2024/8/29
2024/10/3
外国人の不動産・ビジネス
外国人が日本の不動産購入・投資で経営管理ビザを取得する条件、手続きを解説
外国人が日本で不動産を購入する場合、ビザは必要ありませんが、購入を機に日本に移住し、不動産投資で収益を得ながら生活したいと考えているのであれば「経営管理ビザ」の取得が必要です。このビザは、日本で会社経営や事業を行う外国人に認められる在留資格の一つですが、不動産投資も「事業の運営」であると認められれば取得可能です。
今回の記事のポイントは以下のとおりです。
| ✓ 外国人が不動産投資で取得を目指せるビザは「経営管理ビザ」である
✓ ビザ取得の条件は「事業の運営」「法令遵守」「安定・継続性」である ✓ 不動産購入に必要な書類は、住民票、在留カード、印鑑証明書、宣誓供述書などがある ✓ 購入後は、外為法の届出や確定申告など、注意すべき点が複数ある |
本記事では、不動産投資を目的とした経営・管理ビザの取得条件や手続き、注意点に加え、外国人が日本で不動産を購入する際に必要な書類や注意点を詳しく解説します。
1.外国人が日本で不動産を購入するためにビザは必要か
外国人が日本で不動産を購入する際にビザは必要ありません。日本では外国人も日本人と同じ条件で土地や建物を所有できます。そのため、特別な規則はなく、外国人も日本の不動産市場に容易にアクセスできます。また、所有権に期限はなく、売買や贈与、相続も自由です。
ただし、不動産購入だけではビザや永住権は取得できません。ビザや永住権の取得には、別途の手続きを行う必要があります。日本での中長期滞在を目指すのであれば、不動産の購入に加えて適切な在留資格の取得が必要です。
2.不動産投資で経営管理ビザを取得するには?
日本での不動産投資ビジネス展開により日本での生活を考える外国人にとって、日本国内で会社を設立し経営管理ビザを取得するという方法があります。日本での会社経営を実現するために、まずはビザ取得の条件を詳しく見ていきましょう。
2-1.経営管理ビザを取得するための条件
経営・管理ビザの取得には、いくつかの条件をクリアする必要があります。 ここでは、重要なポイントを次の3つに分けて解説します。
- 日本で行う活動が「事業の運営」であること
- 事業が法令を遵守した内容であること
- 事業が安定・継続的であること
日本で行う活動が「事業の運営」である
経営管理ビザを取得するためには、日本で行う活動が「事業の運営」であることが求められます。単なる投機目的で不動産を所有するだけでは、ビザ取得条件を満たしません。
「事業の運営」として認められるためには、購入した不動産を賃貸物件や民泊物件として運用し、収益を上げる必要があります。一方、不動産を所有しているだけで、賃貸管理や民泊運営をすべて管理会社に委託している場合は「事業の運営」とみなされないため、経営管理ビザの取得は難しいでしょう。
事業が法令を遵守した内容である
経営管理ビザを取得するためには、事業内容が法令を遵守していることが必要です。特に旅館、ホテル事業や民泊事業を行う場合、日本での適切な許認可を得なければなりません。
不動産の単なる所有ではなく、事業として運営するには、関連する建築基準法やその他の法令も遵守する必要があります。こうして、事業が合法であることを証明できれば、経営管理ビザの取得に向けた最初の準備が整います。
事業が安定・継続的であると認められるものである
経営管理ビザを取得するためには、事業が安定・継続的であると認められることが必要です。不動産投資の場合、賃料収入が事業経費と役員報酬を賄えるだけのものでなければなりません。
そのためには、年300万円以上の賃料収入を生む収益不動産などを、最低でも1つ以上所有する必要があります。例えば、利回りが年3%と仮定した場合、物件価格は1億円が必要です。こうした基準をクリアすることで、最低限の事業規模が確保され、安定した収益が見込めていると判断されます。
さらに、事業の収益性を示すために、役員報酬の確保も重要です。役員報酬は月額18万円〜25万円が必要です。賃料収入から管理費や保険料、融資の返済額などの経費を差し引いた後、役員報酬が確保できていることも重視されます。ただし、この金額は被扶養者の有無や資産保有状況によって変動する可能性があります。
