2024/8/9
2025/2/28
外国人ビザ
経営管理ビザの在留期間は何年?初回、更新申請時の目安と長期期間取得の要件を解説

日本で会社経営をする外国人にとって、経営管理ビザは非常に重要な在留資格です。在留期間によって、日本で活動できる期間が異なります。
今回の記事のポイントは下記のとおりです。
✓経営管理ビザの対象は、日本で起業する外国人、既存企業の経営者、外資系企業の日本支社運営者など
✓初回申請時の期間は通常4ヶ月または1年 ✓更新申請時には6ヶ月、1年、3年、5年の期間が付与される可能性あり ✓在留期間の決定要因には、事業の安定性、雇用状況、納税状況、過去の在留歴などがある ✓最長期間は5年だが、初回でこの期間が付与されることは稀 ✓ビザ有効期間中は一時帰国や海外出張が可能 ✓更新申請は期間満了日の3ヶ月前から可能で、2週間前までには申請すべき |
本記事では、経営管理ビザの期間に焦点を当て、申請から更新における在留期間を詳しく解説します。ビザの取得を考えている方や、すでに保有している方にとって役立つ情報を解説します
1. 経営管理ビザとは
経営管理ビザは、外国人が日本で事業を経営したり、企業の管理業務に従事したりするために必要な在留資格です。このビザは、日本で起業や会社経営をする外国人材を受け入れることを目的としています。
1-1.経営管理ビザの対象となる人
- 日本で新たに事業を立ち上げる外国人起業家
- 既存の日本企業の経営者や管理職として赴任する外国人
- 外資系企業の日本支社を設立・運営する外国人
これらの基準は、事業が継続的に運営される見込みがあることを証明するために設けられています。
1-2.他の就労系ビザとの違い
経営管理ビザは、就労ビザの一種ですが、一般的な就労ビザとは異なり、経営や管理業務に特化しています。技術・人文知識・国際業務ビザなどと比べ、より高度な責任と権限を持つ立場の人に付与されます。
2.経営管理ビザの在留期間
経営管理ビザを取得すると在留期間が付与されます。
2-1. 初回申請時の期間
初回の経営管理ビザ申請時、通常付与される期間は以下の通りです。
- 4ヶ月
- 1年
ただし、初回申請では通常、1年の期間が付与されることが多いです。会社設立前の準備行為のために来日するための経営管理ビザを申請する場合には、4か月のビザが付与されます。
2-2.更新申請時の期間
ビザ更新時には、初回申請時よりも長い期間が認められる可能性が高くなります。これは、すでに日本で事業を展開し、一定の実績を積んでいることが評価されるためです。更新時に付与される期間は以下の通りです。
6ヶ月
6ヶ月の期間は比較的稀で、事業の継続性に懸念がある場合や、何らかの条件付きで更新が認められた場合に適用されることがあります。
1年
1年の期間は、事業が軌道に乗り始めているものの、まだ安定性に不安がある場合や、初回の更新時によく見られます。初回の更新時には1年となることが多いです。
3年
3年の期間は、事業が順調に進んでおり、2期以上連続で黒字決算の状態が続き、従業員を雇用しているなど、安定した経営が行われていると判断された場合に付与されます。
5年
最長の5年間は、入管法上の届出義務を果たしており、事業の安定性や実績が特に優れていると認められた場合に付与されます。前提として、経営管理ビザで3年の在留期間を保有していることが必要です。
一度、一定の期間の在留期間を取得すると、その後の更新でも同様の期間が認められやすくなる傾向があります。ただし、これは自動的に付与されるものではなく、毎回の更新時に審査が行われます。
2-3.在留期間の決定要件とは
経営管理ビザの在留期間を決定する主な要件には以下のものがあります。入国管理局はこれらの要件を総合的に判断し、適切な期間を決定します。
事業の安定性と収益性
これは最も重要な要因の一つです。安定した売上と利益を上げているか、事業が健全に運営されているかが審査されます。具体的には、以下の点が評価されます。
- 過去数年間の売上高と利益の推移
- 事業計画の実現可能性と将来性
- 資金繰りの状況
- 取引先や顧客基盤の安定性
雇用状況
