連続型信託を設計するのあたって注意すべき、本人他界した後の手続きとは!?

本人亡き後、高齢の配偶者、子といったような継続する財産管理のニーズで、生前対策提案の一つとして受益者連続型信託を活用し、対応するケースを取り組まれている先生も多いと思います
本人が亡き後、第二受益者に受益権を取得させるケースが徐々に増えてきています。

そこで、今回の記事は実際の事案をもとに第二受益者への変更手続きを検証してみます今回の記事は下記のとおりです

・高齢の妻のための財産管理を行いたいという相談から考える
・当初受益者他界後の受益者変更に伴う法務と税務とは!?
・委託者死亡後における変更手続きとは
・中国、深セン、変わっていく士業・専門家の世界を見に行く

まだまだ、実際に当初受益者が他界した事案というのは少ないと思いますので、今後の事案の検討に活用してみてください(^^)/

また、今回の記事の末尾には以前、ブログやメルマガで告知していた士業・専門家が見るべき未来、深セン視察ツアーの内容をお伝えてしています!

それでは、どうぞ。

|高齢の妻のための財産管理を行いたいという相談から考える

こんな相談がありました。

高齢の父(85歳)の財産管理を継続したいという
長女(58歳)からの相談です。
妻(83歳)の他、子供は長男と長(60歳)の2人です。

父の財産は、実家の他、金融資産があります

長男は結婚しており、子供1人います。
長女も結婚しており、その子供2人がいます。
現在、実家は父と母の二人暮らしです

長男、長女とも持家があるため、実家に戻る予定はありません
こういった相談があった場合、真っ先に思いつくのが連続型信託のスキームだと思います

受託者を財産管理をする子と設定し、第二受益者を母とするスキームです
子二人とも持家があり実家を相続する予定がありませんまた、今後の両親が施設に入所するなど、生活環境の変化に伴い、実家を売却するなど、最終的に実家を手放す可能性があり、財産ごとに具体的に帰属先を設定する必要がありません

そのため、下記のようなスキームを設計しました
委託者 父
受託者 長女(後継受託者)長男
受益者 父
第二受益者 母
受益者代理人 長男(後継受託者就任時は退任)

信託終了事由
父及び母の死亡
受託者及び受益者の合意
帰属権利者
法定相続人に均等割合

その後、父が他界し、その後の対応方法について
相談を受けましたその後、どのような手続きを行っていくか考察していきます

|当初受益者他界後の受益者変更に伴う法務と税務とは!?
今回は連続型信託のため、受益者(父)が死亡しても、信託終了事由に該当せず、第二受益者が受益権を取得します。不動産の名義は受託者のまま変わりません。信託財産に不動産がある場合には、信託目録の内容が変わるため、登記手続きが必要です

信託目録に記録した登記事項について変更があったときは、受託者は遅滞なく、当該信託の変更登記を申請しなければなりません(不登法103)。登録免許税として不動産の個数×1000円かかりますが、受益権の取得であり、不動産の取得ではないので、不動産取得税は課税されません
※当初受益者死亡終了型の場合は、信託が終了し、不動産が帰属権利者に帰属(取得)されるので、取得税課税の問題が発生しますので、軽減措置の適用の検討などが必要です

「年月日父の死亡 (又は年月日相続)」を原因として、受託者の単独申請により登記手続きを行います信託契約書で受益権の第二受益者への帰属方法を相続ではなく、取得と定めていたら「死亡」、そうではなく、相続と定めていたら「相続」といったように原因も使い分けます

連続型信託を組みにあたって、一般的には、受益権を相続ではなく、消滅発生型で設計していることがほとんどだと思うので、そのときは、「年月日父の死亡」を原因として登記をします。

必要書類として、登記原因証明情報(受益者の死亡の事実がわかる戸籍、受益権承継の定めがある信託契約書等を提出)を作成し、信託目録の受益者の変更登記を申請します
併せて、税務も確認してく必要があります

 