これらをしっかりと考慮した計画でなければ、安定性の観点で不許可となる可能性もあるため注意が必要です。
事業の安定性を評価する上で、キャッシュフローの黒字化も重要な要素です。賃料収入から管理委託費、損害保険料、融資の返済額などの諸経費を差し引いた後も、黒字を維持できることが求められます。また、固定資産税や各種取引に伴う税金なども考慮に入れる必要があります。
新規事業や一時的な赤字決算の場合でも、将来の安定性と継続性を示す合理的な事業計画があれば、経営管理ビザ取得の可能性はあります。ただし、この場合は詳細かつ説得力のある事業計画書の提出が不可欠です。
不動産投資での経営管理ビザの更新を目指すには
事業の継続性を示すためには、確定申告や決算報告を遅滞なく行い、適切に納税することも重要です。これらの要素を総合的に満たすことで、事業の安定性と継続性が認められ、経営管理ビザの取得や更新の可能性が高まります。
2-2.経営管理ビザを民泊目的で取得する際の注意点
外国人不動産投資家から民泊運営目的で経営管理ビザを取得したいという相談を受けることが多くあります。民泊運営を目指すにあたっては、いくつかの注意点があります。
ホテル、旅館を営業する旅館業許可を取得すれば、高い確率で経営管理ビザを取得できます。しかし、許可を取得するために必要な設備投資や改装費用に100万円以上かかる場合も少なくありません。
そこで、近年注目されているのが民泊事業です。しかし、民泊新法では年間営業日数が180日に制限されています。そのため、経営管理ビザ申請には収支シミュレーションが重要です。多くの場合、民泊の管理代行会社が無償でシミュレーションを作成してくれるため、依頼するとよいでしょう。
民泊事業は新しいビジネスモデルです。ビザ審査では細部まで厳格なチェックが行われます。確実なビザ取得のためにも、専門家への相談を検討しましょう。
3.外国人が日本で不動産を購入するために必要な書類
外国人が日本で不動産を購入する際には、いくつかの書類が必要です。これらの書類は、購入者の身元確認や法的手続きを円滑に進めるために不可欠です。以下では、外国人が日本で不動産取引を行う際に必要となる主な書類について解説します。
3-1.住民票又は宣誓供述書
日本で不動産を購入する際、住所を証明する書類として住民票が必要です。日本に居住し、在留資格のある外国人は、住民票を取得することで住所を証明できます。
短期滞在の外国人や海外在住の外国人は、住民票の代わりに以下のいずれかの書類を提出することで対応します。
- 駐日領事館、本国または居住国の行政機関、公証役場などで作成された宣誓供述書とパスポートのコピー
- 本国または居住国の住民票に相当する書類
3-2.在留カードまたはパスポート
不動産を取得した際には、その所有権を公的に証明するために登記をしなければなりません。登記手続きでは、居住国の住所を証明するために在留カードまたはパスポートが必要です。
パスポートを使用する場合は、記載されている住所が正確であることを事前に確認しましょう。住所が異なる場合、他の証明書類が必要になることがあります。
3-3.印鑑証明書やサイン証明ができる書類
日本で不動産を購入する際には、売買契約書に印鑑証明書を添付する必要があります。母国に印鑑証明制度がない場合でも、居住する市町村の役所で印鑑を登録することで、印鑑証明書の取得が可能です。
海外在住者の場合は、現地で作成した「サインを認証した宣誓供述書」を、在日大使館・領事館または本国の公証人に認証をしてもらうことで、印鑑証明書の代わりとして使用できます。
3-4.印鑑
日本で不動産を購入する際は、実物の印鑑も必要です。印鑑は、売買契約書などの重要な書類に押印するために使用します。母国で印鑑を使用する習慣がない場合でも、日本で不動産取引を行うためには、印鑑を用意しなければなりません。
印鑑は、インターネットサイトなどで手軽に作成できます。日本在住の外国人だけでなく、来日したばかりの外国人も、事前に印鑑を用意しておくとよいでしょう。
4.外国人が日本で不動産を購入する際の注意点
