士業サービスを形にするには何が必要か?

コミュニケーション

僕らのサービスは形が見えないサービスです。
○○士という資格から、提供できるサービスの内容を決めがちです。私も過去そうでしたが、提供するサービスが明確ではなく、“サービスの内容が見えない”ことが多くあります。

今回のポイントは下記のとおりです。

  • 提供するサービスを目に見える形にし、何故サービスが顧客にとって必要なのか、そして他社と比べて価格が高くても自分にとって必要だということを形で見えるようにすることが何より重要
  • 1申請〇〇円、1申告〇〇円というように手続申請をベースに料金設定から、コンサル業務では”コンサル費用””個別手続き業務”という形に変える
  • サービスのプロセスを見える化し、形にして付加価値をつけることでコンサル化できる

士業・専門家にとって苦手意識が強いサービスの商品化の仕方についてお伝えします。

提供したいサービスを見える化する

よくある士業サービスにおいては、手続きであれば1申請〇〇円、1申告〇〇%、顧問契約であれば月〇万円というように手続や月額をベースに料金設定しています。

顧客側からみると1申請といった手続き完了という結果や顧問期間に対して、報酬を支払っていることとなり、その間に行われるサービスの内容、プロセスについては全く考慮の余地はありません。今では手続き業務は顧客がネットで情報を調べ自ら手続きができるようになりました。また、士業サービスの競争激化から、今では会社設立、相続登記、各種申請業務を驚くほどの低価格で提供する士業や民間会社も登場しています。それでは、士業は事務所の経営をし、顧客に満足なサービスを提供できる体制を維持できません。

顧客が利用しやすい、適切な価格での提供のための競争は当然正しいですが、安売りしすぎは“悪”です。優秀なスタッフの雇用、適切なサービスを提供し続けられません。

あなたが提供するサービスを目に見える形にし、そして、何故、あなたのサービスが顧客にとって必要なのか、そして他社と比べて価格が高くても自分にとって必要だということを形で見えるようにすることが何より重要です。特に、1件当たり〇円の手続き業務ではなく、コンサル型業務として受託する場合には、何よりサービスの顧客に対する見せ方が重要になります。

コンサル業務と手続き代行業務とでは受注方法が違う

手続業務として仕事を受注してしまうと、手続き完了が報酬の支払という考え方にります。どれだけ顧客のために時間を使い、プランを検討したとしても、1申請=〇万円という形になってしまい時間を使ったのにもかかわらず、低単価業務となってしまいます。

コンサル型業務は個別の特定の手続きではなく、顧客の課題解決を目的として受託します。
例えば、私が提供している相続対策業務では、顧客の理想とする姿(家族が揉めないで円滑に資産承継をしたい、そのうえで相続税などもできれば軽減したい)という理想像をききます。その方法として、遺言や生前贈与、生命保険、税理士と連携した節税提案をしていくのです。顧客問題を解決してきた多くの先生は、最終的な解決方法、つまり手続きの内容を毛艇するまえでに、各種スキーム実行に至るまでには、ヒアリング、関係当事者の調整、プランの検討、ヒアリング、資料の作成…など多くのステップを経てベストな方法を取捨選択しているはずです。

審査

でも、意思決定にかかる過程を見えないため、顧客には最終的な手続き完了という結果しか価値を伝えられていません。そのため、手続という仕事の受託方法では低価格になりがちです。

私も相続業務に取り組んだ当初、手続きとして仕事を受託していた時期があり、1つの遺言作成件に関係者の根回し、税理士への確認、プランニングなど数十時間費やしたにもかかわらず、報酬は3万円という仕事をしてしまっていました。時給に換算すると1000円代です。社会的貢献になり、お客様には喜んでいただけましたが、士業であり、経営者である私がやっていい仕事ではありません。

そこで、仕事の受注の仕方を変え、顧客に提供するサービスを手続き代行的なアプローチで提供するのではなく、コンサル業務として提供することに変えていき、サービスの見せ方、受注の仕方を変えていきました。

どのようなサービスを提供するのか形にすることがポイント

顧客の立場からみると、士業サービスは形が見えず、サービスの善し悪しがわかりません。では、どのように判断するのでしょうか?

判断基準がない以上、価格で判断されてしまいます。よって、実際に顧客面談で最終的なクロージングの際、提供するサービスを手続きサービスとして提供してしまうと、1申請〇万円という形になってしまい、競合他社との比較がしやすい価格での勝負となりがちです。そうならないためにも、あなたの提供するサービスがどんなサービスか、客観的に形にして見えるような状態にし、そして、その判断基準を顧客に伝える必要があるのです。

例えば、私が提供しているサービスの一つに家族信託・生前対策サポートサービスがあります。これを、仮に手続き代行型商品として提供すると、下記のようになりがちです。

・1契約書作成 〇万円
・1登記申請 〇万円

サービスの過程容を目で見えるような形にし、どんな過程を経て、どのような設計図、提案書をつくり、どのように家族会議を経て、最終的にどういったことをするのか、ということを顧客がイメージできるようなサービスの内容をまとめます。私の事務所の家族信託・生前対策サポートサービスの場合だと下記のような形でお伝えしています。

