士業の業務時間を半減させ、高単価コンサルへシフトする”本気”のAI活用術

「ChatGPTを使ってみたけれど、もっともらしい嘘をつくから実務では使えない」

「結局、手直しする時間がかかるから自分で書いた方が早い」

同業の先生方と話をしていると、AIに対してこのような感想を持たれている方がまだまだ多いように感じます。確かに、少し前まではAIも発展途上で、精度の面で不安がありました。しかし、技術の進歩は驚くほど早いです。

今、この瞬間も「メールの下書き」レベルで止まっている先生と、「実務のど真ん中」でAIを使い倒している先生との間には、生産性の格差が生まれ始めています。私の仕事の感覚で言うと、生産性が2~3倍に上がっているイメージです。

今回の記事は、少し厳しい言い方になるかもしれませんが、「AIを使えない専門家は、今後淘汰されかねない」という危機感について、そしてそれを乗り越えるための「実務直結のAI活用術」について、踏み込んでお伝えします。

今回の記事のポイントは下記のとおりです。

  • 「聴く時間」を確保し、コンサルティング業務に移行するための唯一の手段が「作業のAI化」である
  • 起案業務は「手書きメモ」から脱却し、音声データとAIの掛け合わせでドラフト作成時間を劇的に短縮する
  • AIは「0から1を作る」のが得意。専門家は「80点を100点にする」判断業務に特化すべき
  • 遺言や家族信託契約書の条項作成も、適切なプロンプト(指示)があれば実務レベルのたたき台が一瞬で完成する

この記事を読み終える頃には、AIが単なる「便利ツール」ではなく、あなたの事務所の利益構造を変える「最強のパートナー」に見えてくるはずです。

1. なぜ今、士業に「AI」が不可欠なのか?

「聴く時間」を確保するための唯一の手段

私は個別相談においては「顧客の話を7割聴くこと」が信頼構築の鍵だと考えています。顧客は、自分の悩みを深く理解してくれる先生に依頼したいと考えるからです。

しかし、現実はどうでしょうか?私たち士業や専門家は、常に「時間に追われて」います。

日中の面談が終われば、事務所に戻って議事録を作成し、膨大な資料を読み込み、契約書のドラフトを作成し、事務連絡のメールを打つ。気づけば夜中になっている……そんな経験は誰にでもあるはずです。

「お客様の話をじっくり聴きたい」という理想と、「目の前の事務処理をこなさなければならない」という現実。このジレンマを解消する唯一の手段が、「作業のAI化」なのです。

AIは「魔法の杖」ではなく「超優秀な新人スタッフ」

AIは「魔法の杖」ではありませんが、「超優秀な新人スタッフ」にはなり得ます。

もし、あなたの事務所に「法的な判断はできないけれど、文章をまとめるスピードは人間の100倍速いスタッフ」が入社したら、どうしますか?おそらく、資料の整理や下書き作成を任せ、あなたは最終的な「チェック」と「お客様への提案」に集中するはずです。

これこそが、これからの士業に求められるAIとの付き合い方です。「0から1を作る作業」はAIに任せ、専門家は「80点の成果物を100点にする判断」に集中する。そうすることで初めて、私たちは「作業者」から脱却し、真の「コンサルタント」としてお客様に向き合う時間を確保できるのです。

2. 【実務編】AIで「起案」の常識を変える

では、具体的にどのようにAIを実務に組み込めばいいのでしょうか。

ここでは、起案業務の生産性を劇的に向上させる「音声データの活用」と「意図の指示(ディレクション)」について解説します。

「手書きメモ」から「起案」する時代は終わった

これまで、起案業務といえば、相談中に必死に取った手書きのメモを見返しながら、薄れゆく記憶を頼りにWordで一から文章を組み立てていたのではないでしょうか。

ここを根本から変えます。

これからは、「面談や打ち合わせをすべて録音・録画」してください。

対面での相談なら依頼者の録音・録画の同意を得た後に、ボイスレコーダーやスマートフォンの録音アプリで、オンラインならZoom、Google Meet、Microsoft Teamsなどの録画機能を使います。そして、そのデータを文字起こしツールにかけ、生の会話テキストをそのままAIに読み込ませるのです。

専門家の「意図」を加えることで、AIは化ける

もちろん、ただ会話ログを読ませるだけでは不十分です。そこに、私たち専門家としての「こうしたい」という意図(法的構成や設計思想)を指示として加えます。

まずは相談時の録音データをAIに読み込ませ、「相談内容を要約し、法的論点を整理して議事録を作成して」と指示する。その上で、議論内容の概要、重要な要点、そして現在議論となっている論点を確認します。

そのまとまった情報に、私たち専門家としての「こうしたい」という意図(法的構成や設計思想)を指示(プロンプト)として加えます。

「相談者はAと言っているが、法的にはBの構成で進めるのが最適だ、その前提でドラフトを作って」といったように、「打合せ内容(文字起こしデータ)」+「専門家の意図(プロンプト)」を掛け合わせることで、AIは驚くべき精度のドラフトを吐き出します

