2024/3/5
2024/3/5
外国人ビザ
配偶者ビザが不許可となる確率が高いケースとは?理由と注意点を解説

配偶者ビザは、外国人が日本人と結婚した場合に、日本に住み続けるためのビザです。就労や活動の制限がないため、取得を目指す方が多くいます。しかし、配偶者ビザ取得のためには審査を通過しなければなりません。
今回の記事のポイントは、下記のとおりです。
✓配偶者ビザが不許可になるケースは多い
✓不許可の主な原因は生計が不安定であることや離婚歴の多さ、二人の年齢差、交際期間やコミュニケーションの状況などが挙げられる ✓審査のポイントには、国際結婚の手続きが双方の国で完了していることや婚姻の信憑性、安定した生活基盤があること、申請する外国人に身元保証人がいること、在留状況に問題がないことなどが挙げられる ✓不許可となった場合も、入国管理局に理由を聞くことで再申請に役立つ |
申請する前に、不許可となる主な原因や審査のポイントを押さえておくことで、不許可の確率はさがるでしょう。配偶者ビザを取ろうと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1.不許可の確率が高い?配偶者ビザが通りにくいケース
配偶者ビザが不許可となる確率は公表されていないものの、以下のようなケースは許可が通りにくい傾向にあります。
- 世帯での生計が安定していない
- 離婚歴が多い
- 夫婦間で年齢差がある
- 交際期間が短い
- 転職回数が多く勤続期間が短い
それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
1-1.世帯での生計が安定していない
世帯で安定した生計を維持できる収入がなければ、配偶者ビザの許可を得るのは難しいでしょう。必要な収入の金額が具体的に定められている訳ではなく、扶養家族の人数や生活状況、収入のある人の雇用形態などから総合的に判断されます。具体的には、家族の人数に78万円を乗じた金額が目安とされています。例えば、2人家族の場合は156万円、3人家族の場合は234万円が必要な目安とされています。
日本人の配偶者が正社員としての雇用ではない場合や、税金の滞納・未納がある場合は、生活基盤に問題があると判断されてしまいます。
家族としての生活を支えることが可能であれば、配偶者ビザを申請する外国人が生活費を支払うための収入がなくても構いません。世帯全体での生計で判断されます。
入国管理局では、申請する外国人や日本人の職業や収入に関する証明書(例えば納税証明書)を基に審査を行います。
1-2.離婚歴が多い
配偶者ビザを申請する外国人や、その配偶者である日本人に離婚歴がある場合は、配偶者ビザの取得に不利になることがあります。たとえば、離婚回数が2回以上である、離婚から短期間で再婚しているといった場合です。
外国人が過去の結婚で配偶者ビザを取得し、再婚してビザを取得し直す場合は、日本に滞在することが目的なのではないかと疑われることがあります。日本人に外国人との離婚歴がある場合は、配偶者ビザの不正取得に荷担しているのではないかと疑われることもあるでしょう。離婚が成立する前に交際を開始していたという場合も、不許可になりやすい傾向にあります。
1-3.夫婦間で年齢差がある
夫婦の年齢差が大きい場合は偽装結婚を疑われやすく、20歳以上の年齢差になるとさらに厳しく審査されます。正当な結婚であっても、入国管理局に婚姻の真実性を客観的に立証しなければなりません。
理由書で交際の経緯を細かく記述し、現在の状況や将来の家族設計についてもしっかりと説明する必要があります。
1-4.交際期間が短い
交際期間が短い場合も、偽装結婚を疑われやすい傾向にあります。このほか、通訳を通してアプリにてコミュニケーションを行っている場合や、インターネットや結婚相談所を介して出会った場合も同様です。
国際結婚ではコミュニケーション不足によってトラブルに発展することが多いため、配偶者ビザの審査でもコミュニケーションは重視されます。結婚までの経緯を、細かく明確に立証する必要があります。
1-5.転職回数が多く勤続期間が短い
転職を繰り返し、勤続期間が短い場合には、配偶者ビザの不許可率が高まります。このような状況は、ビザの申請時に一時的に就職して、許可後にすぐに離職してしまうケースがあることが背景にあるためです。このケースでは、偽装結婚の疑いを招き、入国管理局による審査がより厳格になる原因となります。
偽装結婚でないと証明できた場合でも、頻繁な転職や短い勤続年数は、安定した結婚生活を送れないと見なされ、ビザが不許可になる可能性が高くなります。
そのため、転職を繰り返したり、勤続期間が短い方は、転職の理由や短期間での離職の背後にある事情を明確に説明することが、ビザ取得に向けて非常に重要です。
