2023/11/1 2025/2/4

外国人ビザ

経営管理ビザの許可率を上げるには?申請時の注意点と不許可事例を解説

経営管理ビザは許可率が低いとよく言われているビザの一つです。経営管理ビザの許可率を上げることは、国際ビジネスを展開する多くの起業家や経営者にとって重要なハードルです。

申請時に、おさえておくべきポイントの見落としが不許可の原因となることがありますが、それらを避けることで、許可率を大きく向上させていくことが可能です。

今回の記事のポイントは下記の通りです。

✓経営管理ビザは、外国人が日本国内で会社を設立し、経営管理するために必要なビザ

経営管理ビザは職歴などの要件がなく誰でも申請できるため、許可率は他の就労ビザよりも低い

経営管理ビザの要件として、①独立した事業所を日本国内に確保②500万円以上の出資、もしくは2名以上の常勤職員がいること③事業の安定性・継続性を示せること④事業を実際に経営することが求められる

経営管理ビザの許可率を上げるには、事業計画(ビジネスプラン)を明確にする経営管理ビザと会社設立登記の2つを専門とする司法書士・行政書士に依頼する

万が一、不許可となった場合には、出入国在留管理局に連絡し不許可理由を確認の上、再申請をする

この記事では、経営管理ビザを申請する際の重要な注意点と共通の不許可事例、経営管理ビザ取得の許可率を向上させるためのポイントを解説します。

1.経営管理ビザとは

経営管理ビザは、外国人が日本国内で会社を設立または経営するために必要なビザです。

このビザの取得を目指す外国人は、日本のビジネス環境の一翼を担い、国内経済に貢献することが期待されています。経営管理ビザは、持続可能で成長を見込めるビジネスプランを持つ外国人に対して発行されます。日本で会社を経営するために欠かせないビザです。

1-1.経営管理ビザの対象となる事業者や経営者

経営管理ビザの対象となるのは、中小企業から大企業に至るまでの広範な業種にわたる経営者や事業主です。具体的には、新規に事業を立ち上げたい個人や、既存の企業に投資し、経営に参加したい外国人投資家、さらには日本国内で企業の支店や子会社を設立し、その管理を行う日本拠点の責任者などが含まれます。こうした幅広い経営者・管理者にとって、経営管理ビザは日本におけるビジネス展開のための重要なビザとなります。

1-2.経営管理ビザがなくても会社を経営できる資格もある

日本国内で会社を経営するためには、経営管理ビザを取得することが必要ですが、次のいずれかに該当する場合は、国籍を問わず、経営管理ビザを取得しなくても経営者として活動できます。

  • 永住者
  • 定住者
  • 日本人の配偶者など
  • 永住者の配偶者など

上記に該当する外国人は日本人と同様に就労可能なため、経営管理ビザを取得しなくても日本国内で会社を経営することができます。

2.経営管理ビザの許可率は他の就労ビザよりも低い

日本において、経営管理ビザの許可率が他の就労ビザに比べて低く、明確な不許可率は公表されていませんが、一般の就労ビザと比べて半分以下の許可率になると言われています。

これはなぜでしょうか?多くの要因が絡み合っている中で、特に目立つのが、申請者の背景や提出される事業計画の質、そして手続きの複雑さです。ここでは、経営管理ビザの許可率が低いとされる主要な原因を3つに絞り、それぞれについて深堀りしていきます。

2-1.原因①:外国人経営者の学歴や職歴要件がない

経営管理ビザは他の就労ビザと比較して、学歴や職歴の要件がありません。

これにより、事業を成功させるための必要なスキルや経験を有しているかの判断が曖昧になりがちです。経営管理ビザを許可する要素として、申請者が事業を円滑に運営できるかどうかを審査する際、経歴だけでなく、ビジネスプランの実現可能性が重視されます。

日本で就労するために、取得されることが多い「技術・人文知識・国際業務」ビザは大学、短大、専門学校(日本)卒業以上などの学歴要件があります。また、調理師など各種職歴でビザを申請する場合には、業務内容によって3~10年以上の実務経験が必要になります。

経営管理ビザは、誰でも申請できるという面での申請のハードルが低いため、気軽に申請ができます。そのため、出入国在留管理局も申請者が経営管理できる能力があるのかどうかを、厳しく審査しています。

