2024/10/3
2025/10/28
外国人ビザ
経営管理ビザを持つ外国人が家族滞在ビザで家族を呼び寄せる方法と要件とは?
経営管理ビザを所持する方の家族が日本で滞在するには、「家族滞在ビザ」が必要です。経営管理ビザを取得すれば、家族を呼び寄せられると考える方もいるでしょう。しかし、経営管理ビザを取得できたからといって、家族も自動的に日本に住めるわけではありません
今回の記事のポイントは以下のとおりです。
| ✓ 【最重要】2025年10月以降、扶養者である経営者の事業が新基準(資本金3,000万円等)を満たしていることが、家族を呼び寄せる大前提となった。
✓経営管理ビザを取得しても、家族は別途「家族滞在ビザ」を取得する必要がある。 ✓家族滞在ビザの取得には、扶養者による経済的扶養と家族関係の証明が必須である。 ✓子供の年齢が18歳以上の場合、扶養の必要性を具体的に説明しなければ許可が下りづらくなる。 ✓家族滞在ビザでは、就労は原則不可だが、「資格外活動許可」を取得すれば週28時間以内で就労が可能。 |
本記事では、家族滞在ビザの概要や取得の流れ、注意点などを詳しく解説します。家族が安心して日本で暮らせるよう、必要な情報を事前に確認しておきましょう。
1.経営管理ビザ所持者の家族が滞在する場合もビザが必要
外国人が日本で会社を設立し、経営管理ビザを取得した場合、その家族(配偶者や子ども)が日本に滞在するためには「家族滞在ビザ」が必要です。
つまり、経営管理ビザを持つ本人だけでなく、その家族も別途ビザの申請を行う必要があります。自動的に許可が下りるわけではありません。
ここでは、家族滞在ビザの概要と取得までの流れ、招へいできる家族について解説します。
1-1.はじめに
本記事を読む前に、大前提としてご理解いただきたい点があります。2025年10月16日、家族を呼び寄せる扶養者の在留資格である「経営・管理」ビザは、その取得要件が資本金3,000万円以上、常勤職員1名以上の雇用、3年以上の経営経験などが必須となる、極めて厳しいものに改正されました。
したがって、これから家族を呼び寄せようとする経営者の方は、まずご自身がこの新しい高いハードルをクリアしていることが、家族滞在ビザを申請する上での絶対的な前提となります。この記事では、その前提を踏まえた上で、家族滞在ビザそのものの要件について解説します。
1-2.家族滞在ビザとは
家族滞在ビザとは、就労ビザ(家族滞在ビザも含む)を持つ外国人が、扶養している配偶者と子どもを日本に呼び寄せる場合に与えられる在留資格です。
例えば、「経営管理ビザを持つ父親」「専業主婦の母親」「小学生の子ども」からなる3人家族の場合、母親と子どもは家族滞在ビザを申請することで父親と共に日本で暮らせます。就労ビザを持つ外国人の養子も、同様に家族滞在ビザを申請できます。
ただし、家族滞在ビザでは原則として就労が認められていません。アルバイトなどを希望する場合は、別途「資格外活動許可」を取得する必要があります。
1-3.家族滞在ビザの申請方法と必要書類
家族滞在ビザを取得する際には、大きく分けて以下の流れで対応を進めます。
| 手順 | 場所 | 対応者 | ||
| (1) | 申請書類の準備 | 日本 | 日本において就労ビザで在留している外国人
(招へい人) |
|
| (2) | 家族滞在ビザの認定証明書交付申請 | |||
| (3) | 家族滞在ビザのための「在留資格認定証明書」を海外の家族へ送付 | |||
| (4) | 査証(ビザ)の申請 | 「在留資格認定証明書」を携えて、査証(ビザ)の申請を行う | 現地の日本大使館もしくは領事館 | 外国人の配偶者・子ども |
| 在留カードを受け取る | 日本の空港または居住地の市区町村役場 | |||
(1)【申請書類の準備】
必要書類は以下の通りです。申請者の個々の状況によって他の資料も必要となりますので、詳細は出入国在留管理庁のウェブサイトをご確認ください。
- 在留資格認定証明書交付申請書 1通
- 写真 1葉(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出)
- 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、必要な額の郵便切手(簡易書留用)を貼付したもの) 1通
