インターネットの普及により事務所に来所するお客様の知識レベルが確実にあがってきています
毎月、私の事務所でもエンドユーザー向けセミナーを開催しているのですが、昨年とくらべると質問のレベルが格段にあがってきており、自分で信託契約書を作成し、金融機関に持ち込んだのだが、対応できなかった、どの金融機関であればつくれるのか?
委託者、受託者、受益者、後継受託者も自分で決めているので、あとは契約書だけを作成してほしい、不動産法人化も検討しているのだが、民事信託とどっちが使いやすいのか?といった、かなり踏み込んだ質問を受けるようになってきました。場合によっては、士業事務所のスタッフよりも、詳しい知識レベルを備えていることもあります
これも、やはり、インターネット、書籍、各種セミナーなどで、情報が公開されているということ、そして、今、自分自身に直面している問題だからこそ、今はネットで簡単に情報にアクセスすることができるので、ちゃんと調べて、納得したうえで自分で手続きを行っていきたい、そんな方が増えています。
そうなってくると我々専門家の役割も情報を提供する、手続きを代行する、そんな役目も終わりつつあるのかもしれません
今回の記事のポイントは下記のとおりです。
- 情報の民主化により、顧客の知識レベルが劇的にあがってきている
- 顧客層が①情報弱者と②情報強者の二つに大きく分かれた
- 情報弱者については従来型マーケティングが通用するが、情報強者についてはマーケティング・ポジショニングの在り方を変えていく必要がある
今回の記事を読むことで、変わりつつお客様の状況ととるべき事務所戦略を検討することができるはずです。それでは、どうぞ!
情報強者と情報弱者に分けてマーケティングを考える必要がある
現在、明確に二つの顧客層に分かれてきてています
それは、情報を調べられる層(情報強者)と、情報を調べることが難しい層(情報弱者)です。
以前までは、少し詳しいというくらいのお客様のレベルだったのが、今は、劇的に向上し、顧客が知識を持ち始めています
どちらの層を自社の顧客にするかによって、マーケティングの仕方が変わってきます
自ら情報を調べない、調べられない層(情報弱者)は、インターネットなどで情報収集しない層のため、今までの伝統的、アナログ的なアプローチで対応できます
例.新聞折込、ポスティング、バス広告、テレビ広告、ネット広告、紹介
情報弱者層には、情報が届いていなく、まずは自分たちの行っているサービスがどんなサービスでどんな問題に対して解決できるのか、こういったことを伝えていく必要があります
手続の仕方もやはり自分で調べることが難しいので、士業・専門家の仕事の進め方も、旧来型の情報提供・情報処理の進め方で十分対応できます。従来型のマーケティング、営業手法で十分通用する層です法律による免許などで守られている業務も、その専門家でなければできないので、同様でしょう。
それぞれの専門家の置かれた地域によって情報弱者が多い地域、情報強者が多い地域と対応は異なるでしょうが、情報弱者層に対しては、従来型マーケティングが通用します。
また、紹介という手法は、紹介者の信用を元にビジネスをできるので、情報弱者、情報強者共に効果があります
※BtoBでの紹介獲得方法については、別の記事に詳しく記載していますので、そちらを確認してみてください
ですが、自ら情報を調べる層(情報強者)のお客様については、やろうと思えば、自分で必要な手続きを調べ、手続ができます。そのため、手続きを代行という面での訴求となると格安でやるといった差別化要素しかなくなってしまい、それでは、僕らのビジネスは継続的に成り立たせることは難しくなってしまいます
情報強者に対してどのような立ち位置が必要か?
情報強者については、自分が考えた方法が本当に正しいのか、不安がある自分の親や兄弟に伝えるのは事情があり躊躇している、そういった、何かしらつまずいているポイントがあります
情報はそれなりに持っており、理解力は早く、ビデオ会議やチャットなども対応していただけるので、仕事を進めるという面では、すごくやりやすいです。情報強者の層については、資格業の規制で守られている部分以外の手続代行については、付加価値を感じていただくことは難しいです。
また、過剰な広告は逆に嫌煙されてしまう可能性があります僕自身もネットで検索すると、リマーケティング広告により特定の企業の広告がしつこく、追いかけ続けてくるので、全体にその企業の商品を買わないと心に決めました(笑)情報強者には広告を過剰に行うと、逆にその企業イメージを落とす可能性があります。
情報強者の層については、前提として認知してもらう必要があるので、広告は当然に必要なのですが、認知後に、
“なぜ”、その先生がその仕事を行っているのか
“どんな”、想いで取り組んでいるのか
この“なぜ”の部分が非常に選べれる要素として、今後、重要になってきます
知識もあり、自分で実行することもできなくもない、ひとりでその事実に向き合うことが苦しく、でも、第三者に背中を押してほしい、その部分をこの先生だったら助けてもらえるかもしれない、そんな“想い”の部分、そして、プラスアルファの専門家のノウハウです
物的差別化から質的差別化へ
情報が一瞬で広がり、すぐにマネすることができる時代です。差別化しようとしても、すぐに形はマネできてしまう、そうなってくると、重要になってくるのは、その人でなければ提供できない、簡単には、マネすることができない“想い”、この部分が求めはじめてられています
それが、ブランドとなり、簡単にはマネできない差別化要素となります。なぜならば、スマートフォンも、鞄も、同じ素材を提供すれば、Apple、ルイヴィトンと同じレベルのものをつくることができます。それでも、価格は高くても、iPhone、ルイヴィトンのバックを買うファンがたくさんいますよね。
もう、皆物は持っているから、別に新しいものはそんなにいらないんです。それよりも、その企業、先生がどうしてそのビジネスをしているのか、という想いを知りたいし、その人、企業を応援していきたいんです。
僕も一般向けセミナーで心がけていること、それは、冒頭の自己紹介1分間で、どうして、なぜ、今この仕事をしているのかということを強く伝えています
私の事務所のHPでいうとこの部分です。
この部分を“想い”を込めて伝えていくこと、それをセミナー、HP、メルマガなど、多くのツールで継続的に顧客にポイントポイントで発信していくことで、お客様の聞いて頂ける姿勢がかわります。そして、専門家としてのプラスアルファのノウハウ、エッセンスを伝えることで、受任へとつなげることができます。
このエッセンスの部分は、勉強と経験をつめば、スキルは上がることができるのですが、そもそもそのエッセンスを提供する場を得ることができなければ、そのエッセンスを提供することすらできません。
今までの情報提供型から、共感型へと、時代は変わりつつあります。
まとめ
- 情報の民主化により、顧客の知識レベルが劇的にあがってきている
- 顧客層が①情報弱者と②情報強者の二つに大きく分かれた
- 情報弱者については従来型マーケティングが通用するが、情報強者についてはマーケティング・ポジショニングの在り方を変えていく必要がある
時代の流れとともに、自分たちの仕事のあり方、求められる役割がかわってきます。ずっと同じことをやり続けることができた時代から、時代の変化に伴い、やるべきこと、ポジショニングを柔軟にかえていかなければならない時代へと変わりました。
今回の記事は、ご自身がビジネスを行っている地域によって、変わってきます
競合がいない、まだ、情報が届いていなく、情報弱者が多い地域だと従来型の手法で対応できるので、とるべき手法も変わってきます。ご自身の行うビジネスと環境ここから考えて、次の戦略を打つ必要があります。