2023/8/1 2024/7/6

外国人ビザ

経営管理ビザとは?取得要件や流れ・必要書類・更新時のコツを解説

経営管理ビザを取得すると、外国人も日本で経営者として活動できるようになります。

しかし、経営管理ビザ取得要件は細かく、せっかく会社を日本で設立しても、経営管理ビザが取得できず日本に中長期滞在するために必要なビザが取得できないというリスクもあります。また、取得できたとしても在留期間は1年以下になることが多く、長期にわたって経営活動を継続するときは更新手続きが必要です。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

✓ 経営管理ビザは、日本国内で起業するときや既存事業の経営者や管理者として中長期滞在し活動するときに必要

✓ 「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の外国人であれば、経営管理ビザを取得しなくても会社を経営することができる

✓ 経営者として経営管理ビザ取得するには、①事業所が日本国内に確保されていること、②一定以上の事業規模(常勤職員2名以上又は資本金500万円以上)を満たすこと、③事業の適正性・安定性・継続性を示せること、④事業の経営に実際に従事することの4つの要件がある

✓ 管理者として経営管理ビザ取得するには、会社の事業所確保、資産規模、事業の適正性・安定性・継続性要件に加えて、①事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院で当該科目を専攻した期間も含む)②日本人が従事する場合と同程度以上の報酬設定、③事業の管理に実際に従事させることが必要

✓ 一社に複数の外国人役員がいても、全員が経営管理ビザを取得できるとは限らない

✓ 経営・管理ビザの在留期間は最初は1年、在留期間更新の際に要件を満たせば3年、5年などの期間延長も見込める

✓ ビザの更新においては、事業の安定性と継続性のほか、外国人本人の税金滞納や犯罪事実がないなどの状況も考慮される

本記事では、外国人が経営管理ビザを申請する取得要件や必要書類についてまとめました。3年、5年などの長期の在留期間を更新時に獲得するためのコツについても紹介します。

手続きの流れや必要書類を事前に知っておくことで、スムーズなビザ取得が可能になります。ぜひご覧ください。

1.経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)とは?

経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)とは、日本で事業経営をおこない、管理業務に従事するための在留資格のことで、就労ビザのひとつです。以前は「投資・経営ビザ」と呼ばれていましたが、外国資本との結びつきがなくても申請・取得できるようになったことから、「経営・管理ビザ」へと呼称が変わりました。

日本国籍を有する人や永住者などは、日本国内で会社経営するために代表取締役や取締役などに就任し活動できますが、外国人は在留資格の種類によっては役員に就任できても、日本国内で報酬をもらって活動できません。しかし、経営・管理ビザを取得すると、日本国内に中長期滞在し、代表取締役や取締役、支店長、工場長、部長などの会社の管理者として活動ができます。

1-1.経営管理ビザでできること

外国人が経営管理ビザを取得することで、下記のことができるようになります。

  • 日本国内で事業の経営を開始してその経営を行い、又は当該事業の管理に従事する活動
  • 日本国内で既に営まれている事業に参画してその経営を行い、又は当該事業の管理に従事する活動
  • 日本国内において事業の経営を行っている者に代わってその経営を行い、又は当該事業の管理に従事する活動

営に従事する活動とは、事業の運営に関する重要事項の決定、業務の執行など代表取締役、取締役など役員として活動が該当します。また、事業の管理に従事する活動とは支店長、工場長、部長などの会社の管理者としての活動を指します。経営管理ビザは、このように経営や管理業務を行うためのビザです。

500万円以上の投資だけではなく、外国人本人が事業経営又は管理に従事する必要がある

経営管理ビザの取得要件として、事業の経営又は管理に従事する必要があります。資金を投資するだけではだけでは経営管理ビザを認められません。

事業内容には制限はありません。日本で適法におこわられる事業であれば、貿易、IT関係、製造、飲食店、中古自動車販売など自由に事業を行うことができます。

よくある相談として多いのが、外国人が会社を設立して、会社名義で不動産を購入し賃貸経営をしたいという相談です。賃貸経営を行う資産管理会社や自分で所有する不動産を管理するだけの会社では、事業が安定的・継続的に行うものとは認められません。賃貸経営を事業とするためには、事業的規模と認められる規模となる事業計画がなければ経営管理ビザを取得できません。

1-2.経営管理ビザがなくても会社経営ができるビザもある

日本人と同等に就労の制限のない、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の外国人であれば、経営管理ビザを取得しなくても会社を経営することができます。

