司法書士は仕事がないって本当?現状や将来性・新たな役割を解説

司法書士は難関資格の1つですが、資格を取得しても仕事がないといった話を聞くことがあります。実際のところはどうなのか、また将来性や司法書士に求められる新たな役割について解説します。

今回の記事のポイントは以下のとおりです。

  • 人口減や登記件数減により、司法書士の仕事がなくなっていると言われることがある
  • 司法書士の資格を取得するのは難しく、合格率が低い難関資格の1つ
  • 司法書士の業務は多様化しており今後もさらに司法書士に対するニーズは高まると予想される
  • 司法書士には、民事訴訟の代理人や成年後見人などの役割も期待される

本記事では、司法書士の仕事の将来性について、さまざまな角度から解説します。また、将来的に司法書士が活躍すると期待される分野についても具体的に紹介します。ぜひご覧ください。

1.「司法書士は仕事がない」って聞くけど本当?

司法書士という資格には定年がありません。そのため、試験合格者が年々誕生すると、司法書士の数も増えていきます。

司法書士の人数が増える一方で、人口は減少傾向にあります。そのため「司法書士を必要とする仕事も減少しつつあるのでは……」と考える方も少なくありません。

例えば、登記手続きは司法書士の仕事のうち代表的なものの1つです。しかし、人口減により不動産を購入する人も減り、登記手続きの件数も減ってしまうのではないかと見られています。

1-1.司法書士の仕事のうち大幅に減少している業務

司法書士の仕事のうち、登記業務は年々減少しています。平成21年から令和3年の不動産登記と商業登記の各件数を3年ごとに見ると、増減はあるものの減少傾向にあるのがわかります。

不動産登記件数(土地・建物) 商業登記件数(会社)
令和3年 10,740,827 1,295,084
平成30年 12,584,518 1,243,780
平成27年 11,744,602 1,241,610
平成24年 12,886,040 1,168,260
平成21年 12,805,110 1,310,297

実際のところ、登記申請は司法書士に依頼しなくてはいけない手続きではありません。インターネットなどで情報を得て、個人で手続きをする方も増えています。また、登記手続きが簡易化されてきていることも、司法書士への依頼が減りつつある原因と考えられます。

参考:法務省「【登記統計 統計表】2021年年報 第1表 登記事件の件数及び個数」

1-2.司法書士の現状

登記件数が減ってきているからといって、司法書士の仕事が少なくなっているのではありません。実際には司法書士の仕事量は少なくなく、「試験に合格しても職がない」といった事態になることはあまりありません。

司法書士事務所だけでなく、法律事務所などの司法書士を必要とする職場は多く、常に一定以上の求人数があります。また、給与などの条件も良い職場が多く、難関資格に見合った待遇で働くことが可能です。

1-3.司法書士の需要は高く、高待遇のものも多い

司法書士の合格率は非常に低く、さまざまな国家資格の中でも難関資格であることは間違いありません。例えば、令和2年度の司法書士試験の出願者数は14,431人ですが、合格者はわずか595人、合格率は約4%でした。

司法書士の資格保有者は多くはありませんが、司法書士が求められている職場は少なくありません。司法書士事務所以外にも行政書士事務所や大手企業の法務部門などでも、司法書士は求められています。

希少性があり、なおかつ需要が高い司法書士は、高待遇で迎えられることも少なくありません。法律や不動産関係での実務経験も豊富であれば、引く手あまたになることはあっても、職がないことにはなりにくいでしょう。

参考:法務省「令和2年度司法書士試験の最終結果について」

2.「司法書士は仕事がない」と言われる理由4つ

希少性があり、なおかつ対応できる業務が多く、ニーズの高い司法書士ですが、「司法書士は仕事がない」といった話を聞くことがあります。実際には求人数も多く、「仕事がない」というようなことはないのですが、なぜこのような話が出るのでしょうか。

