2024/2/29 2024/2/29
外国人ビザ
配偶者ビザ申請の必要書類まとめ│取得率を高める申請のポイントも解説
配偶者ビザの申請における必要書類は、外国人配偶者が「日本に住んでいるか」「外国に居住しているか」によってビザの種類や申請書類が異なります。また、出入国在留管理庁のWebサイトには記載されていない証明用の資料が必要になることがあります。
今回の記事のポイントは以下のとおりです。
✓配偶者ビザ申請における必要書類は「日本に住んでいるか」「外国に居住しているか」によって異なる
✓配偶者ビザ申請においては「結婚の実態」「安定した収入」といった2つのポイントが重視される ✓「結婚の実態」「安定した収入」の2つのポイントについての証明資料を用意すれば許可を得られる可能性が高まる |
本記事では、配偶者ビザを申請するときの必要書類や申請の際に重視されるポイント、証明力を高めるための任意書類についてまとめました。任意書類にはどのようなものがあるのかについても紹介しています。
申請に際し注意すべき点や必要書類を事前に知っておくことで、配偶者ビザの申請が可能になります。ぜひご覧ください。
1.配偶者ビザ申請における必要書類
「配偶者ビザ」とは、日本国籍を持つ配偶者、永住権を持つ外国人とともに、その配偶者が日本で生活するために必要なビザのことを指します。
一般的には、配偶者のためのビザであることを指して用いることが多く、「配偶者ビザ」や「結婚ビザ」と呼ばれています。配偶者ビザの正式名称は、その対象が配偶者のほか、子も含まれるので「日本の配偶者等」という在留資格です。
外国籍の配偶者が日本に住んでいても、海外に住んでいる場合であっても配偶者ビザの申請は可能です。ただし、外国人配偶者が「日本に住んでいるか」もしくは「外国に居住しているか」によって、申請するビザの種類は異なります。 ここでは、配偶者を対象にした配偶者ビザの必要書類について詳しく解説します。
1-1.外国人配偶者が海外に居住している場合
外国人配偶者が外国にいる場合、外国人配偶者が住む予定となる場所を管轄する出入国在留管理庁にて「在留資格認定証明書交付申請」を行い、外国に住む外国人配偶者を日本に招くための手続きを行う必要があります。
【配偶者ビザ申請必要書類(外国人配偶者が海外に在留しているケース)】 |
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基本的な書類 | 「在留資格認定証明書交付申請書」 「質問書」 「身元保証書」 (書式はダウンロードできます) |
返信用封筒(定形封筒に郵便切手(簡易書留用)を貼付したもの) | |
申請者(外国人)に関する書類 | 証明写真(4cm×3cm) |
外国人配偶者の国の結婚証明書又は戸籍謄本(婚姻の事実が記載されているもの) | |
パスポートのコピー | |
日本の配偶者に関する書類 | 戸籍謄本 |
住民票 | |
滞在費用に関する資料 | 住民税の課税証明書(直近年度) |
住民税の納税証明書(直近年度) | |
住民税の証明資料がそろわない場合には、預貯金通帳の写しや雇用証明書などが必要 | |
夫婦であることが確認できる資料 |
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出入国在留管理庁のウェブサイトには必要な提出書類の一覧が掲載されています。(申請者の個々の状況によっては他の資料も必要です。
1-2.外国人配偶者が日本に在留している場合
すでに、就労ビザや留学ビザなどで日本に在留している外国籍の配偶者の場合は「在留資格変更許可申請」の申請となります。これは、外国籍の配偶者が現在持っているビザを配偶者ビザに切り替えるための手続きです。
なお、申請先は外国人配偶者本人の住所地を管轄する出入国在留管理庁になります。必要書類は下表のとおりです。
【配偶者ビザ申請必要書類(外国人配偶者が日本に在留しているケース)】 |
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基本的な書類 | 「在留資格変更許可申請書」 「質問書」 「身元保証書」 (書式はダウンロードできます) |
返信用封筒(定形封筒に郵便切手(簡易書留用)を貼付したもの) | |
パスポート提示
※ 申請人以外の場合でも提示が必要 |
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在留カード提示
※ 申請人以外の場合でも提示が必要 |
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申請者(外国人)に関する書類 | 証明写真(4cm×3cm) |
外国人配偶者の国の結婚証明書または戸籍謄本(婚姻の事実が記載されているもの) | |
パスポートのコピー | |
日本の配偶者に関する書類 | 戸籍謄本 (発行から3か月以内) |
住民票 (発行から3か月以内) |
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滞在費用に関する資料 | 住民税の課税証明書(直近年度) ※ 発行日から3か月以内のもの |
住民税の納税証明書(直近年度) ※ 発行日から3か月以内のもの |
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住民税の証明資料がそろわない場合には、預貯金通帳の写しや雇用証明書などが必要 | |
夫婦であることが確認できる資料 |
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出入国在留管理庁のウェブサイトには必要な提出書類の一覧が掲載されています。(申請者の個々の状況によって他の資料も必要です)
2.配偶者ビザ申請で重視されるポイント
配偶者ビザの申請では、申請者自身が必要な証明書や立証資料を用意しなければなりません。近年においては、安定した在留資格を得るために結婚を偽装するケースが増えており、出入国在留管理庁当局は厳格な審査を行っています。