しかし、経営・管理を目的としていない「技術・人文知識・国際業務」「技能」「留学」「家族滞在」などのビザのままでは、日本国内で会社を経営・管理活動をすることはできません。また、短期滞在ビザで来日した場合でも、できる活動は商談・契約・会議・業務連絡等に限定されます。

近年、日本に居住していなくても海外の外国人が会社設立登記をすることは認められましたが、会社設立ができることと、日本国内に滞在して会社経営者として活動することは別の問題ということに注意してください。

「技術・人文知識・国際業務」ビザの外国人が昇進により経営者となったとき

企業の職員として「技術・人文知識・国際業務」のビザ(在留資格)で在留していた外国人が、昇進等により経営者や管理者になったときは、経営管理ビザへの変更をすべきです。ただし、実務上は直ちに経営管理ビザに変更することまでは要求としておらず、現在の「技術・人文知識・国際業務」のビザの在留期限の満了に合わせて経営管理ビザへ変更することでもよいとされています。

2.経営管理ビザの取得要件

経営管理ビザを取得するためには、申請要件を満たしたうえで取得申請をする必要があります。取得要件は、これから出資をして経営者となるのか、出資をしないで雇われの立場で管理者となるのかによって異なります。

2-1.外国人が日本国内で起業をするとき

日本で起業し、経営・管理ビザを取得したいときは、以下の要件を満たしたうえで申請手続きをおこないます。

  • 事業所が日本国内に確保されていること
  • 一定以上の事業規模(常勤職員2名以上又は資本金500万円以上)を満たすこと
  • 事業の適正性・安定性・継続性を示せること
  • 事業の経営に従事すること

経営管理ビザ取得にあたっては、事業の要件として「事業所の確保」「事業規模」「事業の適正性・安定性・継続性」が求められ、経営管理ビザ申請者自らが実際に「事業の経営に従事する」ことが必要です。

以下、要件について解説します。

事業所が日本国内に確保されていること

経営管理ビザ取得時に、日本国内に実際のビジネス活動が展開される実体のある事業所を会社名で設置することが必須条件です。

事業所の要件としては、下記2つの要件を満たしていることが求められます。

  • 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること
  • 財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること

この事業所の定義は、総務省が定める日本標準産業分類一般原則2項における事業所の定義に基づくものです。

バーチャルオフィスは認められない

起業当初は固定費を抑えるために、バーチャルオフィスで起業したいという相談を受けることが多くあります。しかし、経営管理ビザを取得するには、上記の事業所の要件を満たす必要があり受付で電話や郵便物対応するだけの、実際に事業が営まれないバーチャルオフィスでは、事業所とは認められません。

レンタルオフィスやシェアオフィスでも、会員が誰でも利用できる共用スペースのみの利用では認められません。独立した1区画を占めて事業活動を行う必要があり、各部屋が明確に区切られている独立したスペースが必要です。簡単なパーテーションのみの区切りである場合には、認められません。

事業所に電話、FAX、パソコン、コピー機は最低限揃えておく必要があり、経営管理ビザ申請手続きにおいてもこれらがあることを証明するために写真を添付して申請します。

賃貸物件の契約名義は法人名義で行い、使用目的を事業用で借りる

事業所の賃貸借契約では、必ず法人名義で契約を行い、使用目的を事業用、店舗、事務所等の事業目的とすることが必要です。使用目的が住居用となっている場合には不許可となる事例もあります。経営管理ビザは、事業を継続して行うことが求められるため、契約期間を月単位の短期間賃貸とすることや容易に移動処分が可能な屋台等を利用することは認められません。

事務所の広さは、事業内容や雇用従業員数に応じた広さが必要

事務所の広さについては、会社の事業や雇用予定の従業員数に応じた広さが必要です。

製造業や教育塾、中古自動車を扱う貿易業などを行う場合、事業所のほかに資材置き場、教室、車両置き場などのスペースも確保する必要があります。また、複数の従業員を採用予定の場合には、勤務する従業員が働けるスペースの確保も必要です。

自宅の一部を事業所とするのは難しい

外国人経営者が借りている自宅の一部を事務所にしたいという要望も多く受けます。しかし、自宅の一部を事務所とする場合には、下記の要件を満たす必要があります。

  • 住居目的以外での使用を物件の貸主が認めていること(事業所として借主と会社の間で転貸借されることにつき、貸主が同意していること)
  • 借主も当該法人が事業所として使用することを認めていること
  • 当該法人が事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること
  • 当該物件に係る公共料金等の共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること
  • 看板類似の社会的標識を掲げていること

