2024/10/2 2025/10/23

外国人ビザ

経営管理ビザを取得できる事務所要件とは?外国人の賃貸借契約の注意点を解説

経営管理ビザを取得するには、事業を行うための事務所の存在が欠かせません。事務所は、単なるスペースではなく、事業内容に見合った広さや設備、そして独立性が求められます。

審査では、賃貸借契約書の内容や事務所の状況などを細かくチェックされます。自宅兼事務所やレンタルオフィスは許可を得るための条件があるため注意しなければなりません。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

✓ 経営管理ビザ取得には、事業の実態を示すための厳格な事務所要件を満たさなければならない。

【最重要】2025年10月16日の法改正により、自宅と事務所を兼用することは原則として認められなくなった。

✓ 事務所の賃貸借契約は法人名義で行い、使用目的が「事業用」であることを確認する必要がある。

✓ 事務所は壁などで区切られた独立した空間で、事業に必要な設備が整っていなければならない。

✓ レンタルオフィスは個室タイプのみが対象となり、バーチャルオフィスは認められない。

本記事では、事務所として認められるための要件や、業種や形態別の注意点について詳しく解説します。

1.経営管理ビザ取得のための事務所要件とは

経営管理ビザを取得するには、事業を営むための「事務所要件」を満たす必要があります。事業をすでに日本で開始している場合は、国内に事業所が存在していなければなりません。

一方、事業開始前の場合は、日本で事業を行うための事務所として利用する施設を確保しておく必要があります。

事務所は、独立したものでなければなりません仕切りがないレンタルオフィスやバーチャルオフィスは認められません。また、自宅兼事務所は条件を満たす必要があるため注意が必要です。

【2025年10月16日施行】経営管理ビザの新制度と事務所要件の厳格化

2025年10月16日、経営管理ビザの取得要件は、厳格化されました。資本金が3,000万円以上に引き上げられ、常勤職員1名以上の雇用が義務付けられるなど、事業に相当な規模が求められるようになりました。

これに伴い、事務所の要件も厳格化されています。特に大きな変更点として、出入国在留管理庁は「自宅を事業所と兼ねることは、原則として認められません」と公式に発表しました 。これは、事業活動と私生活の明確な分離を求め、事業の実在性をより厳しく審査するという方針の表れです。今後、事務所を準備する際は、この新しい基準を前提に進める必要があります。

2.経営管理ビザに必要な事務所の条件

経営管理ビザの申請には、適切な事務所を確保することが重要です。事務所の賃貸契約書や事務所の写真、インターネット回線、光熱費の契約書など、必要書類をそろえて提出することが求められます。

特に賃貸契約書の内容は審査で細かくチェックされるため、事務所が事業用であることや、独立したスペースとして適切に管理されていることを証明する書類が必要です。

また、事務所の場所や賃貸形態によっては、追加書類を求められることもあります。そのため、物件選びや契約の際には、ビザの要件を満たすかどうかを事前に確認し、必要な書類を準備しなければなりません。

2-1.法人名義であること

事務所の賃貸借契約は、法人名義で行わなければなりません。

法人設立前に事務所を契約する場合、まずは代表者の個人名義で契約し、設立後に法人名義に変更する手続きをとります。

そのため、契約時に不動産会社に対し法人名義への変更があることを事前に伝えておくことが必要です。

2-2.事業用であること

事務所の賃貸借契約書の使用目的欄に、「事業用」と記載されていることを確認しましょう。

契約書の使用目的欄に「居住用」と記載されていた場合、事務所として認められない可能性が高くなります。

万が一、契約書に「居住用」と記載されている場合には、「事業用」としての使用を認める旨の特約を結ぶなどの対策が必要です。

2-3.会社としての実態を伴った事務所であること

経営管理ビザの取得には、事務所が事業用としての実態を備えていることが重要です。

事務所としての条件を満たすには、基本的な設備が備わっていなければなりません。具体的には、事務机や電話、FAX、パソコンなどが設置され、事業活動が行える状態を指します。