考えられる理由としては、次のものが挙げられます。

・登記件数が10年連続で減少し続けているから
・自分で登記手続きを行う人が増えているから
・AIにより自動化される業務が増えると言われているから
・計画なしに独立開業をした人の声も含まれているから

それぞれの理由について解説します。

2-1.登記件数が減少傾向にあるから

登記件数が減少傾向にあるため、司法書士の仕事が減るのではないかという見方もあります。個人が司法書士と関わるときは、主に登記業務のため、司法書士といえば登記というイメージも強いようです。

しかし、司法書士の仕事は登記手続きだけではありません。相続登記をはじめ、相続手続き全般を取り扱う遺産整理業務や、認知症後の財産管理としての成年後見関係の業務、生前の遺言や近年注目される家族信託業務など、あらたな業務が生まれています。また、法律や不動産に関する知識を活かした書類作成業務などもあります。そのため、登記件数が減少しているからといって、司法書士の仕事が少なくなったということはありません。

2-2.自分で登記手続きを行う人が増えているから

登記手続きを自分で行うケースも増えています。登記は書類などに不備がなければ誰でもできる手続きのため、手順や書類の書き方などを調べて、自分でする人も少なくありません。

登記手続きを自分でするケースが増えた理由としては、インターネットの普及により情報を調べやすくなったことが挙げられるでしょう。実際に登記手続きをしたことがある人の経験談を参考にしたり、法務局の公式サイトから書類の書き方を事前にチェックしたりすれば、まったく登記に関する知識がない人でも手続きを行えるようになります。

また、司法書士に登記手続きを依頼するとコストがかかる点も、人々の司法書士離れを招いています。地域や登記の内容によっても異なりますが、不動産の登記手続き1件あたりの手数料相場は5万~10万円です。多少手間がかかっても、自力で登記手続きをして手数料を節約したいと考える人が多いのもある意味当然のことといえるでしょう。

2-3.AIにより自動化される業務が増えると言われているから

AIにより自動化が進むことでなくなる仕事もあるといわれています。例えば、書類作成や特定の手続きのように業務内容やパターンが決まっている仕事は、将来的にはAIが担当することになるかもしれません。

司法書士の業務には、書類作成や登記手続きのように業務内容やパターンが決まったものが多くあります。そのため、「司法書士は将来的に仕事がなくなるのでは……」と懸念されることも少なくありません。

しかし、司法書士の仕事は、書類作成や登記手続きだけではありません。依頼者の相談に乗ったり、法律を読み解いて依頼者の疑問や悩みに答えたりすることは、AIには難しいといえるでしょう。司法書士の仕事が多岐に渡る限り、AIの進歩により仕事がなくなるということはないと考えられます。

2-4.計画なしに独立開業をした人の声も含まれているから

ニーズが高く、実際に求人数の多い司法書士ですが、独立開業しても引く手あまたとなるわけではありません。多くの地域にはすでに司法書士事務所があり、それぞれの地域において顧客との関係を築いているからです。そのような中に新たに司法書士事務所を開業しても、生計を立てていけるほどの顧客を獲得することは難しいでしょう。

独立開業するときは、そのエリアにおいて司法書士事務所が不足していることが前提となります。さらに、新たに起業する人が多く、司法書士事務所に新規依頼したいというニーズが高いエリアであることも成功のために欠かせないポイントとなるでしょう。

また、これらの条件を満たしていても、司法書士としての経験が十分でなく、営業力も乏しい場合には顧客を獲得できない可能性があります。いずれにしても顧客を獲得する算段を立てずに独立開業すると、失敗する恐れがあるでしょう。

計画なしに独立開業して失敗した司法書士が、「司法書士には仕事がない」ということもあります。自業自得としかいえないのですが、このような声が広まって、「司法書士には仕事がない」ことがあたかも普遍的な事実であるかのように捉えられていることもあります。

3.司法書士が「仕事がない状態」になりにくい理由6つ

司法書士が無計画に独立開業すると、仕事がない状態に陥る可能性があります。司法書士に依頼をしたいと考える企業や個人事業主は多いですが、通常は一度依頼したら特別な問題がない限り司法書士を変更するということは少ないため、司法書士事務所を開業しても顧客獲得は容易ではありません。

