インターネットの普及により事務所に来所するお客様の知識レベルが、確実にあがってきています
私の事務所は首都圏にあり、エンドユーザー向けオンラインセミナーを開催しているのですが、質問のレベルが格段にあがってきており、任意後見と家族信託の違いは?年金はどのように管理すればいいのか?など、無料相談での対応が家族信託や遺言の制度の説明というよりも、むしろピンポイントで自分の家族でどのように活用できるのかという形に変わってきていることを実感しています。
場合によっては、士業事務所のスタッフよりもお客さんが詳しい知識レベルを備えている、そんな状況が出始めています。また、その一方で一から制度説明が必要な顧客もいます。この情報をもっており詳しい顧客と、情報がなく一から説明が必要な顧客、以前よりもむしろこの差が大きくなってきているんです。
今回の記事は下記のとおりです。
- 事前に情報を調べて問い合わせをしてくる情報強者とそうでない情報弱者の格差が更に大きくなっている
- 集客を考えるにあたっては情報強者に対しては信用が一番大事、情報弱者に対してはまず情報を届けること方法を考える
- 皆が同じサービスを提供してしまう時代、重要なのは信用を積むこと、そしてファンをつくること
今回の記事を読むことで、変わりつつお客様の状況ととるべき事務所戦略を検討することができるはずです。
それでは、どうぞ!
情報強者と情報弱者の格差が更に大きくなっている
現在、明確に二つの顧客層に分かれてきてています。
それは、情報を調べる層(情報強者)と情報を調べることが難しい層(情報弱者)です。
みなさんも思いあたりませんか?そういえば紹介案件や紙媒体などは一から制度説明が必要だが、ネット経由のお客様は調べて問い合わせをしているので制度説明の必要性がないということに。
以前までは、少し詳しいというくらいのお客様のレベルだったのが、今は、劇的に向上し、顧客が知識を持ち始めています。インターネット、書籍、各種セミナーなどで情報が公開されているということ、そして、今、自分自身に直面している問題だからこそ、今はネットで簡単に情報にアクセスすることができる時代です。
情報を調べて検索して問合せをしてくる顧客に対しての、我々が行う相談の役割では、その顧客自身の仮説をもとに考えたことの答え合わせと、その専門家に本当に頼んでいいのかという確認作業にかわりつつあります。正解をもう知っているんです。そうなってくると我々専門家の役割も情報を提供する、手続きを代行する、そんな役目ではなく、あとはその先生に依頼していいのかという信用を得られるかどうかという問題になります。
その一方で知識がない、自ら情報を調べることができない顧客もいます。
情報弱者層には情報が届いていなく、まずは自分たちの行っているサービスがどんなサービスでどんな問題に対して解決できるのか、こういったことを伝えていく必要があります。
このようにすごく詳しい顧客と詳しくない顧客、つまり情報格差が今大きく広がっているんです。
情報強者と情報弱者はアプローチ手法が異なる
士業や専門家事務所のアプローチ方法を大きく分けると次の3つがあります。
・折込チラシ、地域誌、看板、新聞、テレビ、ラジオなどアナログの媒体
・ネット広告、HP、ブログ、SNSなどのWeb媒体
・紹介
情報強者と情報弱者それぞれにアプローチする方法が異なります。
情報強者に対しては信用が一番大事
情報強者は情報を自ら調べています。
そのため、その顧客の信用を得るためには定期的な情報発信が必要です。誰でも同じサービスを模倣して提供できる、特に士業は差別化が難しいからこそ、価格ではなく信用で受託できるファンづくりが必要になってきます。インターネットでサービス、価格の比較が簡単にできるからこそ、価格で勝負しないのであれば、この人に頼みたいという信用を積むのが一番大事です。
情報発信型の集客については別の記事で詳しく解説していますのでコチラを確認してみてください。
信用がなければ価格での勝負になってしまいます。自分の信用がなければ、他人の信用で営業するという方法もあります。紹介であれば、紹介元が顧客に対して持っている元々の信用があるからこそ、その信用を借りて営業ができます。
自ら信用をつくるか、他社の信用をかりるか、信用を積むことがポイントです。
情報弱者に対してはまず知ってもらうことが大事
情報弱者は情報を調べる範囲も自分の生活の身近な範囲に限られます。
情報弱者に対しては、このネットの時代で情報が届かないからこそ、折込チラシ、地域誌、テレビなどのアナログ媒体でアプローチする、ゴリゴリに自社のこと、そして提供するサービスで何が解決できるかを知らせるといったことが重要です。どうやって知ってもらうかその方法の模索が必要です。
