最近では、相続や家族信託、生前対策の情報を発信する専門家が増えました。大手税理士法人のブログ、動画、相続税申告10万円台~といった低価格での広告なども目立つ中、オンラインでの競争は激化しつつあります。
同じ規模や資本力がない、中小の事務所では同じ戦略は取れません。特にエンドユーザー(BtoC)対策では、自分の顧客の姿を明確にイメージし、売りたいサービスを見定め、きちんと利益がでる情報でサービス提供できる仕組み作りが必要です。
- 提供するサービスから”今すぐ客”か”そのうち客”を対象にするのか検討する
- 今すぐ客へは、「流入数(SEO対策・広告費)×問合せ率(HP内容改善)」がポイント
- 士業事務所に興味をもった顧客との間で情報発信を通じて継続的な関係を構築し、必要が生じたときに問い合わせを受けられる仕組みをつくるべき
- ”今すぐ客”は価格競争になりがちだが、”そのうち客”は適正対価で受任できるが信用・関係性構築が必要
今回の記事では”今すぐ客”と”そのうち客”の考え方と、”そのうち客”の顧客育成の考え方について解説します。
目次
そのサービスを利用する顧客は”今すぐ客”と”そのうち客”のうちどちらか?を見極める
新規顧客を考える際に考慮すべきポイントとして、具体的に定めた顧客像に加えて、その顧客が自社のサービス提供にあたり、今すぐそのサービスが必要な顧客(今すぐ客)なのか、今はサービスを必要としていないが、将来そのサービスを必要とする顧客(そのうち客)に該当するのかをまずは見極める必要があります。どちらに該当するかによってアプローチ方法が変わってくるからです。
顧客設定の考え方については、別の記事でも解説しています。
”今すぐ客”は流入数と問合せ率を向上させることがポイント
”今すぐ客”は、例えば、会社設立の方法など、すぐ取り掛かるための方法を調べています。
そのため、士業側が行う”今すぐ客”対策としては、問い合わせ数を増やすために、例えばキーワードで検索した時に自社のHPが上位にくるようにSEO施策する、キーワードに広告費用(リスティング広告)を投資するという方法です。そして、より問い合わせが増えるように改善するといった対策をします。
今すぐ客対策としては、この流入数と問合せ率を向上させることがポイントです。ただ、弱点もあり、ネットで簡単に比較されてしまうため、価格競争に陥りやすいという欠点は頭に入れておいてください。
今すぐ客は競合が多く、価格競争に陥りやすい
すぐに自社の売上に繋げていきたいということであれば、士業のサービスが必要な”今すぐ客”をターゲットにすべきです。
例えば、相続税申告、相続放棄、債務整理などの期限や緊急性があるサービスにおいて、顧客は最終的にサービスを利用しなければならないため、無料相談から受任につながる確率も高くなります。じっくり商品を検索している時間がないので、「情報検索→商品申込」までの導線が短く、見込み客の育成などといったプロセスを経る必要はないのです。そのため、「広告」→「HP」→「相談」→「申込」という流れで十分対応可能です。
つまり、「いますぐ客」を狙うとなると、特に、後ほど説明する「顧客育成」というステップを踏まなくても、広告費、マーケティング費用などを費やせば、問い合わせを得て、受任できるのです。しかし、サービスの受任もしやすいことから、競合が多く価格競争になりがちです。例えば、Web広告で”相続税申告 税理士”のようなキーワードを狙う場合には、地域にもよりますが1クリック1000円を超える広告費費用がかかるケースがあります。このようなキーワード狙うことになると、広告費が多額にかかることから広告を出す資本力がないと難しい状況です。
無料で活用できる YouTube や Facebook、Twitter(X)、ブログを活用するという方法もあります。しかし、これらの施策はコストをかけずにスタートできるSNSのメリットを活用できる一方ライバルも多いこと、そして発信しても自分の記事を見てもらえるためにはSEOでの検索順位が上がるなど時間がかかる、といったデメリットもあります。
”そのうち客”からなら適正対価で受任しやすい
”今すぐ客”に対して、”そのうち客”は現時点では情報を収集している状態の顧客です。会社設立でいうと下記のイメージです。
”そのうち客”からはすぐには問い合わせにはつながりづらい
多くの方がWebなどで情報収集していると思いますが、それと同じイメージです。”そのうち客”は情報を収集している状況で、すぐには問い合わせにはつながりません。
Googleなどで検索し、皆さんの事務所の起業に関する情報を伝えるHPの記事(ブログ)への流入にはつながるものの、問い合わせにつながる可能性は”今すぐ客”より低いのです。まだ、情報収集し興味を持っている状態であり、士業サービスが必要な状況ではありません。YouTubeでの動画投稿やSNS投稿も同様で、その投稿には”いいね”がついてもその時点では、問い合わせにつながる可能性が低いのです。ただし、いつまでも仕事につながらないかというというそういう訳ではありません。顧客にとって、いつかそのサービスが必要なタイミングが到来するので、そのタイミングで皆さんのサービスを思い出してもらう必要があるのです。そのため、”そのうち客”に継続的に情報を届ける仕組み作りと導線が必要になるのです。
