競合と価格で比較されない専門性の高い事務所の作り方

スキル

明けましておめでとうございます。

ようやく、コロナの影響から抜け出してきました。コロナの影響で一気に進んだのが、オンラインでの手続きです。補助金申請など一部の手続きではオンラインでしか対応できないものも現れてきました。

オンラインでは面談、手続、事務処理ができるという便利さの反面、ほかの事務所との比較が容易にできてしまう、簡単に比較対照されてしまい最後は低価格で選ばれかねないという事業者側のデメリットがあります。そうなってしまうと、価格競争となってしまいがちです。

今回の記事のポイントは下記のとおりです。

  • 定型代行業務は簡素化、低価格化が更に進む
  • 複雑化した問題が増え始めており、その問題を解決できる専門家が求められている
  • スキルを3つ掛け合わせることで100万人に1人の人財となれる
  • 複数のスキルを身につける方法は、自ら学ぶ方法と外部連携の2つ

士業や専門家事務所の選ばれる専門領域の作り方について解説します。

定型代行業務は簡素化、低価格化が更に進む

アナログでの手続きは当面残るものの、行政機関でのハンコ廃止など手続き業務の簡素化の流れは確実に進んでいきます。その時に我々専門家に求められるものは何なのかということを模索していかなければなりません。

今までは標準的な定型代行業務(登記、記帳代行、申告など)を数多くこなすことで売り上げをあげることができていました。これらは手続きを利用する側が知識がない、手続きが複雑ということから専門家に手続きを依頼していたといった側面があります。

今はネットで情報が掲載されていて、会社設立の際の定款や申請書の作成方法など法務省のホームページの他、専門家のサイトでも詳しく紹介されているので自分でやろうとする方は調べれば自分で設立をすることはできる時代です。

また、僕が司法書士登録をした20年前は約10万円程度で司法書士や行政書士に依頼して会社設立をしているのが一般的でした。ですが、サービスが低廉化し、税理士の先生やマネーフォワードやfreeeなどクラウド会計を手掛ける会社が自社のサービス利用と引き換えに会社設立に無料で対応する といった動きが出ています。僕自身も司法書士でなければ新規ビジネスを立ち上げる際は、無料でできるサービスがあるということをネットで検索し、おそらくそういった会社設立無料のサービスを使うと思います。

会社設立以外にもこの流れはますます進んでいくという方向性は避けられません。
たとえば税理士さんが、相続税申告を受注をする際に、金融機関の名義変更手続きを無料で対応する、不動産相続をサポートする会社が不動産の相続登記を提携する司法書士を活用して格安で提供するなどといったような動きも出始めてます。

お客さんから見れば定型代行業務は経費なので、同じ結果が得られるのであれば経費をなるべくかけたくないという発想になるのはやむをえません。自分で調べればできる情報は自分でやる、自分の時間を使わないで専門家に依頼するのであれば費用はなるべく安くするということは当然の行動です。

この定型代行業務の簡素化と低価格化はますます進んでいくでしょう。
そうなると、費用を安くし、定型業務をさらに大量受注をするための集客コストをかけ、数で売上を上げていくという戦略を続けていかなければいけなくなってしまいます。

そうではなく、高単価のコンサル型業務に取り組んでいくという方法もありますが、そのためには高単価でもその先生に依頼をする理由づくりが必要です。

複雑化した問題が増え始めており、その問題を解決できる専門家が求められている

その中で考えなければならないのは、「なぜ、あなたにお願いする、相談をするのか?」ということ、つまり選ばれる理由作りです。

相続業務であれば資産承継、節税、財産管理、渉外相続、不動産問題、企業法務であれば会社法の他に法人税、融資、マーケティング、人事労務など多くの問題が発生します。今までは各分野ごとにそれぞれの専門家がいてそれぞれの専門家が手続きを代行してました。

そのため、これまではそれぞれの専門家が行う業務は自身の専門分野だけ、他の分野はその分野の専門家が行うこのような対応で十分だったのです。ですが、時代がかわり問題が複雑化しつつあり、例えば、海外にいる方が亡くなり日本に居住している相続人が財産を相続した、など資産承継、税金、渉外法務などが密接に関していて切り離すことができない、そういった相談が増えてきています。