しかし、独立開業するのではなく、既存の司法書士事務所に就職する場合や一般企業への就職を目指す場合であれば、司法書士の仕事は多くあります。司法書士の仕事がなくなりにくい理由としては次の6つが挙げられます。

・最難関資格ということもあり希少性が高いから
・司法書士の年収は決して低くないから
・司法書士の業務が多様化しているから
・独立のハードルやリスクが低いから
・今後、相続登記義務化により依頼数が増加するから
・官公庁や企業などで司法書士の需要が高まりつつあるから

それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

3-1.最難関資格ということもあり希少性が高いから

司法書士は日本の資格の中でも最難関のものの1つです。合格率が低く、合格するまでに長い時間がかかる方も少なくありません。実際に令和2年度の司法書士試験においても合格者の平均年齢は40歳を越えており、司法書士として働ける年数に限りがあることがわかります。

また、司法書士という資格には年齢制限がありませんが、高齢になって引退する方や所属する事務所や企業の規定によって退職する方も毎年いるため、司法書士全体の人数が爆発的に増加することはないと考えられます。このような理由から司法書士に希少性があることは疑いのない事実であり、司法書士の仕事がまったくない状態になることはまずないといえるでしょう。

参考:法務省「令和2年度司法書士試験の最終結果について」

3-2.司法書士の年収は決して低くないから

独立開業して得られる司法書士の年収には、個人差があります。多くの顧客を抱えている司法書士事務所の司法書士であれば高年収が期待できるでしょう。しかし、顧客を持たない状態で開業した司法書士や、司法書士事務所が飽和状態にあるエリアに開業した司法書士であれば、企業に所属する司法書士よりも年収が低くなることがあります。

とはいえ、司法書士自体の年収は決して低くありません。希少価値のある資格を有し、専門的な業務を行えるため、企業や事務所に所属するのであれば平均以上の年収は得られると考えられます。

3-3.司法書士の業務が多様化しているから

かつては司法書士の業務は登記申請がメインでしたが、現在は業務内容が多様化し、登記申請の仕事が減っても仕事がない状態に陥るということはまずありません。

例えば、司法書士の資格を持ち、なおかつ簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格し、なおかつ法務大臣の認定を受けると、簡易裁判所で取り扱われる140万円を超えない請求事件などにおいて代理業務ができるようになります。弁護士ではなく司法書士に依頼する方も多いため、司法書士のニーズは高いと考えられるでしょう。

また、高齢化により遺言書作成や成年後見人、民事信託などの案件数も増加すると考えられます。司法書士が活躍する場も益々増えると想定されるでしょう。

参考:法務省「司法書士の簡裁訴訟代理等関係業務の認定」

3-4.独立のハードルやリスクが低いから

司法書士としての経験が少なく、知り合いも少ない状態で独立開業すると、顧客を獲得できずに失敗する可能性があります。しかし、他の業種と比べると司法書士事務所の開業は、ハードルやリスクが低いのも事実です。

例えば、司法書士事務所は机1つあれば開業できます。飲食店やクリニックなどのように基本的な設備を揃えるだけでも数百万円、数千万円の資金がかかるわけではありません。また、最初からスタッフを多く揃える必要もありません。スタッフを雇用するのは、依頼を受ける案件数が増え、事務作業を1人で行うことが難しくなってきてからでも十分です。

仕入れの費用がかからないのも司法書士事務所の強みです。販売業や飲食業では仕入れをしないことには利益も得られません。しかし、司法書士事務所では、司法書士の腕と頭脳さえあれば仕事を継続できます。極端にいえば、司法書士が生活さえできれば廃業せずに続けていくことが可能です。

3-5.今後、相続登記義務化により依頼数が増加するから

遺産に不動産が含まれている場合には、相続人の名義に変更する「相続登記」を行うことが一般的です。しかし、相続登記は今まで義務とはされていなかったため、登記をしないまま放置されている土地が全国的に増えています。

