2024/7/11
2025/10/23
外国人ビザ
経営管理ビザの審査期間はどれ位?ビザ取得までのスケジュールも解説
日本で会社経営をしたい外国人にとって、経営管理ビザの取得は日本に中長期滞在するために必要不可欠な手続きです。
経営管理ビザの在留審査の処理期間の平均日数は、87.5日(出入国在留管理庁の令和7年7月分の公表データ)です。
しかし、経営管理ビザの要件やビザ取得にあたって必要な手続き全体のスケジュールについては、複雑で不明な点が多く、どのように手続きを進めればよいか悩む方も少なくありません。
今回の記事のポイントは下記の通りです。
| ✓「経営管理ビザの在留審査の処理期間の平均日数は、87.5日(出入国在留管理庁の令和7年7月分の公表データ)である
✓ 経営管理ビザの在留審査期間の平均は約2〜3ヶ月だが、2025年10月の法改正により、申請前の準備期間が大幅に長期化した。 ✓ 新たな取得要件として、資本金3,000万円、常勤職員1名雇用、3年以上の経営経験、日本語能力などが必須に。 ✓ 事業計画書は、作成後に中小企業診断士など専門家の確認を受けるという新しいステップが加わった。 ✓ 全体のスケジュールは、申請資格の確認からビザ取得まで、最低でも6ヶ月〜1年程度を見込む必要がある。 ✓ ビザ取得前に日本で活動できない点は変わらないため、長期化する準備期間中の事業運営計画がより重要になった。 ✓経営管理ビザの取得前に、外国人経営者本人が日本国内で事業活動を行うことはできないため、日本人又は日本国内で活動できる外国人のサポートによる開業準備行為や物件のフリーレントなどの交渉を検討する |
本記事では、経営管理ビザの取得に必要な要件と、その審査期間について詳しく解説します。さらに、ビザ取得までのスケジュールもご紹介し、スムーズな申請プロセスをサポートします。
1.【2025年最新】経営管理ビザ取得の5つの新要件
2025年10月16日の法改正により、経営管理ビザを取得するための要件は大幅に見直され、厳格化されました。スケジュールを考える以前に、まず以下の5つの高いハードルをクリアできるか確認する必要があります。
要件1:事業規模(資本金3,000万円以上 かつ 常勤職員1名以上)
「資本金3,000万円以上」と「常勤職員1名以上の雇用」の両方を満たすことが必須となりました。
要件2:独立した事業所の確保(自宅兼事務所は原則不可)
事業を行うための物理的な拠点が必要で、原則として自宅と事業所を兼ねることは認められません。
要件3:専門家が確認した事業計画
事業計画書は、中小企業診断士、公認会計士、税理士といった専門家による確認を受けることが義務付けられました。
経営管理ビザを取得するためには、事業が適正に行われ、安定して継続的に運営される見込みがあることを示す必要があります。これは、事業計画書などの提出を通じて証明します。事業計画書には、事業の概要、収益予測、市場分析、運営計画などが詳細に記載されている必要があります。これにより、入国管理局は申請者の事業が実現可能であり、長期的に成功する見込みがあるかどうかを評価します。
要件4:経営者自身の経歴または学歴
「3年以上の経営・管理経験」または「関連分野の修士以上の学位」のいずれかが必要となりました。
要件5:一定の日本語能力
申請者本人または雇用する常勤職員のいずれかが、日本語能力試験N2相当以上の日本語能力を持つことが必須となりました。
以上が、経営管理ビザを取得するための主要な要件です。これらを理解し、しっかりと準備を進めることで、スムーズな申請が可能になります。次に、具体的な申請手順とスケジュールについて詳しく見ていきましょう。
2.経営管理ビザを取得するまでのスケジュールと期間
法改正により、ビザ申請前の準備が格段に複雑化・長期化しました。各ステップで何をすべきか、新しいスケジュールを解説します。全体で最低でも6ヶ月〜1年は見ておく必要があります。
経営管理ビザを取得するには、いくつかのステップを順を追って進める必要があります。それぞれのステップに要する期間と具体的な手続きを見ていきましょう。
2-1.申請資格の確認と戦略立案(約1ヶ月〜)
