2025/5/29 2025/10/24

外国人ビザ

【2025年改正】経営管理ビザの人数ガイド|従業員は必須?共同経営は何人まで?

「経営管理ビザの取得に、従業員の雇用は必須なの?」 「共同経営者も、全員ビザを取得できる?」

日本での起業を目指す外国人経営者にとって、「人数」に関する要件は大きな関心事です。かつては「500万円以上の出資があれば従業員は不要」でしたが、2025年10月16日の法改正により、そのルールは大きく変わりりました。

この記事のポイントは以下のとおりです。

2025年10月16日の法改正で、経営管理ビザの取得要件が大幅に厳格化された。

【最重要】資本金3,000万円以上に加え、「常勤職員1名以上の雇用」が新たに義務化された。

飲食店など店舗型事業では、この1名に加えて、さらに現場スタッフの雇用が必要となる。

 1社で複数人の経営管理ビザ取得は、各経営者が個人要件(経営経験3年以上など)を満たした上で、事業規模の合理性を示せば可能だが、ハードルは非常に高い。 

 不許可理由として、これらの新しい厳しい要件を満たしていないことが増えてくることが想定される。

1.経営管理ビザ保持者は現在何人?【最新統計】

2024年6月末時点で、日本における経営管理ビザの保持者は合計39,616人です。アジア圏出身者の保持者が37,005人(全体の93.4%)を占め、うち中国出身者が20,551人(同51.9%)となっています。過去10年間の6月における経営管理ビザ保持者の人数推移は、以下のとおりです。

2015年以降、経営管理ビザの保持者数が増加した背景には、入管法の改正が大きく影響しています。改正前は「投資・経営ビザ」と呼ばれ、外国人が日本に居住していない状態で法人登記や銀行口座開設を行うことが困難でした。

しかし、2015年4月の法改正により、「経営・管理」の在留資格において、法人設立や事業所確保などの準備が整っていない申請者に対し、まず4ヶ月の在留期間が認められるようになりました。定款や資本金の証明があれば入国後にこれらの手続きが可能になったため、以前よりもビザ取得のハードルが下がり、取得者数の増加につながったと考えられます。

パンデミックによる一時的な減少を経て、現在は回復基調にあり、外国人起業家への支援拡充や要件の緩和といった政策も検討が進められており、ビザ取得の環境は整いつつあります。ただし、不正申請や形式的な取得が課題とされ、審査基準の見直しが求められているのも実情です。

参考:出入国在留管理庁|在留外国人統計(旧登録外国人統計) 在留外国人統計

2.経営管理ビザの取得に、常勤職員1名以上の雇用と日本語能力が必須

2025年10月16日の法改正により、経営管理ビザを取得するためには、事業規模(資本金3,000万円以上)を満たすことに加え、新たに「常勤職員の雇用」と「一定の日本語能力」という2つの人的要件が義務付けられました。もはや経営者一人で、日本語能力を問われずにビザを取得することはできなくなりました。

2-1. 必須要件①:常勤職員1名以上の雇用

旧制度では、「資本金500万円以上」または「常勤職員2名以上」のどちらかを満たせばよかったため、多くのケースで従業員を雇用せずにビザを取得することが可能でした。

しかし、新制度ではこの選択制が廃止され、「資本金3,000万円以上」という条件に加え、「常勤職員を1名以上雇用すること」が必須となったのです 。

「常勤職員」の定義に注意

この雇用義務の対象となる「常勤職員」は、以下のいずれかに該当する人に限られます 。

  • 日本人
  • 特別永住者
  • 「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」

注意:「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで働く外国人は、この1名の頭数には含まれません 。

2-2. 必須要件②:一定の日本語能力

日本国内で円滑に事業を運営するための能力を示すため、申請者本人または雇用する常勤職員いずれかが、相当程度の日本語能力を持つことが新たに義務付けられました 。

「相当程度の日本語能力」の具体的な基準

これは、国際的な基準で「B2相当以上」と定義されており、具体的には以下のいずれかに該当することを証明する必要があります 。

  • 日本語能力試験(JLPT)でN2以上の認定を受けていること
  • BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得していること
  • 中⾧期在留者として20年以上日本に在留していること
  • 日本の大学等高等教育機関を卒業していること
  • 日本の義務教育を修了し高等学校を卒業していること