相続登記をしないと所有者不明の土地が増えるだけでなく、管理されない土地が増え、治安や街並みの悪化につながることもあります。また、自治体の税収が減ることも、深刻な問題です。

このような事態に歯止めをかけるためにも、2024年4月1日からは相続登記が義務化されることになりました。相続登記の義務化が始まると、相続開始を知り、なおかつ所有権を取得したことを知った日から3年以内(遺産分割により所有権を得た場合は分割から3年以内)に相続登記の手続きをしなくてはいけません。万が一、手続きをせずに放置した場合は、罰則が科されることになります。

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3-6.官公庁や企業などで司法書士の需要が高まりつつあるから

司法書士事務所に所属するのではなく、企業で法律関係の専門家として働く司法書士も少なくありません。コンプライアンスを重視する風潮の高まりの中、今後はより一層企業で活躍する司法書士が増えると予想されます。

また、企業だけでなく官公庁などの公的組織においてもコンプライアンスが重視されるようになりました。専属の法律専門家として司法書士を雇用する公的組織も増えており、今後も益々ニーズは高まると考えられます。

4.今後の司法書士に求められる新たな役割

「司法書士は仕事がない」といった声もありますが、この言葉は現状を正確に反映したものとはいえません。実際に司法書士には希少性があり、司法書士事務所や企業が司法書士を募集する求人案件も多く、高待遇とともに迎えられています。

また、司法書士が取り扱う業務が多様化していることも、司法書士の仕事の多さを示す根拠となるでしょう。多様化する司法書士の業務の中でも、特に次の2つは司法書士に対する新たなニーズとして注目されています。

民事訴訟の際の代理人の役割
・成年後見人制度による成年後見人の役割
・相続・生前対策・企業法務などのコンサルティング業務

それぞれの役割が注目されている理由について解説します。

4-1.民事訴訟の際の代理人の役割

司法書士法の改正により、簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格して法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所で取り扱われる140万円を超えない請求事件などで代理業務を行うことができるようになりました。従来、裁判の代理人といえば弁護士でしたが、簡易裁判所での裁判などについては司法書士に依頼する方も増えています。

請求額が140万円を超えない場合は、民事訴訟だけでなく支払督促や証拠保全、民事保全、即決和解、民事調停においても法務大臣の認定を受けた司法書士が代理人として業務を担当することが可能です。今後、少額案件については司法書士、高額案件については弁護士というような棲み分けも進むと考えられ、訴訟関連における司法書士に対するニーズも高まると予想されるでしょう。

4-2.成年後見人制度による成年後見人の役割

成年後見人制度とは、認知症などにより判断能力が不十分なため、契約などの法律行為をおこなえない人の代わりに後見人が法律行為をおこなったり、財産を管理したりする制度です。2000年に創設された制度ですが、創設直後は親族が後見人になるケースがほとんどを占めていたものの、2021年の時点では約8割が親族以外の第三者が後見人になっています。

第三者が後見人になるケースで中でももっとも多いのは司法書士で、弁護士、社会福祉士が続きます。一般的に、財産に不動産が多いときは司法書士に任せるケースが多いようです。一方、弁護士に後見人を依頼するケースは、債権回収などの問題を抱えているケースが多い傾向にあります。

親族が後見人になると、財産の相続権を持つことがあるためかえってトラブルが多くなる可能性があることや、法律関連の業務が必要になったときに別途専門家を依頼しなくてはいけないことなど、不都合なケースも想定されます。そのような理由から、今後も後見人には司法書士などの専門家が指名されることが増えると考えられるでしょう。

参考:裁判所 成年後見関係事件の概況

4-3.相続・生前対策・企業法務などのコンサルティング業務

民法・会社法の実体法と不動産登記法、商業登記法、民事訴訟法など手続法を学んでいる司法書士は法律と実務を使いこなすことができます。そのため、顧客のおかれた状況に照らして、手続きだけではなく、どのように予防をしていくべきかという予防法務の視点で顧客の問題発生前のコンサルティング業務にその持っている知識を活かせます。

