信託終了時に不動産取得税が課税!?その対応方法とは?

生前対策・家族信託コンサルタント、司法書士の斎藤です。

家族信託・民事信託を組成した後、数年後に委託者が亡くなる、、、そういったケースが増えてきていると思います

今回の記事は死亡を起因とした信託終了時の不動産取得税の課税についてです。事務所にも当初委託者死亡後に信託終了し、帰属権利者に信託財産を引継ぎさせたケースで、最近、都税事務所からお客様宅宛に、家屋が約8万円、土地が約75万円、合計約83万円の不動産取得税が課税されるという内容の文書が突然届き、一時焦りながら、対応したものの、非課税要件に該当したため、無事課税されずに済みました。

登録免許税については、軽減措置があり、一定の要件を満たせば、登録免許税の軽減措置の適用が受けられます。

>>受益者連続型信託の税務の落とし穴とは!?

では、信託終了時の不動産取得税の取り扱いとその手続きはどうなるのでしょうか??
今回は、当事務所で実際に取り扱った不動産取得税の実務について紹介します(^^♪

不動産取得税とは!?

そもそも不動産取得税はどんなタイミングでかかるのでしょうか?その根拠は地方税法73条の2にあります。

不動産の取得に対して、登記に関する登録免許税の他に、不動産取得税が原則3~4%かかります。
全ての不動産所得についてかかるとなると、個人に重い税負担が課せられてしまうため、地方税法で軽減措置が設けられています。

不動産取引など実務で対応している方ならご存知の通り、居住用不動産の売買、相続など一定の取引などについて軽減措置が適用されます。そのため、マイホームを購入した、親から相続を受けた、、、など生活に伴う取得原因については軽減措置が適用され、税額が軽減される、非課税となるという措置がとられています。

家族信託・民事信託における取得税の考え方とは?!

信託組成時には、所有権としての財産権の移転がないため、不動産取得税は課税されません。受益権を譲渡した場合も同様です。なぜなら、所有権の移転ではないからです。不動産取得税の言葉のとおり、不動産を取得しているのでなく、受益権を取得しているからですね

信託終了時に、委託者本人に信託財産を戻す場合も当然、所有権を実質取得していないので、地方税法73条の7第3号により不動産取得税は非課税となります。

ですが、信託終了に伴い、当初委託者以外の人に信託財産を引き継ぐ場もどうでしょうか?
これは、実質、当初委託者から財産を取得する人(帰属権利者等)に不動産が移動(取得)しています。
不動産所得=課税なので、信託終了に伴い、当初委託者以外の人に信託財産を帰属させる場合には、不動産取得税が原則課税されるということを頭に入れてスキームを設計していく必要があります

当初委託者が死亡した場合の軽減措置の考え方

当初委託者が死亡した場合に、子供に財産を帰属させるスキームを検討してみます
その場合、下記2つの方法が想定されます

①委託者の死亡を終了事由として子(帰属権利者)に帰属させる

②受益者連続型とし、第二受益者を子に設定した上で、当初委託者(受益者)死亡後に第二受益者と受託者の合意により終了させるいずれの場合も、信託財産を子に引き継ぐ際には、財産権が移転することから不動産取得税が課税されることを頭に入れなければなりませんその際に考慮する必要があるのは、地方税法73条の7の軽減措置ですこの条文はすごく重要なので、良く読み込んでおく必要があります

 (形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税)
地方税法73条の7
都道府県は、次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
一 相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。)による不動産の取得

三  委託者から受託者に信託財産を移す場合における不動産の取得(当該信託財産の移転が第七十三条の二第二項本文の規定に該当する場合における不動産の取得を除く。)

四  信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託により受託者から当該受益者(次のいずれかに該当する者に限る。)に信託財産を移す場合における不動産の取得
イ   当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者である者
ロ 当該信託の効力が生じた時における委託者から第一号に規定する相続をした者

ここで注意しなければならないのは、第4号の規定です。
特に信託終了時に委託者の死亡を起因として財産を帰属させる場合には、軽減措置適用の要件をよく読み込む必要があります

①信託の開始から終了まで委託者に変更がなく、委託者兼受益者を継続すること
②信託効力開始時の委託者から相続をした者に該当する受益者に信託財産を移すこと

要約すると上記2つの要件を満たす必要があります
そのため、例えば、相続人ではない、孫や甥姪に帰属させるなどのスキームでは、委託者から相続した者に該当しないため、不動産取得税が課税されてしまう、、、ということになってしまいます

この考え方は、遺贈も同様で、相続人に対する特定遺贈については、地方税法第73条の7第1号の規定により不動産取得税は課税されませんが、相続人以外に対する特定遺贈については、不動産取得税が課税されます

相続実務に詳しい専門家であれば特定遺贈については理解されている方が多いと思いますが、信託になるとこの規定を忘れてしまった、、、ということにもなりかねないので、改めて注意してみてください

都税事務所、県税事務所からのお尋ね書!?