具体的には、物件の所有者である貸主が、借主を通じて転貸借で事業所として外国人が経営する会社に賃貸していることの同意をとり、自宅と事業所を明確にわけ(1階部分が事業所、2階部分が自宅など)、電話やPC、コピー機も自宅とは別に用意し、会社の看板も掲げるということを行う必要があります。そして、それらを証明する写真を添付して経営管理ビザの申請をする必要があるのです。

このように、自宅一部分を事業所とする際には、ハードルが高いことを理解しておきましょう。

以下、「住居」を事業として申請した場合の出入国在留管理庁が公表した許可・不許可事例があるので紹介しておきます。

事例1:許可

Aは、本邦において個人経営の飲食店を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが、事務所とされる物件に係る賃貸借契約における使用目的が「住居」とされていたものの、貸主との間で「会社の事務所」として使用することを認めるとする特約を交わしており事業所が確保されていると認められたもの。

事例2:許可

Bは、本邦において水産物の輸出入及び加工販売業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったところ、本店が役員自宅である一方、支社として商工会所有の物件を賃借していたことから、事業所が確保されていると認められたもの。

事例3:許可

Cは、本邦において株式会社を設立し、販売事業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが、会社事務所と住居部分の入り口は別となっており事務所入り口には会社名を表す標識が設置されていたまた事務所にはパソコン、電話、事務机、コピー機等の事務機器が設置されるなど事業が営まれていることが確認され、事業所が確保されていると認められたもの。

事例4:不許可

Dは、本邦において有限会社を設立し、当該法人の事業経営に従事するとして在留期間更新許可申請を行ったが、事業所がDの居宅と思われたことから調査したところ、郵便受け、玄関には事業所の所在を明らかにする標識等はなく、室内においても、事業運営に必要な設備・備品等は設置されておらず、従業員の給与簿・出勤簿も存在せず、室内には日常生活品が有るのみ事業所が確保されているとは認められなかったもの。

事例5:不許可

Eは、本邦において有限会社を設立し、総販売代理店を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが、提出された資料から事業所が住居であると思われ、調査したところ、2階建てアパートで郵便受け、玄関には社名を表す標識等はなかった。また、居宅内も事務機器等は設置されておらず、家具等の一般日常生活を営む備品のみであったことから、事業所が確保されているとは認められなかったもの。

事例6:不許可

Fは、本邦において有限会社を設立し、設計会社を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが、提出された資料から事業所が法人名義でも経営者の名義でもなく従業員名義であり同従業員の住居として使用されていたこと、当該施設の光熱費の支払いも同従業員名義であったこと及び当該物件を住居目的以外での使用することの貸主の同意が確認できなかったことから、事業所が確保されているとは認められなかったもの。

事業規模(常勤職員2名以上又は資本金500万円以上)を満たすこと

経営管理ビザ取得にあたっては、起業する事業の規模が次のいずれかに該当していることが必要です。

  • (1)2名以上の常勤職員が従事して営まれるものであること
  • (2)資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること
  • (3)常勤職員2名以上又は資本金500万円に準ずる規模であると認められるものであること

上記(1)(2)(3)の要件のいずれかを満たす必要があります。以下、事業規模要件について解説します。

(1)2名以上の常勤職員が従事して営まれるものであること

経営管理ビザ申請者以外に日本国内に居住する2名以上の常勤職員(日本人・特別永住者・永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等)を雇用して経営する必要があります。

常勤職員とは、この会社の業務を行うために継続的に置く職員を指し、職務や責任が決められていること、職務に応じた給与を設定する必要があります。勤務形態も週5日以上、週労働時間30時間以上の一定の勤務計画の元での所定時間の勤務が必要です。そのため、パートタイマーは該当しません。また、雇用契約形態も原則直接雇用が求められ、在籍出向、派遣、請負形態での勤務は、常勤職員とは認められません。

職員を雇用する場合には、社会保険等の加入と労働法遵守が必要

職員を雇用して事業を行う場合には、社会保険・労働保険に加入することが求められます。また、職員との間の雇用契約書も用意し、その内容が最低賃金を満たしているかなど、労働法違反となっていないかも審査されます。