2-2.原因②:日本での事業計画の見通しが甘く、黒字化が見込めない

経営管理ビザの審査においては、提出される事業計画の具体性とその実行可能性が鍵を握ります。許可率が低い一因として、多くの申請者が楽観的すぎる、あるいは現実とかけ離れた事業計画を提出してしまうことがあります。黒字化の見込みが不確実であったり、市場調査が不十分だったりする計画では、審査を通過することが困難になります。持続可能で財務的に健全な事業計画の提出は、ビザ取得において不可欠な要素です。

2-3.原因③:ビザ取得までの手続が複雑

経営管理ビザの申請に至るまでには、下記の手続きを経ていく必要があります。

  1. 会社設立登記を申請する
  2. 税務署等への開業届を提出する
  3. 会社名義で不動産契約(事務所・店舗)をする
  4. 開業準備(事務所・店舗の準備、銀行口座の開設、従業員雇用、事業に必要な許認可取得など)を行う
  5. 開業できる状態となる
  6. 経営管理ビザを申請する

海外居住の外国人が日本で会社設立するためには、上記の手続を経て行う必要があり、日本国内で協力してくれる人がいないとこれらの手続きを一人で行うのが難しいのが現状です。

この一連の手続の流れには、会社登記手続き、銀行口座の開設、必要な書類の作成・取得から事業計画の策定、さらには許認可が必要な事業については許認可の申請など、多岐にわたる作業が含まれます。

手続きの煩雑さが原因で、必要な書類が不足していたり、間違ってはいけない注意点を漏らしてしまうことも、許可率の低さに影響しています。適正かつ効率的な手続きの進行は、ビザ取得への道を大きく左右するため、日本国内で起業を検討する外国人はこれを軽視することができません。

3.経営管理ビザの取得の要件

日本でビジネスを行いたい外国人経営者が経営管理ビザを取得するためには、満たすべき下記4つの要件があります。

  • 独立した事業所を日本国内に確保していること
  • 500万円以上の出資、もしくは2名以上の常勤職員がいること
  • 事業の適正性・安定性・継続性を示せること
  • 事業の経営を実際に行うこと

以下に、これらの要件について解説します。

3-1.独立した事業所を日本国内に確保していること

経営管理ビザを申請する際に、会社名義で事業を行うための独立した事業所を日本国内に設ける必要があります。これは、ビジネスが実際に存在し、運営されることを示す重要な証拠となります。ただの郵便受けとなるバーチャルオフィスでは不十分であり、経営管理ビザ申請時に内装が終わっており、実際に業務が行うことができる状態になっていることが求められます。

3-2.500万円以上の出資、もしくは2名以上の常勤職員がいること

日本国内で起業し実際に経営する外国人自らが500万円以上の出資をするか、または2名以上の常勤職員(日本人、特別永住者、永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等に限る)を雇用していることが必要です。これにより、事業が実質的な経済活動ができるのか判断されます。

3-3.事業の適正性・安定性・継続性を示せること

単に事業を開始するだけでなく、長期にわたって安定して運営する計画があることを示さなければなりません。これは、将来にわたって利益を生み出し、雇用を維持し、税収を生成することができるビジネスであることを出入国在留管理局に説明する必要があります。安定した経営基盤、取引先、収支予測など、詳細なビジネスプランを通じて、事業の適正性・安定性・継続性を事業計画書で証明することが求められます。

3-4.事業の経営を実際に行うこと

会社の経営権を実際にもち、実質的に経営する必要があります。

実質的に経営をするとは、業務の実行や重要な経営判断を含む、会社の運営に関する権限を持つことが求められます。自らが出資をして代表取締役になれば問題ないですが、出資だけをして、第三者に代表取締役を任せるケースでは自ら経営をしていないので、この要件を満たしているとは見なされない可能性が高いです。

経営管理ビザの申請は、多くのハードルを伴いますが、これらの要件を満たすことによって、日本で会社を経営する道が開かれます。

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4.経営管理ビザの不許可・許可事例

経営管理ビザの申請に際しては、厳格な審査が行われるため、細心の注意を払って申請書類を準備する必要があります。許可が下りないケースは多々あり、その多くは申請手続きに起因する問題によるものです。

