エストニアから見る士業・専門家の未来とは!?

皆さん、こんにちは
家族信託・生前対策コンサルタント 司法書士の斎藤竜です

先週は、2年ぶりにエストニアに訪問しました。
過去、船井総研さんの起業視察で訪問しましたが、そのとき、じっくり見ることができなかったので、しばらく滞在して現地を見てみようと思い、エストニアの他、ラトビア、ポーランドと訪問しました。
司法書士が、デジタルノマド的にどこでも働けるのか??という実証実験もかねての訪問です(^^)/

今回の記事はエストニアの最新情報をお届けします。皆さんが今後行う仕事のあり方の参考に是非してみてください

e-Residencyとは!?

エストニアでは、e-Estoniaと呼ばれている99%の公的な行政手続きが年中無休24時間オンラインで完結できるというのは有名な話です。日本でも、デジタルファースト法案が今国会に提出予定です。

そのモデルとなっているのがエストニアでの電子行政手続きです。今回、僕自身も興味があり、日本からe-Residencyを申請し、エストニアの現地の警察署で取得するという手続きをしてきました。
着いてから早速、e-Residencyを取得しに、朝9時の営業開始時間と同時に訪問です。

電子申請が進んでいるエストニアのはずなのに、警察署には朝から長蛇の列。どうも、現地の人の話を聞くと、パスポートの発行など並んでいる模様。係の担当官も不親切でよくわからない、、、
片言の英語で何とか、e-Residencyを取得しました。

エストニアでは、現地の役所の対応の悪さもあり、スムーズに手続きをするため、国民が積極的にオンラインでの申請をしている理由があるという話は何とも面白い話でした(笑)利便性を求め、国民が積極的にオンライン手続きをしているという話には納得です。

オンライン行政手続き

エストニアではマイナンバーが健康保険証、病院、処方箋、カルテ、警察、学校、投票、税金も全てのサービスがオンライン化され、デジタルIDで利用できます。住民票の変更、確定申告も全てPC、スマホを通して手続きができるし、税金、交通違反などの罰金もネットを介して全て支払うことができます。

車の売買も日本のように陸運局に出向くことなくオンラインで完結できます。国が用意したX-Roadのシステムも活用し、金融機関をはじめ、民間も利用でき、民間と国家のデータベースをつなげました。
結果、オンラインで民間サービスも利用できるようになったのです。

イメージしやすい例でいうと、appleのOSに多くの企業がアプリを作成し、サービスを提供する。そんなイメージです。年金も受給年齢に達した場合には、国民からアクセスしなくても、年金が受給できるという自動的な案内が流れるとのことです

日本でも2021年3月からは健康保険証としてマイナンバーカードを使えるようにするというニュースもありました

利便性をもとに、普及させていく。そうしないと国民の利用が進まない。納得しました。

オンラインで手続きができないものとその理由とは!?

今回もe-Estoniaショールームを訪問しました。ここは、エストニアの電子政府の歴史や仕組みを紹介している施設です。2年前にも訪問しましたが、場所が変わっており、施設もきれいになっていました。

e-Estoniaショールーム

そこで改めて担当者に話を聞いてみました。その内容を紹介します。エストニアで唯一オンラインできない行政手続きは下記の3つです。

・結婚
・離婚
・不動産売買

この理由を担当者に改めて聞いてみました。それは、本人に本当にその手続きをしていいのか全て“思いとどまらせる機会を与える”必要があるからとのことです

セミナー風景

結婚、離婚は人生の重要な転機、不動産売買は住む家を失いかねない手続きです。技術的には、現時点からでも導入可能とのことですが、オンラインで完結できてしまうと本心ではないにも関わらず、一時の感情に流されてオンライン手続きをしてしまいかねない。
だからそこは、一度考えさせる機会を与えるため、オンラインでの手続きができないようにしているのです。心情的な理由でデジタル化せず、アナログを採用している、、なりすましを防ぐとかの問題ではないと言い切っていました。

エストニアではデジタルIDを国民1人に1枚発行しており、PINコード(パスワード)をそれぞれ発行しています。
マイナンバーを紛失しても、すぐに再発行できるし、パスワードもいつでも変えられます。だから、なりすましはあり得ないということです

マイナンバーとパスワードを他人に委ねてしまった場合どうなのかと質問しましたが、そこまですればなりすましは可能、、、でも、国民一人一人が重要な情報として管理しているので、カードとパスワードを委ねてしまう、そんな馬鹿なエストニア人はいないし、それは個人の責任なので、なりすましはないと言っていました

今後は不動産売買も自宅と駐車場、アパートなど、複数所有しており、自宅以外の不動産取引については、“思いとどまらせる”必要がないので、全てオンラインで完結できるようにすることも、計画しているとのことです

