コロナの影響で、直接お客様と会いの関係性を作るといった営業がやりづらくなった今、改めて営業方法を考えていく必要があります。これはエンドユーザのみならず、エンドユーザーを紹介してくれる紹介先開拓でも同様です。
大手の金融機関や不動産会社に訪問する、そして、営業担当者向けに勉強会を開催するという方法も難しくなり、自分の扱う周辺業務に携わる異業種の専門家と連携して仕事を受注していくといった方法の一つとして、コミュニティの主催があります。
コミュニティを主催することにより、自然とその地域におけるその先生が手がける分野の情報が集まりやすいポジションをつくることができ、紹介件数も必然的に増えてきます。
今回の記事のポイントは下記のとおりです。
- コミュニティ運営により、その分野に属する人の成功事例の情報が増える、メンバー同士の紹介が発生し、主催者であれば情報が集まりやすく、紹介案件が増えるという効果が発生する
- コミュニティづくりを考える際には、参加者の絞り込み(誰を)、参加するメリット(特典)、何を成し遂げたいのかの3つの要素から設計していく
- 異業種からの紹介案件を獲得することを主に考えるのであれば、無償又は低額でのコミュニティ運営を、参加者にとって本当に業務役立つノウハウを提供し続けていけるのであれば有償での運営という形で使い分けを考える
- 3つの要素をチラシ、HPなどに形にすることにより、紹介案件獲得の営業活動に加えて、コミュニティー参加者促進という一つの営業ツールとして活用していくことができる
コミュニティづくりに必要な考え方をお伝えします。
目次
紹介案件獲得を加速するコミュニティとは
コミュニティーとは、広い意味でとらえると、共通の価値観をもつ、人の集まりです。
今回の記事で取り上げる、狭義のコミュニティでは、相続、助成金、起業などのある専門分野に関連する業種の人の集まりです。
狭義のコミュニティーでは、お互いのビジネスの発展のために運営します。その分野に属する人が増えれば増えるほどお互いの情報が交換され、成功事例の情報が増える、メンバー同士の紹介が発生するという相乗効果が発生できます。
特に主催者になると、必然的に情報も集まりやすいので紹介案件が増えるという効果が発生します。
コミュニティ主催者となるにあたって必要なのが情報発信力です。その地域、分野において役に立つメルマガ、セミナーなどの情報発信をし、役に立つなとその先生の信用残高を高めておく必要があります。
情報発信の考え方については、別の記事で詳しく解説していますので確認してみてください。
定期的な情報発信を行い、その先生の主催するコミュニティに参加してみたいという信用残高を貯めておくことが必要です。そのうえで、次に考えていくのが、コミュニティーの設計です。
狭義のコミュニティづくりを考える際には、下記の3つの要素を設計していく必要があります。
・参加者の絞り込み(誰を)
・参加するメリット(特典)
・何を成し遂げたいのか
以下、上記を説明していきます。
参加者の絞り込み:誰を対象にするか
コミュニティ運営もサービス提供と同じく、まず最初に考えるべきことは誰に参加してほしいのか、どんな人に集まってほしいのかを明確に設定することが必要です。
紹介してほしいお客さんと関連している業種は何か?ということをまず考える必要があります。つまり、紹介をしてもらえる可能性があるお客様の連絡先を持っている業種を考えるのです。
例えば、中小企業の会計顧問や相続などの紹介案件を獲得するということであれば、金融機関などが想定されます。でも、コミュニティ運営を考えるにあたっては、金融機関といった企業というよりもむしろ、個人的な属性が強くむしろ、個人事業主や中小企業経営者が対象になります
僕自身も過去、自分の地域で相続や家族信託を学ぶ異業種のコミュニティーを運営していた際、金融機関や不動産会社などの営業マンにも参加を促していた時期があります。独立志向が高い、勉強するく意識が高い人は積極的に勉強会などに参加してくれる傾向が高いですが、一般的なサラリーマンは業務時間以外に勉強するという意識が弱いため参加率は低い傾向にあります。
企業のサラリーマンに対しては、むしろ企業向けのサービスとして、従業員向けの勉強会を開催したほうが効果的です。
そのため、設定するメンバーは、上記の事例でいうと金融機関というよりもむしろ、中小企業経営者(生命保険代理店の経営者)や個人事業主としての特性が強い外資系生命保険営業マンなどが対象になります。
これまでの、対企業向けの営業とは意識を変える必要があることに注意をしていください。むしろ、コミュニティ運営は対個人となります。積極的に自らの業務に必要な情報を収集しにいく個人を対象に組み立てていく必要があります。
参加するメリット(特典)は何か?
