2023/7/6 2024/4/22

外国人の法人登記

外国会社の登記手続きまとめ!外国法人との違いも紹介

外国会社も日本で事業活動をおこなうときは、登記をしなくてはいけませ

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

✓ 外国会社とは、日本の法律ではなく、外国の法律法令に準拠して設立された外国の会社、会社と同種のもの又は会社に類似するものを指し、外国の資本により日本の法律で日本国内に設立された会社は内国法人に該当する

✓ 外国会社も日本国内で事業活動をするときは外国会社の登記が必要

✓ 日本国内に営業所があるときは、営業所の所在地で外国会社の登記をおこなう

✓ 日本国内に営業所がないときは、日本の代表者の住所がある場所で外国会社の登記をおこなう

✓ 登録免許税の税額は、日本の法人とは計算方法が異なる

本記事では、外国会社が日本で事業活動をするときに知っておきたいことをまとめました。外国会社の定義から登記手続きなどについて紹介します。

登記の必要性や手続きの流れを知っておくことで、スムーズな事業活動が可能になります。ぜひご覧ください。

1.外国会社とは?

外国会社とは、日本の法律ではなく、外国の法律に準拠して設立された外国の会社、会社と同種のもの又は会社に類似するものをいいます。外国会社が日本の法律で日本国内で会社を設立することなく、外国会社のままで日本で事業活動を始めるときは、日本の活動における代表者を定めなくてはいけません。また、その代表者のうち1人以上は日本国内に住所が必要です。

後述しますが、事業活動を始める前に外国会社の登記も必要です。外国会社の登記は日本の活動における代表者を決定したときから3週間以内とされていますが、外国で選任されたときは、日本の代表者が自分自身が選任されたことを知った日から3週間以内となります。

1-1.外国法人との違い

外国法人とは、外国法に基づいて設立された法人のことです。外国法人には上記で説明した外国の会社のみならず、外国の公益法人、宗教法人、財団法人、行政区画(州)など会社だけではなく法人全般を幅広く指し、日本国内で設立された法人に該当しない法人は、外国法人に該当します。

1-2.内国法人との違い

内国法人とは、会社法等の日本の法律に準拠して設立された一般的な国内の法人のことを指します。外国法人の日本国内における現地子会社として新規に会社設立するときは、日本の法律に準拠して設立された内国法人となりますが、外国法人の支店として日本国内に拠点を設ける場合は外国法人として扱います。

なお、外国会社は日本国内で事業活動を始めるときに、日本国内に住所がある代表者を1人以上定めなくてはいけませんが、内国会社は同様の決まりはありません。代表者全員が日本に住所を有しない場合でも、法人登記をおこなえば、日本国内での事業活動が可能です。

1-3.外資系企業との違い

外資系企業とは、海外企業が日本市場へ進出し、ビジネスを展開する形態を指します。外資系企業の形態は大きく二つあり、一つは既存の日本企業に対する投資によりその株式を取得する方法、もう一つは新たに子会社を設立する方法です。

法律上、これらの企業は外国法人ではなく、日本の法律に基づいて設立された内国法人として扱われます。しかし、資金面では日本国内の投資家ではなく、外国の投資家や法人からの投資(外国資本)を受けて運営されているため、「外資系企業」と呼ばれます。

外国法人」とは外国の法律に基づいて設立された企業を、「内国法人」とは日本の法律に基づいて設立された企業を指します。これらはその法人の準拠する法律による分類であり、「外資系企業」はその資本提供者が誰なのかという分類という違いがあります。

外資系企業の中には、親会社である外国法人が大きな影響力を持つものもあります。このため、企業の文化、例えば社風や評価制度においても、親会社の影響が色濃く反映されることが多いのです。

2.会社法で外国会社の登記義務が定められている

会社法では、外国会社が日本国内で事業活動するときは外国会社の登記をしなくてはいけないと定められています。そのため、外国会社が日本に拠点を設けても、外国会社の登記をするまでは日本国内では活動できません。

なお、外国会社の登記は法務局でおこないます。日本国内に営業所があるかどうかによって、申請する法務局が変わる点に注意しましょう。

2-1.日本国内に営業所がある場合

日本国内に営業所があるときは、営業所を管轄する法務局で登記手続きをおこないます。なお、法人登記の申請手続きは、オンラインでも可能です。日本における同種の会社、あるいは類似する会社の方法にしたがって、登記手続きを進めていきましょう。