前受益者の死亡を原因として新たに受益権を取得した新受益者は、遺贈により取得した者とみなされ相続税が課税されます(相続税法9条の2②)。

そのため、受益権評価を税理士の先生にお願いするとともに、父が他界した日の翌月末日までに「信託に関する受益者別調書」「信託に関する受益者別調書合計表」を所轄の税務署に提出するということもアドバイスが必要です(相続税法59条②Ⅱ)税法上は相続税申告期限の10ヵ月ではなく、翌月末日と期間が短いので、ここは頭に入れて動く必要があります

|委託者死亡後における変更手続きとは
前提として、信託契約書において、下記条項を盛り込んでいます
“受益者の地位は委託者の地位とともに移転する”委託者の地位承継型とする必要性については、別の記事に取り上げていますので、こちらを参照してください

そのため、父が他界しているため受益権と同時に委託者も変更されるため、信託不動産の委託者の変更登記も必要となります
受益者の変更の登記とは別に、委託者の変更登記が必要です
この移動は、受益権の移動とともに行う手続きなので、忘れずに行うようにしましょう
受託者が単独申請により登記を行い、登録免許税として不動産の個数×1000円かかります

実際に、受益者及び委託者の変更を行った信託目録は下記の通りとなります

このように受益者連続型信託においては、当初委託者兼受益者の死亡により信託が終了しないため、その継続の手続きが必要となります
ちなみに上記相談においては、受益者代理人が住所を変更したので、その住所変更登記も併せて行っています

|まとめ

・受益者連続型信託の当初受益者死亡後に何をするのか、頭にいれて設計をする
・受益権の移動に伴う税務手続きを受益者死亡の翌月末までに行う必要がある
・信託不動産がある場合には、受益者と委託者の変更登記手続きが必要

連続型信託の当初受益者死亡後の登記手続きはまだまだ、法務局での実際の取り扱いの事案が少なく、2019年7月時点では、運用も確立されていないため、僕自身もそうでしたが、登記の原因や提出する書類など、法務局によって運用が異なる、、、そんな状態です

まだまだ、正解やゴールが確立していない状態、だからこそ、模索し、どのように対応するかそのため、信託、生前対策の設計時点だけでなく、中間、出口戦略も見据えて、検討を行っていく必要があります

次回の記事もお楽しみに!

|中国、深セン、変わっていく士業・専門家の世界を見に行く

驚破壊的イノベーションを次々に作り出す中国の「深セン(深圳)」は、アジアのシリコンバレーと呼ばれており、今やスタートアップ界隈での注目の発展都市で実際に顔認証や無人レジの実社会での稼働、QR決済、キャッシュレス決済、シェアリングカー、など日本よりも最先端技術が高速で社会実装されており、その変化の速さから定期的に観測しておくべき地域です

僕自身も2018年にエストニア、中国、アメリカと実際に訪問し、海外のデジタル化が進んでいる国においては自分の仕事の大部分がIT技術によって代替されており、その資格は通用しない、価値がないという事実を実感し、驚愕し、そこから、僕自身も自分自身の仕事を大きく変えていきましたその内容は以前もブログでお伝えした通りです

中国深圳

エストニア

中国貴陽

そんななか、中国のシリコンバレーと呼ばれる深セン視察ツアーを11月3日(日曜日)~7日(木曜日)に少数限定で開催します

今の中国がわかり、実感し、未来がみえる内容でと旅行代理店に内容を注文し、企画してもらい、ようやく形になったので、リリースします
士業・専門家が見るべき世界の一つとして、中国で動いているアプリでの行政手続き、エストニアで進んでいるマイナンバーをつかった行政手続きについて中国、そしてきたエストニアの話を比較しながら、紹介します。

省ごとに運用が異なるのですが、実際に深圳の現地の方が使っているアプリを見る、そして、運転免許証や各種資格証明書が携帯に取り込まれている、無人スーパー、顔認証など実際に社会で実装されているその姿を実際にみて、体験することで、自分たちの将来、そして仕事をどのように行っていくべきか??

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