売上を作れるスタッフを育成するためには?

顧客との相談に対して知識や実務経験がある所長や責任者が担当すれば受任率も高くなり、売り上げも増えます。

しかし、事務所全体のマネジメントすべき所長や責任者が面談に時間を使ってしまうと、他にやるべきことに時間を費やせないという問題が生じます。そこで、スタッフに個別相談を任せたいところですが、任せてもなかなか受注につながらない、受任率が低いといった悩みが生じます。

今回の記事のポイントは下記のとおりです。

  • 所長、責任者の時間をつくるには「専門業務+周辺業務の辺りを付ける+コミュニケーション能力」この3つができる人材育成が必要
  • 所長や責任者は、育成するスタッフができる環境、つまり、学ぶためのインプットとアウトプットの場をつくり、圧倒的な量をやらせる
  • 学び(インプット)も面談(アウトプット)も基本は任せる(放任)。成長意欲がある人材は、学び、実践できる場所を提供すればいい
  • 集客、サービスの商品化とツールの整備、評価体制は所長や責任者でなければできない重要な仕事でありこれがないとスタッフは受注できないし、モチベーションにつながらない

今回の記事では、僕が考えるこれからの人材育成のポイントについてお伝えします。

受注、相談は”人”がベストで、ITでは代替できない

昔と違って、今は、行政手続きがオンライン化していること、業務効率化のためのオンラインツールが普及しており、クラウドワークスなどの外注という手段も増えてきたので、私が司法書士資格を取得した2003年に比べ、スタッフがいないと事務所運営ができないという状況から大きく変わっており少人数でも事務所経営ができる環境は整っています。

提案

しかし、やはり最後に背中を後押し、決断を促し仕事の依頼を受けるという部分は、特に士業の仕事は顧客から見ると単価が安くはないので、「人」に頼むという人的な部分は必要不可欠です。個別相談、受任後の顧客との業務上のコミュニケーションについては、スタッフを育成しなければ、所長や責任者が常に直接対応し続けなければならないという問題がでてしまいます。顧客の前面にたって個別面談してきたいというのであれば個別面談ができる人材育成は不要です。個別面談以外の事務所マネジメントをしていきたい、規模を拡大していきたいのであれば、スタッフが個別相談をし、顧客とコミュニケーションをとるという組織体制に変えていく必要があります。

所長や責任者は、今まで培ってきた知識と経験、スタッフを雇用し事務所経営する責任感があるので、”専門業務”+”周辺業務”+”コミュニケーション能力”これらを兼ね備えています。しかしそれを、スタッフに求めるとなるとどうしても難しい。例えば、私が主力業務として取り扱っている”相続業務”でいうと、法務関係はプロ並みの専門知識があり、そして、相続関係業務周辺の税務リスクを理解しており、この手続きをすると税務リスクが発生するかもしれないという当たりをつけられる、しかも、顧客とのコミュニケーションもでき個別相談を通じて受任受注もできる、そのような人が求人で、自ら応募してくることなどほとんどありません。野球でいうと実力もあって、ファンもいて観客動員も見込める大谷翔平ががいきなり、求人票を見て応募にくることななどないのです。では、どうしたらいいのか?それは、”専門業務”+”周辺業務”+”コミュニケーション能力”この3つを備える人材を育成していかなければならないのです。

面談が大好きで自分でやりたい先生は今は少人数でもやれていける環境が整いつつあるので自分が面談だけをできる環境をつくってしまうという選択肢をとればいいと思います。そうではなく、自分以外にも面談ができるスタッフを育成して、他のこともできる時間を作りたいという先生はここは避けてはいけないポイントです。

”専門業務”+”周辺業務”+”コミュニケーション能力”この3つを備える人材を育成するには?

