士業集客の基本。ペルソナ設定とは?

今年はWebで新規集客していきたい、地元で相談会やセミナーを開催していきたいと、考えている士業の先生も多いと思います。

そこで意外に忘れがちなのが、自分のサービスを利用するお客さん、つまりペルソナ(顧客)の設定です。自分がサービスを提供したい顧客の姿を明確にイメージすること、そして提供するサービスをきちんと定めていないと、誰も利用しないサービスや集客方法となってしまい、時間や広告費をかけたにもかかわらず、成果が出ない…。そんなことに繋がってしまう可能性があります。

今回の記事のポイントは下記の通りです。

  • 集客を考えるにあたって重要な3つのポイントとして①誰に、②何を、③どのように届けるのかの3つ
  • 自分の対象とする顧客が企業なのか(BtoB)、一般の消費者なのか(エンドユーザー、BtoC)、そして誰が意思決定者なのかをきちんと分けて設定する
  • 自分が顧客にしたい人を氏名、趣味、家族構成、悩みまで具体的に記載できるくらいまで明確化する
  • ターゲットとして定めた顧客を目の前に呼べれば、受任率は必然的に上がる

誰を対象にサービスを提供するのか、顧客設定の考え方について解説していきます。

“誰が”サービスの依頼者か考える

顧客設定とは何をすればいいのでしょうか?その質問に対しての僕の答えは、「具体的に〇〇さんという形まで顧客の姿を思い浮かべ、その顧客がどのような生活しており、どんな悩みをもっており、どのようにその時に調べるかというところまで設定すること」と回答しています。

例えば、とある地方の士業の先生が遺言を作成する業務を受託したいと考えていたとします。その集客手段としてHPを制作し広告費を投入したとしても、その先生の地域で、遺言作成を依頼する可能性がある高齢者層はインターネットで情報を収拾していない可能性もあり、インターネットを普段利用しないのであれば配信した広告を誰も見ないという状況が発生する可能性があります。想定する顧客が、どんな内容の広告に興味を持つのか、個別相談ではなくセミナーでまず設定を作ったほうがいいのか、個別面談を直接対面で行うべきか、ビデオ会議などを通じて提供したほうがいいのか、顧客像が決まらなければサービス提供方法も広告方法も決められないのです。

そのため、まず行う必要があることは、自分が顧客としたい、顧客の姿を明確に設定することです。提供するサービスの作り方については第2章で解説します。ここで顧客設定では、自分の対象とする顧客が企業なのか(BtoB)、一般の消費者なのか(BtoC)をきちんと分けて設定することが大切です。これは、自分が提供できるサービスを基準に誰に対してサービスを提供するのか考えていきます。

税理士の顧問契約➡企業が対象(BtoB)
社労士の給与計算業務➡企業が対象(BtoB)
司法書士の債務整理業務➡エンドユーザー(BtoC)

上記のようにサービスの内容によって誰が仕事を依頼する顧客なのか変わってきます。

そして、対象者をイメージした後に考えてもらいたいのが、”誰”が士業の提供するサービスを依頼する”意思決定者”であるかということです。

ここを見誤ると、いくら顧客に説明をしたとしても他の意思決定者がいるようであれば、仕事の受注につながりません。これは、提供する商品・サービスがエンドユーザー(BtoC)を対象とするのか、エンドユーザーを紹介してもらえる紹介元(BtoB)かによって変わってきます。エンドユーザー(BtoC)であれば、本人が決断できるのか、それとも配偶者など他の家族なのか、親の相続対策など子世代からの相談であれば親の了解も得られなければ手続きを進められないのか、といったように顧客一人で判断できるのか、それとも関与者の了解も必要なのかという部分を見極めなければなりません。対企業(BtoB)向けのサービスであれば、個別相談している担当者の判断だけで意思決定できるのか、それともその担当者の上司、またはその会社の社長の了解も必要なのかを考えてサービス受注までのフローを考えなければなりません。

意思決定者が他にいる、複数いる場合には、いくら依頼者、担当者にアプローチして本人がその先生が提供するサービスを気に入ったとしても、本人以外の家族、上司や経営者の了解がなければ、サービスを依頼してもらえません。

士業サービスを提供する相手は誰か?実質的な意思決定者は誰か?ということを考えて行動する必要があるのです。私も顧客面談でこの部分をとても注意しています。父、母、子と家族全員と面談する際も対象者である父や財産管理、事業承継する子ではなく、母(配偶者)が実質的な意思決定者だったりすることもあります。