- 申請人と扶養者との身分関係を証する文書 下記のいずれか1通
戸籍謄本 1通
婚姻届受理証明書 1通
結婚証明書(写し) 1通
出生証明書(写し) 1通 - 上記(1)~(4)までに準ずる文書 適宜
- 扶養者の在留カード又は旅券の写し 1通
- 扶養者の職業及び収入を証する文書
(2)【家族滞在ビザの認定証明書交付申請】
日本で就労ビザを持つ人(招へい人)が、地方出入国在留管理局にて自国の配偶者や子どもに対する「家族滞在」の在留資格認定証明書を申請するのが最初のステップです。
この申請の審査には通常1〜3か月かかりますが、個別のケースによって異なる場合があります。審査中の書類に不備があった場合、修正を求められたり、追加資料の提出を求められたりすることもあるため、連絡を受けた際には迅速に対応するようにしましょう。
(3)【家族滞在ビザの認定証明書を海外の家族へ送付する】
申請後、1〜3か月の間に結果が通知され、承認されると「在留資格認定証明書」が発行されます。この証明書はビザ取得に必要な書類です。この在留資格認定証明書を母国にいる配偶者と子ども宛に送付します。
在留資格認定証明書を受け取った母国在住の配偶者と子どもは、その在留資格認定証明書を持って現地の日本大使館や領事館に行き、ビザの申請を行います。国によっては代行機関を通じて申請しなければならない場合があるため、あらかじめ確認しておきましょう。審査が完了すると、ビザがパスポートに貼付され、返却されます。その後、航空券を予約して来日し、入国手続きを行います。
(4)【在留カードの受け取り】
外国人配偶者が初めて日本に入国する際、新千歳空港・成田空港・羽田空港・中部国際空港・関西空港・広島空港・福岡空港の7つの空港では、入国時に在留カードが発行されます。在留カードを受け取った後は、14日以内に居住地の市区町村役場で住民登録を行わなければなりません。
これらの7つの空港以外から入国した場合には、パスポートに在留に関連する記載がなされ、それが一時的に在留カードの役割を果たします。在留カードの正式な発行は、入国後14日以内に居住地の市区町村役場での住民登録を行った後、数日内に郵送されます。
1-4.経営管理ビザで招へいできる家族の範囲
経営管理ビザ所持者が日本に招へいできる家族の範囲は、法律上有効な婚姻関係にある配偶者と子どもに限定されています。
配偶者については、正式に婚姻関係が認められている人のみが対象です。そのため、離婚や死別した元配偶者、内縁関係にあるパートナー、同性婚のパートナーは含まれません。
子どもに関しては、実子であるか養子であるかは問われません。具体的には、嫡出子・認知された非嫡出子・普通養子・特別養子が対象です。
一方で、親や兄弟姉妹などの親族は、家族滞在ビザの対象外となります。これらの親族を日本に呼び寄せる場合は、短期滞在ビザなどを検討する必要があります。
2.家族滞在ビザの要件
家族滞在ビザの取得には、いくつかの重要な要件を満たさなければなりません。これらの要件は、家族が日本で安定した生活を送れるかどうかの確認や、不正入国の防止を目的としています。ここでは、主な要件とその詳細について解説します。
2-1.配偶者や子が実際に扶養を受けている
家族滞在ビザの要件として、配偶者や子どもが実際に扶養を受けていることが重要です。単に家族関係があるだけでなく、経済的に扶養者に依存していることが求められます。
配偶者の場合は、同居を前提とした経済的な依存関係が認められなければなりません。子どもの場合は、扶養者の監護養育下にあることが条件です。扶養の事実を証明するために、関連書類を用意しておくようにしましょう。
ただし、扶養者よりも被扶養者の年収が多い、ないしは経済的に自立している場合は、家族滞在ビザの対象とならない可能性があります。
また、子どもが18歳以上の場合は、扶養関係が認められにくくなるため、注意が必要です。学生の身分であるなど、親の扶養を受けている事実について証拠を示す必要があります。
2-2.扶養者に家族全員を支える「事業の安定性」と「個人の経済力」がある
家族滞在ビザの審査で最も重要視されるのが、扶養者である経営者が、家族全員の生活を支えるだけの十分な経済力を持っているかという点です。2025年の法改正により、この経済力の判断基準は、以下の二つの側面から、より厳格に審査されるようになりました。