誰が要件を満たすか

この日本語能力の要件は、申請者自身が満たす必要はなく、雇用する常勤職員が満たしていても構いません 。 重要な点として、この日本語能力要件を満たすための「常勤職員」には、要件①の雇用義務とは異なり、「技術・人文知識・国際業務」などの他の就労ビザで働く外国人も含まれます

したがって、IT企業や貿易業など、以前は経営者1人でも可能だった業種であっても、新制度では必ず1名以上の常勤職員を雇用し、さらに申請者または職員の誰かが一定以上の日本語能力を持っていることを証明しなければ、ビザを取得することはできなくなりました。

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3.1社で経営管理ビザは何人まで取得できる?【共同経営者の人数】

経営管理ビザは、法令上は人数上限の規定はありませんが、実務上は『1社1名』が標準的な審査イメージです。ただし、事業規模や業務内容によっては複数名の申請が認められるケースもあり、複数名の場合は合理性を詳細に立証する必要があります。

ここでは、複数名での申請要件や実際に認められた事例について解説します。

3-1.1社で複数名が経営管理ビザを申請する際の要件

経営管理ビザは原則として、企業や事業所の代表者である経営者や支店長などが取得するものであり、通常は1社につき1名とされています。ただし、事業規模が大きく1人では経営・管理が困難と判断される場合には、複数名でのビザ取得が認められる可能性もあります。

このようなケースで求められる主な要件は、以下のとおりです。

  • 事業の規模・業務量などから、複数名の経営・管理者が必要である「合理的な理由」があること
  • 各人の業務内容が明確に区分されていること
  • それぞれに対して報酬が適切に支払われていること

法改正により、複数名が経営管理ビザを取得するためのハードルはさらに高くなりました。事業規模の合理性などを示すことに加え、申請する経営者一人ひとりが、以下の厳しい個人要件をクリアしていることが大前提となります。

  • 3年以上の事業の経営・管理経験、または関連分野の修士以上の学位
  • (申請者または他の職員が)日本語能力試験N2相当以上の日本語能力

つまり、共同経営者全員が十分な経営経験を持ち、その上で事業規模が複数名の経営者を必要とするほど大きいことを、客観的なデータで証明しなければなりません。さらに、それぞれの申請者が、自身の担当領域において経営判断や業務執行などの役割を実際に担っていることが求められます。

こうした要件をすべて満たさない限り複数人での取得は難しいため、申請を進める際は行政書士などの専門家と相談し、要件を慎重に確認しましょう。

3-2.1社で複数名の経営管理ビザ申請が認められた事例

ここでは、出入国在留管理庁の「許可・不許可事例」から、経営管理ビザ申請が認められた事例を紹介します。

【重要】 以下で紹介するのは、出入国在留管理庁が2025年10月の法改正前に公表した事例です。複数経営者の必要性に関する基本的な考え方は参考になりますが、これらの事例の申請者たちが、現在の新しい個人要件(経営経験3年以上など)を満たしていたとは限りません。 新制度下で複数名のビザを申請する場合は、これらの事例よりもさらに厳しい審査が行われると考えるべきです。

【ケース1】

外国籍のAおよびBが、それぞれ500万円を出資し、輸入雑貨を取り扱う日本法人(資本金1,000万円、以下「X社」)を設立した。Aは海外との輸出入業務や通関手続に精通しており、Bは輸入商品の品質管理・在庫管理および会計業務に強みを持つ。Aは主に国際取引業務を、Bは商品管理および経理を担当し、X社の経営方針については両者が合議によって意思決定する体制をとっている。報酬は、出資割合に応じて事業収益から分配される仕組みにしている。

【ケース2】

外国籍のCおよびDが、それぞれ600万円と800万円を出資し、国内で運送サービスを営む資本金1,400万円のY社を設立した。Y社では、担当地域をあらかじめ設定し、それぞれが自らの地域の事業運営を担っている。会社全体の経営方針は、CとDが話し合って決定する形をとっており、報酬は出資額に応じて事業収益から配分される取り決めである。

【ケース3】

外国籍のEおよびFは、国家戦略特別区域における外国人創業活動促進事業を活用して日本での起業に取り組んでいる。両者はそれぞれ800万円および200万円を出資し、デジタルマーケティング分野に特化した、専門的な教育・トレーニング事業を行う資本金1,000万円のZ社の設立を計画している。Eは過去の起業経験や人材育成の実績を活かしてCEO兼ヘッドトレーナーを務め、Fはマーケティング業界での長年の経験を活かして、チーフ・マーケティング・オフィサーとして事業を共同運営する方針である。

参考:出入国在留管理庁「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」

4.【新制度】経営管理ビザ取得に「何人」の雇用が必要か?