雇用創出は、経営管理ビザの重要な目的の一つです。以下の点が考慮されます。
- 従業員の数と雇用形態(正社員、パート等)
- 給与水準
- 従業員の育成・研修制度
- 雇用の安定性と将来的な雇用計画
納税状況
適切な納税は、法令遵守の姿勢を示す重要な指標です。以下の点が確認されます。
- 法人税、所得税、住民税等の適切な納付
- 納税額の推移
- 滞納がないこと
- 税務調査への対応状況
過去の在留歴
これまでの日本での滞在期間や、ビザ条件の遵守状況が評価されます。
- 過去のビザ更新の履歴
- 在留中の法令遵守状況
- 入国管理局への定期報告(住居地、所属機関等に関する届出等)の適切な実施
- 過去に在留資格取消しや強制退去の経歴がないこと
事業の規模と成長性
現在の事業規模だけでなく、将来的な成長の可能性も評価されます。
- 事業拡大計画の具体性と実現可能性
- 新規事業や新市場への展開計画
- 投資計画や設備投資の状況
経営者の資質と経験
申請者自身の経営能力や経験も考慮されます。
- 過去の経営実績
- 学歴や専門資格
- 業界での知名度や評価
これらの要因を総合的に判断し、入国管理局が適切なビザ期間を決定します。
申請者は、これらの要因を意識しながら事業を運営し、更新申請時には各要素について具体的かつ明確な説明ができるよう準備することが重要です。また、これらの要因は相互に関連しており、例えば安定した事業運営が雇用の増加につながり、それが納税額の増加と社会貢献度の向上をもたらすといった好循環を生み出すことが理想的です。
長期的な視点で事業を展開し、日本社会との共生を図ることが、より長いビザ期間の取得につながる鍵となります。
3.経営管理ビザの期間に関するよくある質問
経営管理ビザに関して、多くの方が疑問に思う点について詳しく解説します。
3-1.最長期間は何年か?
経営管理ビザの最長期間は5年です。ただし、初回申請ではこの最長期間が付与されることは稀で、通常は更新を重ねる中で徐々に長期化していきます。
3-2.期間中に帰国できるか?
経営管理ビザの有効期間中は、一時帰国や海外出張が可能です。ただし、1年以上日本を離れる場合は、再入国許可を取得する必要があります。
3-3.在留期間満了何か月前から更新申請ができる?
在留期間満了後に日本での事業継続を希望する場合は、必ず期間満了前に経営管理ビザの更新申請を行う必要があります。更新せずに期間が切れてしまうと、不法滞在となり、厳しい処分の対象となる可能性があります。
ビザの更新申請は、期間満了日の3ヶ月前から可能です。遅くとも期間満了日の2週間前までには申請することをお勧めします。
4.まとめ
経営管理ビザは、外国人が日本で事業を展開するための重要な在留資格です。その期間や更新に関する理解は、日本でのビジネス成功に不可欠です。以下に、本記事の主要ポイントをまとめます。
✓経営管理ビザの対象は、日本で起業する外国人、既存企業の経営者、外資系企業の日本支社運営者など
✓初回申請時の期間は通常4ヶ月または1年 ✓更新申請時には6ヶ月、1年、3年、5年の期間が付与される可能性あり ✓在留期間の決定要因には、事業の安定性、雇用状況、納税状況、過去の在留歴などがある ✓最長期間は5年だが、初回でこの期間が付与されることは稀 ✓ビザ有効期間中は一時帰国や海外出張が可能 ✓更新申請は期間満了日の3ヶ月前から可能で、2週間前までには申請すべき |
経営管理ビザの取得と更新は、日本での事業展開において重要なステップです。適切な準備と計画、そして日本の法令遵守と社会貢献を通じて、より長期の在留期間を獲得し、ビジネスの安定と成長を実現することができます。日本での事業成功に向けて、このビザ制度を最大限に活用し、着実に歩みを進めていくことが重要です。
この記事の監修

司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)
相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に居住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。