なぜ、このように分けて顧客を考える必要があるのかというと、それぞれの顧客の状況によって、求められる情報は違うからです。例えば、企業(BtoB)であれば、先生方の持っている法務や税務のノウハウのほか、ビジネスで役立つ集客や助成金、補助金のコツなども届けるコンテンツとしては喜ばれます。責任者はマネジメントに関する知識を喜びますが、現場スタッフは興味なく、むしろ実際の仕事で活用できる知識を求めます。また、エンドユーザーに対して、集客や助成金の情報を届けても、自分にとって必要でない情報のため興味がありません。

“誰に”という部分はHP、顧客向け小冊子、チラシ、DM、ブログ、メルマガ、SNS、動画、セミナー、書籍・DVDの出版などすべてのコンテンツづくりに必要不可欠な要素です。興味がない情報は誰も見てくれません。自分のサービスの顧客を見誤ると、サービス内容、集客から受任にいたるまでの導線すべてに影響が及ぶので、きちんと見極める必要があります。

自分が呼びたい顧客を具体的に明確化する

顧客にしたいのは企業なのか、エンドユーザーなのか明確に定めたあとにおこなっていただきたいのが、具体的に顧客の姿を明確にすることです。その方法とは、どんなお客さんと仕事をしたいのか?心に思い浮かぶの具体的なお客様のイメージを描くことです。

それは、過去の相談対応したお客様でもいいですし、身近な親族でも、友人でも、仮想の人物でも構いません。売上にはつながりそうもないが嫌な人、嫌いな仕事を発注する人は仕事をしていて長続きしないので対象から外しましょう。こういう人とまた仕事をしたいという方を設定して、顧客の行動を考えていきます。具体的に〇〇さんというように名前を出して設定していくといいでしょう。

その人を対象にメルマガやSNSなど情報発信で扱う各種コンテンツをつくっていくため、〇〇さんというように具体的に名前、年齢、性別、学歴、出身地など、答えることがレベルまで自分の顧客を明確に設定します。
具体的には、下記のような項目まで設定します。

・名前、年齢、性別
・学歴
・出身地
・現在の仕事とそのポジション
・家族構成
・年収
・資産構成
・家族はどんな人か(趣味、学校、活動など)
・住んでいる場所
・持家か、マンションか、賃貸か
・趣味
・悩んでいること
・悩みが解決できない理由

私の場合は、家族信託や遺言などをエンドユーザー向けの生前対策サービスを提供するために、山田博さん(仮)を下記の通り設定しました。

・山田博(58歳、仮名)、持家、親(85歳)と同居中、妻の他、子供は社会人となっている長男、長女がいる。
・東急東横線菊名駅徒歩8分に住んでいる生まれてからずっと横浜におり、横浜から転居することは考えていない。
・高齢の親が最近物忘れが増えてきている
・会社の本流から外れてしまったので、これ以上、出世の見込みはない
・親がアパートや駐車場を所有しており、親に代わって管理しているが、親の物忘れが増えてきており、心配。
・姉は地方都市に夫の都合で住んでおり、年に1~2回しか来ていない今まで親と相続についての話をしたことないし、なかなかその話を切り出せない…。

このように顧客を具体的にかつ詳細に設定していきます。顧客は特定人まで絞り込んでしまって構いません。誰に対して広告するのか、メルマガ、SNSや事務所通信を送るのか、対象者を絞り込むことでその人に有益な情報を届けられます。たとえ、絞り込んだとしても、自分がイメージする顧客に近い環境にいる人にも内容が刺さるため問題ありません。定期的に自社の情報を必要な顧客に届けていくことで有益な情報を提供してくれる事務所だと信用を築けます。

顧客設定ができていないと、冒頭でも伝えた通り、Webを全く使っておらず新聞やテレビでの情報収集している高齢者を相手にサービスを提供するのにもかかわらず、Web広告やFacebook、Twitterなど顧客が使わないサービスに費用と時間をかけてしまうことにも繋がってしまいます。自分が顧客にしたい方の生活環境を具体的にイメージすることが大切です。

顧客の明確化ができれば、サービス、営業方法など方向性を定められる

ここまで述べた顧客の明確化の作業を経ないと、誰に対して、どのような方法で集客していくのか、どんなサービスをいくらの価格帯で提供するのか方向性を決められません。そもそも新聞を見ない方であれば、折込チラシは全く見ません。最近、動画が流行っているという情報に飛びついて自社でも取り組んだとしても、自分の顧客がYouTubeを全く見ない層であればいくら告知しても顧客は見ません。

