士業・専門家が価格競争に陥らず、適正価格で受任するためには!?

コロナ禍の中、相続や家族信託、生前対策の情報を発信する専門家が増えました。大手税理士法人のブログ、動画、相続税申告10万円台~といった低価格での広告なども目立つ中、オンラインでの競争は激化しつつあります。
同じ規模や資本力がない、中小の事務所では同じ戦略は取れません。自分の顧客の姿を明確にイメージし、売りたいサービスを見定め、きちんと利益がでる情報でサービス提供できる仕組み作りが必要です。

今回の記事のポイントは、下記のとおりです。

  • 提供するサービスから”今すぐ客”か”そのうち客”を対象にするのか検討する
  • ”今すぐ客”は価格競争になりがちだが、”そのうち客”は高単価で受任できるが信用・関係性構築が必要
  • 価格競争にならず高単価で受任するためには、①”そのうち客”名簿づくり、②”そのうち客”との信用・関係性構築、③”そのうち客”見込客のタイミングで、セミナーや個別相談に来てもらう仕組みづくりの要素がある
  • 見込客を”そのうち客”に変換するためには、顧客情報を意識的に集める仕組み作りが必要
  • オフラインでは無料相談、セミナー、名刺交換などを通じて、必ず顧客情報を取得する
  • オンラインでは顧客情報を取得するための思わず欲しいと思われるサービスの集客用専用ページへの導線づくりが不可欠。ブログや投稿などにページのリンクを貼り導線をつくる

中小の事務所・企業が見込み客と長期的に関係性をつくり、適正価格で受託できる方法を解説します。

自分のサービスの提供する顧客は”今すぐ客”と”そのうち客”のうちどちらか?を見極める

新規顧客を考える際に考慮すべきポイントとして、自分がお客さんにしたい見込み客が自社のサービス提供にあたり、今すぐそのサービスが必要な顧客(今すぐ客)なのか、今はサービスを必要としていないが、将来そのサービスを必要とする顧客(そのうち客)に該当するのかをまずは見極める必要があります。どちらに該当するかによってアプローチ方法が変わってくるからです。

今すぐ客は競合が多く、価格競争に陥りやすい

すぐに自社の売上に繋げていきたいということであれば、先生のサービスが必要な”今すぐ客(明確層・顕在層)をターゲットにすべきです。例えば、相続税申告、相続放棄、債務整理、創業融資などの期限や緊急性がある、今すぐにでも必要なサービスでは顧客は最終的にサービスを利用しなければならないため、無料相談から受任につながる確率も高くなります。じっくり商品を検索している時間がないので、「情報検索→商品申込」までの導線が短く、見込み客の育成などといったプロセスを経る必要はないのです。そのため、「広告」→「HP」→「相談」→「申込」という流れで十分対応可能です。事務所、サービス価格比較の検討というプロセスをとって事務所を選んでいます。つまり、「いますぐ客」を狙うとなると、特に、後ほど説明する「顧客育成」というステップをしなくても、広告費、マーケティング費用などを費やせば、問い合わせを得て受任することができるのです。

しかし、サービスの受任もしやすいことから、競合が多く価格競争になりがちです。例えば、Web広告で”相続税申告 税理士”のようなキーワードを狙う場合には、地域にもよりますが1クリック1000円を超える広告費費用がかかるケースがあります。このようなキーワード狙うことになると、広告費が多額にかかることから広告を行う資本力がないと難しい状況です。

 無料で活用できる YouTube や Facebook、Twitter、ブログを活用するという方法もありますが、これらの施策はコストをかけずにスタートできるSNSのメリットを活用することができますが、ライバルも多いこと、そして発信しても自分の記事を見てもらえるためにはSEO での検索順位が上がるなど時間がかかる、といったデメリットもあります。