1.生前対策の設計(認知症発生前の事前対策)
家族関係や財産状況に応じて、必要な対策や手順は異なります。お元気なうちにご家族のお話を伺い、財産管理方法や誰に財産を遺したいのかお考えをヒアリングの上、提案します。
2.推定相続人の調査・必要書類の収集
本人が亡くなった際の相続人は誰か、相続分はどのくらいあるかを確認するため、戸籍収集し相続関係説明図を作成します。また、信託契約・登記手続にあたっての必要書類を収集いたします。
3.相続税シュミレーション
相続・信託について専門性の高い税理士をご紹介し、将来相続税がかかる可能性があるか、かかる場合の対策方法をメリット・デメリット含めてご提案いたします。
4.ご家族の皆様への説明
本人の想いを元気なうちにご家族に伝え家族一丸となって対策をとれるよう、家族会議の場をセッティングし、争族問題とならないよう推定相続人の同意を取り付けます。
5.各種契約書、遺言案等の作成
法的な文案は、決められた条項や内容を守らなければ想定外の問題が発生する可能性があります。
法的なリスクを避けながら、お客様ごとのニーズに沿った文案をご提案させて頂きます。
6.公証役場手続き対応
信託契約書や遺言を公正証書等で作成させていただきます。公証役場との文案打ち合わせ、変更指示の対応や立会いなど信託契約公正証書等の作成に必要な手続きを代行します。
7.登記名義変更
不動産を生前贈与した場合だけでなく、家族信託契約をした場合にも、信託財産であることを公示するため、受託者への名義変更を致します。
8.信託口口座開設
受託者は信託財産と個人の財産をわけて管理する義務があります。金融機関にて信託口口座開設のサポートをするなど、金融機関との調整を行います。
9.安心サポートサービス
手続き完了後も10年間、相続、遺言、家族信託についてご不安やお困りごとがあった際のご相談窓口としてお客様をサポートさせていただきます。

そして、上記内容を説明する販促物をつくり、実際に依頼いただいた場合に資料を作成し提供する、全体の設計図、複数のプラン検討、提案書のサンプルなどを見せて依頼した場合にはどのようなサービス過程があり、どんなメリットがあるのかということを視覚で伝わるよう見える化するのです。

報酬体系を分ける

サービスを手続きで完結せず、下記のような形で報酬体系をわけて、サービスを提供しています。

・コンサルティング費用
・個別手続き業務

みなさんも実際に提供するサービスのプロセスを箇条書きでもいいので、一度まとめてみることをお勧めします。そして、そこに更に付加価値がつきそうなサービスがあれば追加してみてください。そういったことをやっていくと既存サービスのコンサルティング業務へとかえることができ、新規サービスをつくることもできます。
士業の立場からは、サービス立案の過程で当たり前のことでも、意外に、顧客や第三者の立場から見ると専門家目線での複数のプラン設計、プランの専門家からの意見など、価値が高いことってことがあります。それを形にして顧客にお伝えすることで、付加価値を加えたあなただけのサービスをつくっていきます。提供するのは顧問型でも成果型でも構いません。このようにパッケージすることで提供するサービスを顧客に対して明確化できます。

まとめ

  • 提供するサービスを目に見える形にし、何故サービスが顧客にとって必要なのか、そして他社と比べて価格が高くても自分にとって必要だということを形で見えるようにすることが何より重要
  • 1申請〇〇円、1申告〇〇円というように手続申請をベースに料金設定から、コンサル業務では”コンサル費用””個別手続き業務”という形に変える
  • サービスのプロセスを見える化し、形にして付加価値をつけることでコンサル化できる

手続き代行的な仕事からコンサル型へと仕事を変えていくためには、手続完結をベースとする仕事からサービスのプロセスを見える化するというように仕事の考え方を変えていく必要があります。

家族信託契約書を作成する際にどのように設計・起案していますか?

家族信託というのは、士業・専門家にとって遺言や成年後見では対応できなかった範囲をカバーできる「一手法」です。自由度が高い分、お客様のニーズにあわせた対策を設計できます。しかし、一方で、オーダーメイドの契約書というのは経験も必要。そして、制度の歴史も浅く十分な判例もない状況も重なって、なかなかハードルが高く感じる方もいらっしゃるでしょう。

特に、家族信託契約書作成になると士業・専門家の技術が問われます。
もし、間違った信託契約書を作成してしまうと、本来支払う必要がない税金が課税されてしまう、金銭を管理する信託口口座が開設できない、一つの条項がないだけで不動産の売却処分等ができないといったリスクが発生してしまいます。
ここができるのとできないのとでは、士業・専門家にとっては大きな差でもあります。
今回、家族信託組成数200件を超える信託サポート件数TOPクラスのリーガルエステートがその信託契約書の最新情報とともに、作成手法について解説します。

こんな方にオススメです

・これから家族信託をやっていきたいと思っている方
・家族信託契約書を起案する方
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セミナーでは、家族信託契約の内容と法務、税務の中でも特に重要なことをダイジェストでお伝えします。

【士業・専門家のためのゼロから始める家族信託契約書解説セミナー】

今回のセミナーでは、主に以下のようなことをお伝えしようと思っています。

  • 間違った信託契約書を作成した場合の3つのリスク
  • 無駄な税金を払わず、預金口座凍結を防ぐための家族信託契約スキームの徹底解説
  • 契約書で要注意!自益信託と他益信託。契約時に想定外の税金がかかることも!?
  • 不動産所得がある顧客には要注意!知っておきたい損益通算禁止のリスクと回避方法
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  • 適切な資産承継を考えるためには出口戦略(終わり方)が重要

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