士業マーケティングの大前提として自分のサービスを興味持ってくれる場所で、自分のサービスを告知する必要があります。当たり前と思えることも、意外に周りの先生を見ていると自分の顧客がいないところで、頑張ってTwitter投稿したり、FacebookやInstagramで投稿することがあります。投稿するコンテンツの内容はよくても、自分の顧客がいないところで告知し続けている可能性があるのです。

調べ物をするとき、どんな状況、媒体でしらべるのか、ネットか、それともテレビや書籍や新聞か調べる時間帯は??などなど考えていきます。そうすることで告知する媒体や地域、配信時期、時間など広告を設定するのに細かく設定できるようになります。そして、自分がサービスを提供したい見込客を実際に無料相談やセミナーに誘導できれば、高い確率でその後の受注につなげられます。

まとめ

  • 集客を考えるにあたって重要な3つのポイントとして①誰に、②何を、③どのように届けるのかの3つ
  • 自分の対象とする顧客が企業なのか(BtoB)、一般の消費者なのか(エンドユーザー、BtoC)、そして誰が意思決定者なのかをきちんと分けて設定する
  • 自分が顧客にしたい人を氏名、趣味、家族構成、悩みまで具体的に記載できるできるくらいまで明確化する
  • ターゲットとして定めた顧客を目の前に呼べれば、受任率は必然的に上がる

ペルソナ(顧客)設定ができていると、顧客から考えてサービスの内容、料金、集客方法を考えていけます。僕自身も、開業当初この視線が抜けていて、事業者目線のサービスや広告、コンサル会社に丸投げして集客など、今考えると多額のお金と時間を費やしてしまったことがありました…。ペルソナ(顧客)視点をもつことでより、効率的に集客を行えるようになるので是非、この視点を持つようにしてみてください。

リーガルエステートがいかにして家族信託を350件以上受任しているのか?その仕組みとは?

コロナになってからオンライン事業が拡大し、仕事の仕方や家での過ごし方など、さまざまな点で変化が訪れています。こういう大きな過渡期に自分のビジネスを見直すということ。どの経営者でもビジネスマンでも必ずやっていることだと思います。

リーガルエステートも今この転換期にどのように時代に合わせたサービスやビジネスを構築しているのか。それを日々考えているところです。士業・専門家はこれまで手続き代行業務で生計を立ててきました。しかし、今、時代は情報社会。手続き的なものは一瞬にしてWEBメディアで調べ、少し難しい物でもできてしまいます。

では、なぜ顧客は士業・専門家に相談するのでしょうか?
士業・専門家へ依頼するその価値を私達は常に考えなければなりません。

高齢化社会がさらに加速する日本において、多くの人が直面する「認知症問題」や「少子化問題」。
ご家族ごとに状況や家族構成、ご要望が違うことに対し「私はどうやってやればいいのか」というコンサルティングを考えていく。その中でどのように「家族信託」や「成年後見」など生前対策のご提案を提供していくのか、です。

求められているものは、「ご家族円満」。家族信託は一手法です。そのお客様への一つひとつの考え方が家族信託350件以上の受任につながっている。僕はそう考えています。

見つめ直すきっかけとして、是非本セミナーを活用いただきたいと思います。
下記のような方にお勧めです。

・税金や不動産は専門外で、何が問題となるのか、どのようにお客様に伝えたらいいのか分からない…
・遺言や家族信託はしたが、不動産や税金対策までは見ておらず問題ないのだろうか?
・家族信託など生前対策の実務は学んだが、集客ができない…

家族信託・生前対策受任力アップセミナー

セミナーでは下記の内容を伝えています。

  • 相続・家族信託のマーケットの状況
  • 士業・専門家業の時代の流れと高収益生前対策案件受任の発想方法
  • 家族信託、任意後見、遺言など生前対策提案の活用方法
  • 生前対策・家族信託コンサル業務における商品設計のコツとは
  • 生前対策・家族信託相談からの不動産提案のポイント
  • 価格競争に陥らず、安定的に相談者を増やすコツ
  • 生前対策から相続手続きまでのLTV(生涯顧客最大価値)を高めるためのポイント
  • 選ばれている士業・専門家のポジショニングの秘訣
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