2-2.日本国内に営業所がない場合

日本国内に営業所がない場合は、日本における代表者の所在地で登記手続きをおこないます。代表者が法人のときは、法人の事業所の所在地で登記手続きをおこないましょう。

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3.外国会社の登記手続き

外国会社が日本で活動するときは、適切な時期に法人登記をおこなうことが必要です。登記手続きの内容や必要書類、申請期限、手数料について説明します。

3-1.登記事項

外国会社が日本で法人登記をおこなうときは、以下の内容を登記します。

  • 外国会社を設立したときの準拠法(外国の法律)
  • 日本国内での事業活動の代表者(個人・法人のいずれも可)の氏名・住所
  • 日本の株式会社と類似する形態の会社の場合は、準拠法による公告方法
  • 日本の株式会社と類似する形態の会社であり、貸借対照表をオンライン開示するときは、貸借対照表を閲覧できるWebページのアドレス
  • 公告方法についての規定。規定がないときは官報で公告する旨を記載
  • 公告方法を電子公告とするときは、公告内容が閲覧できるWebページのアドレス

3-2.申請人

外国会社の登記手続きは、日本における代表者が申請人となります。海外における代表者は、日本に在住している場合でも申請人にはなれません。

3-3.必要書類

法人登記申請書を提出します。オンラインで申請する場合を除き、申請人もしくは申請人の代理人の記名・押印が必要です。

鑑がない場合には、サインでも代替できます。ただし、サインで法人登記申請書を作成するときは、サインが本人のものであることを示す本国官憲による証明書(サイン証明書)も添えて提出します。

また、法人登記申請書には、以下の書類もあわせて提出しなくてはいけません。

  • 外国会社の本店の存在を示す書類
  • 日本国内の代表者の資格を示す書類
  • 外国会社の定款に相当する書類(外国会社の事業内容や性質を示す書類)
  • 公告方法についての規定を示す書類(規定がないときは不要)
  • 代理人が法人登記申請をするときは、代理人の権限を示す書類

上記の書類はいずれも外国会社の本国における管轄官庁の認証、もしくは日本領事などの権限のある官憲によって認証を受けている必要があります。また、外国語で作成された書面を添付する場合、原則として、その全てについて日本語の訳文も併せて添付する必要があります。

なお、日本における営業所又は日本における代表者の登記申請に際して、外国会社の株主総会議事録や取締役会議事録(外国会社の本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲の認証を受けたもの)を添付する場合、日本における営業所又は日本における代表者の登記とは関連する部分のみ翻訳をし、関連しない内容については、翻訳を省略できます。

3-4.申請期限

外国会社の法人登記は、日本国内の事業活動の拠点を定めてから、もしくは日本国内の代表者を定めてから3週間以内におこないます。

ただし、日本国内の代表者が自分自身が代表者であることを認識していない場合は、代表者であることを知った時点から3週間以内に法人登記をおこなえば問題ありません。

3-5.手数料(登録免許税額)

外国会社の法人登記手数料(登録免許税額)は、事業所の形態によって異なります。

事業所の形態・状況 登録免許税額
外国会社が初めて日本国内に営業所を設置するとき 1箇所につき90,000円
外国会社が日本国内に支店を設置するとき 1箇所につき60,000円

日本国内の代表者の氏名や住所、事業内容などが変わるときは、登記内容も変更しなくてはいけません。その際には、変更登記の手続きも必要です。変更登記の際にも、登録免許税の納付が求められる点に注意しましょう。

参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

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4.まとめ

本記事では、外国会社が日本国内で事業活動をするときに知っておきたい事柄について解説しました。

内容をまとめると、以下のとおりです。

✓ 外国会社とは、日本の法律ではなく、外国の法律法令に準拠して設立された外国の会社、会社と同種のもの又は会社に類似するものを指し、外国の資本により日本の法律で日本国内に設立された会社は内国法人に該当する

✓ 外国会社も日本国内で事業活動をするときは外国会社の登記が必要

✓ 日本国内に営業所があるときは、営業所の所在地で外国会社の登記をおこなう

✓ 日本国内に営業所がないときは、日本の代表者の住所がある場所で外国会社の登記をおこなう

✓ 登録免許税の税額は、日本の法人とは計算方法が異なる

外国会社も、日本国内で事業活動をするときは、外国会社の登記が必要です。また、日本国内に営業所がない場合でも、適切な時期に登記手続きをおこなわなくてはいけません。

登記手続きが難しいときは、信頼できる人物や代行業者を選び、手続きを代行してもらいましょう。時期を逃すと登記が難しくなるばかりか、日本での活動を制限されることがあります。

この記事の監修

斎藤 竜(さいとうりょう)

司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士

斎藤 竜(さいとうりょう)

相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に居住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。

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