(2)資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること

株式会社又は合同会社で起業予定の場合には、 資本金の額が500万円以上必要です。ほとんど活用されませんが、合同会社又は合資会社で起業予定の場合においても、出資の総額が500万円以上であることが要件とされます。

経営管理ビザの申請に際しては、500万円の資本金の準備の経緯、すなわち、”出所”に対する厳しいチェックがあります。資金が合法的な手段によって確保されたことを明確に示す必要があり、形式的な資金準備、いわゆる「見せ金」は受け入れられないのです。以下では、異なる資金調達方法における具体的な注意点と必要な証明書類についてご説明します。

自己で資本金を貯めた場合

自分自身で資本金を蓄えた場合、その資金が合法的な収入に由来することを示す書類が必要です。これには、給与の明細書、銀行取引記録、税金の源泉徴収票、確定申告書などが含まれ、これらは資金準備の過程を証明するために必要です。また、不動産など資産を売却して資本金を用意したのであれば、その売買契約書が必要となります。

国外からの送金時の証明

資本金を海外から日本へ送金した場合は、送金の履歴を記録し、その資金がどのように送金されたかを示すことが必要です。海外からの送金時に送金手数料を控除されることがあるため、送金時のレートによっては500万円に満たない場合があります。そのため、500万円以上送金し、その際の銀行の領収書や取引明細を保持しておくことが大切です。

現金を国内に持ち込んだ場合

100万円を超える現金を持ち込んで日本に入国する際は、税関での申告が義務づけられています。この手続きを怠ると法的な問題を招きかねません。申告した際の書類は、資本金の正当な携行を証明するための重要な資料となります。

親族や友人からの借入金

家族や友人から資本金を借りる場合は、その取引が実際に発生したことを示す文書が求められます。借用書(収入印紙付き)や振込明細、金融機関の取引履歴などが、借入が合法的な金銭の授受であることを裏付ける証明になります。また、親から借り入れた場合には親の収入証明や資産証明、親族関係の証明書も必要となります。

留学生の起業

留学生が経営管理ビザを目指して起業する場合、資本金の出所には特に審査が厳しくなります。留学ビザは働くことができないビザなので、資格外活動の許可を得て働いたお金でも、そのお金は資本金として認めてくれません。そのため、親などからの支援が原資であることを証明する必要があります。このため、親からの送金などの明確な記録や証明書類が必要となります。

(3)常勤職員2名以上又は資本金500万円に準ずる規模であると認められるものであること

上記(1)の常勤職員2名以上又は(2)の資本金500万円の要件を満たさなくても、この2点に同様の規模であると認められば、常勤職員1名のみ又は資本金が500万円用意できなくても経営管理ビザが認められることがあります。

例えば、常勤職員1名のみで準ずる規模と認められる場合には、もう1名を従事させるのに要する費用を投資しているような規模が必要となります。具体的には資本金は250万円程度が必要となります。

資本金500万円以上用意できれば、常勤職員の雇用は不要

起業段階で、スタッフ2名以上を事前に採用するというのは、人件費という重い固定費負担が発生します。そのため、スタッフの採用を起業当初は控えたいという相談を良く受けます。

結論から言うと、500万円以上資本金を用意できれば開業当初から常勤職員を雇用せずに、経営管理ビザを取得できます。上記の(1)~(3)の要件はいずれかを満たせばよいので、(2)の資本金500万円以上の要件を満たせば、起業当初に常勤職員の採用をせずに、外国人経営者のみで起業できます。店舗運営がない貿易やインターネットビジネスなどのオフィスワーク系の業種であれば、外国人経営者のみでの起業が可能です。

店舗系ビジネスは経営者以外にスタッフが必要

経営管理ビザは経営管理することを行うことを目的とするビザであるため、店舗での接客や調理などの業務は一時的な補助的な業務としてはできますが、接客や調理をメインとして活動することはできません。そのため、店舗系ビジネスでは、外国人経営者以外に現場での労働をする接客担当や調理スタッフを用意する必要があります。スタッフは日本人でも外国人、正社員やアルバイトなどでも構わないですが、店舗運営スタッフが必要な点について注意しておく必要があります。

なお、これまで説明した事業所確保、資産規模の要件ですが、2024年に改正が検討されています。改正後は、事業所確保と資本金要件が緩和される予定です。詳細は、下記の記事で解説しています。

