2024/5/1 2024/5/1

外国人相続

香港人の相続|相続の準拠法と日本国内財産の相続手続き、相続登記を解説

香港における財産の相続には「プロベート」という裁判所経由の手続きを経なければなりません。本記事では、在日香港人の相続について、日本の法律と香港の法律の適用範囲や必要な手続き、相続登記における必要書類などについてわかりやすく解説します。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

✓ 香港人が被相続人の場合、相続に関しては香港の法律が適用される

✓ 香港の国際私法によれば、不動産は不動産所在地の法律が適用され、その他の財産については居住地の法律が適用される

✓ 香港には相続税の制度はないが、香港にある財産にも日本の相続税が課される

✓ 香港にはプロベートという、裁判所を介した遺産分割手続きがある

✓ プロベート手続きは、裁判所の管理下での清算手続きを経なければならないため、遺産分割には時間がかかる(1〜3年)

✓ 不動産以外であっても、香港に財産を有する場合は、香港のプロベート手続きに従わなければならない

✓ 遺言状がある場合には「遺言執行人(Executor)の申立て」を、遺言状がない場合には「遺産管理人(Administrator)の任命を求める申立て」を香港の裁判所に対して行う

✓ 香港の裁判所に申立てる際には、英語翻訳アポスティーユ(外務省による証明)の取得が必要である

✓ プロベート手続き回避のためには「生前信託」「共同口座」「死亡時の受取人の指定」といった生前対策も検討しておく必要がある

✓ 香港には「戸籍・住民票・印鑑証明制度」がないため、戸籍の代わりとなる「出生証明書」「婚姻証明書」「死亡証明書」「宣誓供述書聲明(声明)書などが必要である

✓ 日本における相続登記は「遺産分割協議を行う場合」「法定相続分での相続の場合」によって必要書類が異なる

日本における遺産相続では、故人の財産は基本的に全ての相続人のものとされます。遺言書が存在すれば、その指示に従って財産が分けられ、遺言書がなければ相続人が協議を行い、遺産を分配します。大きな争いがなければ、裁判所を介することは少ないです。しかし、香港の財産については、「プロベート手続き」という裁判所の管理下での手続きを経る必要があり、そのため遺産の分割には時間がかかります。

本記事では、香港人が亡くなった場合の準拠法や香港における手続き、相続登記の必要書類などについて解説します。

1.香港人が亡くなった場合の準拠法

日本の通則法36条によれば、相続は被相続人の国籍に基づく法律が適用されます。したがって、香港人が被相続人の場合、財産の所在地に関係なく、相続に関しては香港の法律が適用されます。

香港の国際私法は、以下のとおりです。

  • 不動産は不動産所在地の法律が適用
  • 動産や流動資産は被相続人の住所地の法律が適用

つまり、日本国内の不動産は日本の法律、香港にある不動産は香港の法律が適用され、その他の財産については住所地の法律が適用されます。

在日香港人の相続では、日本国内不動産、日本及び香港所在の動産や預金などの流動資産は日本法、香港国内の不動産は香港法により相続します。

ただし、相続人や相続分が日本の法律に従って決定された場合であっても、香港に有する財産の管理は、次に説明する香港のプロベート手続きに従わなければなりません

2.香港には相続税の制度がない

香港には、相続税の制度はありませんただし、被相続人が日本の居住者であった場合や、相続人が日本に住んでいる場合には、日本の相続税は、相続財産である海外資産がどの国にあっても相続税を課税します。そのため、香港にある財産にも日本の相続税が課されます

一方で、被相続人と相続人双方が香港に居住していれば、以下の二つの条件を同時に満たすことで、日本の相続税の課税回避が可能です。

  • 被相続人が日本を出国してから10年以上が経過していること
  • 相続人が日本国籍ではない(相続人が日本国籍であっても、日本を出国してから10年以上が経過している)

なお、香港の財産には「プロベート手続き(裁判所を介した遺産分割手続き)」と呼ばれる裁判所の管理下での清算手続きを経なければならない(5万香港ドル以下を除く)ため、遺産の分割には時間を要します。