法改正により、「雇用が不要なケース」は原則としてなくなりました。問題は、「最低何人の雇用が必要か」です。

4-1.最低1名は必須(全ての業種共通)

前述の通り、業種を問わず、全ての経営管理ビザ申請において、常勤職員1名以上の雇用が義務付けられました。 これは、新制度における最低ラインです。

4-2.「最低1名+現場スタッフ」が必要なケース

飲食店、美容室、マッサージ店、小売店など、現場でのオペレーションが事業運営に不可欠な業種では、上記の最低1名の常勤職員に加えて、さらに現場を運営するためのスタッフの雇用が求められます。
なぜなら、経営管理ビザを持つ経営者は、あくまで「経営・管理」に専念することが求められており、調理や接客といった現場労働を主に行うことは想定されていないからです。事業計画書に記載した店舗の規模や席数、営業時間などに見合った人数のスタッフ(アルバイト等も含む)が確保されていなければ、事業の実現可能性が低いと判断され、不許可となる可能性が高くなります。

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5.その他の経営管理ビザの許可要件

2025年10月16日の法改正により、経営管理ビザの上陸許可基準(ビザが許可されるための最低条件)は、厳格なものへと変わりました。特に「人数」に関する要件が大きく変更されています。新しい基準では、主に以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

5-1. 事業規模(資本金3,000万円以上 かつ 常勤職員1名以上)

事業の規模に関する基準が、最も大きく変更されました。旧制度の「500万円の出資または常勤職員2名の雇用」という選択制は廃止され、以下の両方を満たすことが必須となりました。

  • 3,000万円以上の資本金または出資総額があること
  • 1人以上の常勤職員を雇用していること

この「常勤職員」は、日本人、特別永住者、または「永住者」や「日本人の配偶者等」といった就労に制限のない在留資格を持つ外国人に限られます 。つまり、事業の規模を示すために、最低でも経営者以外に1名の雇用が義務付けられたことになります。

5-2. 独立した事業所の確保

事業を行うための物理的な拠点を確保することが必要です 。この要件も厳格化され、原則として自宅と事業所を兼ねることは認められなくなりました 。事業活動に専念できる、明確に区画された独立した空間を確保する必要があります。

5-3. 専門家が認めた事業計画

事業の安定性・継続性を示す事業計画書は、中小企業診断士、公認会計士、税理士といった経営の専門家による確認を受けることが新たに義務付けられました 。専門家という第三者から見て「実現可能である」と認められる客観性の高い計画が求められます。

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6.経営管理ビザの申請・更新が不許可となる理由

経営管理ビザの取得や更新では、形式的な要件だけでなく、申請内容の実質が厳しく審査されます。立証資料の不備や、事業の継続性・収益性への疑念、申請者自身の適性や素行などが理由で不許可となるケースが多く見られます。

以下で、代表的な不許可事例とその背景を具体的に見ていきましょう。

6-1.申請者の立証が不十分である

経営管理ビザの申請が不許可となる大きな要因の一つは、立証資料の不備です。出入国在留管理庁が定める提出書類をそろえただけでは足りず、申請者自身が、要件を満たしていることについて証明しなければなりません。

資本金の出所を預金通帳などで明確に示せない、事業計画の内容から事業継続の見通しが立たない、事務所の実在を賃貸借契約書や写真で十分に示せない場合、経営管理ビザの取得は難しくなります。加えて、提出書類に不備がある、または内容に矛盾や虚偽の疑いがある場合も不許可となる可能性があります。

これらの立証責任は、すべて申請者がしなければなりません。求められた書類だけでなく、事業の実態や正当性を裏付ける「客観的資料」を主体的に用意し、明確に説明することが重要です。

6-2.事業計画が不十分・安定性や継続性が認められない

経営管理ビザの審査では、事業の安定性と継続性が重要な判断基準です。なかでも事業計画書は評価の中核を担い、内容が不十分な場合は不許可となるリスクが高まります。

売上や資金計画に説得力がなく、根拠が不明確な場合は、事業の実現性に疑問符がつきます。そのため、ビジネスモデルの実態や収益性、費用構造、市場での競争力は明確に示さなければなりません。