コミュニティもサービス提供と同じく、商品の設計が必要です。
つまり、設定した参加者が具体的に参加するメリットは何なのか?というところをしっかりと打ち出していく必要があります。
そもそも、その地域、業界での発言力が高い、著名であるといった先生であればその先生の話を聞きたい、情報を得たいという人が多いのでそこまで魅力的な特典を作る必要はありません。ですが、そうではなくこれから取り組む先生にとってみれば、その人の話や集まりに参加する要素が当初ないので、参加するメリットがないのです。
そうなると、その主催者のコミュニティに参加するとどのようなメリットがあるのか、ということをわかるような形で作りこむ必要があります。
・定期的な勉強会、セミナーへの参加権利
・参加者がお客様へ説明するための販促物の提供
・参加者限定のイベント
・無料相談、無料診断サービス
・参加者限定のFacebookグループの運営、メルマガ(ニュースレター)発行 など
このように参加者にとって魅力的な特典を作る必要があるのです。
自身のサービスでどんなサービスを参加者に対して提供できるのか、設定した参加者目線で一度考えてみてください。こんなサービスがあったら便利だという目線で考えていくといいです。
生命保険営業マンが知りたい法律や税務、お客様提案方法の勉強会やお客様向けの説明資料、無料相談などのサービスなどが考えられます。
介護事業者向け、税理士向けなど自分がつくりたいコミュニティの参加者目線でその参加する業種がほしいサービスを考えてみてください。
コミュニティの参加費は有料とするか、無料とするか
コミュニティを運営するにあたっては、時間とコストがかります。
参加費を無償とするのか、有償とするのかによって、どの層が参加するのか、どの程度のサービスを提供するのかといったことが変わってきます。
当然、無償だと参加者の離脱は少ないです。
イメージはTwitterやFacebookのフォロワー、友達と同じく課金されない以上、ゆるやかにつながり続けることができます。ですが、その反面、勉強しようという意識が弱い方も参加する傾向があるため、お互いの業務につながらない、参加者同士のコミュニケーションが生まれづらいという状況が発生します。また、無償であるため主催者も時間と労力をかけられません。
僕自身も過去、事務所付近の不動産管理会社、会計事務所などを対象としたゆるかやなコミュニティづくりの一環で勉強会を開催してきたことがありますがやはり運営するにあたってはDMなど集客コスト、会場費のほかスタッフの時間を割くなどそれなりにコストがかかります。
有償だと意識が高い参加者が参加する反面、低額の課金でも離脱率が高くなります。また、参加を維持するためにコンテンツや特典の定期的な提供などが必要です。
異業種からの紹介案件を獲得することを主に考えるのであれば、無償又は低額でのコミュニティ運営を、参加者にとって本当に業務役立つノウハウを提供し続けていけるのであれば有償での運営という形で使い分けを考えていくべきです。
主催者が何を成し遂げたいのかをきちんと伝える
コミュニティを運営するにあたっては、主催者としてなぜ運営するのかという想いをきちんと伝えるということが求められます。やることになったきっかけ、そして何を成し遂げたいのかというストーリーが大切です。
僕自身は、今は、相続や家族信託を手がける士業や専門家向けのコミュニティを運営しています。僕自身大手不動産業者から突然仕事を切られるといったことをきっかけに自分自身の仕事を下請け的な仕事から切り替えていったという経験を元に、自分自身の仕事を下請けではなくパートナーとして、そしてお客さんの問題解決ができる提案型の仕事へと変えていきました。
そのような経験を経て、今は紹介案件を増やすというよりもむしろ、僕と同じような先生が今後手続的な仕事から少子高齢化、認知症問題、法律、税務など複雑化した時代において、お客さんの問題解決ができる本当の専門家が増えればと思い、コミュニティを運営しています。
主催するリーダーが大切にする価値観、想いをきちんと伝えることで、一緒に行動していきたいと考える参加者が増えてきます。人間は感情で動く生き物です。共感できるストーリーを伝えられるようにしてください。
ここまで伝えてきた、①参加者の設定、②コミュニティーに参加するメリット(特典)、③何を成し遂げたいのか、この3つをきちんとチラシ、HPなどの形にすることで、参加者に案内できるようになります。これにより、今までは紹介案件獲得という営業手法のみだったのが、コミュニティへの参加への誘導という選択肢としても活用することができるようになります。
まとめ
- コミュニティ運営により、その分野に属する人の成功事例の情報が増える、メンバー同士の紹介が発生し、主催者であれば情報が集まりやすく、紹介案件が増えるという効果が発生する
- コミュニティづくりを考える際には、参加者の絞り込み(誰を)、参加するメリット(特典)、何を成し遂げたいのかの3つの要素から設計していく
- 異業種からの紹介案件を獲得することを主に考えるのであれば、無償又は低額でのコミュニティ運営を、参加者にとって本当に業務役立つノウハウを提供し続けていけるのであれば有償での運営という形で使い分けを考える
- 3つの要素をチラシ、HPなどに形にすることにより、紹介案件獲得の営業活動に加えて、コミュニティー参加者促進という一つの営業ツールとして活用していくことができる
紹介案件を獲得する手段の一つとして、コミュニティー運営について解説しました。
何もないなか、いきなりコミュニティをつくっても参加者は集めることはできません。まずは自分に興味をもってもらう、話を聞いてもらえるファンをつくらなければ、参加者を集めることは難しいです。
コミュニティーをつくっただけでは成立しないということは注意しておいてください。
地域でのある分野でのコミュニティーをつくる、これは、今からでも可能です。
そのために必要なことは取引先などとの信用残高の積み重ねです。
この信用残高があったうえで、定期的な情報発信とコミュニティー運営により、業務が発生したときに相談(紹介)を先に受けることができるというポジションをつくっていきましょう。
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