2023/7/4 2023/11/2

外国人の法人登記

外国人の会社設立条件!経営・管理ビザが必要な状況とは?

外国人も日本で会社設立が可能です。しかし、ビザの種類によっては会社設立に条件を課されることがあります。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

✓ 国籍にかかわらず、だれもが特別な条件なしに会社を設立できる

✓ 永住者や定住者は、特別な条件なしに経営者として会社にかかわれる

✓ 永住者や経営・管理ビザ以外の在留資格のときは、経営者になれないことがある

✓ 経営者以外として会社を設立するときは、経営・管理の実務経験が問われることがある

本記事では、外国人が会社設立するときに知っておきたいことをまとめました。会社設立に求められる条件や、経営・管理ビザを取得する方法についても紹介します。

会社設立に必要な在留資格を理解しておくことで、スムーズに会社を設立できるようになります。ぜひご覧ください。

1.外国人の会社設立と経営者になるための条件

国籍、国内海外居住にかかわらず、日本で会社を設立することは可能です。しかし、在留資格によっては、日本国内でその会社の経営者として活動できないことがあります。日本国内で経営者として活動するために必要な次の3つの在留資格を説明します。

  • 永住者や定住者など
  • 経営・管理ビザの保有者
  • それ以外の在留資格保有者

1-1.永住者や定住者などの在留資格を保有している

次のいずれかの就労制限のない在留資格を保有している場合は、条件なしに会社を設立でき、経営者になることが可能です。

  • 永住者
  • 永住者の配偶者等
  • 日本人の配偶者等
  • 定住者

会社設立の手続きも、日本人と同じです。また、日本で自由に就労できるため、支店長や取締役などの経営者以外としても、会社にかかわることもできます。

1-2.「経営・管理ビザ」を保有している

経営・管理ビザ」を保有している方は、日本国内で会社経営ができます。なお、日本に会社を作って海外から経営する場合は、経営管理ピザは必要ありません。

「経営・管理ビザ」を取得していない方が、会社を設立して自ら日本国内で経営するときには、次の条件すべてを満たしたうえで、「経営・管理ビザ」を取得することが求められます。

  • 事務所が確保されていること
  • 資本金500万円以上もしくは2名以上の雇用
  • 事業に継続性・安定性があること

それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。

1-2-1.【条件1】事業所が確保されていること

事務所が日本国内に確保されていることが必要です。ペーパーカンパニーでないことを示すためにも、所有する物件の場合は「不動産登記簿謄本」、賃貸物件の場合は「賃貸借契約書」などを提出します。

1-2-2.【条件2】資本金500万円以上もしくは2名以上の雇用

資本金として500万円以上を準備することが必要です。ただし、500万円全額を一人で準備する必要はありません。出資金の合計額が500万円以上であることを求められるため、会社の発起人がほかにいる場合は共同して準備することもできます。

また、資本金として500万円以上を準備しないときは、2名以上の常勤従業員を雇用することでも条件を満たせます。ただし、雇用する従業員は、以下のいずれかの資格を有する人物であることが必要です。

  • 日本人
  • 日本人の配偶者等
  • 特別永住者
  • 永住者
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

1-2-3.【条件3】事業に継続性・安定性があること

設立する会社の事業に継続性と安定性があることも求められます。事業内容や収支見込み、事業計画書などを提出して、継続性と安定性を示しましょう。

2.外国人の会社設立と経営管理ビザ取得の流れ

永住者、永住者の配偶者等、日本人の配偶者等、定住者、経営・管理ビザ以外の在留資格を保有している場合も、会社設立は可能です。ただし、自ら経営者にはなれません。

経営者になるためには、経営・管理ビザを取得することが必要です。取得する方法について見ていきましょう。

日本で会社を設立し、経営者になるためには、永住者・永住者の配偶者等・日本人の配偶者等・定住者のいずれかの資格を有しているか、「経営・管理ビザ」が必要です。

なお、永住者・永住者の配偶者等・日本人の配偶者等・定住者にはすぐにはなれませんが、「経営・管理ビザ」なら、特定の手続きをすることで取得できることがあります。次の手順で「経営・管理ビザ」の申請をおこないましょう。

  1. 事務所を確保する
  2. 会社を設立する
  3. 「経営・管理ビザ」を申請する

2-1.事業所を確保する

事業所を確保します。自宅の1室を事業所にするという方法もありますが、別の場所を準備するほうがペーパーカンパニーであることを疑われにくくなります。

自宅を事業所にするときは、異なる出入り口を使用するなど、住居部分と事業所が明確に区別されていることが望ましいです。表札を分ける、公共料金の費用を適切な割合(住居と事務所の面積の割合など)で分けておくなどの工夫をすることで、より明確に住居と事務所が区別されます。

2-2.会社を設立する

事業所を確保したうえで、会社を設立します。定款を作成し、資本金を振り込み、法務局に会社設立登記の申請をおこないましょう。

また、税務署などにも開業の届出をおこないます。飲食業や旅行業などを開始する場合は、許認可の手続きも必要です。

2-3.「経営・管理ビザ」を申請する

1-2で解説した条件を満たしたうえで、会社設立後に入国管理局で「経営・管理ビザ」を申請します。以下の書類を提出しましょう。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 3か月以内に撮影した顔写真
  • 事業計画書
  • 登記事項証明書の写し(会社設立登記がまだの場合は定款の写し)
  • 事務所が賃貸物件の場合は賃貸契約書の写し
  • すでに事業を開始しているときは決算書などの写し
  • 常勤雇用の従業員についての資料、もしくは出資金が500万円以上であることがわかる資料
  • 役員報酬に関する資料
  • 許認可の許可証

在留資格などによっては、異なる書類の提出を求められることがあります。入国管理局に出向く前に、提出書類について問い合わせておきましょう。

3.外国人が管理者として会社にかかわる条件

経営者ではなくても、会社に関わることができます。例えば取締役や支店長などの管理者として会社にかかわるときは、次の条件を満たすと「経営・管理ビザ」を取得できることがあります。

  • 経営・管理において3年以上の実務経験がある
  • 同業務に従事する他者と同程度の給与を受け取る

3-1.経営・管理において3年以上の実務経験がある

事業の経営や管理を3年以上おこなった経験があることが必要です。なお、大学院で経営や管理を専攻した場合は、その期間も含められます。

3-2.同業務に従事する他者と同程度の給与を受け取る

同じ業務をおこなう日本人と同程度、あるいはそれ以上の給与を受け取っていることも必要です。「経営・管理ビザ」の申請の際には、給与明細書などの給与がわかる書類も提出します。

4.まとめ

本記事では、外国人が会社を設立するときに知っておきたい事柄について解説しました。

内容をまとめると、以下のとおりです。

✓ 国籍にかかわらず、だれもが特別な条件なしに会社を設立できる

✓ 永住者や定住者は、特別な条件なしに経営者として会社にかかわれる

✓ 永住者や経営・管理ビザ以外の在留資格のときは、経営者になれないことがある

✓ 経営者以外として会社を設立するときは、経営・管理の実務経験が問われることがある


外国人も会社設立は可能ですが、在留資格によっては経営者になれないことがあります。
経営者として会社を設立するときは、適切な在留資格を持っていることが必要です。

適切な在留資格を持っていないときは、経営・管理ビザの取得を目指すことが求められます。また、経営・管理ビザの取得が難しいときは、経営者の資格を有する人物に経営者になってもらい、管理者として関わる方法も検討してみましょう。

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この記事の監修

斎藤 竜(さいとうりょう)

司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士

斎藤 竜(さいとうりょう)

相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に居住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。

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