士業・相続専門家が知っておきたい相続登記義務化改正の3つのポイント

所有者不明土地が発生する大きな原因として、法務省によると不動産の相続登記がされないことが約66%が相続登記がされないこと、そして、約34%が住所変更登記がされないことして上げられています。

そこで、相続登記と住所変更登記の義務化、所有者の連絡先情報の把握のための法案が2021年2月10日に法制審議会民法・不動産登記法部会第26回会議において決定され、その後閣議決定及び国会での法案成立を経て、2023年度には施行される予定です。

今回の記事のポイントは下記のとおりです。

  • 相続による不動産取得を知ったから3年以内に手続きを相続登記をしないと10万円以下の過料の対象となる
  • 住所変更登記も義務化され、2年以内に手続きをしなければ5万円以下の過料の対象になる
  • 義務化とセットで登記権利者のみの単独申請を認めるなど登記手続きの簡略化が予定されている
  • 不動産の所有権移転登記時に生年月日や海外居住者の連絡先の情報提供など連絡先確認のための情報の情報の提供が必要となる
  • 所有している不動産の一覧情報(所有不動産記録証明書(仮称))を本人又は相続人から法務局に対して交付を請求できる

今回の改正は、登記の義務化の他、民法の改正も含まれています。
今回の記事では、相続や不動産などを専門とする士業・専門家が知っておきたい登記義務化のポイントについて解説していきます。

登記義務化の3つのポイント

登記義務化

兼ねてから相続登記と住所変更登記を義務化することが検討されてきており、2021年2月10日に法制審議会民法・不動産登記法部会第26回会議において民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案(案)が決定されました。

所有者の情報を正確に反映させ、連絡をとれるようにするための方策として、要綱案における不動産登記の義務化に関連するポイントは下記のとおりです。

①相続登記の義務化
②住所変更登記の義務化
③法務局への所有者の生年月日、海外居住者の連絡先の提供

以下、それぞれについて解説していきます。

相続登記の義務化の改正ポイント

相続登記

相続登記の義務化に伴う改正ポイントは下記のとおりです。

相続(相続人が遺贈を受けた場合も含む)による不動産取得を知ってから3年以内に登記をしないと10万円以下の過料の対象

今まで相続登記には期限がなかったのですが、法改正後に相続により不動産の所有権を取得した者は、相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内に不動産の相続登記をしなければならず、10万円以下の過料の対象となります。これは、遺言などの遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も同様です。

実務上、法定相続分による法定相続登記を申請した後に、遺産分割が成立したときは不動産を取得した者へ名義を変更する登記手続きを行いますが、この登記についても3年以内というルールが設けられました。

相続登記をする義務は免れる相続人申告登記(仮称)制度が創設

速やかに相続登記をできない場合には、相続人であることを申出をすれば相続登記をする義務は免れる制度((相続人申告登記(仮称))が設けられました。この申出がされた場合には、法務局(登記官)が登記記録に申出をした者の氏名住所などが記録します。

申出をした者がその後遺産分割協議が成立し不動産の所有権を取得した場合には、遺産分割の日から3年以内に登記をしなければなりません。

遺贈や法定相続登記後の遺産分割による更正登記が簡略化

遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)の所有権の移転の登記と法定相続登記後の遺産分割、相続放棄などの事由による所有権更正登記について不動産登記法上、他の相続人等との共同申請を求められていたものが簡略化されて、登記権利者が単独で申請することができるようになります。

住基ネットで、登記官が登記記録上の所有者が権利能力を有しないこと(死亡など)を把握した場合には、職権でその旨を登記記録に表示することができる

住民基本台帳ネットワークシステムで、登記官が登記記録上の所有者が権利能力を有しないこと(死亡など)を把握した場合には、職権でその旨を登記記録に表示することができるようになります。

住所変更登記の義務化の改正のポイント

住所変更登記

所有者の住所氏名変更登記の義務化に伴う改正ポイントは下記のとおりです。

自然人、法人がの住所氏名変更登記が義務化され、2年以内に手続きをしなければ5万円以下の過料の対象

不動産所有者の氏名、名称、住所等について変更があったときは、その変更があった日から2年以内に氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければなりません。

登記官が住基ネット、商業・法人登記システムで把握した住所氏名等の変更情報を元に職権で登記できる

登記官が住民基本台帳ネットワークシステム又は会社などの法人情報を管理する商業・法人登記のシステムから所有者の氏名及び住所についての変更の情報を把握したときは、職権でその住所、氏名などの変更登記ができるようになります。ただし、所有者が個人の場合には、個人の申出があるときに限られます。