この複雑化した問題を解決できる専門家が求め始められているのです。

ですが、そういった問題にコンサル型業務として対応できる専門家が意外と少ないのです。
税金相談は税理士のみが行う、登記業務は司法書士と弁護士が行うなど既存の業務はできるものの専門分野以外はできない、自らの業種の枠にとどめてしまっている先生が多く感じます。

僕自身も、首都圏で開業したということもあり、不動産の価値が高いことから相続業務で相続税がかかる見込みがあるお客さんが多くいました。その方達から数多くの相談を受けていて気づいたのが、自分が持っている民法や不動産登記法の知識だけでは解決できないのです。

生前対策として遺言を作ったとしても亡くなった時には相続税が確実にかかります。不動産も今後空き家となることが見込まれている、場合によっては売却や活用も検討しなければならない、そういった問題に資産承継対策としての遺言や財産管理対策としての任意後見・信託契約だけでは対応できないのです。

今までは自分の分野ではないからできない、避けていたことを自ら対応する意識に変えていく必要があります。当然、各業法の問題があるので業法は遵守したうえで、必要な部分は他士業の先生などとの連携対応は必要です。

では、お客さんから選ばれる専門家となるためには、どうすればいいのでしょうか?
それは、それぞれの分野の軸をいくつも積み立てていくという発想です。この話は、100人に一人のスキルを三つかけ合わせれば、100万人に1人の人財になれる、という教育改革実践家の藤原 和博原さんの話が参考になります。

自分を100万分の1のレアカード化させよ――藤原和博氏が語るAI時代にも価値を創出する働き方

たとえば、司法書士であれば、登記という専門性をもっています。その「登記」に加えて「資産税」を知識に加えていく、そうすると、資産税のことを理解できる司法書士になれます。更に「不動産」の知識を加えると下記のような業務に取り組むことができます。

個人間で不動産を贈与したい、親族間売買をしたいといった相談においても、いくらで売却すれば税務コストを削減できるのか、登記簿記載どおり、1筆の土地として譲渡した方がいいのか、もしくは不動産活用上分筆して一部譲渡をした方がいいのかなど多面的な判断ができるようになります。

「登記」×「資産税」×「不動産」、この3つが理解できていて対応できる司法書士はほとんどいません。
仕事を紹介する場合も登記のみらなず全体をコーディネートしてもらえる先生にお願いしたいと当然考えるはずです。この掛け算の「〇〇」の部分が増えれば増えるほど、唯一の存在になってきます。

成年後見や財産管理に得意な先生も、この専門性に加えて年金や保険のほかに、格安通信会社の利用による通信費削減や公共料金などお金の収支バランスの見直しまで踏み込めていける提案ができれば高齢者の財産管理だけでなくお金の管理に詳しい、専門家として認知されます。
更に、裁判所での実際の実務なども理解できていれば、実際に紛争時にどのような立証が必要かをも見据えて対応ができるようになります。

このように一つのスキルだけではなく、複数のスキルを掛け合わせることで誰でも唯一無二の専門家になれるのです。

僕自身ももともと、資格予備校で司法書士試験の講座を担当していました。その前提があったのでセミナー資料の作成や講演もできますし、サラリーマン時代営業も行っていたので開業後の営業活動ができました。その時点で、「司法書士」×「講師」×「営業」のスキルがあったのです。

更に、相続業務で資産税の理解の必要性を感じ、税務を学び、と一つずつスキルを身に着けていき、今では相続・生前対策業務は財産管理対策として信託のみならず、税理士や不動産コンサルタントと連携して不動産活用や管理対策提案、事業承継対策など行っています。また、、セミナー講演とその事業の運営や、企業法務についても登記手続き、事業承継対策のみならず、マーケティングやIT化促進のお手伝いなど行っています。

自分の資格という枠にとどまらない、複数のスキルを持つという発想が必要です。

複数のスキルを身につけるためには何をしていけばいいのか?