人材育成は、スタッフにインプット(学ぶ機会)とアウトプット(個別相談の機会)を与え続けるしかありません。かくいう私も、個別面談を数多くこなし自分の時間がほとんどない…そんな毎日を過ごしていた時期がありました。しかしある時から、個別面談を任せる、失敗しても構わないからやらせる、間違えたら全力でフォローするということに切り替えました。

そのために私は下記を経営者の仕事としてとらえ、積極的に取り組みました。

・受任見込みが高い顧客の集客
・自ら申し出た外部セミナーや書籍購入などの全額負担(インプット)
・面談対応の基本は放任、ほぼ任せる(アウトプット)
・面談マニュアル・ツールの整備
・受注した仕事に対して歩合、評価をつける

所長や責任者は、育成するスタッフができる環境、つまり、学ぶためのインプットとアウトプットの場をつくり、圧倒的な量をやらせるしかありません。

受任見込みが高い顧客の集客

集客ができなければ、いくら面談ができる優秀なスタッフを採用しても育成、売上を作る機会ができません。Web、紹介などあらゆる集客媒体を使って受任見込みが高い顧客の集客するのは経営者として取り組むべき優先事項です。ブログ、YouTube、広告、メルマガ、関連業種向けセミナーからの業務提携などあらゆる媒体にチャレンジすべきです。

自ら申し出た外部セミナーや書籍購入などの全額負担(インプット)

セミナー

スタッフ自ら申してきたセミナー受講や書籍は欲しいといわれたら全て購入しています。

また、法務や税務に関して気軽に質問できるよう他の士業事務所と顧問契約を結び気軽に相談できる環境もつくっています。私もそうですが、相手から押し付けられた教材や書籍ってなかなか学んだり、読んだりする決心がつかないことが多いと感じます。基本、コチラから無理やりやらせるのは意味がないと思っています。例えば他人から献本された書籍ってなかなか読めない、しかし、自分で購入した書籍はもったいないから読める、こんな経験ってありませんか?それと一緒で、こちらから一方的に受講させるセミナーはあまり効果がないと思っています。唯一効果があるのは、”入社時のみ”です。入社前にこれは見ておいてください、と事前課題で渡したセミナー動画は当初の意識が高いため勉強してくる傾向があります。

押しつけ型は入社前のみ、入社以降は自分が勉強したいという部分を積極的に応援という形で支援しています。そのほうが、自ら学ぶ姿勢があるので身につくはずです。成長意欲がある人材は、学ぶ場所を提供すればあとは勝手に伸びていきます。

面談対応の基本は放任、ほぼ任せる

個別相談できるスタッフを育てるのであれば、スタッフは所長のサポート役に回してはいけません。個別相談のメインはスタッフということを徹底的に認識させないと、いつまでたっても成長しません。私の事務所でも、全てエンドユーザーの顧客対応は最初から最後までスタッフに任せています。

では、今まで個別相談を所長のみが対応していた事務所はどうすればよいのでしょうか?私がスタッフに個別相談を任せていく教育で行ったことは、最初の窓口は所長である私がなるものの、必ずスタッフを同席させ次回以降の連絡は全てスタッフから行うことを徹底しました。そうすることにより、最初の個別相談は所長、責任者の同席での顧客に対しても窓口となるスタッフにも所長、責任者がいることによる安心感、信用感をもたせつつ、以後の顧客対応はスタッフにさせることにより顧客対応の窓口をスタッフへと順次変えていきます。今は、コロナの影響でお客さん側がzoomやチャットツールなどオンラインツールの利用への理解が進んでいます。そのため、最近私はオンラインツールをつかって育成に役立てています。

コロナ禍以前は、直接事務所や出張の面談、電話、FAX、メールといったやり取りで顧客とコミュニケーションをとるという方法が中心でした。しかし、これだとスタッフと顧客という関係になりやすい傾向があるものの、そのコミュニケーションの過程が見えない(メールだとCCで自分宛てに送ってもらうという方法もあるのですが、意外にお客さんが返信する際にCCで返信していただけないことがあります)、担当者がどのようなコミュニケーションをとっているのかということがわかりづらいのです。しかし、今はリアルタイムにグループチャット上でコミュニケーションできるLINEやchatwork、Messenger、slackなどのツールがあるので、ITツールを活用してグループチャットをつくり、面談も対応もスタッフがメインに任せています。グループチャットの履歴をチェックして、何か間違ったことをやっていそうであれば気付いてアドバイスする、それで十分管理可能です。また、個別相談同席も今はビデオ会議でもできるようになりました。例えば、スタッフと顧客が個別相談する場合で、まだスタッフに自信がない場合には、所長がお客様に挨拶したいとビデオ会議でつないで挨拶する、個別相談に同席するということもできるので育成しやすい環境ができています。