そのため真実の結婚であっても、必ずしもビザが許可されるわけではありません。また、一度ビザが不許可となると、次回の申請が難しくなる可能性もあるため、注意深く手続きを進めることが重要です。不安を感じる場合は、証明資料が整うまで申請を延期することも選択肢に入れておきましょう。
2-1.結婚の実態
結婚の事実だけでなく、結婚の実態があることも重要です。実際の交際を経て結婚につながったことを、写真・メール・SNSなどを通して証明する必要があります。
たとえば、同居していない場合や、交際期間があまりに短く交際の証明が難しい場合には、配偶者ビザの取得が困難になることもありえます。そういったケースでは、証明資料が準備できるまで申請の先送りを検討するといったことも一つの選択肢です。
2-2.生計を立てることができる安定した収入
配偶者ビザの取得においては、日本での生活維持能力が重要な判断基準です。
外国人配偶者が日本で安定した収入を得ている場合は問題ありませんが、そうでない場合や日本人配偶者の収入が低い場合は、ビザの不許可の可能性が高まります。ビザ申請には、直近1年間の課税証明書と納税証明書が必要で、これらに基づき日本人配偶者の収入が判断されます。
必要となる収入の目安の額は、申請者本人と扶養する家族の合計数に78万円を掛けた金額となります。2人の場合は156万円、3人の場合は234万円が目安です。
確定申告をしていない個人事業主の場合は、所得が課税証明書に反映されず、無収入と見なされる可能性があります。そのため、確定申告を行った上でビザ申請をする必要があります。低収入により生活が困難と判断される場合、家族からの援助を検討しましょう。
また、就職は決まっていても昨年の収入がなく、課税証明書に反映されていない場合は「在職証明書」や「雇用契約書」を提出し、日本での生活が可能であることを証明します。さらに、自身の貯金や不動産などの資産を見直し、外国人配偶者と一緒に日本での生活が可能かどうかを検討する必要があります。
3.配偶者ビザ取得率を高める提出するとよい書類
出入国在留管理庁のウェブサイトに記載されている必要書類は、ビザ申請を受け付けるための最低限の必要書類です。そのため、配偶者ビザを申請し取得を確実にするためには、これらの必要書類に加えて、任意書類の提出が求められます。任意書類は、必要書類だけではビザの取得条件を満たせない場合、不利な要素を補うために提出するものです。
実際の申請においては、後に出入国在留管理庁から追加の提出資料が要求されたり、そのままビザが不許可になってしまうケースもあります。出入国在留管理庁に対してアピールできる要素や不安要素がある場合は、最初から任意書類を準備し提出することが重要です。任意書類は出入国在留管理庁に尋ねても回答を得られないため、申請する側であらかじめ準備し、提出する必要があります。
3-1.収入面に不安がある場合
「経済的基盤を有すること」は配偶者ビザの要件の一部であり、収入の安定性や経済力などの要素が考慮されます。たとえば、パートタイムや非正規の雇用者は、収入の安定性に課題があると思われるかもしれません。
そうした場合、収入の継続性を強調したいのであれば「在職証明書」など、継続して雇用されている証拠を提出するのもひとつの方法です。そのほかにも以下のような証明資料が挙げられます。
- 土地・建物の登記簿謄本
- 預金残高証明書
- 会社登記簿謄本
- 給与明細
- 給与支払予定証明書
- 源泉徴収票
このように、出入国在留管理庁から要求された書類をそのまま提出するケースよりも、より積極的に証明資料を提出した方が、配偶者ビザを許可される可能性が高まります。
たとえ非正規雇用であっても必ずしも不許可になるわけではなく、許可される人もいれば不許可になる人もいます。つまり、証明の有無でその差が生まれるのです。
3-2.婚姻の実態に不安がある場合
たとえば「結婚までの時間が短い」「年齢差がある」「離婚の回数が多い」ケースなどは、たとえ真実の結婚であっても、出入国在留管理庁から見れば偽装結婚の疑いを持たれる要因ともなります。そのため、これらの懸念要素を確実に証明していくことが重要です。たとえば以下のような資料が有効な書類といえます。
- 日本語検定試験などの言語能力を証明する書類
- カップルや両親との手紙のやり取り
- 国際電話やSNSの会話履歴
- 日本の出入国記録
- 国際郵便のやり取り
- 送金記録
これらとともに「理由書」を作成して交際の経緯を詳細に記述し、真実の結婚であることを強調していくことが必要です。また「当事者だけが知るエピソード」や「そのときに撮影した写真」なども添付し、証明力をより強固なものにしていきましょう。
4.まとめ
本記事では、配偶者ビザを申請するときに知っておきたい必要書類について解説しました。内容をまとめると、以下のとおりです。
✓配偶者ビザ申請における必要書類は「日本に住んでいるか」「外国に居住しているか」によって異なる
✓配偶者ビザ申請においては「結婚の実態」「安定した収入」といった2つのポイントが重視される ✓「結婚の実態」「安定した収入」の2つのポイントについての証明資料を用意すれば許可を得られる可能性が高まる |
配偶者ビザは、申請が得られなければ一緒に生活できないという悲しい状況に直面してしまうため、失敗は許されません。配偶者ビザの申請はケースバイケースで対応が異なるため、自分で申請行った場合、許可を得るのは非常に難しくなるケースがあります。一度不許可となった後の再申請はハードルが高くなることもあるため、慎重に対処することが重要です。
また、手続きに必要な書類がそろわない場合や、自力で更新手続きをすることが難しいと感じる場合もあるかもしれません。難しいと感じるときは、ビザ取得・更新の専門家に依頼するのもひとつの方法です。
この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)
相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に居住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。