① 事業そのものの安定性・継続性(会社の経済力)
法改正後の現在、扶養者の経済力を測る最も重要な指標は、経営している事業そのものが、新しい経営管理ビザの基準を満たしているかという点です。具体的には、
- 資本金が3,000万円以上あるか
- 常勤職員を1名以上雇用しているか
- 事業が黒字基調で、安定的に運営されているか といった点が厳しく審査されます。扶養者の事業基盤が不安定であると判断されれば、個人の役員報酬がいくら高くても、家族を安定して支える能力に疑問符が付き、不許可となるリスクが高まります。
② 扶養者個人の経済力(役員報酬)
上記の事業の安定性を前提とした上で、扶養者個人が受け取る役員報酬も審査されます。これは、家族が日本で公的な支援に頼らず、安定した生活を送れるかを確認するためです。 具体的な金額の基準はありませんが、一般的には扶養者本人の年収として最低でも250万〜300万円以上は必要とされ、扶養する家族が1人増えるごとに、さらに70万〜80万円程度の上乗せが求められます。 この経済力は、市区町村が発行する「課税証明書」や「納税証明書」で証明する必要があり、安定した収入があることと、税金をきちんと納めていることの両方が重要です。
結論として、新制度下では、「経営者が十分な役員報酬を得ている」ことだけでなく、「その報酬を支払っている会社自体が、新しい基準を満たすほど安定的で強固な事業基盤を持っている」ことの両方を証明しなければ、家族を呼び寄せることは難しくなっています。
婚姻関係については同居するかも見られる
日本の入国管理局は、家族滞在ビザの審査において「婚姻関係」を判断する際に「同居」していることを重視します。
同居していない場合、すべてのケースでビザが不許可になるわけではありませんが、その理由について納得のいく説明を求められることがあります。
例えば、子供の転校が難しいために、一方が単身赴任をしている場合や大学進学などで子供が一人暮らしを始めた場合などが想定されるでしょう。
2-3.家族関係を証明できる
家族滞在ビザの申請には、扶養者と申請者との家族関係を証明する書類が必要です。これには、日本の戸籍謄本に相当する書類や婚姻証明書、出生証明書などの公的書類が含まれます。
これらの書類は本国で準備し、提出しなければなりません。また、これらの証明書が外国語で作成されている場合には、日本語訳を付けることが必要です。
3.家族滞在ビザを申請するときの注意事項
家族滞在ビザの申請には、さまざまな注意事項があります。子どもの年齢や家族を呼ぶタイミング、共働きによる生活費の工面が問題となることが多いです。以下で、具体的な注意点を解説します。
3-1.子どもは年齢によっては許可が下りづらくなる
家族滞在ビザを申請する際は、子どもの年齢に注意が必要です。18歳以上の場合、ビザが許可されにくくなります。これは、入国管理局が「親に扶養される」よりも「日本で働く」意図があるのではないかと疑うためです。
そのため、なぜ家族滞在で日本に呼び寄せるのか、明確かつ合理的に説明する必要があります。たとえ18歳未満であっても、日本に呼ぶ正当な理由や今後の教育計画を示すことが求められます。
また、子どもが大学や専門学校に進学する際に留学ビザへと切り替えた場合、卒業後に就職が決まらなければ家族滞在ビザに戻ることはできなくなるため注意が必要です。
3-2.家族内で呼ぶ時期に差がある場合は合理的な理由が必要
家族滞在ビザを申請する際、経営管理ビザを持つ経営者が先に日本に来て、後から配偶者や子どもを呼ぶことも可能ですが、家族を順次呼ぶ場合には合理的な理由が必要です。
夫婦だけが最初に来て、数年後に子どもを呼ぶ場合、入国管理局は「なぜ子どもは今まで母国で別の人に養育されていたのか」や「なぜ今になって日本で養育する必要があるのか」と疑問を持つことがあります。
そのため、どのような事情があって子どもを呼ぶのかについて、具体的に説明できるよう準備しておくことが重要です。例えば、「経営者が日本での生活基盤を整えたうえで、教育環境が整ったこと」を理由にするなど入国管理局が納得できる理由を説明することが求められます。
3-3.家族との共働きで生活費を工面する前提では許可されない
家族滞在ビザは、外国人経営者が扶養を受ける家族のための在留資格であり、申請時には経営者本人が単独で家族を扶養できなければなりません。
