意外と気づかれていない融資における信託財産の設計方法とは!?

現在、家族信託・民事信託に取り組んでいるお客様で、融資を活用した信託を活用していきたい、そういった相談が増えてきています。その時に、重要なのが、信託財産として、何を組み込むのかということです。

まだまだ、信託を活用した融資を利用したいというニーズも多い中、思わぬ事態も発生したりしていて、実務の動きも完全には固まっていない状態のため、注意して設計していく必要があります。
また、今年の国会(2019年)では、士業・専門家に関わる事柄について、多くの法改正がなされており、先週も重要法案が可決成立しました。

今回の記事は下記のとおりポイントです

  • 司法書士、土地家屋調査士法人が社員一人でも設立できるようになること
  • 懲戒権者が法務局長から法務大臣になること
  • 懲戒の申立期間が無制限から年間の除籍期間が設けられたこと

それでは、どうぞ(^^)/

意外と気づかれていない信託財産と融資の実務

信託を設計するにあたって、まず検討すべきことの一つとして信託財産として何を組み込むのかというポイントがあります。
意外とまだ、成年後見制度の延長でとらえている士業・専門家の方も多く存在し、成年後見制度の代用で積極的に相続対策も行えるようにするために、信託を活用したいいう相談をよく受けます。

特に資産の組換など、想定しておらず、現状有姿のまま、後継者に引き継ぐ際はそれで問題はないですが、積極的に融資などを加味して、資産組換を行っていく場合には、本当に全ての財産を信託財産とすべきか、検討が必要です。
最近、こんな相談を受けました高齢の父が所有するアパートを建て替えして収益物件を融資を活用して建築したいという相談です。

その目的として、認知症対策と相続対策としての収益物件建築が含まれています父には古アパートの他、自宅、貸駐車場もあるため、複数の財産をまとめて信託したいという相談でした。このケースでは、どのように信託を組んでいけばよいのでしょうか?

目的ごとに信託財産を考えるべき!?

成年後見制度の延長で、全財産を管理できるようにしたいということが目的であれば、全財産を信託財産としてもよいでしょうそうすることにより、受託者の子の判断で、全財産を管理することができます

ただし、今回の相談のように収益物件の建築について融資を活用するというスキームでは、本当に全財産を信託財産としていいのか、検討が必要です

融資を活用するスキームにおいては、信託に対応できる金融機関を探す、そして、その金融機関の融資条件なども考慮する必要があります。その融資条件の一つに、“受益権に質権を設定する”ことを要件とすることが求められることが多くありますこの受益権に質権を設定するという点を考慮する必要があるのです。

今回の相談のケースでは、融資条件としての担保評価があるので、古アパートの敷地のみ、担保(抵当権設定)をすればいいと金融機関の仮承認をとることができました。子の意向としては、多くの財産を担保にとることなく、建築する物件の土地のみで担保にとりたいということは当然の意向としてあるし、担保評価が足りていれば全財産を担保に入れる必要はありません。
しかし、今回、相談を受けた金融機関の融資条件では、受益権に質権を設定することが必須と求められました。

もし、仮に全財産を管理するために、全財産を信託した場合、抵当権設定されているのはアパート敷地のみですが、受益権は信託財産全部(アパート敷地の他、自宅、駐車場、信託金銭)に及ぶため、実質上全財産に質権設定の効力が及ぶことになります。
委託者は信託財産を信託する代わりに、受益権を取得する、その受益権は信託財産に相当する財産が対象となるからです。

そのため、融資を活用するスキームにおいては、金融機関の条件を検討する、そして質権を設定する場合には、受益権全部に効力が及んでしまうことから、信託財産を全財産とするのではなく、アパート敷地及び建築費用など、一部にとどめるといった対応が必要となるのです。
もし、他の財産も管理をしたいのであれば、その他の財産について別契約で信託契約を結ぶ、もしくは任意後見など、他の財産管理の仕組みも検討するそういった対応が必要となります。

成年後見制度の延長で考えてしまうと、シンプルな全財産の信託となりますが、お客様の意向と将来どうしたいのか?融資条件はどうなっているのか?そういったことも加味して設計を検討していく必要があります

士業、専門家が押さえておくべき法改正情報

今週も国会で、我々、士業・専門家の仕事に関わる法改正など、重要な動きがありました。

今週は、その中から僕が気になったニュースを取り上げます。

欠格条項削除法が成立 成年後見、参院本会議

今まで、 認知症など判断能力が喪失した方が成年後見制度を活用すると個人に紐づいていた役員、公務員、弁護士、司法書士、医師などの資格制限がなくなる欠格条項が削除されるという法案が6月7日の参議院議員本会議で可決し、成立しました。