外国人が個人事業での起業を目指して経営管理ビザを取得する場合

外国人が会社を設立せずに個人事業で起業することも認められます。その場合は、会社と違い資本金という概念がないため、資本金500万円に准ずる規模と認められるためには、起業のために必要な総額500万円以上の投資を実際に行う必要があります。

事業の投資の対象としては、下記の通りです。

  • 事業所の確保(当該事業を営むための事業所として使用する施設の確保に係る経費)
  • 雇用する職員の給与等(役員報酬及び常勤・非常勤を問わず、当該事業所において雇用する職員に支払われる報酬に係る経費)
  • その他(事業所に備えつけるための事務機器購入経費及び事業所維持に係る経費)

事業の投資対象としては、事業所の3か月分の家賃や保証金、仲介手数料、事業用活動のPC、人件費といったものが該当します。外国人経営者個人の住居の家賃等や来日、滞在費用、個人と事業の使用判別が明らかでない携帯などは対象にはなりません。

会社経営の場合には、資本金として会社口座に入れておけばよいのに対して、個人事業の場合には実際に投資をし500万円を使い切らなければいけないため、会社を設立した上での経営管理ビザ取得のほうがおすすめです。

事業の適正性・安定性・継続性を示せること

経営管理ビザの対象となる事業は、適正に行われ、かつ、安定性及び継続性の認められるものであることが必要です。これらを説明する事業計画書を作成し、出入国管理局に提出します。

事業の適正性

日本国内で開業できる事業であれば、経営管理ビザを取得した外国人も同様に、飲食店、貿易業等、業務には制限なく開業可能です。

ただし、原料や商品の仕入れ、販売ルートは適正であること、許認可が必要な事業を行う場合には許認可を取得すること(経営管理ビザ申請時点でまだ取得していない場合には確実に取得する見込みであること)、労働者を雇用した場合には老舗保険、社会保険に加入することなど、事業の適正性が求められます。

事業の安定性・継続性

日本国内で、赤字を続けてしまうなど、事業が安定的に継続できる見込みがないビジネスでは、経営管理ビザを取得することはできません。

これから始める事業の安定性と継続性を証明するためには、実現可能な事業計画書が必要です。事業契約計画書には市場分析、競合分析、売上・財務計画、マーケティング戦略など、事業を成功させるための具体的かつ戦略的な予測を1年分だけでなく3年程度の中長期分が含まれている必要があります。さらに、商品仕入れルートや、販売ルート、人脈や独自のノウハウ、経営者自身のビジネス経験を盛り込みます。事業が将来にわたって利益を生み出し、運営できることを示すことが求められます。

事業の経営に従事すること

事業の経営に従事するとは、経営管理ビザ申請者自らが実際に会社経営をすることを指します。具体的には、重要実行の決定や業務の執行をする代表取締役、取締役になり、役員として活動することです。

経営管理ビザ申請者自らが500万円以上の出資をして、代表取締役に就任するようなケースは、実質的に経営すると判断される可能性が高いです。しかし、申請者が出資をしたものの役員にならず第三者を代表取締役に就任させたようなケースや、出資をしたものの無議決権株式を取得して取締役に就任するのみであるといったケースでは、実質的に経営をするとは判断されない可能性が高いです。

500万円の規模要件は、申請者自身が500万円以上の出資することを求めているわけではありません。しかし、審査においては、申請者が出資に伴い取得した資金の割合や事業に投資した資金の出所等も含めた事業全般から判断され、申請者自ら経営をしているのか、という点の判断要素となります。

2-2.外国人が日本国内の会社の管理に従事するとき

経営管理ビザ申請者である外国人自身による起業ではなく、日本国内に外国人を部長、支店長、工場長などの管理者に就任させるときは、既に上記2-1で説明した会社の「事業所の確保」「事業規模」「事業の適正性・安定性・継続性」が必要です。これに加えて、申請者である外国人本人について下記の要件を満たす必要があります。

  • 事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院で当該科目を専攻した期間も含む)
  • 日本人が従事する場合と同程度以上の報酬を受け取ること
  • 事業の管理に従事する

以下の要件を解説します。

事業の経営又は管理について3年以上の経験

このケースでは、外国人本人による500万円の出資が不要となりますが、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院で当該科目を専攻した期間も含む)が必要です。3年以上の経営や管理の実務経験、あるいは大学院での経営学修士(MBA)の専攻経験などを証明する必要があります。

