2023/8/18 2023/10/31

外国人の法人登記

外国人が発起人となるには?外国人経営の会社設立の方法を詳しく解説

世界中から多くの外国人が日本でビジネスを始めるために会社を設立しています。しかし、日本の法律や手続きを理解するのは一筋縄ではいきません。本記事では、日本国内で会社を設立しようと考えている外国人が発起人(創業時の出資者)となって会社設立を進める際の手順と要点をわかりやすく解説します。

今回の記事のポイントは下記の通りです。

✓ 日本国内居住者、海外居住者に関わらず外国人は発起人になれる

✓ 発起人自身が日本国内で経営者として活動するには「経営管理」「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」などの在留資格が必要

✓ 外国人である発起人、役員については印鑑証明書と実印が必要だが、サイン証明書(自国の大使館、領事館、公証役場などで発行)で代用できる

✓ 資本金を送金するに際して、原則として受け入れ用の日本国内の預金口座、又は日本の銀行の海外支店口座が必要

✓ 発起人全てが海外居住者の外国人のみであっても会社設立は可能だが、手続きをするには日本国内でサポートしてくれる協力者が不可欠

外国人が発起人となって会社を設立する際の手続きの方法を解説していきます。

1.外国人が発起人となるには?

日本での会社設立は、日本国籍を持つ人だけでなく、外国人でも可能です。そのため、国内居住、海外居住に関わらず、会社設立が可能です。

1-1.発起人とは

発起人とは、会社設立時に出資を行い、設立手続きを進める人のことを指します。発起人は会社の設立を”発起”し、その会社設立手続きを通じて会社の法人格を確立し、発起人は出資者として会社成立後の株主となります。

1-2.日本にいなくても発起人となれる?

発起人になるためには必ずしも日本に居住している必要はありません。
外国人や外国法人でも、適切な手続きを踏めば日本で会社を設立することが可能です。ただし、そのためには、後述する会社設立における資本金の払込や法人口座の開設、法務局、税務署などへの手続きなど、日本でサポートする人がいないとビジネスを実際に始めることは難しいです。知人や友人、専門家など日本国内で協力してもらえる人材が不可欠です。

1-3.日本国内で経営するために必要なビザと在留資格

外国人が海外ではなく日本国内で経営するためには、適切なビザを取得することが必須です。ここで注意すべきなのは、ビザ・在留資格の種類によって許可される活動の範囲が異なるという点です。

多くの場合、会社を経営するためには「経営・管理ビザ」が必要となります。これは、日本国内でのビジネスの経営者として活動するためのビザです。このビザを取得するためには、一定の投資額(通常500万円以上)を満たし、さらに企業の持続的な経営が可能であることを証明する必要があります。これには、ビジネスプランや財務計画などの提出が求められます。

また「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」などのビザを有していれば、日本人と同様に会社経営を日本国内で行えます。

そしてビザ申請は時には複雑で時間のかかるプロセスであるため、専門家や行政書士に相談することを検討する価値があります。これにより、ビザ申請のプロセスをスムーズに進め、ビジネスの開始を迅速に進めることが可能となります。

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2.外国人発起人による会社設立の流れ

外国人が発起人となって日本で会社を設立する際の流れを一緒に見ていきましょう。このプロセスは、会社の形態の選択から始まり、サイン証明書の取得、定款の作成、資本金の払い込み、そして最終的に設立登記の申請まで、いくつかの重要なステップを含みます。

2-1.会社の形態(株式会社・合同会社)の選択

日本では主に、株式会社と合同会社という2つの会社形態が選択できます。どちらを選ぶべきかは、ビジネスの規模、運営スタイル、資金調達のニーズなどによって決まります。

株式会社は、株式発行による資金調達が可能となり、一般的には大規模なビジネスを目指す方に適しています。一方、合同会社はより柔軟な運営が可能で、スタートアップや小規模ビジネスに適しています。

2-2.サイン証明書の取得

日本における法人設立の際に必要な書類として、発起人と役員の印鑑証明書実印(発起人が法人の場合は登記簿謄本も必要)があります。これらは一般的に、日本国内に居住している人であれば、書類はすぐに揃えられますが、海外在住の外国人が発起人・役員となる場合、これらを準備することは困難です。

そのため、印鑑証明書及び実印に代わる代替策が「サイン証明書」です。

サイン証明書は、重要な文書に付された署名が本人のものであることを証明するものです。このサイン証明書は、発起人と役員が必要とします。

サイン証明書を取得するには、外国人の国籍の大使館や領事館に申し込むことが可能です。

たとえば、日本で短期間滞在して会社設立を進めているアメリカ国籍の方は、日本のアメリカ大使館や領事館でサイン証明書を取得できます。
また、アメリカ国内で日本の会社法人設立手続きを進めている場合も、アメリカ国内の公証役場や行政機関でサイン証明書を取得することができます。