法務局への所有者の生年月日、海外居住者の連絡先の提供

通常の不動産登記に必要な情報に加えて、別途生年月日等の情報提供が義務付けられます。
詳細は下記のとおりです。

不動産取得時に自然人は生年月日等の情報の提供が義務付けられる

新たに不動産の所有権を取得する自然人は、登記申請時に氏名、住所の情報に加えて、生年月日等の情報の提供を求められます。個人の生年月日は登記記録上には公示されませんが、法務局内部において保有するデータとて取り扱われます。

そのデータは、法務局が他の公的機関から所有者の死亡に関する情報や氏名住所の変更した情報を取得するために活用されます。法務局に提出された氏名、住所、生年月日などの情報を元に住民基本台帳ネットワークシステムにおける定期的なデータ照会及び検索用のキーワードとして利用される予定です。

商業・法人登記のシステム上の会社法人等番号が登記記録に記録される

所有者が会社など法人であるときは、商業・法人登記のシステム上の会社法人等番号が登記記録に記録されます。

海外居住者は、その国内における連絡先(第三者も含む)を申告が必要。その連絡先が登記記録に記録される

不動産を取得する者が海外居住者の場合には、その国内における連絡先となる者の氏名又は名称等の申告及び登記が必要となります。
連絡先としては第三者も指定することができ、第三者の氏名又は名称、住所を登記することができます。
第三者を連絡先として登記するためにはその第三者の承諾があること、そしてその第三者が国内に住所を有することが要件とされています。

所有不動産の一覧情報(所有不動産記録証明書(仮称))が発行される

所有不動産の一覧情報(所有不動産記録証明書(仮称))を本人又は相続人から法務局に対して交付を請求できるようになります。

これまでの実務として固定資産税課税明細(名寄せ)を各市区町村で取得することにより、対象者の所有不動産を把握できていましたが、私道など非課税地については漏れているなどの課題があり、不動産権利証や隣地の登記記録を確認するなどで財産状況を確認していましたが、法務局で、所有財産一覧を発行してもらえるようになります。

しかし、実際には、住所と氏名が一致していなければ財産の紐づけができないため、現時点における登記記録上の住所氏名が変更されていないものがあることも想定されるため、正確な情報を反映しているかどうかは技術的な問題があります。そこで、当面は今までと同じ調査は併行し、名寄せと同じく所有不動産記録証明書は参考情報という形で利用することになりそうです。

まとめ

  • 相続による不動産取得を知ったから3年以内に手続きを相続登記をしないと10万円以下の過料の対象となる
  • 住所変更登記も義務化され、2年以内に手続きをしなければ5万円以下の過料の対象になる
  • 義務化とセットで登記権利者のみの単独申請を認めるなど登記手続きの簡略化が予定されている
  • 不動産の所有権移転登記時に生年月日や海外居住者の連絡先の情報提供など連絡先確認のための情報の情報の提供が必要となる
  • 所有している不動産の一覧情報(所有不動産記録証明書(仮称))を本人又は相続人から法務局に対して交付を請求できる

この相続登記・住所変更登記の義務化については、我々専門家としては知っておくべきポイントです。2019年の相続法改正で遺産分割や遺贈等を伴う相続登記、名義変更について登記の対抗力付与の問題とセットで認識しておくべきポイントです。

今回の改正は、不在所有土地問題と密接に関連する共有関係の整理など民法の改正も踏み込まれています。相続実務家としては、改正要綱案は確認しておくべき内容なので、一度内容を確認しておくことをおススメします。

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平成27年の相続税の改正に伴って、相続税申告の対象になる方は、全国で11万人規模に達し、相続相談を受けている中でも、相続税を心配する方も多いのではないでしょうか。税理士ならそれを素直に受け答えすればよいですが、それ以外の士業や専門家になると、「餅は餅屋に」ということですべて税理士に任せがちな先生も多いのではないでしょうか。

しかし、家族信託を含む生前対策や相続対策のコンサルティング業務をやっていきたいと考えている方は、税理士にすべてを任せていては、お客様の希望に沿った最適な提案ができない、といっても過言ではありません。お客様のご家族関係や資産状況を聞いて、問題点や課題を発見し解決策を提示するには、税務の概要と組み立て方は理解しておく必要があります。

今回、㈱イケダアセットコンサルティング 代表取締役兼公認会計士 池田幸弘 氏をゲスト講師にお迎えして、「生前対策提案の際にこれだけ知っておいたらいい」という基本的な対策方法、特例、さらに、2021年の改正ポイントも合わせて解説いただきます。

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・初回相談のキモ。財産状況と相続税の概算の把握の方法
・家族関係から、遺産分割案と財産管理対策を考慮する
・相談時のキモは財産切り離し対策と財産評価減対策
・小規模宅地、配偶者軽減など税務特例をフル活用するポイント
・相続専門家が押さえておくべき2021年税制改正のポイント

【日   程】:2021年3月17日(水)
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