日本人が従事する場合と同程度以上の報酬を受け取ること

給与が、外国人が勤務する同一企業の類似職種に就く日本人と同等額以上の報酬を設定する必要があります。同等のポジションの日本人がいないなど同一企業での判断が難しい場合には、他の同種企業の同種業務で勤務する日本人と同等額以上の報酬を設定する必要があります。

事業の管理に従事する

申請者が事業の管理業務に従事する部長、工場長、支店長等の役職につき、実際に管理業務に従事する必要があります。名ばかりの管理職では認められません。

2-3.一つの会社で二人以上の外国人が経営管理ビザを取得する場合

複数の外国人が共同出資で会社を設立した場合に、外国人全員が役員になっている場合は、全員が経営管理ビザを取得することができるのでしょうか?

結論からいうと、複数の外国人が役員となっていても外国人全員が経営管理ビザを取得できるとは限りません。

複数の外国人が役員となっている場合には、複数の経営者が必要な事業規模、業務量、売上、従業員数なのかどうかの審査が行われ、各外国人役員の担当する業務内容ごとに経営管理ビザの「事業を経営又は管理する者」として認められるかどうかが判断されます。

そして、審査の結果、事業の経営又は管理を行うことがメインの活動であると認められないと判断された外国人は経営管理ビザを取得することはできません。

複数の外国人が経営管理ビザを取得する要件としては、下記のとおりです。

  • 事業の規模や業務量の状況を勘案して、それぞれの外国人が事業の経営又は管理を行うことについて合理的な理由が認められること
  • 事業の経営又は管理に係る業務について、それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていること
  • それぞれの外国人が経営又は、管理に係る業務の対価として報酬額の支払いを受けること

したがって、各外国人が500万円以上の出資をしたとしても、全員が経営管理ビザを取得できるわけではない点について注意が必要です。もし、事業規模から一部の者しか取得できない見込みであれば、他の者は「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」などのほかのビザも検討しましょう。

以下、出入国在留管理庁が公表した2名以上の外国人が共同で事業を経営するとして経営管理ビザが認められた、許可事例があるので紹介しておきます。

事例1:許可

外国人A及びBがそれぞれ500万円出資して、本邦において輸入雑貨業を営む資本金1,000万円のX社を設立したところ、Aは、通関手続をはじめ輸出入業務等海外取引の専門家であり、Bは、輸入した物品の品質・在庫管理及び経理の専門家である。Aは、海外取引業務の面から、Bは、輸入品の管理及び経理面から、それぞれにX社の業務状況を判断し、経営方針については、共同経営者として合議で決定することとしている。A及びBの報酬は、事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

事例2:許可

外国人C及びDがそれぞれ600万円及び800万円を出資して、本邦において運送サービスを営む資本金1,400万円のY社を設立したところ、運送サービスを実施する担当地域を設定した上で、C及びDがそれぞれの地域を担当し、それぞれが自らの担当する地域について、事業の運営を行っている。Y社全体としての経営方針は、C及びDが合議で決定することとし、C及びDの報酬は、事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

3.経営管理ビザ申請の必要書類

経営管理ビザを申請するときは、各種書類を作成し収集する必要があります。

3-1.新設会社(新規)の経営管理ビザ取得時の必要書類

下記は海外に居住する外国人個人が、新規で日本で起業をする場合の必要書類です。

  • 在留資格認定証明書交付申請書

個人に関するもの

  • 写真(縦4㎝、横3㎝)
  • パスポート
  • 学歴を証明する資料(大学以上の学歴があれば)
  • 実務経験を証明する資料(開業する事業の経験があれば在職証明書など)
  • 日本語試験合格票(あれば)
  • 資本金の出所を証明できる書類
  • 返信用封筒など

会社に関するもの

  • 設立した会社の登記事項証明書(経営管理ビザ取得前に設立登記が必要)
  • 事業計画書(3年間の収支計画、取引先、販売方法などを記載)
  • 役員報酬を決議した株主総会議事録(役員報酬目安:月20万円以上)
  • 会社概要案内書(会社名、遠隔、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む))※ホームページの会社概要ページを印刷したものでも代用可
  • 事業所(事務所)に関する書類(賃貸借契約書、事務所の平面図、写真、自社物件の場合は登記事項証明書など)
  • 従業員の雇用契約書又は内定通知書(雇用予定があれば)
  • 給与支払事務所の開設届(税務署の受付印があるもの)
  • 法人設立届出関係の資料(税務署の受付印があるもの)など