テクノロジーで、不便な行政手続きを解決する日本でもデジタルファースト法案、戸籍法改正とマイナンバーカードを健康保険証代わりに利用できる、、、など利便性を売りに進んでいますが、この流れは進んでいきそうですね

無人宅配ロボット“Starship”

無人宅配ロボ

エストニアでSkype創業者が立ち上げたスタートアップ企業「Star Ship Technorogy」が提供している無人宅配ロボット“Starship”がすごいという噂を聞き、実際に見に行ってきました。

実際に本社周辺で稼働しています。その稼働状況を動画にまとめましたので、是非、ご覧ください

日本でも人口過疎地域でのドローン実証実験が進んでいます。でも、この自動宅配ロボを見たときは驚愕でした。ドローンによる空輸は墜落リスクがあり、人口密集地区ではその安全性が問われます。Starshipを見て、未来の配送の姿、これが最適化だと納得しました。
スピードも人が歩く速度と同じ程度、サイズも小型なので、たとえ人や車と衝突しても被害が少ない

この技術が発展すれば、車と同じくタイヤでの駆動なので、安定性が高く、人が介在することなくモノを運べる、将来この技術が進歩し、普及すれば、物流のラストワンマイル問題が解決できます

最後の物流拠点からお客さんの手元に届ける最後の工程で人手がかかっています。そこをロボットが解決できれば、今の宅配など物流の人手不足の問題も変わっていく、そんな未来が、うっすらと見えました。
現地の人の話を聞いたところ、エストニアではこの自動運転の仕組みを進めるため法律を改正してできるようにしたとのこと。

そして、エストニアはSkype創業の地であり、その事業を売却した資金があることから、スタートアップ企業が資金調達しやすい環境にあり、新規創業のチャレンジしやすいエコシステムができているということ。実際に人口130万人という国ですが、ユニコーン企業が現在4社あります

人口130万人という少ない地域だからこそ、トップの意思決定で実行することができ、チャレンジしやすい環境もあります。日本は人口が多く、経済規模も大きく、今変わらなくても生活に不便がない。

だから、タクシー業界のシェアリングエコノミーの普及状況を見てわかるように既得権益が強いことから規制を変えることが難しい、、、
これから少子高齢化が進んでいき、労働人口が減少していく、そういう状況にならなければ、変わっていくことは難しいのかもしれない、、、と感じました

テクノロジーを活用したワクワクする未来

人口130万人の国に、「未来の社会」を感じることができました

エストニアの風景

行政手続きもそう、オンライン・自動化されればそのコストや時間を大きく削減できます。
スマホとノートPCがあれば、たとえ英語を満足に話せなくても海外でもどこでも、なんでも仕事ができるし、情報発信も一人で無料できます。電子化によってデータ入力といった単純作業がなくなれば、更に少ない人手で効率よく働けます。

僕も司法書士のなり立ての15年前、法務局に申請しにいき、回収しに行く、謄本を取りに行くという業務がありましたが、今ではほとんどありません。

仕事の役割が顧客とのコミュニケーションや、アドバイスやコンサルタントなどなど、大きく変わってき始めています

しかも、頻繁に法改正があるので常に知識をアップデートしながら、対応する必要があるので、学び続ける必要があり、より高いレベルが求められるというように仕事が大きく変わってきます。役所の決まった書式に合わせた書面作成というような業務は価値がなくなるということです。現地で見てきて感じたこと自由な環境で生き、物事を効率的に行い、挑戦ができる環境があるということです

これは、僕らの仕事もそう言えて今まで人や規模がいないと、大量な仕事の処理ができない、広告やマーケティングができないそんな時代でしたが、この10年で大きく様変わりしました。しかも、メール、ビデオ会議、チャットなどをつかって、どこでも働けるようになる

ただ、このあたりは業法上の法規制もありできないこともありますが、でも、そのうち解決できるでしょうし、僕自身は、この課題を解決できるように自分の仕事を見直していきます

少子高齢化、人口減少、、、と日本には課題が山積みですが、知識をアップデートし、もっと自由に、時間と場所に制約されることなく、やりたいように活動できるそんなワクワクする未来が見えてきています

Google翻訳があれば、それなりにコミュニケーションをとれるのですが、ただ、英語が満足に話せないとアプリを介在させないとコミュニケーションを自由にとれず自動翻訳の技術が進んでも楽しくないため、より楽しめるようになるため、英語を話せるよう勉強することに決めました
これは僕の課題です(笑)

現地からのレポートは以上です(^^)/

次回の記事をお楽しみに!

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