3.香港に遺産がある場合に行うプロベートとは

香港に被相続人の不動産や銀行口座、証券口座などが存在する場合は、香港の裁判所にプロベートの申立てを行わなければなりませんプロベートとは、裁判所を介した遺産分割手続きであり、日本の法律には存在しない相続手続きです。

プロベート手続きでは、まず財産がいったん財団に移された後に裁判所の監督下において清算と税金の申告・納付が行われ、最後に残った遺産が相続人に分配されます。

プロベートを実施している国は「アメリカ」「イギリス」「カナダ」「オーストラリア」「香港」「シンガポール」「マレーシア」などです(これを管理清算主義と呼びます)。

日本のように、まず相続人の間で遺産分割を決めていく国は「ドイツ」「イタリア」「フランス」などがあります(これを包括承継主義と呼びます)。

相続の流れとして日本で相続が始まると、被相続人が所有していた財産(負債を含む)を相続人の間で分割手続きを行います。遺言書が存在する場合、その指示に従って財産を移転し、遺言書がない場合は、相続人が作成した遺産分割協議書に基づいて財産移転を行うのが一般的です。ただし、香港にある財産については、プロベート手続きを経る必要があります。以下にプロベート手続きの流れと必要書類、注意点について解説します。

3-1.遺言書が存在する場合のプロベート手続き

遺言状に指定された遺言執行人(Executor)は、裁判所に対し、被相続人の遺産の管理と清算の許可の申立てを行います。遺言執行人の申立てが承認され、裁判所からプロベート(Grant of Probate)が付与されると、被相続人の財産を遺言に従って分配できます。遺言執行人が日本に住んでいない場合や、手続きが難しい場合は、代理人制度を活用することも可能です。

3-2.遺言書がない場合のプロベート手続き

被相続人が遺言状を残していない場合、遺産管理人(Administrator)の選任を求める申立てが必要です。選ばれた遺産管理人は、裁判所から遺産管理状(Letters of Administration)を取得し、被相続人の財産の管理と清算を行います。

遺言書のあるなしどちらの手続きも、最短で約1年、長い場合は3年以上かかるのが一般的です。自分で手続きができない場合、香港の弁護士に代理申請を依頼することが必要であり、手続き費用は多額にのぼることがあります。弁護士報酬が香港の財産よりも高額になる場合、香港の財産を日本に移すことを断念するといった選択肢もありえます。

3-3.プロベート申立ての必要書類

申立てを行う際には、必要とされる添付書類を用意しなければなりません。通常、以下の書類が必要とされていますが、場合によりさらに追加の書類が必要となることもあります。あらかじめ香港当局に確認しておきましょう

  • 死亡証明書(死亡届受理証明書または死亡届記載事項証明書)
  • 被相続人と相続人の全部事項証明書
  • 遺言書または遺産分割協議書
  • 被相続人と相続人のパスポートのコピー
  • 香港の不動産調査記録
  • 香港の銀行預金の情報など

これらの書類は英語に翻訳する必要があります。さらに、死亡証明書や全部事項証明には、アポスティーユの取得が必要です。アポスティーユとは、外務省による証明であり、アポスティーユにより香港裁判所において有効な書類として認識されます。

書類の準備とアポスティーユの取得は時間と労力を要し、ストレスのかかる作業です。さらに、数多くの書類を英語に翻訳し、香港裁判所に提出しなければなりません。そのため、相続人が自力で手続きを行うことは困難を極めます。そうした懸念があるのであれば、司法書士や行政書士などの専門家に相談するのも一つの方法です。

3-4.プロベートの注意点

プロベートの過程では、遺産が相続人に分配されるまでに多くの手続きが必要であり、裁判所では証拠の検証と精査が行われます。裁判所や税務当局からの許可を得て遺産が分配されるまでには、1年から3年という長い期間を要します。

またプロベートが完了するまで、遺産は裁判所の監督下で凍結され、遺産の所有権の移転や売却、名義変更などの処分は自由にできません

さらに、相続人や財産を確定する際には「被相続人の遺言書」「財産の内容」「相続人の情報」などの個人情報が開示されるため、プライバシーの確保が難しくなります。

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4.プロベートを回避する3つの方法

プロベートとは、故人の財産を法的に承継するための手続きですが、時間と費用、さらには手間のかかる作業です。しかし、以下の方法を活用することでプロベートを回避し、スムーズかつ迅速に財産の継承が可能です。