高齢者が増えている中、その相続対策業務としての遺言、家族信託業務の担い手として注目されているほか、起業を目指す起業家にたいしての会社設立をはじめ、スタートアップ企業の資金調達方法としての種類株式やストックオプション(新株予約権)の発行、会社合併や会社分割などの組織再編、事業承継などへの法務面でのコンサルティング業務を担う司法書士が増え始めています。

今後、手続きだけではないコンサルティングができる司法書士が求められてきています。

5.「仕事がない司法書士」にならないためにすべきこと

独立開業せずに司法書士事務所や企業に勤める場合でも、必ずしも活躍できるとは限りません。実際のところ、司法書士の資格を持っているということがアドバンテージとなるのは、職場内に司法書士がいない、あるいは司法書士が不足して業務過多になっている場合のみです。

複数の司法書士が所属し、なおかつ業務の量が適正であるときには、司法書士という資格ではなく、次のポイントなどで判断されることになるでしょう。

コミュニケーションスキル
・提案力と経験
・専門性

これらのポイントが所属する他の司法書士よりも劣ると判断されたときは、任される案件が少なくなったり、それに応じて報酬も減ったりすることがあります。中でも重要視されるのはコミュニケーションスキルです。

ケースにもよりますが、単に書類作成や登記手続きをしてもらいたいときだけでなく、何らかの問題を解決する必要が生じ、司法書士に依頼する方も少なくありません。依頼主と丁寧に向き合い、依頼主が満足できる結果につなげることが求められます。

丁寧に依頼主の気持ちを聞き、的確にニーズを把握することはもちろんのこと、こまめに連絡を取って依頼主が不安にならないようにサポートすることも必要です。「次もこの司法書士にお願いしたい」と思ってもらえるように、常に顧客開拓の気持ちで真摯に接するようにしましょう。

また、どれほどコミュニケーションスキルが高くても、提案力が低い場合は、依頼主が「次も依頼したい」とは思わないでしょう。依頼主の抱える問題を確実に解決に導くためにも、具体的で現実的、なおかつ依頼主にとっての利益が多い提案ができるようにしておくべきです。

提案力は経験によって磨かれます。1つひとつの案件を丁寧に担当することで実務上の学びを深め、問題解決の具体的なパターンを身につけていくことが必要です。また、あまり経験の得られない職場に在籍しているときは、思い切って他の事務所や企業に転職し、経験を積んで提案力を磨くことも検討してみましょう。

幅広い経験を身につけつつも、専門性を持つこともニーズにある司法書士になるためには不可欠な要素です。例えば、「成年後見人制度に詳しい」「相続関連の実績が豊富」「起業に強い」などの専門性があれば、関連する業務を一挙に引き受けられます。

専門性を磨くために、司法書士以外の資格や認定試験に挑戦することもできるでしょう。例えば、簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格して法務大臣の認定を受けているなら、簡易裁判所関連の案件の専門家になれます。また、不動産関連の専門家を目指すなら土地家屋調査士の資格取得を目指したり、行政書士の資格を取得して公的書類の専門家を目指したりするのも1つの方法です。

いずれの資格試験の範囲も司法書士試験と重なる部分があるため、勉強はしやすいでしょう。もちろん司法書士の資格を有しているだけでもすでに専門職と呼ぶことはできますが、ニーズの高い司法書士を目指すなら、特定の分野に狙いを定めてエキスパートになることを目指しましょう。

6.司法書士のリアルな年収事情

司法書士には「高給を得られる仕事」といったイメージがありますが、実際のところは個人差が多く、すべての司法書士が高給取りとはいえません。また、顧客が多い司法書士事務所を経営している司法書士と、開業したものの顧客があまりついていない司法書士、司法書士事務所の従業員として働いている司法書士では、年収差は多いと考えられます。