例えば、開業当初の収入だけでは生活費が不足し、配偶者や子どもにアルバイトをさせることで生計を立てたいと考える場合、これはビザの要件を満たさず不許可となる可能性が高くなります。
家族滞在ビザは、扶養者が日本での生活費を全うすることが前提のため、共働きで生活費を賄うことは認められていません。
さらに、家族滞在ビザを持つ外国人が就労を希望する場合は、必ず「資格外活動許可」を取得する必要があります。この許可を得ることで、アルバイトなどが可能となりますが、働く時間は週28時間までと制限されています。また、風俗関係の仕事に就くことはできません。
包括許可
家族滞在ビザを持つ方が就労を希望する場合、勤務時間は週28時間以内であり、「活動内容が風俗営業でないこと」が条件とされます。この条件を満たすと、勤務先や業務内容を指定しない「包括許可」が与えられます。
包括許可を得るためには、申請者が現に持つ在留資格の活動に影響を及ぼさないことが重要です。また、申請に係る活動が法令に違反しないことや、素行が良好であることも求められます。
これにより、家族滞在ビザを持つ外国人でも、合法的に働けます。ただし、風俗営業に関わる活動は許可されません。
参考:出入国在留管理庁|「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について
個別許可
包括許可の条件を満たさない場合、特定の勤務先や業務内容に対して個別に就労を許可する「個別許可」が与えられます。この許可を得るためには、以下の要件を満たす必要があります。
まず、資格外活動許可の要件に適合していることが求められます。さらに、従事する活動の期間が、在留資格に基づく在留期間の過半を超えないことが重要です。活動内容が在留目的の実質的な変更と判断される場合は、在留資格変更の手続きが必要となります。
申請に際しては、活動内容や活動時間、報酬についての文書を提出する必要があります。扶養の要件を外れないよう、注意を払うことも重要です。
参考:出入国在留管理庁|「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について
4.まとめ
本記事では、経営管理ビザ所持者が家族を日本に呼び寄せる際の家族滞在ビザについて、その概要や要件、申請時の注意点を解説しました。内容をまとめると、以下のとおりです。
| ✓ 【最重要】2025年10月以降、扶養者である経営者の事業が新基準(資本金3,000万円等)を満たしていることが、家族を呼び寄せる大前提となった。
✓経営管理ビザを取得しても、家族は別途「家族滞在ビザ」を取得する必要がある。 ✓家族滞在ビザの取得には、扶養者による経済的扶養と家族関係の証明が必須である。 ✓子供の年齢が18歳以上の場合、扶養の必要性を具体的に説明しなければ許可が下りづらくなる。 ✓家族滞在ビザでは、就労は原則不可だが、「資格外活動許可」を取得すれば週28時間以内で就労が可能。 |
家族滞在ビザは、経営管理ビザを取得した外国人にとって、家族と日本で共に暮らすための重要なビザです。家族滞在ビザの申請には、扶養要件や家族関係の証明など、クリアすべき要件がいくつかあります。事前にしっかりと準備を行い、スムーズに家族を日本に呼び寄せられるようにしましょう。
家族滞在ビザに関する手続きや要件について不安な場合は、専門家である行政書士に相談することも検討してみましょう。
この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)
相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に移住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。
【主なサポート実績】
年間100件以上の会社設立、不動産・法人登記をサポート。
アメリカ、中国、韓国など、20カ国以上の外国人の不動産取引、起業を支援。
IT、飲食、貿易、コンサルティングなど、多岐にわたる業種の設立実績。
司法書士・行政書士として、会社設立の登記手続きから経営管理ビザの取得、その後の役員変更や増資まで、ワンストップでサポートできるのが強みです。まずはお気軽にご相談ください。