  • 生前信託(Living trust)
  • 共同口座(Joint account)
  • 死亡時の受取人の指定

ここでは、それぞれについて解説します。

4-1.生前信託(Living trust)

生前信託(リビングトラスト)を活用することで、プロベートにおける煩雑な手続きの軽減が可能です。遺言の検認は必要ですが、通常のプロベートに比べて手続きは簡易であり、時間と費用を削減できます。

生前信託とは

生前信託とは、自身(生前信託設定者)の財産を信託財産として「信託受託者」名義に変更し、自身の死後にその財産を継承する人(受益者)を指定するといった財産管理手段のことを指します。生前信託により、生前信託設定者が死亡した際に、プロベートの煩雑な手続きを経ずに財産を受益者に移すことが可能です。

生前信託の仕組み

生前信託設定者は生前信託設定者の資産を信託財産に移し、管理・運用します。その際、生前信託設定者自身も受益者として資産を利用することが可能であり、生活レベルを維持できます。

生前信託設定者が亡くなった後

生前信託設定者が亡くなった後、財産の管理を引き継ぎ、指定した受益者に資産を分配することが指定された後任信託受託者の役割です。この生前信託の仕組みにより、遺産の分配が円滑に行われることが期待できます。

生前信託設定ができる財産

以下のような財産が生前信託に設定できます。

  • 土地や建物などの不動産
  • 株式、債券、投資信託などの金融商品
  • 預金口座や証券口座
  • 企業への出資持分
  • 特許や商標などの知的財産権
  • 美術品などの財産

ただし、生前信託に設定できる財産は、生前信託を設定した国のものに限られるため、あらかじめ香港側に確認しておきましょう。

受託者の選び方

受託者の選び方は、生前信託設定者の状況や希望によって異なりますが、受託者の役割は専門的な知識や経験が求められるため、信頼できる専門家や機関を選択することが望まれます。

4-2.共同口座(Joint account)

共同口座(Joint account)では、一人の所有者に相続が発生しても、プロベート手続きが不要です。本では、相続が発生した際に被相続人の口座は凍結されますが、共同口座では、各名義人がそれぞれ独立して口座から引き出せます。

日本の銀行では、一人の名義でしか口座を開設できませんが、海外の銀行では、夫婦や親子など二人の共同名義による預金口座開設が可能です。これが共同口座と呼ばれるものです。

つまり共同口座とは、2人の名義人(共同名義人)で設立される銀行預金口座を指します。共同口座では、口座が凍結(支払い停止)されることなく、他の共同名義人による自由な預金の引き出しが可能です。共同口座では、一方の名義人が亡くなった場合でも、預金残高は自動的にもう一方の名義人に移ります

4-3.死亡時の受取人の指定

相続の際の受取人を事前に指定することで、プロベートを回避できる可能性があります。具体的には、金融資産であれば「死亡時受取人指定口座」や「死亡時承継人指定口座」、不動産であれば「死亡時譲渡証書」といった方式で死亡時の受取人を指定しておきます。

また、指定受取人が先に亡くなった場合に備えて、代わりの受益者を指定できます。まずは自分の口座を持つ金融機関等に問い合わせて、受取人指定が可能かどうかの確認をしてみましょう。

5.香港人の日本国内での相続登記の必要書類

相続登記で必要となる書類は、以下のケースによって異なります。

  • 遺産分割協議を行う場合
  • 法定相続分での相続の場合

ここではそれぞれについて解説します。

被相続人が香港籍の方の場合、戸籍制度が無いため、登記に必要な「戸籍謄本」が入手できませんまた、海外在住の場合には「住民票」「印鑑証明書」も取得できません。そのような場合には、代替となる文書を準備することで、この問題を解決できます。

下表は、外国籍の方の書類取得方法です。

戸籍謄本 「出生証明書」「婚姻証明書」「死亡証明書」「宣誓供述書」など(国によって異なる)
住民票 住民登録をしている場合 取得できる
住民登録をしていない場合 宣誓供述書又は及び聲明(声明)書