2.配偶者ビザ申請の審査において重視されるポイント
配偶者ビザを取得するためには、以下のポイントが重視されます。
- 双方の国で婚姻手続きが完了している
- 婚姻に信憑性がある
- 安定的に夫婦で生活できる収入がある
- 外国人配偶者に身元保証人がいる
- 在留状況に問題がない
必要な手続きを経ているか、婚姻や生活などの状況に問題がないことを立証できるかが、配偶者ビザの申請における重要なポイントです。
2-1.双方の国で婚姻手続きが完了している
配偶者ビザを取得するには、国際結婚の手続きが済んでおり、法律上の夫婦であることを証明する必要があります。内縁の夫婦関係であっても、正規の手続きを経て夫婦として届け出ておかなければなりません。
国際結婚の手続きは、日本と配偶者の母国の両方に対して行います。結婚の条件は国によって異なるため、事前に調べたうえで、それぞれの国に対して必要な手続きを行いましょう。
2-2.婚姻に信憑性がある
婚姻に信憑性があるかどうかは、配偶者ビザの審査でとくに重視されます。入国管理局では偽装結婚ではないか厳しく審査するため、婚姻に真実性があり配偶者ビザの取得が正当であることを立証する必要があります。交際に至った経緯や結婚までの経緯を書類で細かく説明することに加えて、状況によっては写真や通話記録などの任意資料を用意した方がいいでしょう。
2-3.安定的に夫婦で生活できる収入がある
世帯が生活していける程度の安定した収入があるかどうかも、審査で重視されるポイントです。雇用形態が正社員でない場合や、税金の滞納などがある場合は、不許可となりやすい傾向にあります。
必要な収入額は公表されていないものの、申請者の配偶者である日本人の年収が200万円以下だと、不許可の可能性が高いでしょう。日本人が主婦や主夫の場合でも、申請者である外国人が継続して働けることを証明できれば、配偶者ビザの取得を目指せます。
2-4.外国人配偶者に身元保証人がいる
配偶者ビザの取得のためには、申請者の身元保証人が必要です。身元保証人とは、外国人が日本において安定的に生計を立てることや法令を遵守して生活させることについて、法務大臣に対して保証する人のことです。基本的には申請者の配偶者である日本人が身元保証人を担います。日本人の配偶者の収入が少ない場合は、その親族を身元保証人に加えることも可能です。
2-5.在留状況に問題がない
申請者である外国人が配偶者ビザ以外の在留資格ですでに日本に滞在している場合は、普段からの生活状況も審査対象です。既存の在留資格以外の活動や就労をしていないか、犯罪歴はないかなどの点が審査されます。なお、運転におけるスピード違反や駐車違反など、軽微な交通違反は影響が少ないとされています。
3.配偶者ビザが不許可の場合の対処法
配偶者ビザの取得が不許可となった場合でも、再度あらためて申請できます。まずは不許可の理由を把握しなければなりません。不許可の通知書と身分証を持って入国管理局に出向くことで、不許可の理由を一度だけ教えてもらえます。教えてもらった不許可理由をカバーできるように書類をそろえて、再申請に臨みましょう。
配偶者ビザの申請は厳しく審査されるため、ポイントを押さえて申請する必要があります。自分で準備や対応をすることが難しい場合は、専門家へ依頼することも視野に入れましょう。
4.まとめ
本記事では、配偶者ビザが不許可となる場合があることや審査のポイント、不許可となった場合の対処法について紹介しました。内容をまとめると、以下の通りです。
✓配偶者ビザが不許可になるケースは多い
✓不許可の主な原因は生計が不安定であることや離婚歴の多さ、二人の年齢差、交際期間やコミュニケーションの状況などが挙げられる ✓審査のポイントには、国際結婚の手続きが双方の国で完了していることや婚姻の信憑性、安定した生活基盤があること、申請する外国人に身元保証人がいること、在留状況に問題がないことなどが挙げられる ✓不許可となった場合も、入国管理局に理由を聞くことで再申請に役立つ |
配偶者ビザを取得するために満たすべきポイントには、日本で安定した生活の見通しが立っていることや、偽装結婚でなく信憑性のある婚姻関係であることなどがあります。こうした点を申請書類や任意書類などで客観的に立証することで、不許可の確率を下げられるでしょう。
この記事の監修

司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)
相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に居住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。