海外在住であり、かつ国籍と居住国が異なる場合でも、自国の大使館や領事館が発行したサイン証明書は有効です。

たとえば、アメリカ人がオーストラリアに住んでいて日本での会社設立を考えている場合、オーストラリアにあるアメリカ大使館や領事館で発行したサイン証明書が使えます。このような状況下でも、サイン証明書さえあれば、印鑑証明書及び実印は必要ありません。

外国語で作成されたサイン証明書は和訳文とセットで、会社設立時に法務局・公証役場に提出します。

 

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2-3.定款の作成

定款の作成は、会社設立のための重要なステップです。定款には、会社の基本的な情報(会社名、目的、所在地、発起人名、資本金額など)が明記されます。株式会社の定款は公証人の立会いのもとで作成し、その後公証役場で認証を受けます。合同会社の定款については、公証人の関与は不要です。

2-4.資本金の払い込み

定款において発起人の出資額を定めた後、発起人は指定された銀行口座に出資金を送金します。そして、その払込履歴の記載がある通帳のコピーや取引明細書が法務局における設立登記手続きにおいて必要です。

発起人・役員のうち、日本国内に居住する方がいれば、日本居住者の預金口座を送金先に指定できます。発起人・役員全員が日本国内に住所がない場合には、発起人・役員以外の協力者(第三者:個人・法人を含みます)の預金口座を指定することができます。

なお、送金先の預金口座は、内国銀行(日本法に基づいて設立された銀行)の日本国内の支店のほか、海外支店(例.ニューヨーク支店など)外国銀行(外国の法律に基づいて設立された銀行)の日本国内の支店を指定できます。外国銀行の外国支店(例:ニューヨーク銀行のボストン支店)は指定できません。

外国人が海外銀行から日本に出資金を送金する際には、外貨を使って日本口座に海外から送金すると、「為替手数料」や「送金手数料」が差し引かれるので注意が必要です。定めた出資額を少し超える金額を送金しておくべきです。

2-5.設立登記の申請

最後に、法務局に設立登記を申請します。登記手続きは、一部をオンラインで行うことも可能です。登記が完了すると、会社は法人格を取得できます。

3.会社設立後の手続き

会社設立後はさまざまな手続きが必要となります。それらには、法人口座の開設、税務署への開業届けの提出、そして社会保険手続きが含まれます。これらは全て会社が正式に業務を開始する前に完了しておく必要があります。海外居住者だけで、これらの手続きを行うことは難しいため、日本における協力者や役員のうち日本居住者を一人置いておくなどの検討が必要です。

3-1.法人口座の開設

会社設立が完了し、法人として認定されると、次に行うべきは法人口座の開設です。法人口座は会社の資金管理や取引を行うために必要なもので、通常、地元の銀行や信用金庫、ネットバンクで開設します。ただし、口座開設の手続きは銀行により異なり、一部の銀行では予約が必要な場合もあります。法人登記証明書など必要な書類を準備し、銀行へ提出して口座を開設します。

3-2.税務署への開業届の提出

次に、税務署への開業届の提出が必要となります。これは新たに事業を開始する際に、税務署にその旨を通知するためのものです。開業届は会社の設立後2ヶ月以内に提出する必要があります。これにより、会社は税務上の存在として認められ、所得税や法人税などの納税義務が生じます。

3-3.社会保険手続き

会社設立後、特に従業員を雇用する場合には社会保険の手続きが必要です。これには、健康保険と厚生年金保険への加入、労働者災害補償保険の加入、そして雇用保険への加入が含まれます。これらの保険は全ての従業員に適用され、会社側は法律に基づきこれらの手続きを行う義務があります。

4.まとめ

✓ 日本国内居住者、海外居住者に関わらず外国人は発起人になれる

✓ 発起人自身が日本国内で経営者として活動するには「経営管理」「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」などの在留資格が必要

✓ 外国人である発起人、役員については印鑑証明書と実印が必要だが、サイン証明書(自国の大使館、領事館、公証役場などで発行)で代用できる

✓ 資本金を送金するに際して、原則として受け入れ用の日本国内の預金口座、又は日本の銀行の海外支店口座が必要

✓ 発起人全てが海外居住者の外国人のみであっても会社設立は可能だが、手続きをするには日本国内でサポートしてくれる協力者が不可欠

外国人が発起人となる場合の重要なポイントと手続きの概要を解説しました。

しかし、これらは一例に過ぎません。各事情により、必要な手続きや注意点は異なる可能性があります。また、法律や規則は変わることがありますので、最新の情報を把握しておくことも大切です。

会社設立は非常に重要なステップであり、間違いがあると大きな後悔につながる可能性があります。独力での手続きは大変であり、また、未熟な対応は予期しないトラブルを引き起こすこともあります。資本金の払い込みから送金手数料、ビザ申請まで、一貫したサポートが必要となるでしょう。

一人で悩まず、必要な手続きや注意点については専門家に相談することを強くおすすめします。専門家の知識と経験を活用し、安全かつ効率的に事業をスタートさせるための手続きを進めていきましょう。

この記事の監修

斎藤 竜(さいとうりょう)

司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士

斎藤 竜(さいとうりょう)

相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に居住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。

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