旅券(パスポート)のコピー

印鑑証明書 住民票がある場合 印鑑登録を行い、印鑑証明書を発行
住民票がない場合 署名証明書(宣誓供述書)

5-1.戸籍謄本、住民票、印鑑証明書の代替書類

相続人を特定し、相続登記を行うためには、故人の一生にわたる戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍)と相続人の住民票、印鑑証明書を収集することが一般的です。これにより、誰が相続人であるかを明確にすることができます。ただし、戸籍制度を持たない香港のような国では、これに代わる代替書類が必要となります。

戸籍謄本の代替書類

香港では、戸籍制度が存在しないため、相続関係を証明するために「出生証明書」「婚姻証明書」「死亡証明書」「宣誓供述書」などの文書が利用されます。出生証明書は親と子の関係を、婚姻証明書は配偶者との関係を証明し、死亡証明書はその人の死亡を証明します。例えば、被相続人が日本人で配偶者がシンガポール国籍の場合、日本の戸籍謄本に記載されている結婚事実から相続関係を確認することも可能です。

ただし、これらの文書だけでは、故人に他の相続人が存在しないことを完全に証明することはできません。そのため、宣誓供述書を用いて、「私たちは故人の唯一の相続人であり、他に相続人はいない」と宣言し、本国の公証人資格のある弁護士の認証を受けることが一般的です。

住民票の代替書類

日本の不動産相続登記には、不動産を相続する相続人の住民票の写しが必要ですが、外国籍の相続人であっても、中長期滞在者や特別永住者の場合は住民票を取得することが可能です。ただし、日本に住民登録がない人は住民票が発行されないため、その場合は現地の公証人資格がある弁護士による「宣誓供述書」又は民政事務署(分署)発行の「聲明(声明)書」の作成が求められます。

印鑑証明書の代替書類

遺産分割協議書を作成する際には、実印の押印とともに全相続人の印鑑証明書が必要です。中長期滞在者や特別永住者など、外国籍でも日本において住民登録と印鑑登録を行うことができます。

印鑑登録が行えない場合は、遺産分割協議書に署名を行い、その署名が本人によるものであることを証明する「宣誓供述書」又は民政事務署(分署)発行の「聲明(声明)書」を取得する必要があります。

なお、これらの文書が外国語である場合は、相続手続きで使用する際に翻訳文を添える必要があります。

以下に、各ケースごとに必要書類をリストアップしていますが、「戸籍謄本」「住民票」「印鑑証明書」については、上記の状況に照らし合わせて確認するようにしましょう。

5-2.遺産分割協議を行う場合の必要書類

基本的に遺産の分割は「法定相続分」に従いますが、遺言書がない場合は「遺産分割協議」により、全ての相続人が合意すれば誰がどの財産を相続するかを決めることが可能です。全ての相続人が合意した協議内容を記録し、印鑑証明書とともに実印を押すことにより「遺産分割協議書」が完成します。

登記の際には、遺産分割協議書に押印された全員の印鑑証明書が必要です。

【準備する書類】

対象者 書類の名称 入手先 備考

被相続人

戸籍謄本(戸籍事項証明書) 本籍地の市区町村 出生から死亡まで、在籍していた全ての戸籍・除籍謄本が必要
除籍謄本
改製原戸籍
このうちのどちらか 住民票の除票 住所地の市区町村 登記簿上の住所及び本籍地の記載のあるもの

※「被相続人の登記上の住所」が「戸籍謄本」等に記載された本籍と異なる場合に必要

戸籍の附票 本籍地の市区町村

法定相続人

戸籍謄本(抄本)

(戸籍事項証明書)

本籍地の市区町村 被相続人の死亡日以降に発行されたもの
印鑑証明書 住所地の市区町村 遺産分割協議書に押印された印鑑に関するもの
固定資産課税明細書 毎年4月頃に市区町村から送付 登記申請をする日の属する年度のものが必要