一般的に、司法書士はどの程度の収入を得ているのでしょうか。司法書士の年収事情について解説します。

6-1.稼ぐ司法書士と稼げない司法書士の年収の差

会社員の平均年収は400万円台といわれますが、司法書士の平均年収は600万円程度とされ、一般的に見れば給与水準は高いと考えられます。しかし、年収600万円のゾーンに多くの司法書士が集中しているのではありません。実際は年収400万~500万円の司法書士が多く、一部の年収1,000万円を超える司法書士が平均年収を押し上げる形になっています。そのため、稼げる司法書士と稼げない司法書士の年収差は大きいのが実情です。

なお、令和3年度の賃金構造基本統計調査によると法務従事者の平均年収は約945万円でした。法務従事者には司法書士以外にも弁護士などもいるため、司法書士は法務従事者の中では年収が少なめと考えられます。

参考:令和3年賃金構造基本統計調査

6-2.稼ぐ司法書士の働き方

司法書士の働き方は、次の3つに大別できます。

司法書士事務所などの法律事務所に所属する
司法書士事務所を開業する
企業や官公庁などに勤務する

このうち、高年収の可能性が高いのは、司法書士事務所を開業することと企業や官公庁などに勤務することです。一方、司法書士事務所などに所属して勤務司法書士として働く場合は、案件ごとのインセンティブなどが設定されていない事務所では、あまり高年収を期待できません。

開業して独立司法書士になる

高年収を目指すのであれば、司法書士事務所の開業を検討できます。勤務司法書士として働く場合と異なり、給与の上限があるわけではないため、個人の能力や人脈によっては収入を青天井に増やせます。

しかし、低年収の可能性が高いのも、事務所の開業です。顧客がつかず、事業を維持するだけでも精一杯の事務所も少なくありません。経営が成り立つのか慎重に考えてから、開業することが大切です。見込み顧客がいる場合やエリア内にライバルとなる司法書士事務所が少ない場合には、新規開業も検討してみましょう。

組織内司法書士として働く

安定して高年収を目指すのであれば、企業や官公庁などの組織内司法書士として働くことが検討できます。司法書士事務所を開業する場合と異なり、能力や人脈によって年収を飛躍的に増やすことはできませんが、勤務司法書士として働く場合よりは高収入を期待できるでしょう。

また、職場にライバルがいない、あるいは少ないのも組織内司法書士のメリットです。多くの企業や官公庁では法律の専門家として司法書士を1人のみ雇用しています。組織の規模が大きいときには司法書士の人数も増えますが、大手の司法書士事務所ほどには大人数はいません。そのため、他の司法書士よりも特段に優れた成果を発揮しなくても、年収が下がることはあまりないでしょう。

ただし、司法書士としての基本的な能力に欠けていると判断される場合や、適切にコミュニケーションを取れない場合には、解雇や減給などの可能性も想定されます。資格に慢心せず、学び続けることと積極的なコミュニケーションを心がけることは必要といえるでしょう。

6-3.司法書士と行政書士はどちらが稼げるのか

行政関連の業務を行う行政書士と、司法関連の業務を行う司法書士は、仕事内容の面で被ることも少なくありません。例えば、遺産分割協議書や遺言書の作成は、行政書士も司法書士も担当できます。

しかし、司法書士は簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格すれば簡易裁判所案件の代理人となることができますが、行政書士は代理人にはなれないなどの違いも多く、仕事の幅が広いのは司法書士といえます。そのため、平均年収も司法書士のほうが高めです。

また、司法書士は企業や官公庁などの組織に属して働くケースも増えていますが、行政書士で企業などで働くことはあまりありません。働き方の幅が広いのも、司法書士といえます。

6-4.司法書士と社労士はどちらが稼げるのか

社会保険労務士(社労士)は、社会保険や労働に特化した専門家です。司法書士と同じく難関資格の1つで、合格率も高くはありません。

年収においては、司法書士も社労士もあまり差がないとされています。しかし、年収のばらつきで見ると、司法書士は高収入と低年収に二分される傾向にありますが、社労士は比較的平均程度にまとまって分布しているという違いがあります。