外国人が日本で不動産を購入する際には、事前に理解しておくべき注意点がいくつか存在します。ここでは、購入後における注意点について詳しく解説します。
4-1.購入後に財務大臣への報告が必要になる
外国人が日本で不動産を購入する際、外為法に基づく財務大臣への報告が必要となる場合があります。この報告義務は、非居住者による日本国内の不動産購入が対象です。
購入後20日以内に、日本銀行を通じて報告書を提出する必要があります。ただし、以下に該当する場合は申告不要です。
- すでに日本に居住している場合
- 親族や従業員の居住用として不動産を取得する場合
- 居住用ではなく、日本に居住していない外国人から不動産を購入する場合
- 事務所として不動産を使用する場合
- 営利を目的とせずに不動産を取得する場合
4-2.不動産に関する所得は確定申告が必要になる
外国人が日本で不動産を取得した場合、日本人と同様に納税義務が生じます。具体的には、不動産取得税や固定資産税などの税金を納めなければなりません。また、不動産を売却して利益を得た場合は、譲渡所得に対する確定申告も必要です。
日本に居住していない外国人は、海外から直接納税できないため、日本で納税管理人を雇うか、税理士などに納税手続きを依頼する必要があります。
4-3.日本の銀行口座がないことで送金の問題が発生する
日本に口座を持たない外国人が不動産を購入する際、送金に問題が発生する可能性もあります。特に、海外からの送金が遅れ、売買代金が決済日に間に合わないケースが考えられます。
このリスクを避けるためには、信頼できる司法書士事務所などの代理人の銀行口座に事前に振り込む方法が有効です。ただし、大金を預けるため、信頼できるかどうかを慎重に見極めておきましょう。
4-4.納税管理人を立てる
日本で不動産を購入した外国人が海外居住のまま納税を適切に行うためには、納税管理人を立てることが重要です。特に日本に居住していない場合、自ら税金を管理することは困難です。
納税管理人は、固定資産税や不動産取得税の納付を代行し、書類の受け取りや還付の対応を行います。個人でも法人でも納税管理人になれますが、税務署や市町村への届出が必要です。
外国人が海外居住のまま日本で不動産投資をする際には、日本在住の知人や不動産会社に相談し、適切な納税管理人を選任しましょう。
5.まとめ
本記事では、外国人が日本の不動産投資を目的として経営管理ビザを取得するための必要な条件、手続き、注意点について解説しました。内容をまとめると、以下のとおりです。
| ✓ 外国人が不動産投資で取得を目指せるビザは「経営管理ビザ」である
✓ ビザ取得の条件は「事業の運営」「法令遵守」「安定・継続性」である ✓ 不動産購入に必要な書類は、住民票、在留カード、印鑑証明書、宣誓供述書などがある ✓ 購入後は、外為法の届出や確定申告など、注意すべき点が複数ある |
外国人が日本で不動産投資を行いながら長期的に生活するには、経営管理ビザの取得が有効な手段です。ビザ取得の鍵は、日本で行う事業が「運営」「法令遵守」「安定・継続性」の3つの要件を満たしていなければならない点です。
加えて、不動産購入に際しては、必要な書類を準備するだけではなく、財務大臣への報告や確定申告といった不動産取得固有の注意点についても理解しておく必要があります。
この記事の監修
司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士
斎藤 竜(さいとうりょう)
相談実績5000件超、実務経験10年以上の経験を持つ司法書士。
海外にまつわる相続やビジネスに関する法律、契約書作成、コンプライアンスに関するアドバイスなど、幅広い分野に対応。近年は、当事者の一部が海外に移住するケースなど国際相続の相談が多く、精力的に取り組んでいる。
【主なサポート実績】
年間100件以上の会社設立、不動産・法人登記をサポート。
アメリカ、中国、韓国など、20カ国以上の外国人の不動産取引、起業を支援。
IT、飲食、貿易、コンサルティングなど、多岐にわたる業種の設立実績。
司法書士・行政書士として、会社設立の登記手続きから経営管理ビザの取得、その後の役員変更や増資まで、ワンストップでサポートできるのが強みです。まずはお気軽にご相談ください。