”そのうち客”から高単価で受任するには、”顧客育成”がポイント

価格競争に陥らず高単価で受任したいのであれば、”そのうち客”をターゲットにすべきです。例えば、家族信託や遺言、生前対策などのサービスであれば、認知症が進んでおり至急対応するというケースもありますが、基本的には今すぐ行う必要がないサービスになりがちです。税理士や社労士の顧問契約も新規創業であれば”今すぐ客”に該当しますが、既存の顧問先がいるクライアントであれば、多少の不満があったとしても顧問先をすぐに変える必要がないので、”そのうち客”に該当します。
“そのうち客”は“今すぐ客”と異なり、将来的な必要性はあるものの、今すぐ必要というわけでもないので、すぐには成約になりづらい顧客です。でも、時期が来た時には、そのサービスが必要な顧客であるため、一度相談し関係をもった顧客との関係性構築を継続し、必要が生じたときに思い出してもらい依頼を受けることができ仕組みをつくっておくことが必要です。また、紹介先開拓(BtoB)の視点においても、紹介元において今は紹介する案件がないが将来案件が発生したときに思い出してもらうという意味では”そのうち客”に該当します。
初対面ですぐに高単価なサービスの受注は難しいため、「この先生に頼んでもいいのか?」という信用・信頼を得ていくステップが必要です。顧客との接触頻度を上げ、メルマガやLINEなどによる役に立つ定期的な情報発信を通じて顧客からの先生に対する“信用”をつくっておき、〇〇先生にお願いしたいという、サービスが必要になったタイミングで問い合わせや他のお客様の紹介を受けることができれば、競合との価格競争に陥らずに高単価で受任することができるようになります。

”そのうち客”から仕事を受託するための3つのポイント

”そのうち客”の集客を考えるにあたって、必要なポイントは下記の3つです。

① ”そのうち客”の顧客名簿をつくり、新規のリストを集めること
② ”そのうち客”に情報を提供し、関係性を継続し、信頼関係を構築すること
③ ”そのうち客”のタイミングで、セミナーや個別相談、紹介につなげること

”そのうち客”のリスト集めの方法を以下、お伝えます。

”そのうち客”のリストを集めるには?

”そのうち客”との関係性構築をしていくにあたって、まず必要なのが、”そのうち客”を集めること、すなわち顧客名簿づくりです。

顧客名簿がなければ、メルマガや事務所通信を定期的に送ることことはできません。また、LINEの場合は友だち登録がなければ、同様に送ることはできません。SNSでは、たまたま投稿した記事がバスったのであれば知らない第三者にも届く可能性がありますが、そうでなければ基本的にはフォロワー登録してもらわなければ、情報は届きづらいという問題があります。”そのうち客”との関係性・信用を構築するために、低コストで定期的に情報を届けるために、自分のサービスに興味を持つ”そのうち客”の顧客情報(メールアドレスなど)を入手する必要があります。顧客名簿を作ることで、セミナーや新サービスを告知する際に、”そのうち客”に対して情報をきちんと届けることができるようになります。ブログやSNS、広告だけだとたまたま見てくれることもありますが、見てくれない可能性もあるのです。

自分の事務所、サービスを知ってもらう

まずは、”そのうち客”となる見込み客に、自分の事務所、サービスを知ってもらう必要があります。知ってもらうためには、自社のことを告知していく必要があるのです。告知する方法としては、資金を投入する方法と、時間を使う方法があります。
例えば、オフラインであれば、事務所の看板、路面店立地での事務所経営、折り込みチラシ、バス広告など資金を投入する方法のほか、時間を使う人脈をたどっての紹介や業務提携といった方法があります。オンラインだとブログ、Facebook、Twitter、YouTubeなどがあり、広告費を投入する方法のほか、コンテンツ作成のための時間は必要ですが無料でも十分使えるツールがあります。
ここで注意をしなければならないのは、顧客設定です。自分のターゲットとして定めた顧客(そのうち客)が使うツール、媒体を利用する必要があります。

士業・専門家が押さえておくべき顧客設定のキホンとは!?

