相続法改正!士業・専門家が気をつけるべきポイントとは!?

今回の記事のポイントは次の通りです

  • 新法適用の判断基準の大原則は相続開始時点でみる!
  • 取引の円滑を重視する規定は、法改正以前の相続についても新法を適用する
  • 本人(被相続人)の意思を重視する規定は、遺言、贈与などの作成時期は法改正後であることが求められている

法律の適用を間違えると、対応方法も異なってしまうのです今回の記事は、意外と見落としがちで、実務家に影響がある法改正のポイントと施行日の注意点と考え方についてお伝えします。それでは、どうぞ!

新法適用の判断基準の大原則は相続開始時点でみる

相続法改正については、原則的な法律の施行日を2019(令和元)年7月1日と指定しています。そのため、まず大原則としての考え方は、相続法改正(2019年7月1日)以前に開始した相続は、旧法が適用され、改正前(6月30日まで)は旧法で対応します

附則第2条この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。

そのため、発生した相続が2019(令和元)年7月1日以前か、それとも以後に相続なのかというようにまずは、判断することが必要です。

しかし、その例外として、施行日以前の相続や遺言についても新法が適用すべき規定がありますここからは、2019年7月1日改正により、法改正日以降の取り扱いとして士業・専門家の実務に影響がでてくるものについて、主な改正点と適用時期を紹介していきます。

共同相続における権利の承継の対抗要件(新法第899条の2)

従来は、法定相続分と異なる内容の遺言を作成した場合、登記など対抗要件を備えなくても第三者に権利を主張できました(最判平5.7.19、最判平14.6.10)。しかし、改正後は、遺言を作成したとしても、遺産分割と同じく、法定相続分を超える部分については、登記などの対抗要件を備えなければ、第三者に対抗できなくなります。


そのため、遺産整理、相続手続き、遺言執行などの7月1日以降、依頼を受けて仕事をする場合には、売買、贈与などの取引と同様に債権者など第三者の存在が想定される場合には、登記手続きについては迅速に行う必要があります。

ただし、新法第899条の2第2項の預貯金等の債権を承継した共同相続人の一人による債務者に対する債権承継の通知の通知の部分については、附則第3条により、改正前の相続についても適用されます。

(共同相続における権利の承継の対抗要件に関する経過措置)附則第3条第1条の規定による改正後の民法(以下「新民法」という。)第899条の2の規定は、施行日前に開始した相続に関し遺産の分割による債権の承継がされた場合において、施行日以後にその承継の通知がされるときにも、適用する

上記も含めて、ここから先の改正法の適用については、その例外規定を理解する際のポイントがあります。

①取引の円滑化が求められる規定取引に関する手続については、取引の円滑化を鑑み2019年7月1日以降に行われる場合には、改正前の相続においても、改正後の法律が適用される

②本人(被相続人)の意思を重視する規定2019年7月1日法改正後の相続であったとしても、遺言、贈与など本人の意思を重視するものについては、法改正後に当該遺言等を作成しなければ、新法の適用はない

上記を頭の片隅に入れながら、確認していくとわかりやすいです(^^)/

配偶者に対する居住不動産の贈与等についての持ち戻し免除推定(改正法903条)

婚姻期間20年以上の夫婦が、配偶者に居住の用に供する建物又は敷地を遺贈又は贈与(死因贈与を含む)したときは、特別受益の持戻し免除の意思が推定されます。
しかし、改正前の贈与等については適用されないため、2019年7月1日改正後に相続が開始された場合でも、改正前にされた生前贈与や改正前に作成された遺言に基づく遺贈については適用がありません

これは先ほど挙げたルールでいうと、本人の意思の尊重ですね(^^)/

(夫婦間における居住用不動産の遺贈又は贈与に関する経過措置)附則第4条 新民法第903条第4項の規定は、施行日前にされた遺贈又は贈与については、適用しない

預貯金債権の仮払い制度の創設(改正法909条の2)

 

預貯金債権のうち、その相続開始の時の債権額の3分の1に当該相続人の法定相続分を乗じた金額について、各共同相続人はほかの共同相続人の同意がなくても単独でその払い戻しを受けることができます(各金融機関ごとに150万円が限度)。

権利行使をした預貯金債権は、当該相続人が遺産の一部の分割により取得したものとみなされ、精算されることになります。
この規定は相続開始日の改正前後を問わず、2019年7月1日改正日以降の預貯金債権行使の手続きに適用されます
これは、取引の円滑化ですね(^^)/

附則第5条 新民法第909条の2の規定は、施行日前に開始した相続に関し、施行日以後に預貯金債権が行使されるときにも、適用する。

相続人への通知義務(改正第1007条)

