信託登記漏れ物件!?その対応方法と顧客との接点づくりを考える

生前対策・家族信託コンサルタント 司法書士の斎藤です

最近、家族信託・民事信託がバズワードとなっており、問い合わせもみなさんの事務所で増えていると思います。士業・相続コンサルタントのみならず、金融機関でも取り扱いを開始しており、この流れは加速していきそうですね。

》オリックス銀行家族信託サポートサービス
》城南信用金庫高齢者向け総合サポートサービス「いつでも安心サポート」

今後、特定の士業・専門家だけでなく、金融機関、不動産会社など様々な業種のプレイヤーが信託ビジネスに取り組んでいくことが増えていきそうです。


そんな中、今回、信託登記漏れ物件の追加信託登記を当事務所で取り扱いました。今回の記事は

  • 信託登記漏れ物件の対応事例
  • 信託後の顧客との接点づくりを考える!?

です。それでは、どうぞ(^^)/

信託登記漏れ物件!?

当事務所で数年前に、家族信託組成をサポートさせていただいたお客様から連絡をいただきました。信託組成後に、信託した金銭で収益物件を購入したとのことです。


家族信託を行うことにより、信託契約で定められた信託財産のほか、信託財産に属する財産の管理、処分、滅失、損傷、その他の事由により受託者が得た財産も信託財産となります(信託法16①)。例えば、「賃貸用不動産(アパート等)」を信託財産とした場合。

・賃貸用不動産が信託財産
・信託期間中に賃貸用不動産から得られた「賃料収入」
・信託金融資産である預貯金から得られる利息
・賃貸用不動産を売却した際の「売却代金」
・換価後の金銭で購入した「新たな不動産」

これらすべてが、信託財産となります。「信託財産から得られた財産も当然信託財産となる」これは、みなさんご存知の通りだと思います。今回のケースでも信託財産として金融資産を組み入れていたため、受託者である息子が信託契約で定めた内容に基づき信託した金銭で購入できます。

お客様はその旨を、不動産仲介会社の営業マンに伝えたものの営業マンも受託者が売主ではなく買主であったこと、(売却物件が信託不動産であれば信託登記がされているので当然留意します)融資を利用せず、現金で購入するという内容の中で、売買交渉の中、信託の件聞き流してしまい、不動産決済を担当する司法書士にも伝えず、誰も何も言わないので当事務所にも相談をせず、売買契約、代金支払い、物件引き渡し、登記手続きの一連の流れを済ませてしまいました。

その後、確定申告を担当する顧問の税理士さん経由で信託不動産に信託登記が入っておらず、受託者個人名義の所有不動産として登記されていることが判明しました。確認のため、登記事項証明書を取得すると、確かに所有者として受託者個人名義で登記されており、信託登記が漏れています。

そこで、既に所有権移転登記がされている物件の対応をどうするか苦慮しました。

信託登記の申請方法とは?

信託登記の申請方法ですが、不動産登記法に定められています。


不動産登記法上、

(信託の登記の申請方法等)
第九十八条 信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければならない。
2 信託の登記は、受託者が単独で申請することができる。
3 信託法第三条第三号に掲げる方法によってされた信託による権利の変更の登記は、受託者が単独で申請することができる。

つまり信託の登記は、不動産登記法第98条1項により売買による所有権移転の登記と同時に申請する必要があります。

そこで、どう対応するか二つの方法考えました。

(1)    売買による売主から買主(受託者個人)への所有権移転の登記を抹消し、再度受託者名義への所有権移転及び信託登記を申請する。
(2)    信託の登記のみを追加で登記する

上記①の方法をとると再度、不動産の売主に協力してもらう他、抹消登記の費用、再度の所有権移転登記費用がかかってしまい、現実的ではありません。そこで、文献にあたり、登記の先例等を調べ、解決方法を模索しました信託登記の追加、つまり(2)の方法です
昭和41年10月31日民事甲第2970号民事局長電報回答「信託財産の処分等及び信託財産の原状回復の場合には、必ずしも同一の申請情報をもって同時に申請する必要はない」という回答があります。

信託関係者でない第三者(今回のケースでいうと売主)が登記義務者(申請人)となってしまうという理由から今回のような信託金銭で不動産を購入する信託財産の処分では、先に所有権の移転の登記をして、事後に信託の登記をすることが過去の回答で許容されていました。

登記を申請する法務局の登記官に上記回答と想定される申請書、登記申請に必要な登記原因証明情報などを作成して照会をかけたところ、OKの回答が出て、不動産の売主などの関与なく受託者のみの申請による信託登記のみの追加申請登記が受理されました。

信託後の顧客との接点づくりを考える!?