冒頭でも述べた通り、実際に当事務所で組成した信託案件で、都税事務所から取得税のお尋ね書がお客様に届きました
よくよく都税事務所にも話を聞いてみると登記事項証明書からは、相続と異なり、原因は「信託財産引継」で、財産を取得した人が軽減措置の適用を受ける人に該当するかわからないため、こういったお尋ね書を送っているとのこと

確かに登記事項証明書をみてもこれが、信託財産を引き継いだ人が委託者の相続人かどうかわからないです。

今後、このような信託終了時に不動産取得税のお尋ね書が都税事務所・県税事務所から送付されることが想定されます
参考までに、お尋ね書と同封された非課税措置の適用の説明資料もアップします

上記資料にもあるとおり、実際に当事務所でも下記書類のコピーを提出の上、軽減措置の適用を受けることができました

・信託契約書
・信託契約の終了に係る書類(清算事務報告書、戸籍謄本)
・信託目録付き登記事項証明書

軽減措置の適用を受けられると理解していても、お尋ね書がお客様宅に届いたという話を聞いたときは本当にあせりました(汗)
ですが、軽減措置の適用が認められ無事、非課税となり、なりよりでした

こんな信託スキームは注意!

信託終了時の軽減措置の適用を受けるためには、上記で記載した要件を満たす必要があります

そのため、下記のような契約書、スキームについては不動産取得税の軽減措置の適用を受けることはできません。

・委託者の権利を当初から消滅させている
・受益者連続型で委託者の地位を消滅させている

そのため、作成済みの信託契約書が軽減措置要件を満たしていない契約書であった場合には、下記のような対応が必要です

・改めて信託契約の変更する
・信託終了時に不動産を引き継がず、換価の上、金銭で引き継ぐ

それともう1点注意が必要な論点があります。それは受益者連続型のスキームです。改めて地方税法第73条の7第4ロを見てみます

ロ 当該信託の効力が生じた時における委託者から第一号に規定する相続をした者

条文にもあるとおり“委託者から相続をした者”と規定されています
以前の記事でも紹介した通り、登録免許税の軽減措置の要件を満たしていれば、その制度趣旨から鑑みて連続型信託でも不動産取得税が課税されないと考えられますが、条文をそのまま文言通り解釈してしまうと、連続型信託のスキームで第三受益者等は、はたして“委託者から相続した者”に該当するのかどうかという部分について“???”と疑問が浮かびます

今後このような通知が届き、それぞれの地域ごとに都税事務所・県税事務所と個別対応する事案もでてくると思います
そのため連続型信託のお客様への提案においては、
“信託法務・税務解釈が確定していないため、不動産取得税について軽減措置が受けられない可能性もある“
ということを念のため、伝えておいたほうがいいでしょう

まとめ

 

  • 登録免許税と同様に、不動産取得税の軽減措置の適用も考慮して信託設計をする必要がある
  • 対応できていない契約書があれば 修正変更等が必要
  • 信託法務税務については確定できていない部分があるので、そのリスクを予め説明の上、同意をもらう

 

まだまだ、法務税務が確定していない家族信託・民事信託、、、常に最新の法務・実務を学び続けることが必要です
僕自身もお客様にその都度、信託についての重用事項説明書兼同意書という形で、お客様の信託の仕組みを説明の上、同意書をもらっています

このような信託のスキーム設計の最新情報提供ということで、5月15日に東京駅周辺でセミナーを開催します
セミナーの中では、メルマガで伝えきれない信託の組成方法、実際の融資の取り扱い、契約の組み立て方、出口戦略の考え方など、時間が許す限りお話しする予定です。
ご興味ある方はスケジュール空けておいてくださいね(^^)/詳細は、後日、メルマガでご案内いたしますので、楽しみにしておいてください

次回をお楽しみに(^^)/

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