士業や専門家サービスをエンドユーザーから直接受任するにあたって課題となりがちなのか、 手続き業務完了により顧客との関係が終了してしまうという部分です。
1件いくらという形で受託し、手続きが完結してしまうとその時点でお客さんとの関係が終結してしまうという問題があります。僕も過去そうでしたが、これだと来月や再来月、といった先の売り上げがどうなるのかといったことが予想できないという状況になりがちです。
今回の記事のポイントは下記の通りです。
- 手続業務では案件終結とともに関係性を終了させてしまいがちだが、継続的な関係を構築しリピート、紹介発生を検討していく必要がある
- 案件終結後に気軽に相談できる有料サービスを取り入れることによって、最初の相談窓口をつくれる
- エンドユーザーにおいてはサブスク型商品を提供しづらく、スポット型の料金体系の方が提供しやすい
- 案件終結後もメルマガ、公式LINEや事務所通信を定期的に送信していくといった仕組みをつくることで忘れられない関係をつくる
エンドユーザーからのスポット業務から継続的な関係へと繋げていくためのポイントについて解説していきます。
目次
手続き業務は受任したら終わりになりがち
税理士や弁護士などの会社顧問などの継続業務についてはお客さんとの関係が終わりませんが、相続や登記、許認可、遺言作成などの手続き業務においては手続完了によりスポットで業務が終了するため、その後の顧客との継続的な関係とならないことがよく発生します。
そのため、新規顧客を開拓しては終結させる、また顧客開拓するという、常に新規開拓をしなければ売上をつくれない営業方法となりがちです。しかも、手続き業務として単価を低く受託してしまうと、売上を上げるために数も多くこなさなければならないという問題があり、お客さんとの関係性構築のための時間に多くを割くことが更にできなくなるといった悪い方向でのスパイラルが発生してしまいがちです。
サービスの単価が高ければ当然お客様に対して時間を割けるのですが、単価を安く設定しまうとそれだけ時間を割けないというようなことにつながってしまうのです。
本当は今いるお客様の先にはその配偶者や子供、親、友人、知人など多くの関係者が存在し、そのお客様の信用を得て、自分の事務所のことを忘れられない仕組みを作れば、そのお客様個人の問題でのリピートでの相談やその周りの関係者の問題についての解決として自分の事務所を紹介してくれる可能性があるのです。
関係性を作れない、自分の事務所のことを忘れられてしまっているとその時点で良い仕事をしたとしても思い出してもらえない、つまり紹介してもらえるはずだった案件についての仕事の受託に繋がらなくなってしまいます。
顧客との時間をつくるためには、サービスの単価の向上が必要です。上記については別の記事で詳しく解説しています。
確認してみてください。
案件終結後に気軽に相談できる環境をつくる
エンドユーザーとの間で案件終結後も気軽に相談できるポジションを作ることが大切です。
お手伝いをしたお客様にとってみれば我々が提供するサービスはその時の課題を解決するサービスですが、将来、何らかしらの困りごとや知人の相談を受けると言ったことが当然想定できます。
つまり、何かあれば最初に相談する窓口のポジションとなれれば、最初の川上の相談窓口になれるのです。そうすることで継続的なリピーターの獲得と紹介誘導ができます。
方法としては、下記の2つが考えられます。
・プラスアルファの継続相談サービスを作る
・業務完了後の継続的な情報配信
プラスアルファの継続相談サービスをつくる
よくありがちなのがその後も何でも無料で相談を受けますよという口頭での案内です。
それだと、サービスの内容が可視化できまさんし、また何でも無料で聞いたら悪いんじゃないかと言ったような相手方の躊躇が発生してしまいます。
そこで、案件終結後も気軽に相談ができる、相談サービスというもの提供しています。イメージは Apple の Apple care のイメージです。普段無料で対応してしまっているものをあえて低価格の有料という形で行うことによって有料だからこそ相談しやすいというような導線を作ってます。
案件終結までにお客さんに対して人間関係をきちんと作る、そして終結前の段階で案件終結後にも引き続き相談ができるサービスを用意して案内することによってその後の継続的な相談をするポジションを作ることができるのです。
料金形態はスポット型か、サブスク方がいいのか
金額も例えば「10年で1万円又は3万円」というような形にすればお客さんにとってもらえば手続き完結後に、プラスアルファで数万円で10年間相談できるという価格設定になってくるので申し込みしやすくなります。
注意しておかなければならないのは、提案するタイミングは顧客満足度が高い状態の時点、すなわち、案件完結時です。満足度が高い時点で、お世話になった先生からていあんされているからこそ、受任できるのです。後日のタイミングでは成約率は大きく下がってしまいます。
毎月〇〇円という形のサブスク型商品として専門家はやりたいところです。僕も過去一度試してみましたが定期的に費用が発生するという形になってしまうと、同じサービス内容ですがやっぱりお客さんの反応は良くなくサービス受任に繋がらなかったという苦い経験があります。やはり、スポット型の料金体系とした方が受任しやすいと思います。
相談対応方法は?