以下に、ビザ取得が不許可となる典型的な事例を挙げ、その原因となる問題点を解説します。

4-1.独立した事業所の確保が確保されていない

経営管理ビザを取得するには、会社名義の独立した事業用の事業所を確保する必要があります。

当初の経費支出を抑えるため、自宅の一部を事業所としたいという要望を受けることが多くありますが、居住用の自宅の一部を事業所とすることは原則として認められません。自宅住所と会社住所は別にする必要があります。

以下、住居を事業所とした場合の不許可・許可の事例を紹介します。

事例1:不許可

Dは、本邦において有限会社を設立し、当該法人の事業経営に従事するとして在留期間更新許可申請を行ったが、事業所がDの居宅と思われたことから調査したところ、郵便受け、玄関には事業所の所在を明らかにする標識等はなく、室内においても、事業運営に必要な設備・備品等は設置されておらず、従業員の給与簿・出勤簿も存在せず、室内には日常生活品が有るのみ事業所が確保されているとは認められなかった。

事例2:不許可

Eは、本邦において有限会社を設立し、総販売代理店を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが、提出された資料から事業所が住居であると思われ、調査したところ、2階建てアパートで郵便受け、玄関には社名を表す標識等はなかった。また、居宅内も事務機器等は設置されておらず、家具等の一般日常生活を営む備品のみであったことから、事業所が確保されているとは認められなかった。

事例3:許可

Aは、本邦において個人経営の飲食店を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが、事務所とされる物件に係る賃貸借契約における使用目的が「住居」とされていたものの、貸主との間で「会社の事務所」として使用することを認めるとする特約を交わしており、事業所が確保されていると認められた。

事例4:許可

Bは、本邦において水産物の輸出入及び加工販売業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったところ、本店が役員自宅である一方、支社として商工会所有の物件を賃借していたことから、事業所が確保されていると認められた。

4-2.日本での事業計画(ビジネスプラン)の見通しが甘い

経営管理ビザの申請においては、実現可能な事業計画(ビジネスプラン)が不可欠です。不許可の一例として挙げられるのが、申請者が事業を開始し、維持するために必要な資金や事業計画を適切に検討していないケースです。たとえ500万円以上の資本金があったとしても、その後の事業運営に必要な資金の流れの計画が不十分であったり、未来の収益予測が非現実的であると審査官に判断されれば、ビザの不許可につながる可能性があります。

また、提出された事業計画(ビジネスプラン)の内容が不明確、または非現実的である場合も不許可とされるケースが多いです。ビジネスプランは、事業の概要、市場分析、販売戦略、取引先、仕入れルート、競争優位性などを明確に示さなければならず、その上で長期的な成功を納得させる形で描かれている必要があります。

経営管理ビザは経営するビザのため、経営者自身が業務を行わなければならないビジネスプランでは認められません。ITビジネスや貿易などであれば経営者一人でもビジネスができると判断されますが、飲食店、マッサージ店、小売店などの店舗系ビジネスの場合、経営者の役割は経営です。経営者自らが調理、施術などをしなければならないビジネスプランでは認められないので注意が必要です。

このようにビジネスプランが抽象的であったり、具体性を欠いていたりすると、審査官は事業の実現可能性に疑問を持ち、結果として不許可となることがあります。

下記は、経営管理ビザの更新時の不許可事例ですが、出入国管理局が事業計画(ビジネスプラン)を重視していることがわかりますので、参考にしてください。

事例5:不許可

当該企業の直近期決算書によると、売上総損失(売上高-売上原価)が発生していること当期損益は赤字で欠損金もあり、また、欠損金の額は資本金の約2倍が発生していることから、当該事業の継続性を認められなかった。

■参考指標(売上高総利益率:約- 30 %、売上高営業利益率:- 1,000 %超、自己資本比率:約- 100%)

※各種計算の手法は提出された直近期の決算書をもとに以下のとおり算出
(利益はプラス、損失はマイナス。)。

・売上高総利益率=売上総利益(損失)÷純売上高×100
・売上高営業利益率=営業利益(損失)÷純売上高×100
・自己資本比率=自己資本(剰余金又は欠損金を含む)÷総資本×100

5.経営管理ビザの許可率を上げるには?申請時の注意点を解説

経営管理ビザを取得できないと、会社設立はできたのに、日本国内で会社の経営ができないという問題が発生してしまいます。これから、日本国内で起業を予定する外国人の方が経営管理ビザの許可率を高めるためには、下記の注意点を考慮してビザ申請を行うことが必要です。