さらに、事務所としての外観も整っている必要があります。会社名の看板や表札、郵便受けもあったほうが望ましいでしょう。

2-4.独立した事務所であること

事務所は独立したスペースでなければなりません。そのため、壁やドアなどで明確に他のスペースと区分けされた仕切りが必要です。

共同事務所は原則として認められませんが、建物の構造によっては例外もあります。完全に個室として区切られている場合、許可される可能性があるでしょう。

望まれるのは、明確な仕切りがあり、プライバシーが確保された個室型のオフィスです。これらの条件を満たすことで、ビザ取得の可能性が高まります。

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3.事務所の形態による経営管理ビザの取得の可否

経営管理ビザを取得するには、日本国内に事業所を確保することが必須条件です。経営管理ビザ取得における事務所として認められるには、一定の条件を満たす必要があります。

経営管理ビザの事務所として認められるかどうかは、その形態によって判断が大きく異なります。特に2025年の法改正で、その基準は大きく変わりました。

3-1.レンタルオフィス

レンタルオフィスを事務所として利用することは可能ですが、どのような契約形態でも良いわけではありません。

認められるケース

壁やドアで完全に区切られた個室タイプの区画を契約している場合。この場合、事業の独立性が保たれていると判断されやすいです。

認められないケース

特定の机が割り当てられていないフリーデスクプランや、低いパーテーションで区切られているだけのコワーキングスペースでは、事業の独立性が確保されているとは見なされず、事務所としては認められません。

3-2.自宅兼事務所(自宅での経営)【原則不可】

2025年10月の法改正により、自宅の一部を事務所として経営管理ビザを申請することは、原則として認められなくなりました 。これは、改正後の経営管理ビザが求める事業規模(資本金3,000万円、常勤職員雇用など)に対して、自宅兼事務所では事業の実態や独立性を証明することが困難である、という考え方に基づいています。

マンション

以前から非常に困難でしたが、新制度では事実上不可能になったと考えてください。住居と事務所の空間が密接しており、明確な分離ができないためです。

一軒家

以前は「1階が事務所で玄関が別」などの条件下で認められる余地がありましたが、新制度ではこれも極めて困難です。例外的に認められるケースがあったとしても、事業活動が私生活から完全に独立していることを、客観的に誰もが納得できる形で証明する必要があり、そのハードルは非常に高くなっています。

結論として、これから経営管理ビザを申請する場合、自宅とは別に、独立した事業用の物件を借りることが必須であると考えるべきです。

3-3.バーチャルオフィス【不可】

バーチャルオフィスは、住所や電話番号のレンタルサービスであり、事業活動を行うための物理的な空間が存在しません。そのため、経営管理ビザの事務所要件を満たすことはできず、認められません。 資本金3,000万円という大規模な事業を行う前提のビザにおいて、事務所がバーチャルであることは、事業の実態そのものを疑わせるため、絶対に避けるべきです。

4.経営管理ビザの事務所設置に関する事例

以下で紹介するのは、出入国在留管理庁が2025年10月の法改正前に公表した事例です。事務所の「実態」をどう判断するかという基本的な考え方は参考になりますが、特に自宅兼事務所に関する許可事例(事例1、2、3)については、新制度の下では同じように許可されるとは限りません。 前述の通り、現在は自宅兼事務所が原則として認められなくなっているため、これらの事例はあくまで過去の参考としてご覧ください。

4-1.事務所として認められた事例

事務所として認められた事例は、以下のとおりです。

【事例1】

  1. Aは、日本国内で個人経営の飲食店を開業するため、在留資格の変更許可を申請した。
  2. 申請した物件に関する賃貸契約では、使用目的が「住居」と記載されていた。
  3. しかし、貸主との間で「会社の事務所」としての使用を認める特約が結ばれていた。
  4. これにより、事業所が確保されていると認められた。

【事例2】

  1. Bは、日本で水産物の輸出入や加工販売を行うため、在留資格認定証明書の交付を申請した。
  2. 本店は役員の自宅を使用していたが、支社として商工会が所有する物件を賃貸していた。
  3. これにより、事業所が確保されていると判断された。

【事例3】

  1. Cは、日本において株式会社を設立し、販売業を営むために在留資格認定証明書の交付を申請した。
  2. 会社の事務所と居住部分は異なる入り口を持ち、事務所の入口には会社名を示す看板が設置されていた。
  3. さらに、事務所にはパソコン・電話・事務机・コピー機などの業務用機器が整備されており、事業が行われていると確認された。
  4. これらの状況から、事業所が確保されていると認められた。