まず、ご自身が「要件4:経営者の経歴・学歴」を満たしているかを確認します。3年以上の経営経験などを証明する書類(在職証明書など)を海外から取り寄せる必要がある場合、これだけでも数週間〜1ヶ月以上かかることがあります。この段階で専門家と相談し、ビザ取得までの全体戦略を立てることが重要です。
2-2.事業計画書の作成と専門家による確認(約1〜2ヶ月)
次に、ビジネスの核となる事業計画書を作成します。これは、その後のステップである「専門家の確認」をクリアできるレベルまで、市場調査や収支計画を徹底的に練り上げる必要があります。 完成後、中小企業診断士などの専門家にレビューを依頼し、「この計画は実現可能である」という確認書を取得します。専門家との調整や計画の修正に、数週間〜1ヶ月以上かかることを見込んでおきましょう。
2-3.経営管理ビザ取得のための会社設立と事業所確保(1~3ヵ月程度)
専門家の確認を得た事業計画に基づき、会社を設立し、事業基盤を整えます。
- 資本金3,000万円の準備と送金、払込
- 常勤職員の採用活動と雇用契約の締結
- 独立した事業所の物件探しと賃貸借契約
- 法務局での会社設立登記
特に、高額な資本金の国際送金や、要件を満たす人材の採用には時間がかかる可能性があります。
必要書類の準備
会社設立には、定款の作成や公証役場での認証、資本金の振込、法務局での法人設立登記などのステップで、発起人及び設立時取締役の印鑑証明書、資本金を振り込んだ通帳のコピーなど、必要書類の準備が求められます。
会社設立手続きの流れ
まず定款を作成し、公証役場で認証を受けます。その後、資本金を指定の銀行口座に振り込み、法務局で法人設立登記を行います。
会社の本店所在地となる事業所の確保
会社設立後、本店所在地となるオフィスの確保が必要です。新会社名義で、事業所利用目的でオフィスの賃貸借契約を行います。既に外国人個人名義で契約している場合には、会社名義に変更します。
事務所物件の確保&内装工事等
経営管理ビザ申請時には、事業所の図面や写真が必要です。営業を開始できる状態であることを証明するために、机、PC、事務機器などを用意します。店舗型ビジネスを行う場合は、物件の確保と内装工事が必要です。これにより、営業開始に必要な環境を整えます。
2-4.経営管理ビザ取得に向けた税務署等への各種届出(2週間程度)
税務署への各種届出も重要なステップです。これには2週間程度かかります。
法人設立届、給与支払事務所等の開設届、源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書などを提出します。 これらの届出は、経営管理ビザ申請時に必要となるため、保管しておきます。また、開業当初から従業員を雇う場合は、社会保険や雇用保険の加入手続きも行います。
2-5.経営管理ビザ申請前に必要な営業許可などの許認可(1カ月程度)
許認可が必要な事業を行う場合、事前に各種許認可を取得する必要があります。これには1カ月程度かかります。
許認可が必要な主なビジネスとしては、飲食業、不動産業、製造業、ホテル・旅館業、建設業、運送業などがあります。 各業種に応じた行政機関に対して手続きを行い、必要な許可を得ます。
このステップは、他の手続きと並行して進めることも可能です。
2-6.経営管理ビザ申請の準備(1カ月程度)
これまでのステップで揃えた全ての書類(専門家の確認書、会社の登記簿、雇用契約書、事務所の賃貸借契約書など)を基に、入国管理局への申請書類一式を作成します。事業の実態を示すため、オフィスの内装や備品を整え、写真なども準備します。
2-7.入国管理局による経営管理ビザ審査期間(2~3ヵ月)
入国管理局による経営管理ビザの審査期間は2~3ヵ月です。 審査は、書類審査と面接を含む場合があり、期間は案件や時期によって異なります。 審査中は、追加資料の提出や面接に迅速に対応することが重要です。
審査期間を短くするためのポイント
ビザ申請の審査過程では、提出された書類が不十分な場合や、要件を満たしているかどうかが不明確な場合に、追加の書類提出を求められることがあります。この「資料提出通知」が発行されると、審査が一時停止してしまい、審査期間が長期化します。
こういった事態を避けるため、全ての必要書類が揃っているか確認して申請するようにしましょう。また、経験豊富な行政書士など専門家に依頼することで、不備のない書類を準備し、経営管理ビザが取得しやすい事業計画書を作成することができます。