新しく所有者になる人

住民票 住所地の市区町村

【作成する書類】

作成者 書類の名称 備考
新しい所有者
(相続人)
登記申請書
代理人申請の場合 委任状
法定相続人 遺産分割協議書
新しい所有者
または代理人
相続関係説明図 戸籍・除籍謄本(抄本)の原本の還付を希望しない場合は不要

参考:相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等(法務局)

相続登記は遺産分割協議をして手続きすることが一般的です。

5-3.法定相続分での相続の場合の必要書類

遺言書がなく、法定相続どおりに相続する際に必要な書類です。

【準備する書類】

対象者 書類の名称 入手先 備考
被相続人 戸籍謄本(戸籍事項証明書) 本籍地の市区町村 出生から死亡まで、在籍していた全ての戸籍・除籍謄本が必要
除籍謄本
改製原戸籍
このうちのどちらか 住民票の除票 住所地の市区町村 登記簿上の住所及び本籍地の記載のあるもの

※「被相続人の登記上の住所」が「戸籍謄本」等に記載された本籍と異なる場合に必要

戸籍の附票 本籍地の市区町村
法定相続人 戸籍謄本(抄本)

(戸籍事項証明書)

本籍地の市区町村 被相続人の死亡日以降に発行されたもの
固定資産課税明細書 毎年4月頃に市区町村から送付 登記申請をする日の属する年度のものが必要
住民票 住所地の市区町村

【作成する書類】

作成者 書類の名称 備考
新しい所有者

(相続人)

登記申請書
代理人申請の場合 委任状
新しい所有者
または代理人
相続関係説明図 戸籍・除籍謄本(抄本)の原本の還付を希望しない場合は不要

参考:相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等(法務局)

遺産分割協議書が不要であるため、手続きは比較的容易ですが、不動産が共有名義になることに注意しなければなりません不動産が共有されている場合、売却を希望するときにはすべての共有者が手続きに参加する必要があります。

手続きの容易さや一時的な対応で進めてしまうと、後々問題が生じる可能性もあるため、適切な手続き方法を慎重に考慮し、選択することが重要です。

6.まとめ

本記事では、日本在住の香港の方が相続する際に知っておきたい事柄について解説しました。内容をまとめると、以下のとおりです。

✓ 香港人が被相続人の場合、相続に関しては香港の法律が適用される

✓ 香港の国際私法によれば、不動産は不動産所在地の法律が適用され、その他の財産については居住地の法律が適用される

✓ 香港には相続税の制度はないが、香港にある財産にも日本の相続税が課される

✓ 香港にはプロベートという、裁判所を介した遺産分割手続きがある

✓ プロベート手続きは、裁判所の管理下での清算手続きを経なければならないため、遺産分割には時間がかかる(1〜3年)

✓ 不動産以外であっても、香港に財産を有する場合は、香港のプロベート手続きに従わなければならない

✓ 遺言状がある場合には「遺言執行人(Executor)の申立て」を、遺言状がない場合には「遺産管理人(Administrator)の任命を求める申立て」を香港の裁判所に対して行う

✓ 香港の裁判所に申立てる際には、英語翻訳アポスティーユ(外務省による証明)の取得が必要である

✓ プロベート手続き回避のためには「生前信託」「共同口座」「死亡時の受取人の指定」といった生前対策も検討しておく必要がある

✓ 香港には「戸籍・住民票・印鑑証明制度」がないため、戸籍の代わりとなる「出生証明書」「婚姻証明書」「死亡証明書」「宣誓供述書聲明(声明)書などが必要である

✓ 日本における相続登記は「遺産分割協議を行う場合」「法定相続分での相続の場合」によって必要書類が異なる

まずは、遺言書の有無と香港に財産があるかどうかの確認をしましょう。​​香港には相続税の制度はありませんが、香港所在の財産に関するプロベート手続きは、裁判所の管理下での清算手続きを経なければならないため、遺産分割には1〜3年の時間がかかります。またプロベート手続きや相続登記などでは、遺言書の有無で手続きが異なります。

また、香港側との書類のやり取りや翻訳、日本での登記申請などで不安のある場合には相続・登記の専門家に相談してみましょう。

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この記事の監修

斎藤 竜(さいとうりょう)

司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士

斎藤 竜(さいとうりょう)

相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に居住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。

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