例えば60歳代の高齢の親を持つ50歳前後の子世代をターゲットに相続や生前対策のサービスを提供しようと考えていた群馬で事務所を経営している先生を想定します。ここでTwitterをいくら頑張っても、その世代はTwitterをメインとして情報収集している可能性は低く、成果がでない可能性が高いのです。その先生がYouTubeで投稿した動画が北海道在住の方にたまたま閲覧されたとしても、わざわざ群馬の先生に依頼する可能性が低いのです。

私自身も2020年コロナ禍のなか、家族信託のオンラインセミナーの広告を全国向けに行った時期があります。私の事務所は横浜にあるのですが、広島や北海道、沖縄など全国に住む方に参加いただいたものの成果に繋がったのは名古屋在住の方で東京にたまたま仕事に来ていた方1件だけでした。ターゲットとする方の属性やサービスの内容によって変わりますが遠方の専門家には依頼しずらいサービスもあるので注意が必要です。もし、オンラインで情報収集をしない方や地元に住む方をターゲットに設定したのであれば、オフラインでの紙媒体での告知、路面店での事務所経営や紹介・提携先開拓などを行ったほうが効果的に集客ができます。

顧客情報を収集する仕組みをつくる

見込み客に自社やサービスを知ってもらった後に必要なのが、顧客情報を収集する仕組み作りです。メールアドレスなど顧客の連絡先がわからなければ、定期的に情報を届けることができません。
SNS、LINEなどの友だち登録やフォロワー登録も重要ですが、プラットフォームの仕様がかわるとリストが消滅する可能性もあります。また、事務所通信を送り続ける方法も郵便代など時間やコストがかかります。メルマガであれば、数が増えても時間はそれほど変わらず、コストをかけず送付することができます。

オフラインでは、必ずメールアドレスを取得する

顧客情報として必ずメールアドレスを取得する癖はつけておくべきです。
簡単にできるメールアドレス取得方法は無料相談受付時にメールアドレスの取得を徹底することです。無料相談を通じて、先生の人柄や人間性、専門知識を相手に伝えることができます。そこで仮に仕事に受任に至らなくても、”そのうち客”に対して役に立つ提案ができていれば一定の信用は得られているはずです。また、見込み客がいる交流会や地域の会合などに参加して名刺交換するという方法もあります。メールアドレスを取得できていれば、その後はメルマガを通じて信用と関係性を構築することができます。

オンラインでは、顧客情報を取得するための導線が必要

オンラインサービスを活用し、ブログやSNS投稿で自社やサービスを知ってもらう際に注意をしておくことが一つあります。仮に記事へのアクセスが一時的に集まり閲覧されたとしても、顧客情報を取得できていなければ定期的に情報を届けることはできません。メールアドレスの入手、LINEの友だち登録をしてもらう必要があります。ウェブ上では、オフラインと異なり人間関係が読者との間にないことからメールアドレスを入手するハードルがあがります。では、どのようにメールアドレスを取得すればいいのでしょうか?

その方法の一つが、有料ではなく無料のフロントエンドサービスを用意することです。これは、例えば飲食店でその場で公式LINEの友だち登録をすれば割引サービスを受けられる告知を知って、その場で登録した経験ってありませんか?これと同じイメージです。読者がメールアドレスを登録しても良いと思うようなメリットを提供する必要があります。例えば、法律や税務などのお役立ち情報をまとめた無料小冊子、メールセミナー、セミナー動画などがあります。見込み客目線で思わず欲しいと思わせるものを提供することがポイントです。私の場合は、“無料情報冊子提供・契約書ひな形プレゼント・無料セミナー”などを次の導線として設定しています。

オンラインでブログやSNS投稿で投稿をする際には、この無料のフロントエンドサービスをセットで用意するようにしてください。フロントエンドサービスを申し込むための専用の集客用ページ(ランディングページ)を用意し、そのURLをブログの末尾やSNSでのプロフィール欄、動画の概要欄、固定ツイート欄に掲載することによって興味をもった見込み客が思わず登録してしまう仕組みを作るのです。この顧客情報収集するための導線をつくることで、興味をもった見込み客の顧客情報を得ることができます。この顧客名簿はその先生の提供するサービスに興味をもつ方のリストとなり、以後、広告費を必要とせず届けたい情報を定期的に届けることができるようになります。