 個別相談という機会を与えて、アプトプットを積み重ねさせることによりなれたらあとはほぼ任せるというフェーズに移行できます。何か失敗やクレームがあったら、所長や責任者が全力でお客さんに対して謝ればいいのです。

サービスの商品化と面談マニュアル・ツールの整備

所長、責任者と異なり、スタッフには価格決定権やサービス内容についての決定権がありません。そのため決まった内容の手続きしか対応ができなかったら、値引きなどの対応もできないのです。しかも、法律や税務など専門業務についても知識・経験が所長や責任者と違いないので、口頭のみで説明することは到底できません。レベルがそもそも違うということを認識した上で、その差を埋め誰でも一律に同じよう説明ができるツールやサービスの商品化の整備が必要です。このサービス内容や値決めの仕方、ツール類の整備は経営者が決めるべき重要な部分です。

このマニュアル化、サービスの商品化については別の記事で詳しく解説していますので、下記の記事を確認してみてください。

士業・専門家サービスで考慮すべき商品・パッケージ化の発想とは!?

受注した仕事に対して歩合、評価をつける

どんなにやる気があるスタッフでも、”新規案件を受注する≒自分の仕事が忙しくなる”ということにつながるので、そのうえで待遇が変わらないではモチベーションが維持できません。かくいう私も、勤務司法書士時代はそうでした。忙しくなり過ぎるから、一定以上は仕事をどうしても意識的に抑えてしまいがちです。固定給を上げるというのも方法の一つですが、一度上げてしまうと下げることは、至難の業です。

 評価の仕方についてそれぞれの事務所ごとに考え方は異なりますが、そのためやはり、仕事の成果として変動費として処理できるよう私は歩合がベストだと考えています。”コミュニケーションができる人材≒営業ができる人材”です。優秀な人材はそれなりの成果報酬がないと自分で独立したほうがいいと感じてしまいます。

歩合という評価があることで、既に述べた自ら学ぶという成長意欲にもつながります。待遇という評価ではなく、安定性を求めている人材は処理など別の場所を提供するという経営側の判断材料にもなると考えています。

まとめ

  • 所長、責任者の時間をつくるには「専門業務+周辺業務の辺りを付ける+コミュニケーション能力」この3つができる人材育成が必要
  • 所長や責任者は、育成するスタッフができる環境、つまり、学ぶためのインプットとアウトプットの場をつくり、圧倒的な量をやらせる
  • 学び(インプット)も面談(アウトプット)も基本は任せる(放任)。成長意欲がある人材は、学び、実践できる場所を提供すればいい
  • 集客、サービスの商品化とツールの整備、評価体制は所長や責任者でなければできない重要な仕事でありこれがないとスタッフは受注できないし、モチベーションにつながらない

今後も、我々の仕事は、行政のIT化やオンラインサービスの充実によって更に仕事の処理的な部分は加速度的に楽になってきます。僕が司法書士試験に合格した2003年は、法務局に行かなければ登記申請も登記簿謄本も取得できないそんな時代でした。今は当たり前ですが、今は、もうオンラインでできるのでいちいち法務局に行く必要がないんです。

こういうことが今後ますます進んでいきます。逆に、手続き面が楽になってきた代わりに、法律の改正など制度がややこしくなっており、専門知識以外の分野の周辺業務もわからないとお客さんい適切なアドバイスや提案ができなくなってきています。

そういった意味でも、「専門業務+周辺業務の辺りを付ける+コミュニケーション能力」この3つを備える人材が求められており、所長や責任者以外にこれらができる人材を育成することが必要となってきています。

次の士業・専門家のビジネスモデルを構築するには!?

新型コロナの影響でリアルからオンラインへと仕事の流れが、大きく変わりつつあります。

時代の流れを受けてオンラインでの集客、チャットツールやZoomなどオンラインの仕事の進め方を本格的に学んでいく必要性があります。

そんな中、下記のような悩みはありませんか?

・新規顧客開拓をし続けるのが苦しい
・手続きビジネスから脱したい
・高額コンサル販売方法がわからない
・WEB・IT活用に苦手意識がある

どのように士業・専門家業務をオンラインに変えて、手続き代行ビジネスからコンサル型ビジネスへと変えていき、継続的な顧客獲得と育成の仕組みを構築していけばいいのか、斎藤が取り組んできた事例を元にWEBセミナーにてお伝えします。

【オンライン開催】
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