そもそも知らない、もしくは情報を得るルートが限られているから、情報を届けることが一番重要なんです。
情報を届けるという意味では、葬儀社、金融機関、他士業からの紹介もルートの一つです。
紹介は、情報弱者にもアプローチするということにも使えるし、情報強者に対しては紹介元が顧客に対して持っている元々の信用があるからこそ、その信用を借りて営業ができます。そのため、紹介ルートは情報弱者と情報強者どちらにも通用するめちゃめちゃ強い営業方法だと考えておいてください。
事務所の集客も、自社の顧客は情報弱者を相手にするのか、それとも情報強者を対象にするのか、によって取り組む手法が変わってくるのです。自社の顧客はどちらを対象とするのか一度見直してみる必要があります。
自分の事務所の地域の特性をみて、どちらのアプローチ方法が有効なのか、一度検討してみましょう。
信用の重要性が増している
情報が一瞬で広がり、すぐにマネすることができる時代です。
差別化しようとしても、すぐに形はマネできてしまいます。同じようなサービスがあふれかえっています。
これまで、情報強者は信用、情報弱者は情報を届けるということが大事ということを伝えてきました。情報強者は詳しい説明が不要、情報弱者は説明が必要、その違いはあるものの、相談後を通じて信用をしてもらわなければ仕事にはつながりません。そのために“なぜ”、その先生がその仕事を行っており、“どんな”、想いで取り組んでいるのか、この“Why”の部分が非常に選ばれる要素として、今後、重要になってきます。
知識もあり、自分で実行することもできなくもない、ひとりでその事実に向き合うことが苦しく、でも、第三者に背中を押してほしい、その部分をこの先生だったら助けてもらえるかもしれない、そんな“想い”の部分なのです。その人でなければ提供できない、簡単には、マネすることができない“想い”、この部分が求められ始めています。それが、ブランドとなり、簡単にはマネできない差別化要素となります。
だって、スマートフォンも、鞄も、同じ素材を提供すれば、Apple、ルイヴィトンと同じレベルのものをつくることができます。それでも、価格は高くても、iPhone、ルイヴィトンのバックを買うファンがたくさんいますよね
もう、皆物は持っているから、別に新しいものはそんなにいらないんです。
それよりも、その企業、先生がどうしてそのビジネスをしているのかという想いを知りたいし、その人、企業を応援していきたいんです。僕も一般向けセミナーで心がけていること、それは、冒頭の自己紹介1分間でどうして、なぜ、今この仕事をしているのかということを強く伝えています。
この部分を“想い”を込めて伝えていくこと、それをセミナー、HP、メルマガなど、多くのツールで継続的に顧客にポイントポイントで発信していくことで、お客様の聞いて頂ける姿勢が変わっていきます。
そして、一度の相談に対して親身に対応することが求められます。
当たり前と思うかもしれませんが、どうしても手続代行として数を多くこなすということを中心にとらえると、必然的に顧客と対応できる時間は限られてしまいます。そうではなくて、一人のお客さんに対して徹底的に向き合うことで信用を得る、これが次の紹介、リピートへとつながっていきます。
僕自身も、僕指名のお客様が来た時やリピートのお客様は、既に自分や事務所のファンになっていただいてるので受任率が劇的にあがります。あとは、本当に信用ができるのか、依頼をしていいのかというその確認作業だけになるのです。
まとめ
- 事前に情報を調べて問い合わせをしてくる情報強者とそうでない情報弱者の格差が更に大きくなっている
- 集客を考えるにあたっては情報強者に対しては信用が一番大事、情報弱者に対してはまず情報を届けること方法を考える
- 皆が同じサービスを提供してしまう時代、重要なのは信用を積むこと、そしてファンをつくること
時代の流れとともに、自分たちの仕事のあり方、求められる役割がかわってきます。
一つの資格をとってしまえば、生涯安定できた時代から時代の変化に伴い自らの立ち位置をを柔軟に変えていかなければならない時代へと変わりました。今回の記事の内容が、あなたがビジネスを行っている地域によって変わります。
競合がいない、まだ、情報が届いていなく情報弱者が多い地域だと、まずは情報を届けるという従来型の手法で対応できます。でも、競合があふれている地域では、価格だけで選ばれないようにするためには、選ばれる理由作りが大事です。