃけます
◎後見人制度を使うと家が売れません!という説明はまちがいです
◎高まるおひとりさまの任意後見のニーズ

詳細・申込はコチラ


無料メールセミナーはこちららから

無料相談はこちら

関連記事

  1. 生産緑地

    生産緑地の2022年問題で士業・専門家の先生が知っておきたい生産緑地の…

  2. 相続・信託相談から不動産提案につなげていくポイントとは!?

  3. 事業承継

    子に管理を任せることを渋る不動産オーナー対策への不動産法人提案方法|種…

  4. 名義預金

    見過ごされがちな名義預金。専門家が知っておきたい法務税務の取り扱いとそ…

  5. 家族信託ではできない不動産オーナーへの節税対策|不動産法人化提案とは?…

  6. 生命保険

    士業が相続対策で生命保険を提案すべき3つの理由