本会議でこの法律により、今まで例えば、会社役員であった人が後見制度を思わず使ってしまったことにより、強制退任されるということがなくなり、役員の退職時期のコントロールなどの問題がクリアされます。被後見人等に該当する資格保有者はその面接や試験、など登録時の面接などで登録拒否などの判断されることになり、既に登録されている方は退任、抹消事由とならなくなりました。

施行日は、欠格条項を削除するのみのものについては、原則として公布の日とされていますが、府省令等の整備が必要なもの、地方公共団体の条例等又はその他関係機関の規則等の整備が必要なものなど、各種法律によって、施行日が異なるため、注意が必要です

特別養子、15歳未満に年齢引き上げ 改正民法が成立

特別養子制度の対象を原則15歳未満に引き上げる改正民法が7日の参院本会議で可決、成立しました。
実父母との親族関係がなくなる特別養子制度は、今まで、6歳未満が対象でした。施行日は公布の日から1年内に施行されます。

保険証利用、22年度中に全国で=番号カード普及、8月に工程表-政府

政府は4日、首相官邸でデジタル・ガバメント閣僚会議を開き、マイナンバーカードの普及に向けた総合的な対策を決めたというニュースです。
2021年3月から健康保険証として使えるようになります。また、22年度中に全国のほぼすべての医療機関が対応するようシステムの整備を支援するしており、その中では、病院を受診するときに顔認証による本人確認システムを導入するなどのことも検討しているとのこと。

発行したマイナンバーを普及させるため、マイナンバーを健康保険証代わり、21年分の確定申告からはカードを使って簡単に医療費控除の手続きも含めた手続きをできるようにする、投薬履歴確認、タバコの「タスポ」カードの代用、買い物ポイント還元などなど、政府もいよいよ利便性を前面に出して普及に動き出しているため、ビジネスもその方向性に沿って動いていくべき段階に入っています。
法律が変わるところにビジネスの変化ありなので、この動きは要注意です

司法書士・土地家屋調査士の一人法人が設立可能に

司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案が6月6日衆議院本会議において可決されました。

改正の主要なポイントは下記のとおりです

  • 司法書士、土地家屋調査士法人が社員一人でも設立できるようになること
  • 懲戒権者が法務局長から法務大臣になること
  • 懲戒の申立期間が無制限から年間の除籍期間が設けられたこと

特に、経営者目線でいうと、一人でも法人設立ができることというのは重要なポイントですよね。2人以上いないと設立できなかったこと、そして、1人になると解散事由となることは、事務所で育てた使用人司法書士を幹部に迎えるにあたって、その将来的な独立希望等を考えると独立時に大きな経営上のリスクを抱えていました。

一人法人設立が認められたことにより、法人設立をしやすくなったほか、今後、事務所をM&Aをするという動きがある場合に、M&Aを法人形態利用して行うという動きもでてきそうです。
施行日は、公布の日から1年6か月を超えない範囲において政令で定める日とされています

まとめ

この1、2年、相続法、債権法の改正をはじめ、我々の業務に関わる法律が大きく改正されています信託をはじめ、生前対策に取り組んでいくにあたっても、金融機関の実務、法改正情報など、アンテナをはって、取り組んでいかないと、お客様にとって最適な提案ができません。

手続的な作業は楽になっていく、そして価値がなくなっていくものの専門家としての知識・経験・コミュニケーション能力をもとに、顧客へ提案していくというように役割が変わっていきます。時代の変化に伴い、置かれている役割が変わりつつあります。法改正が多くある中、大変ですが(汗)
士業・専門家としてアップデートしていきましょう(^^)/

次回の記事もお楽しみに!

落としてはいけない、信託実務の法務と税務のポイントとは!?

民事信託・家族信託が世の中に広まりつつある今、一般の方への広まり方と比例して、取り組んでいる専門家も増えてきました
ですが、専門家の中でも、経験が浅く、書籍などの信託契約書をもとに起案している方も多くいます。
実際に、委託者が他界し、信託を終了するときにはじめてこうしておけばよかった、こんな課題、問題点がある、といったことも実際に実務を通じてノウハウが蓄積されてきました

この実務を通じた経験をもとに、どのように信託を設計していくべきか税理士法人レガシイさんのDVDセミナーでお伝えしています。

実際に実務で使っている信託の提案書を元に解説していますので、ご興味ある方は是非、実務で役立ててください。
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