3-2.新設会社(変更)の経営管理ビザ取得時の必要書類

下記は日本でビザを有する外国人が日本で起業するために、経営管理ビザに変更する際に必要となる書類です。

  • 在留資格認定証明書交付申請書

個人に関するもの

  • パスポート
  • 在留カード
  • 学歴を証明する資料(大学以上の学歴があれば)
  • 実務経験を証明する資料(開業する事業の経験があれば在職証明書など)
  • 日本語試験合格票(あれば)
  • 資本金の出所を証明できる書類
  • 返信用封筒など

会社に関するもの

  • 設立した会社の登記事項証明書(経営管理ビザ取得前に設立登記が必要)
  • 事業計画書(3年間の収支計画、取引先、販売方法などを記載)
  • 役員報酬を決議した株主総会議事録(役員報酬目安:月20万円以上)
  • 会社概要案内書(会社名、遠隔、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む))※ホームページの会社概要ページを印刷したものでも代用可
  • 事業所(事務所)に関する書類(賃貸借契約書、事務所の平面図、写真、自社物件の場合は登記事項証明書など)
  • 従業員の雇用契約書又は内定通知書(雇用予定があれば)
  • 給与支払事務所の開設届(税務署の受付印があるもの)
  • 法人設立届出関係の資料(税務署の受付印があるもの)など

参考:出入国在留管理庁ホームページ

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4.経営管理ビザ取得の流れ

会社設立(起業)後に経営・管理ビザを取得する場合は、以下の流れで手続きをします。

  1. 会社の基本事項を決める
  2. 会社実印を作成する
  3. 定款作成・公証人による定款認証
  4. 出資金を払い込む
  5. 会社設立登記の申請・開業届の提出
  6. 経営管理ビザを申請する

起業せず既存会社の役員として経営・管理ビザを取得する場合は、以下の流れで手続きをします。

  1. 経営・管理ビザの取得申請のための書類作成
  2. 経営管理ビザを申請する

5.経営・管理ビザの在留期間

経営・管理ビザの在留期間には、3か月・4か月・6か月・1年・3年・5年の種類があります。基本的には申請した内容に基づいて在留期間は定められますが、1年に設定されることが一般的です。また、経営管理ビザの更新期間も通常1年ごとが基本となります。しかし、事業の状況や経営者の在留状況、企業の規模などにより、2年や3年の更新が可能な場合もあります。

4か月の経営管理ビザ(スタートアップビザ)は海外居住の外国人起業家向けに、来日してからの開業準備行為をするためのビザです。来日後4か月以内に、事業所の確保、会社設立登記などを完了させ、その後更新を行うこともできます。

5-1.在留期間を3年にするコツ

最初に発行された経営・管理ビザの在留期間が1年以下でも、次の条件を満たしていることで、更新時には在留期間を3年にできることがあります。

  • 住所変更、勤務先変更など入管法上の届出を忘れずに実施していること
  • 1年を超えて日本にいる予定があること
  • 義務教育の子供がいる親は、子供が義務教育学校(インターナショナルスクール等も含む)に通学していること
  • 上場会社や地方公共団体など安定した勤務先であること
  • 会社経営が安定していること

在留期間が3年以上なら永住権申請が可能

経営・管理ビザの在留期間が3年以上のときは、永住権の申請が可能です。永住権を取得すると、経営・管理ビザのように在留資格を更新する必要がありません。長期的に日本に滞在し、事業活動をおこなうときは、永住権の申請も検討してみましょう。

5-2.在留期間を5年にするコツ

以下の条件を満たしていることで、経営・管理ビザを更新する際に在留期間を5年にできることがあります。

  • 住所変更、勤務先変更などの入管法上の届出を忘れずに実施していること
  • 3年を超えて日本にいる予定があること
  • 義務教育の子供がいる親は、子供が義務教育学校(インターナショナルスクール等も含む)に通学していること
  • 上場会社や地方公共団体など安定した勤務先であること、又は経営管理ビザ3年の在留期間を有しており、引き続き5年以上経営管理ビザに該当する活動をしていること
  • 経営が安定していること