5-1.事業計画書で事業計画(ビジネスプラン)をきちんと説明する

経営管理ビザの申請において一番重要なポイントとなるのは、経営管理ビザ申請時に提出される事業計画書です。これを単なる必要書類と考えてはいけません。外国人経営者のビジネスモデル、ビジョン、戦略、実行能力を審査官に示す重要なツールとなります。

実現可能な事業計画(ビジネスプラン)をつくり、ビジネスが成功する理由やその実行計画を明確に伝えることができれば、審査官を納得させることが可能です。したがって、市場分析、競争戦略、財務計画などの各セクションには特に注意を払い、実現可能性と収益性の両方をきちんと説明する必要があります。

事業契約書の中身も1年分だけではなく3年分程度の中長期に事業計画書を作成し、数年分の売上見込み、具体的な営業品目、取引先、取引金額、年間売上当から、事業活動により安定的、継続的にビジネスが成立することを説明しましょう。また、それを裏付ける仕入れルート、販売チャネル、価格設定、人件費、家賃などの一般管理費の見込み、経営者自身のビジネスの経験などを盛り込み、説明できるようにしてください。

5-2.不許可となった場合には、不許可事由を確認する

もし、不許可となった場合には、その理由を詳細に確認し、将来の再申請に備えることが大切です。出入国在留管理局に連絡し、審査官に不許可理由を教えてもらいましょう。不許可の原因を理解することで、同じ過ちを繰り返さないように修正し、ビザ取得に向けての成功確率を上げることができます。場合によっては、不許可の事由が曖昧な場合もあるため、その場合には専門家のアドバイスを受けることも一つの選択肢です。

5-3.経営管理ビザと会社設立をセットで専門家に依頼する

経営管理ビザの申請手続きと会社設立登記は、ビザの許可率をあげるために、密接に関連します。会社設立登記は、適切に書類が揃っていれば、法務局は登記を受理します。しかし、経営管理ビザは、これまで述べてきた要件と事業計画をもとに許可、不許可が判断されてしまいます。

会社設立登記においては、事業所の確保や資本金の準備など経営管理ビザ取得の要件に関連する部分が多数あります。せっかく、設立登記をしてもビザ取得のため、会社登記を変更しなければならないなど、余計な費用が発生するリスクもあります。

経営管理ビザ、又は会社設立登記のみの専門家の場合には、専門分野以外の注意点がわからず、結果的にミスが起こる可能性があります。そのため、経営管理ビザと会社設立登記は専門的・横断的な知識を要するため、経営管理ビザと会社設立登記をともに対応できる専門家に依頼すべきです。依頼先候補としては、司法書士と行政書士二つの資格をもっており、ビザと会社設立登記を専門的に取り扱っている事務所を探すようにしてください。

ビザ保証制度で当社がお手伝いした経営管理ビザ取得と会社設立を100%保証します

6.まとめ

✓経営管理ビザは、外国人が日本国内で会社を設立または経営するために必要なビザ

経営管理ビザは職歴などの要件がなく誰でも申請できるため、許可率は他の就労ビザよりも低い

経営管理ビザの要件として、①独立した事業所を日本国内に確保②500万円以上の出資、もしくは2名以上の常勤職員がいること③事業の安定性・継続性を示せること④事業を実際に経営することが求められる

経営管理ビザの許可率を上げるには、事業計画(ビジネスプラン)を明確にする経営管理ビザと会社設立登記の2つを専門とする司法書士・行政書士に依頼する

万が一、不許可となった場合には、出入国在留管理局に連絡し不許可理由を確認の上、再申請をする

経営管理ビザの取得は、適切な準備と知識があれば、取得できるビザです。ただし、準備を怠ってしまうと不許可となってしまい、日本での起業のスタートが遅れてしまうことになります。

弊社では、これらの複雑な手続きをナビゲートし、ビザ取得の成功率を高めるために、経験豊かな専門家による無料相談を提供しております。経営管理ビザに関するご質問や不安がある場合、または申請プロセスをスムーズに進めたいとお考えの方は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。一人ひとりのビジネスプランを丁寧に評価し、最適な解決策をご提案することをお約束します。あなたのビジネス成功の第一歩を、私たちと共に踏み出しましょう。

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この記事の監修

斎藤 竜(さいとうりょう)

司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士

斎藤 竜(さいとうりょう)

相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に居住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。

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