申請者は、売上予測・市場調査・競合分析・損益計画などを具体的かつ現実的に構成し、審査官にとって理解しやすい計画書を作成する必要があります。

6-3.経営者としての適性不足・素行不良と判断された

経営管理ビザの審査では、申請者の経営者としての適性や素行が重要な判断基準です。主な不許可要因は、過去の刑事処分歴や納税義務違反に社会保険の未加入、資格外活動での労働時間超過、虚偽の申請歴などです。これらに該当した場合には「素行不良」と見なされ、審査で不利になります。

経営経験や業種に関する知識が不足している場合や、経営・管理業務に実質的に関与していないと判断された場合も、不許可となる可能性が高まるでしょう。さらに、店舗の営業許可や税務署への届出など、必要な行政手続きが行われていない場合には事業の信頼性に疑問を持たれる原因となります。

このようなリスクを回避するには、同業種での職歴や取得資格を活用し、経営者としての適性を明確に示すことが求められます。必要に応じて、経験豊富なスタッフを採用するのも有効でしょう。信頼性と適性の両面から準備することが重要です。

6-4.法改正後の「経過措置」を正しく理解していない

2025年10月16日の法改正は、主に新規取得者向けの厳しいものですが、既に経営管理ビザで在留している既存の経営者にも大きく関係します。この変更を緩和するために3年間の「経過措置」が設けられていますが、この内容を誤解していると、将来の更新が不許可となる可能性があります。

経過措置期間中(〜2028年10月16日まで)の不許可リスク

この期間中は、新しい基準(資本金3,000万円など)を満たしていなくても、直ちに不許可とはなりません。しかし、審査では現在の経営状況に加え、「将来的に新しい基準を満たす見込みがあるか」が総合的に考慮されます。

したがって、単に事業を継続しているだけでは不十分です。新基準への適合に向けた具体的な改善計画や事業の将来性を更新申請時に示すことができなければ、「見込みなし」と判断され、不許可となるリスクがあります。

経過措置終了後(2028年10月17日以降)の不許可リスク

この日以降の更新申請では、原則として新しい許可基準に適合していることが求められます。この基準を満たしていないことは、それ自体が不許可の直接的な理由となります。

例外的に、経営状況が良好で納税も適切に行い、次回の更新時までに新基準を満たす見込みがあれば許可される可能性も示されていますが、これはあくまで例外措置です。この3年間の経過措置期間中に何の準備もせず、新基準への適合を怠った場合、更新が不許可となる可能性は極めて高いと言えるでしょう。

7.まとめ

 

本記事では、経営管理ビザの人数について解説しました。内容をまとめると、以下のとおりです。

2025年10月16日の法改正で、経営管理ビザの取得要件が大幅に厳格化された。

【最重要】資本金3,000万円以上に加え、「常勤職員1名以上の雇用」が新たに義務化された。

飲食店など店舗型事業では、この1名に加えて、さらに現場スタッフの雇用が必要となる。

 1社で複数人の経営管理ビザ取得は、各経営者が個人要件(経営経験3年以上など)を満たした上で、事業規模の合理性を示せば可能だが、ハードルは非常に高い。 

 不許可理由として、これらの新しい厳しい要件を満たしていないことが増えてくることが想定される。

経営管理ビザの取得にあたっては、常勤職員1名以上の雇用と資本金3,000万円以上が必要となりました。また、1つの会社で複数の人が経営管理ビザを取得する場合には、それぞれの役割や業務に応じた必要性の明確化とそれぞれの経営者の3年以上の経営経験または学位が求められます。

経営管理ビザの申請にあたっては、要件の把握と必要書類の準備が不可欠です。事業所の確保や資金・人材に関する条件を満たし、区分ごとの必要書類を整えることが求められます。日本での事業開始をスムーズに進めるためにも、各手続きを計画的に進めましょう。ビザ申請の手続きが難しいと感じた場合には、専門家である行政書士に相談することをおすすめします。

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この記事の監修

斎藤 竜(さいとうりょう)

司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士

斎藤 竜(さいとうりょう)

相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に移住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。

【主なサポート実績】
年間100件以上の会社設立、不動産・法人登記をサポート。
アメリカ、中国、韓国など、20カ国以上の外国人の不動産取引、起業を支援。
IT、飲食、貿易、コンサルティングなど、多岐にわたる業種の設立実績。

司法書士・行政書士として、会社設立の登記手続きから経営管理ビザの取得、その後の役員変更や増資まで、ワンストップでサポートできるのが強みです。まずはお気軽にご相談ください。

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