この複数のスキルのひとつは自分の元々もつ専門分野です。
だから、やるべきことは自分の専門分野以外のスキルに対応できる方法をつくるということです。

その方法としては僕自身、下記二つを実践してきました。

①自ら学ぶ
②外部のプロと連携する

①自ら学ぶ

人は、どうしても新たに知識を学ぶことは億劫になりがちです。今、差し迫ってその知識を必要とする環境にならないと勉強をする気になれません。だから、まず最初に取り組んで欲しいのは、 自分が現在取り組んでいる業務と関連する知識です。相続業務であれば資産税、企業法務であれば融資や補助金、許認可などゼロからイチを作るのではなく、今ある業務の密接に関連する知識を身につけてほしいと思います。

そうすることでその仕事についてのイメージが膨らむことから、お客様との相談の幅、提案の幅も広がりますし、そのスキルを複数立てることによって他の専門家との大きな差別化につながります。まずは、仕事であたった業務に対して逃げず、興味をもって没頭して調べることを繰り返すことで知識が広がっていきます。

②外部のプロと連携する

業法上の問題があるので専門分野以外は外注、連携できるような仕組みを作っておきます。また、 あえて共同受任や有料の顧問契約をその道のプロと締結するという方法もあります。

取り組んだことがない案件はやはり最初は不安です。お客さんに迷惑をかけないためにも、僕自身も初めて行う業務はその道で活躍しているプロの先生に見てもらって共同受任という形で手掛けています。

また、僕自身も法務の専門家ですが、弁護士と顧問契約を結んでいます。司法書士の立場なのでどうしても実務としての相続業務・予防法務や企業法務などに携わることが多いです。内容によっては将来相続の問題や労務紛争、刑事事件に発展しそうな案件相談などにも携わることがあり、将来訴訟になった場合にどのような観点で資料などを取り揃えておくべきかなどを相談しています。実際の案件をその道に詳しい先生と一緒に手がけていくことで実際の実務の流れを学ぶことができます。

このように自分の専門分野以外についても対応できる幅を持つことで、この先生に相談すれば何か解決ができるという信頼を作ることができるのです。自分の専門分野以外でもまずは相談を受けるという川上のポジションを作ることが重要です。

どうしても全て自分で対応しなければならないという意識が士業や専門家の先生には強いですが、全て自分の事務所でやる必要はないのです。

その先生にしかできない業務は専門領域を複数持つことでつくることができます。そして、その先生が知っているノウハウを情報発信していくことでブランド化・権威性につながっていくのです。

まとめ

  • 定型代行業務は簡素化、低価格化が更に進む
  • 複雑化した問題が増え始めており、その問題を解決できる専門家が求められている
  • スキルを3つ掛け合わせることで100万人に1人の人財となれる
  • 複数のスキルを身につける方法は、自ら学ぶ方法と外部連携の2つ

昨年の年始と今年とでは置かれた環境が大きく変わりました。時代の変化に合わせて僕らの仕事もより、複雑化した問題に解決ができる専門家へと変えていく必要があります。変化の時代で必要なことは、時代の変化に合わせて自らを変えていくことです。

まずは、できることから始めていきましょう。

次の士業・専門家のビジネスモデルを構築するには!?

士業は、資格という安定した肩書があるからこそ、国民に広く信頼されており今の士業という仕事があります。

その反面、どうしても資格という枠に捉われ過ぎがちな面があり、本当は色々できるのに、チャレンジできる土台があるのに、〇〇士は〇〇いう業務しかできないという、自分の枠を狭めてしまっていがちです。そして、ある程度、地域の信用を得て仕事を受注できるようになると、「こんなものでいいかも・・・」と思い込んでしまい、小さくまとまってしまいがちです。でも、本当は先人たちがゼロから築きあげた資格、その信用があるから今があり、次の時代の士業につないでいく責任があります。

インターネットが普及し、民間会社がリーガルテックの分野に参入してくるなか、士業はそのまま何もしないでやられっぱなしでいいのか??そんな訳はありません。

なによりも危険なのは変化をしないこと、新たなチャレンジに勇気をもって踏み出せなくなることです。

チャレンジするということは、当然、失敗する可能性も含まれます。
でも、失敗して失うものなど、たかが知れています。

今後、我々は時代の流れを受けてチャットツールやZoomなどオンラインの仕事の進め方を本格的に学んでいく必要性があります。

そんな中、下記のような悩みはありませんか?

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どのように士業・専門家業務をオンラインに変えて、手続き代行ビジネスからコンサル型ビジネスへと変えていき、継続的な顧客獲得と育成の仕組みを構築していけばいいのか、斎藤が取り組んできた事例を元にWEBセミナーにてお伝えします。

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