今回のケースのように、信託後、期間が経過して、資産の組換など行うケースが増えてくることが想定されます。認知度は上がってきているとはいえ、不動産仲介会社、ハウスメーカー、金融機関など現場の営業マンレベルには浸透していないケースも多々あります。

信託不動産の組換、顧客の家族環境、生活状況など、環境の変化が発生します。そのとき、自分がどこのポジションにいるのか、そういったこと踏まえて、顧客との接点づくりを考えていくことが必要です。
近年のビジネスモデルが「モノ」の提供から「利用」の提供へと変化しています。

例えば、マイクロソフト、Adobeなどソフトウェアを提供している企業も製品販売モデルから

Office365
Adobe Creative Cloud

など、サブスクリプションモデル(継続課金型)へとビジネスモデルを変えています。

また、キリンビールも「Home Tap」という月額定期購入(7500円~)の自宅でクラフトビールなど生ビールを飲める2017年からサービスを提供しており、商品の差別化、価格競争が激しいビール業界で、卸売、小売を通さず、エンドーユーザーとの関係をつくり、継続的な販売をビジネスとして取り組む仕組みをつくっています。

一般にゲーム機、ソフトという売り切りの製品(ハード)の販売をしていた、任天堂(スイッチ)、ソニー(PS:)も、製品(ハード)販売に加えて、製品の機能を最大限利用するためのサブスクリプションサービスとして、

Nintendo Switch Online
PlayStation Plus

を提供しています。

AppleのiPhoneの販売台数が落ち込んだというニュースが最近よく見かけるようになりました。appleはiPhoneという製品を販売しており、その販売台数は落ちていますが、でも、apple IDは今まで販売し、利用している顧客分の数を保有しています。そして、iCloudやApple Musicで大きく売り上げを稼いでいます。

Appleは製品を販売していますが、顧客IDを保有しているサブスクモデルの企業です。顧客との接点を持ち続けることで顧客のニーズを把握し、アップデートし続けることができ、要望に応じることができます。

僕ら士業・専門家は、まずは、新規顧客開拓を中心に考えがちですが、これから人口減少していく時代の中、
・接点をもった既存顧客と関係性を築いていくか、
・顧客に必要なそのときに提案できるポジションをどうつくるか
がポイントになってきます

事務所通信、メルマガ、SNSの活用、サービス、まずは、自分の事務所、会社でできること、そこから考えていく。そのうえで、デジタルを活用して、どのように継続的な関係を顧客との間でつくる、ことを考えていく、といったことをしていく必要があります。まずは、身近な積み重ねからできることから始めていくのが必要ですね。

コンサル案件受注のためのポジションづくり考えていますか?


インターネットの普及により、業界・資格の壁は溶け始め、「相続」という一つの業務をみても、士業の他、金融機関、不動産会社など多くの業種が取り組みを始めており、競争は、以前と比べて非常に激しくなっています。

もはや「○○士」・「○○認定資格」といった資格だけでは、事務所・会社を経営することはできません。夢を持って資格を取得したにもかかわらず、この現実に多くの先生業の方が悩んでいます。また、AI・IT化の進行により、手続業務は簡素化されつつあります。

しかし、その一方で高単価コンサルティングを手掛け、顧客との継続的な関係をつくっている先生もいます。

そんな中、お客様への提案時にどうあるべきか、どのように生前対策コンサル案件を受注していくか、をお伝えするセミナーを開催しています。

【生前対策・家族信託提案力アップセミナー】
日時 2月23日水曜日 9時30分~11時30分
3月13日水曜日 9時30分~11時30分
会場 株式会社東京八重洲ホール

★セミナー内容★
◎10年後、あなたの仕事はある?ない?
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