7.独立司法書士になるまでのキャリアプラン

司法書士の仕事は、資格さえあればできるものではありません。多様な業務にスムーズに対応するためにも、豊富な経験が必要とされています。

司法書士として高年収を目指すのであれば、独立開業を視野に入れられます。しかし、独立しても仕事がない司法書士も多く、地域のニーズや見込み顧客について綿密にリサーチしてから開業することが必要です。司法書士の資格取得後、次の流れに沿って独立開業を実現しましょう。

1.新人研修を受ける
2.勤務司法書士として働き実務経験を積む
3.司法書士会に登録し開業する

それぞれのステップについて解説します。

7-1.新人研修を受ける

司法書士試験合格後は、新人研修を受講することが義務付けられています。新人研修には以下のものが含まれます。

中央研修:eラーニング形式と集合研修
ブロック研修:所属するブロックにおける研修
配属研修:司法書士会での研修

研修には研修費に加え、宿泊費や交通費などが必要です。また、すべての研修を完了するには1~3ヵ月ほどかかります。他にも、簡裁訴訟代理等能力認定考査のための特別研修などもあるので、続けて受講することも可能です。

なお、研修期間中に就職活動を行うと、早く実務経験を積み始められます。大手の司法書士事務所であれば仕事の幅が広いため、開業にも役立つでしょう。

7-2.勤務司法書士として働き実務経験を積む

司法書士事務所などで勤務司法書士として実務経験を積みます。できるだけ早く独立したいと考えている場合でも、3~5年は事務所や企業に勤め、司法書士として一通りの経験を積むようにしましょう。

実務経験を積みながら、どのような方向性で開業するのかの構想も練ります。ニーズの多い分野を見抜き、必要な知識や業務を習得していきましょう。

7-3.司法書士会に登録し開業する

司法書士としての業務に携わるには、司法書士会に登録することが必要です。企業で働く司法書士の中には司法書士会に登録していない方もいますが、ほとんどの司法書士は司法書士試験に合格した時点で登録し、登録証の交付を受けます。

司法書士事務所を開業するときには、税務署に開業届を提出します。氏名とマイナンバー、職業、事業内容を記載して、開業から1ヵ月以内に税務署に提出しましょう。

なお、事務所をどこに開設するか、時間をかけてリサーチすることが大切です。司法書士が不足していると思われる場所が望ましいですが、新規顧客が見つけやすいようにオフィス街や大きな駅の近くなどよいでしょう。

しかし、立地が良い場所に事務所を開設すると、家賃が高額になる傾向にあります。すぐに顧客がつき、安定した収入を得られるのであれば問題はありませんが、事務所を開設してから営業を開始しようと考えている場合は、家賃などの維持費を払うだけでも負担になることがあるかもしれません。最初は自宅の一室を事務所にしたり、レンタルオフィスを借りたりすることも検討しましょう。

8.まとめ

本記事では、司法書士に仕事がないと言われていることについて解説しました。内容をまとめると、以下の通りです。

  • 人口減や登記件数減により、司法書士の仕事がなくなっていると言われることがある
  • 司法書士の資格を取得するのは難しく、合格率が低い難関資格の1つ
  • 司法書士の業務は多様化しており今後もさらに司法書士に対するニーズは高まると予想される
  • 司法書士には、民事訴訟の代理人や成年後見人などの役割も期待される

司法書士は難関資格で、資格を取得することで法律関係の専門家としての仕事に就くことができます。主な働き方としては司法書士事務所などで勤務する、司法書士事務所を開業して独立する、企業や官公庁などの組織に勤務するが挙げられます。

司法書士として高年収を目指すのであれば、独立や組織に所属することが検討できるでしょう。しかし、いずれの場所で働く場合でも、コミュニケーションスキルや経験などが必要とされます。まずは司法書士事務所などの勤務司法書士として、経験と実績を積んでいきましょう。

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