審査が無事に完了すると、経営管理ビザが取得できます。これにより、日本国内での事業運営が正式に認められます。
3.経営管理ビザの取得前の事業活動の注意点
経営管理ビザの取得前は、外国人経営者が日本国内で経営者として活動することはできません。そのため、この期間中は外国人経営者本人が日本国内で経営者として活動できないという問題が発生します。
審査期間中に、日本国内に発生する事務所家賃などの経費や運営上の問題を軽減するための対策が必要です。以下では、審査期間中の事業活動に関する注意点と具体的な対策を紹介します。
3-1.日本人や就労できる在留資格を持つ外国人を協力者につける
ビザの審査期間中は、外国人経営者本人が日本国内で経営・管理に関する活動を行うことができません。海外からリモートで経営・管理することはできます。そのため、この審査期間中に事業を運営し続けるための方法として、日本人や日本国内で修了できる在留資格を持つ外国人に開業準備行為に協力してもらうことが考えられます。
3-2.ビザ取得前は、賃貸借契約で「フリーレント」で対応する
経理管理ビザの審査期間中に発生する経費の中で、特に大きな負担となるのは事業所の賃料です。これを軽減するための効果的な方法として、「フリーレント」の活用が挙げられます。
フリーレントとは、不動産の賃貸借契約において、一定期間の賃料を無料にすることを指します。これにより、審査期間中の賃料負担を軽減することができます。
物件のオーナーや管理会社に対して、経理管理ビザ審査期間中の賃料を免除してもらうよう交渉します。特に長期間借り手が見つかっていない物件では、交渉の成功率が高まります。 契約締結時に、例えば「ビザが許可されるまでの間は賃料無料」といった条件を盛り込むことができます。これにより、審査が長引いた場合でも賃料の負担を抑えることができます。
これらの対策を講じることで、経営管理ビザの審査期間中の事業活動を円滑に進めることができます。審査が長引く場合でも、適切な準備と対応を行うことで、事業の継続性を確保し、経費を最小限に抑えることが可能です。
4.まとめ
| ✓「経営管理ビザの在留審査の処理期間の平均日数は、87.5日(出入国在留管理庁の令和7年7月分の公表データ)である
✓ 経営管理ビザの在留審査期間の平均は約2〜3ヶ月だが、2025年10月の法改正により、申請前の準備期間が大幅に長期化した。 ✓ 新たな取得要件として、資本金3,000万円、常勤職員1名雇用、3年以上の経営経験、日本語能力などが必須に。 ✓ 事業計画書は、作成後に中小企業診断士など専門家の確認を受けるという新しいステップが加わった。 ✓ 全体のスケジュールは、申請資格の確認からビザ取得まで、最低でも6ヶ月〜1年程度を見込む必要がある。 ✓ ビザ取得前に日本で活動できない点は変わらないため、長期化する準備期間中の事業運営計画がより重要になった。 ✓経営管理ビザの取得前に、外国人経営者本人が日本国内で事業活動を行うことはできないため、日本人又は日本国内で活動できる外国人のサポートによる開業準備行為や物件のフリーレントなどの交渉を検討する |
経営管理ビザの審査期間中に発生する問題に対して、適切な対策を講じることで、事業活動を円滑に進めることができます。審査が長引く場合でも、事前にしっかりと準備を行い、適切な対応を行うことが重要です。これにより、事業の継続性を確保し、経費を最小限に抑えることができるでしょう。
この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)
相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に移住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。
【主なサポート実績】
年間100件以上の会社設立、不動産・法人登記をサポート。
アメリカ、中国、韓国など、20カ国以上の外国人の不動産取引、起業を支援。
IT、飲食、貿易、コンサルティングなど、多岐にわたる業種の設立実績。
司法書士・行政書士として、会社設立の登記手続きから経営管理ビザの取得、その後の役員変更や増資まで、ワンストップでサポートできるのが強みです。まずはお気軽にご相談ください。