遺言執行者の権利義務(改正第1012条)改正後は、遺言執行者がその任務を開始した時は、相続人に対し遅滞なく、執行者に就職する場合でも、遺言の内容を通知をする必要があります。

この規定は、2019年7月1日改正以前の相続に関して、法改正後に遺言執行者になる場合でも適用があるので、実務家は注意が必要です。

これも、取引の円滑化ですね(^^)/

(遺言執行者の権利義務等に関する経過措置)附則第8条 新民法第1007条第2項及び第1012条の規定は、施行日前に開始した相続に関し、施行日以後に遺言執行者となる者にも、適用する。

特定財産に関する遺贈の執行(改正1014条2~4項)

いわゆる相続させる旨の遺言のうち、遺産分割方法の指定として特定の財産の承継が定められたもの(特定財産承継遺言)がされた場合における登記など対抗要件を備えるために遺言執行者が相続登記など申請することができる権限が付与されました。(改正前は遺言執行者には登記申請権限はありません)

しかし、その権限は、2019年7月1日相続法改正後に相続が発生した場合でも、法改正以前に遺言が作成された場合は適用されません。つまり、2019年7月1日以降に作成された遺言のみ適用されます。権限付与は、本人の意思の尊重ですね(^^)/

(遺言執行者の権利義務等に関する経過措置)附則第8条2項
2 新民法第1014条第2項から第4項までの規定は、施行日前にされた特定の財産に関する遺言に係る遺言執行者によるその執行については、適用しない。

遺言執行者の第三者への復任権(改正第1016条)

改正前は、遺言の中で第三者に任務を任すことができる旨の規定(復任権)がなければ、その事務手続きを代理人として専門家などにやむを得ない事由がなければ、任せることはできませんでした。そのため、実務上、復任権を遺言の中に明記して対応していることが多かったと思います。

改正後は、遺言の内容に復任権の明記がなくても、遺言執行者の判断で第三者に任せることができます。しかし、この規定は2019年7月1日の法改正後に相続が発生したとしても、法改正以前にされた遺言については適用がないため、法改正以前の遺言については、遺言の内容に復任権があるかどうか確認が必要です

権限付与は、本人の意思尊重ですね(^^)/

附則第8条第3項
施行日前にされた遺言に係る遺言執行者の復任権については、
新民法第1016条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

遺留分請求の取り扱い(改正第1042~1049)

①遺留分請求の効果

改正前は、遺留分減殺請求権は、行使すると当然に物権的効果が生じました。
つまり、遺留分減殺請求権を行使された受遺者又は受贈者(以下、「受遺者等」といいます)は、遺留分権利者に対して、遺留分侵害価額弁償ができない場合には、 対象財産について、現物の返還もしくは共有関係の発生の問題が生じました。

改正後は、遺留分権利者は、遺留分侵害額に相当する「金銭」の支払いを請求することができる、遺言等の対象財産は、返還の対象ではなく、金銭で解決することになります。
そのため、遺留分侵害額請求を受けても、対象財産は、受遺者等の単独所有となり、共有関係も発生しません。

②遺留分算定の基礎となる財産の範囲

改正前は、相続人に対する生前贈与の期間は無制限でしたが、改正後は相続開始前10年以内に限定されます。

③新法について遺留分の取り扱い適用時期

上記①②の規定は、原則にのっとり、2019年7月1日法改正後に生じた相続から適用されます。相続人以外の者の貢献(特別の寄与・改正法第1050条)

被相続人の親族(特別寄与者:相続人以外)が、無償で療養看護(介護)等を行っていた場合には、特別寄与料を相続人に対して支払請求がすることができるようになる規定が新設されました特別寄与の規定は原則にのっとり、2019年7月1日法改正後に生じた相続から適用されます

つまり、療養看護等は2019年7月1日法改正以前に行われた場合でも、法改正後に相続が開始された場合には、特別寄与料の請求を行うことができます

まとめ

  • 新法適用の判断基準の大原則は相続開始時点でみる!
  • 取引の円滑を重視する規定は、法改正以前の相続についても新法を適用する
  • 本人(被相続人)の意思を重視する規定は、遺言、贈与などの作成時期は法改正後であることが求められている

既に、自筆証書遺言の方式緩和は先行して、2019年1月13日より施行されています方式緩和された遺言作成は、
2019年1月13日以降に作成された遺言のみが対象となり、1月13日以前に作成された遺言は対象となりません

 

これも本人の意思尊重規定だからですね(^^)/

詳細は過去のブログを参照ください

相続・遺言は長期にわたる手続き、しかも改正前に既に作成された遺言は大量にあります。その中から、専門家として旧法、新法どちらの法律が適用されるのか、だからこそ、しっかりと見極める必要があります。

次回の記事もお楽しみに!

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