なお、すでに永住権を持っている場合は、経営・管理ビザがなくても経営者になれます。また、日本での活動に制限を受けないようになります。

5-3.在留期間を更新するときの確認ポイント

在留期間の更新手続きをするときは、以下のポイントを確認してください。

  • 事業の安定性と継続性を証明できること
  • 税金の滞納や刑事処分を受けていないこと

事業の安定性と継続性が重要

経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)の更新を考えている方は、出入国在留管理局が特に重視する「事業の安定性や継続性」に留意する必要があります。以下に主な基準を挙げてみましょう。

事業の売上があるか

債務超過がないか(純資産がプラスになっているか)?会社が、法人税、法人事業税、法人住民税などの税金を納めているか?など、経営管理ビザの更新では、これらの要素を決算状況から慎重に評価します。

損益計算書と貸借対照表をチェック

ビザの更新審査では、外国人が経営する日本法人(または日本支店)の損益計算書と貸借対照表が重要視されます。これらの文書により、事業の安定性や継続性を判断します。

単年度(1期目)の決算状況が赤字でも、必ずしもビザの更新ができないとは限りません。特に、ビジネスモデルによっては、会社設立後の最初の1期目が赤字になることはよくあります。それゆえ、在留管理局は損益計算書や貸借対照表をもとに、事業全体の状況を総合的に評価します。しかし、2期連続して売上総利益が計上できていない場合や、2期連続で債務超過状態が続いている場合は、事業の継続性がないと判断されることが多いです。これらの状況が長く続くと、深刻な経営危機を示すことになり、ビザの更新が難しくなる可能性があります。

代表者の役員報酬について

経営管理ビザの更新審査では、経営者自身の経済的安定性も考慮されます。そのため、経費削減のために代表者の役員報酬を極端に低く設定することは避けるべきです。月額で20万円程度は確保できるようにすることが推奨されます。

更新期間の延長

通常、経営管理ビザの更新期間は1年です。しかし、2期以上連続で黒字決算を継続している場合には、3年間のビザ更新が可能になることもあります。この際の判断基準は、経営者の経歴、在留状況、企業の規模や経営内容などが総合的に考慮されます。

税金の滞納や刑事処分を受けていないこと

ビザの更新を行うにあたり、納税をはじめとする各種の公的義務の遵守も必須です。個人としての所得税や住民税を適正に納めているかが重要なポイントとなります。また、ビザの更新を行う際、過去の刑事処分の有無も考慮されます。

出入国在留管理局は、ビザの更新を行う際には申請者の信用性を重視します。したがって、過去の刑事処分があると、その信用性が低いと判断され、ビザの更新が難しくなる可能性があるのです。

6.まとめ

本記事では、経営・管理ビザを申請するときに知っておきたい事柄について解説しました。内容をまとめると、以下のとおりです。

✓ 経営管理ビザは、日本国内で起業するときや既存事業の経営者や管理者として中長期滞在し活動するときに必要

✓ 「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の外国人であれば、経営管理ビザを取得しなくても会社を経営することができる

✓ 経営者として経営管理ビザ取得するには、①事業所が日本国内に確保されていること、②一定以上の事業規模(常勤職員2名以上又は資本金500万円以上)を満たすこと、③事業の適正性・安定性・継続性を示せること、④事業の経営に実際に従事することの4つの要件がある

✓ 管理者として経営管理ビザ取得するには、会社の事業所確保、資産規模、事業の適正性・安定性・継続性要件に加えて、①事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院で当該科目を専攻した期間も含む)②日本人が従事する場合と同程度以上の報酬設定、③事業の管理に実際に従事させることが必要

✓ 一社に複数の外国人役員がいても、全員が経営管理ビザを取得できるとは限らない

✓ 経営・管理ビザの在留期間は最初は1年、在留期間更新の際に要件を満たせば3年、5年などの期間延長も見込める

✓ ビザの更新においては、事業の安定性と継続性のほか、外国人本人の税金滞納や犯罪事実がないなどの状況も考慮される

本記事では、外国人が経営管理ビザを申請する取得要件や必要書類についてまとめました。

経営・管理ビザがなくても会社を設立できますが、経営者となり日本国内で中長期滞在し、経営するためには然るべき在留資格が求められます。永住権などの一定の資格がないときは、経営・管理ビザの申請をおこないましょう。

経営・管理ビザの申請にはさまざまな書類や要件があります。手続きが難しいと感じるときは、専門家に依頼するのもひとつの方法です。

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この記事の監修

斎藤 竜(さいとうりょう)

司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士

斎藤 竜(さいとうりょう)

相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に居住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。

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