電話相談でももちろん良いですが、電話だとお客さんの問い合わせのハードルが若干上がることと事務所側の電話対応というオペレーションも課題が出てきます。 問い合わせのしやすさ向上とお互いの時間のミスマッチを解消するため相談対応はチャットで対応すべきです
僕の場合は基本的に、エンドユーザーのお客様と初回は面談しますが、案件受託中、2回目以降は LINEやChatwork、Messenger といったチャットツールでお客さんと連絡を取ります。基本的に相談は全てチャットで行い、お客さんも何か手続きに関して不明点や疑問があったらいつでもチャットを通じて回答しますということをお伝えし、やりとりをしています。
チャットなので注意しなければいけないのは、直接での電話や面談と違い感情を伝えるのが難しいためその送る文章に一つ一つ感情を込めて、共感を入れていくこの作業は必須です。
この共感という作業がないと、文字なので受け手側は冷たく感じてしまうのでコミュニケーションをとるという意味でも、「お父さまがお変わりないですか?ご心情お察しします」など文章に共感を入れて対応しています。そうすることでちゃんとチャットでもコミュニケーションは取ることはできます。
そして、案件終結前からチャットで対応していることから案件終結後も引き続き何かあればこのチャットで対応しますよということをお伝えすると、お客様は抵抗なくそのまま案件終結後の有料相談サービスに加入してもらっている方が多くいます。
業務完了後も継続的な情報発信を行う
業務を通じていい仕事をすれば、ちゃんと顧客の頭に覚えられています。あとは、忘れられない仕組み作りが必要です。
関与したお客様には配偶者や子、親兄弟、友人知人など多くの親族関係があります。また、遺言を始め、その後の財産管理、資産承継などライフプランを考えると多くの行政手続きが発生していくわけです。
いい仕事をすれば、紹介も発生します。これは、昔から変わらない原理原則です。
過去に関与したお客様の情報を顧客名簿として活かし、メルマガ、LINE@や事務所通信を定期的に送信していくといった仕組みをつくっていくことが必要です。
今では無料で使えるツールもあるので、是非その後の関係性づくりの方法を検討してみてください。詳しくは下記の記事でも解説しています。
まとめ
- 手続業務では案件終結とともに関係性を終了させてしまいがちだが、継続的な関係を構築しリピート、紹介発生を検討していく必要がある
- 案件終結後に気軽に相談できる有料サービスを取り入れることによって、最初の相談窓口をつくれる
- エンドユーザーにおいてはサブスク型商品を提供しづらく、スポット型の料金体系の方が提供しやすい
- 案件終結後もメルマガ、公式LINEや事務所通信を定期的に送信していくといった仕組みをつくることで忘れられない関係をつくる
少子高齢化の時代、お客様を新規開拓するだけでなく、今あるお客様から継続的に相談をうけるポジションづくりが必要となってきます。どうしても手続き業務は案件集結で顧客との関係が終わりがちです。そうではなく事務所戦略として将来のお客さんの発生が読めるよう継続的な関係を作るこういった仕組みを是非作ってみてください。
リーガルエステートがいかにして家族信託を400件以上受任しているのか?その仕組みとは?
コロナになってからオンライン事業が拡大し、仕事の仕方や家での過ごし方など、さまざまな点で変化が訪れています。こういう大きな過渡期に自分のビジネスを見直すということ。どの経営者でもビジネスマンでも必ずやっていることだと思います。
リーガルエステートも今この転換期にどのように時代に合わせたサービスやビジネスを構築しているのか。それを日々考えているところです。士業・専門家はこれまで手続き代行業務で生計を立ててきました。しかし、今、時代は情報社会。手続き的なものは一瞬にしてWEBメディアで調べ、少し難しい物でもできてしまいます。
では、なぜ顧客は士業・専門家に相談するのでしょうか?
士業・専門家へ依頼するその価値を私達は常に考えなければなりません。
高齢化社会がさらに加速する日本において、多くの人が直面する「認知症問題」や「少子化問題」。
ご家族ごとに状況や家族構成、ご要望が違うことに対し「私はどうやってやればいいのか」というコンサルティングを考えていく。その中でどのように「家族信託」や「成年後見」など生前対策のご提案を提供していくのか、です。
求められているものは、「ご家族円満」。家族信託は一手法です。そのお客様への一つひとつの考え方が家族信託400件の受任につながっている。僕はそう考えています。
見つめ直すきっかけとして、是非本セミナーをご活用ください。
下記のような方にお勧めです。
・税金や不動産は専門外で、何が問題となるのか、どのようにお客様に伝えたらいいのか分からない…
・遺言や家族信託はしたが、不動産や税金対策までは見ておらず問題ないのだろうか?
・家族信託など生前対策の実務は学んだが、集客ができない…
家族信託・生前対策受任力アップセミナー
セミナーでは下記の内容を伝えています。
- 相続・家族信託のマーケットの状況
- 士業・専門家業の時代の流れと高収益生前対策案件受任の発想方法
- 家族信託、任意後見、遺言など生前対策提案の活用方法
- 生前対策・家族信託コンサル業務における商品設計のコツとは
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