4-2.事務所として認められなかった事例

事務所として認められなかった事例は、以下のとおりです。

【事例1】

  1. Dは、日本で有限会社を設立し、その事業運営に従事するために在留期間の更新許可を申請した。
  2. しかし、調査の結果、事業所がDの自宅であると判断された。
  3. 事務所の場所を示す標識や郵便受け、玄関には何も表示されていなかった。
  4. 室内には、事業運営に必要な設備や備品が一切設置されておらず、従業員の給与簿や出勤簿も存在しなかった。
  5. 室内には一般的な生活用品しか見当たらず、事業所が確保されているとは評価されなかった。

【事例2】

  1. Eは、日本で有限会社を設立し、総販売代理店の業務を行うために在留資格認定証明書を申請した。
  2. しかし、提出された資料からは事業所が居住空間であると推測された。
  3. 調査の結果、事業所は2階建てのアパートで、郵便受けや玄関には会社名を示す標識が一切なかった。
  4. また、居宅内には事務機器がなく、家具などの日常生活に必要な備品のみが存在していた。
  5. そのため、事業所が確保されていると認められなかった。

【事例3】

  1. Fは、日本で有限会社を設立し、設計業務を行うために在留資格変更の許可を申請した。
  2. しかし、提出された書類では、事業所が法人名義でも経営者名義でもなく、従業員の名義であることが明らかになった。
  3. その従業員の住居として使用されていることが確認され、光熱費もその従業員名義で支払われていた。
  4. また、当該物件を居住目的以外で使用するための貸主の同意も確認できなかった。
  5. これらの理由により、事業所が確保されているとは認められなかった。

参考:出入国在留管理庁|外国人経営者の在留資格基準の明確化について

5.経営管理ビザの申請はビジネス環境を整えてから

経営管理ビザを取得するには、実際にビジネスを始められる状態になっていることが大前提です。事務所の確保から会社設立、営業許可の取得まで、開店できる状態を整えておかなければなりません。

ただし、起業準備のために来日する場合は、「4か月の経営管理ビザ」という選択肢もあります。

注意点として、経営管理ビザ以外のビザで会社経営を行うことは、不法就労に該当します。在留期間が残っていたとしても、経営管理ビザを取得してから事業を開始するようにしましょう。

最後に、個人事業主でも経営管理ビザの申請は可能ですが、ハードルが高いため、会社設立をおすすめします。

6.まとめ

本記事では、経営管理ビザ取得における事務所要件について解説しました。内容をまとめると、以下のとおりです。

✓ 経営管理ビザ取得には、事業の実態を示すための厳格な事務所要件を満たさなければならない。

【最重要】2025年10月16日の法改正により、自宅と事務所を兼用することは原則として認められなくなった。

✓ 事務所の賃貸借契約は法人名義で行い、使用目的が「事業用」であることを確認する必要がある。

✓ 事務所は壁などで区切られた独立した空間で、事業に必要な設備が整っていなければならない。

✓ レンタルオフィスは個室タイプのみが対象となり、バーチャルオフィスは認められない。

経営管理ビザを取得するには、事務所要件を満たすことが不可欠です。独立したスペースを持ち、法人名義の賃貸借契約を結ぶことが求められます。

また、事務所は事業用として明確に区分され、基本的な設備が整っていなければなりません。特に、バーチャルオフィスや自宅兼事務所は原則として認められないため注意が必要です。

事務所形態に応じた具体的な条件や注意点を理解し、事業活動に適した物件を選定することが、ビザ取得成功の鍵となります。確実に必要書類を整え、スムーズな申請を心がけましょう。

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この記事の監修

斎藤 竜(さいとうりょう)

司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士

斎藤 竜(さいとうりょう)

相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に移住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。

【主なサポート実績】
年間100件以上の会社設立、不動産・法人登記をサポート。
アメリカ、中国、韓国など、20カ国以上の外国人の不動産取引、起業を支援。
IT、飲食、貿易、コンサルティングなど、多岐にわたる業種の設立実績。

司法書士・行政書士として、会社設立の登記手続きから経営管理ビザの取得、その後の役員変更や増資まで、ワンストップでサポートできるのが強みです。まずはお気軽にご相談ください。

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