価格競争に陥らず適正価格で受任したいのであれば、”そのうち客”をターゲットにすべきです。例えば、家族信託や遺言、生前対策などのサービスであれば、認知症が進んでおり至急対応するというケースもありますが、基本的には今すぐ行う必要がない手続きになりがちです。税理士や社労士の顧問契約についても同じ考えができます。新規創業をしこれから申告手続きが必要な状況であれば”今すぐ客”に該当しますが、既存の顧問先がいるクライアントであれば、多少の不満があったとしても顧問先をすぐに変える必要がないので、”そのうち客”に該当します。
”そのうち客”は顧客育成が必要
“そのうち客”は“今すぐ客”と異なり、将来的な必要性はあるものの、今すぐ必要というわけでもないので、すぐには成約になりづらい顧客です。しかし、顧客のタイミングで時期が来た時には、そのサービスが必要な顧客、つまり”今すぐ客”に変わります。そのため、士業事務所に興味関係をもった顧客との間で情報発信を通じて継続的な関係を構築し、必要が生じたときに問い合わせを受けられる仕組みをづくりが必要です。また、紹介先開拓(BtoB)の視点においても、紹介元において今は紹介する案件がないが将来案件が発生したときに思い出してもらうという意味では”そのうち客”に該当します。
顧客との接触頻度を上げ、メルマガやLINEなどによる役に立つ定期的な情報発信を通じて顧客からの先生に対する“信用”をつくっておき、〇〇先生にお願いしたいという、サービスが必要になったタイミングで問い合わせや他のお客様の紹介を受けられれば、競合との価格競争に陥らずに適正対価で受任できます。
まとめ
- 提供するサービスから”今すぐ客”か”そのうち客”を対象にするのか検討する
- 今すぐ客へは、「流入数(SEO対策・広告費)×問合せ率(HP内容改善)」がポイント
- 士業事務所に興味をもった顧客との間で情報発信を通じて継続的な関係を構築し、必要が生じたときに問い合わせを受けられる仕組みをつくるべき
- ”今すぐ客”は価格競争になりがちだが、”そのうち客”は適正対価で受任できるが信用・関係性構築が必要
自分のサービスが”今すぐ客”か”そのうち客が対象か、きちんと判断しておくことによってその後、メルマガやLINEなど情報発信をしつづけ追客をする必要性があるか、ないかといった判断材料にもなります。まず行うべきは、自社のサービスを利用する顧客像の設定です。これがきちんとできると、その後の集客、販促活動を”今すぐ客”か”そのうち客”に向けた販促活動につなげていけます。
リーガルエステートがいかにして家族信託を400件以上受任しているのか?その仕組みとは?
コロナになってからオンライン事業が拡大し、仕事の仕方や家での過ごし方など、さまざまな点で変化が訪れています。こういう大きな過渡期に自分のビジネスを見直すということ。どの経営者でもビジネスマンでも必ずやっていることだと思います。
リーガルエステートも今この転換期にどのように時代に合わせたサービスやビジネスを構築しているのか。それを日々考えているところです。士業・専門家はこれまで手続き代行業務で生計を立ててきました。しかし、今、時代は情報社会。手続き的なものは一瞬にしてWEBメディアで調べ、少し難しい物でもできてしまいます。
では、なぜ顧客は士業・専門家に相談するのでしょうか?
士業・専門家へ依頼するその価値を私達は常に考えなければなりません。
高齢化社会がさらに加速する日本において、多くの人が直面する「認知症問題」や「少子化問題」。
ご家族ごとに状況や家族構成、ご要望が違うことに対し「私はどうやってやればいいのか」というコンサルティングを考えていく。その中でどのように「家族信託」や「成年後見」など生前対策のご提案を提供していくのか、です。
求められているものは、「ご家族円満」。家族信託は一手法です。そのお客様への一つひとつの考え方が家族信託400件の受任につながっている。僕はそう考えています。
見つめ直すきっかけとして、是非本セミナーを活用いただきたいと思います。
下記のような方にお勧めです。
・税金や不動産は専門外で、何が問題となるのか、どのようにお客様に伝えたらいいのか分からない…
・遺言や家族信託はしたが、不動産や税金対策までは見ておらず問題ないのだろうか?
・家族信託など生前対策の実務は学んだが、集客ができない…
家族信託・生前対策受任力アップセミナー
セミナーでは下記の内容を伝えています。
- 相続・家族信託のマーケットの状況
- 士業・専門家業の時代の流れと高収益生前対策案件受任の発想方法
- 家族信託、任意後見、遺言など生前対策提案の活用方法
- 生前対策・家族信託コンサル業務における商品設計のコツとは
- 生前対策・家族信託相談からの不動産提案のポイント
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