せっかく良質な記事や動画をつくり多くのアクセスと得ることができたとしても情報を届けることは出来ません。見込み客の顧客情報を得ることで”そのうち客”に変換することができるのです。”そのうち客”の顧客名簿を新規追加していくことで、自分の情報が定期的に届く相手が増えていきます。そして、定期的に役に立つ情報を発信していくことで、信用・関係性が構築できるのです。

まとめ

  • 提供するサービスから”今すぐ客”か”そのうち客”を対象にするのか検討する
  • ”今すぐ客”は価格競争になりがちだが、”そのうち客”は高単価で受任できるが信用・関係性構築が必要
  • 価格競争にならず高単価で受任するためには、①”そのうち客”名簿づくり、②”そのうち客”との信用・関係性構築、③”そのうち客”見込客のタイミングで、セミナーや個別相談に来てもらう仕組みづくりの要素がある
  • 見込客を”そのうち客”に変換するためには、顧客情報を意識的に集める仕組み作りが必要
  • オフラインでは無料相談、セミナー、名刺交換などを通じて、必ず顧客情報を取得する
  • オンラインでは顧客情報を取得するための思わず欲しいと思われるサービスの集客用専用ページへの導線づくりが不可欠。ブログや投稿などにページのリンクを貼り導線をつくる

今回の記事では、”そのうち客”の名簿作りを中心に解説しました。次回以降の記事で、関係性の作り方をアップする予定です。まずは、顧客名簿づくりと情報を収集とすることから始めていくことで、自社の情報を”そのうち客”に届ける仕組みをづくりから進めていきましょう。

相続専門家が知っておくべき相続登記義務化と義務化を見据えたチャネル開拓方法

最近よくニュースにもなる「所有者不明土地」問題。
この問題の多くの原因は、相続の際に「相続登記」をしない方が半数以上を占めているということが挙げられます。現状、手間や登記費用の出費を省くために放置されるケースが非常に多くなっています。これは、土地を有効活用したいと考える個人または国・自治体にとって大きな問題となっており、2024年には相続登記が義務化が施行されることになりました。

これを受け、相続・生前対策を得意とする士業・専門家はどのように対応したらいいのでしょうか?
法改正とは、新しいサービスや新しい行動のチャンスであり、それまでにどのように商品設計を考えていくのかが非常に重要。他業種との連携も視野にいれ、「相続登記」というサービスを武器にチャネルを開拓することも可能です。

今回、東京司法書士会でも委員として相続登記義務化など法改正に関する書籍出版にも携わるほか、生命保険会社などのチャネル開拓を積極的に展開する司法書士法人JAPANーUP 代表司法書士 向田恭平 氏をお招きして、相続登記義務化に伴う法改正の概要と司法書士法人JAPANーUP流のチャネル開拓のノウハウについて、解説いただきます。また、司法書士・行政書士事務所リーガルエステート 代表司法書士斎藤竜から、リーガルエステートが行ってきた相続・家族信託関連業務について金融機関、不動産会社など異業種の提携方法についても解説します。

「相続登記義務化」の法改正を詳しく知りたいという方、さらに、どのように「相続登記義務化」という法改正を活用して売上につなげていくのかについて興味がある方は是非本セミナーにご参加いただきたいと思います。

【生前対策・家族信託コミュニティー~LFT~2021年8月定例会】
相続専門家が知っておくべき相続登記義務化と義務化を見据えたチャネル開拓方法

  • 地主やお客さまに説明すべき相続登記義務化の改正概要
  • 所在土地不明の放棄制度の活用と留意点
  • 相続財産の管理制度の改正による専門家に必要な対応
  • 相続登記義務化をフックにしたチャネル別開拓方法とは?
  • 他士業、保険会社、金融機関、不動産管理会社での連携、提携方法

【日   程】:2021年8月11日(水)
【時   間】:13:30 ~ 16:30
【参 加 費】:お一人様 11,000円(税込)

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