これにより、業務の生産性がものすごく上がります。

例えば、「この事実関係に基づき、〇〇の条件を満たす遺産分割協議書のドラフトを作成して」と指示する。これだけで、これまで数時間かかっていた「起案」や「整理」の時間が、わずか数分に短縮されます。そして、浮いた時間は、すべてお客様への丁寧なヒアリングや、感情面のケアに充てることができるのです。これこそが、AI時代における士業の正しい時間の使い方です。

※前提として、顧客の個人情報(固有名詞)はマスキング(伏せ字)する、AIプラットフォームに学習データとして利用させないように設定するなど、事務所としてセキュリティには十分配慮した上でAIを利用してください。

ケース①:遺言書作成の「たたき台」を一瞬で作る

遺言書の作成支援において、最も時間がかかるのは「お客様の想いや財産状況を、法的な文章に変換する作業」です。

・AIへの指示(プロンプト)のイメージ

「あなたはベテランの法律実務家です。以下の【相談時の文字起こしテキスト】と【私の作成意図】に基づき、公正証書遺言の原案を作成してください。

【私の作成意図】
・長男に主な財産を継がせる『特定財産承継遺言』の形式にする。
・付言事項は、テキスト内の故人の発言から、家族への感謝が伝わるように感動的にまとめて。
【相談時の文字起こしテキスト】
(ここにZoom等の文字起こしデータを貼り付け)

このように指示を出すだけで、AIは瞬時に条文のドラフトを出力してくれます。

あなたは、AIが出してきた条文を見て、「ここはもう少し法的リスクをケアしよう」「付言事項の言い回しを調整しよう」といった、専門家としての「付加価値」を乗せる作業からスタートできるのです。

ケース②:複雑な遺産分割協議書の整理

相続人が多く、対象財産も多岐にわたる遺産分割協議も同様です。長時間の親族間協議の録音データを文字起こしし、AIに読み込ませます。

【活用ポイント】
・合意内容の明確化
「この会話データから、誰がどの財産を取得することで合意したか、一覧表に整理して」と指示すれば、聞き漏らしや認識違いを防げます。
・遺産分割協議条項案の作成
「上記の合意内容に基づき、遺産分割協議書の条項を作成して。特に代償金の支払期限(来月末)と振込先口座の記載を忘れないこと」と投げかければ、漏れのない条項案が出てきます。

ケース③:信託契約書の条項作成

難易度が高い「信託契約書」でも、AIを活用できます。
お客様との打ち合わせで決まった複雑なスキームも、以下のように指示します。

「認知症対策としての実家管理と、将来の二次相続以降の資産承継(受益者連続)を目的とした信託契約書を作成したい。
以下の【打ち合わせログ】から要件を抽出し、契約書の目次構成と、特に『信託の終了事由』および『残余財産の帰属』に関する条項案を提示して。」

こう指示することで、「条項の抜け漏れ」を防ぐことができます。また、「この契約条項の意味を、法律知識のない80代の委託者にもわかるように解説して」と指示を出せば、そのままお客様への説明資料として使える解説文が出来上がります。

3. 書類整理とリサーチ業務もAIに一任する

起案だけでなく、日々の細々とした業務もAIに任せることで、さらに時間を生み出せます。ここでは、ChatGPT以外のツールも含めた活用法をご紹介します。

紙資料の山を「検索可能なデータ」に変える

士業の業務はどうしても紙ベースの資料が多くなりがちです。これらをAI-OCR(光学文字認識)技術を使ってデジタル化するだけで、業務効率は飛躍的に向上します。

・契約書や登記情報のデジタル化
紙の契約書や登記事項証明書をスキャンし、AIチャットボットに読み込ませてテキストデータ化します。
・瞬時に検索・要約
「この大量の資料の中から、〇〇に関する記述を探して」とAIに指示すれば、手作業でページをめくる必要はなくなります。また、「この判決文の要点を3行でまとめて」といった指示も可能です。

これにより、資料探しや内容確認にかかっていた時間を大幅に削減し、思考する時間に充てることができます。

契約書レビューの「ダブルチェック」役として

契約書等のチェック業務にもAIを取り入れることで、ヒューマンエラー防止と作業時間短縮が期待できます。

・リスク条項の洗い出し
契約書全文をAIに入力し、「借主に不利になりそうな条項を指摘して」「抜けている重要事項はないか確認して」と指示します。自分では見落としていた視点を提示してくれることもあり、優秀なダブルチェック担当者として機能します。
・条文の平易化
難解な法律用語が並ぶ契約書や通達を、「専門外の人にも理解できるように要約して」とAIに依頼すれば、お客様への説明資料がすぐに作成できます。

もちろん、最終的な法的判断は専門家が行う必要がありますが、「見落としがないか再確認する補助者」としてAIを位置付けることで、品質を担保しつつ時短が可能になります。

言語の壁を越える「AI翻訳」

国際業務や外国人クライアントを扱う場合、DeepLなどのAI翻訳ツールは必須です。

契約書や証明書類の翻訳を下訳としてAIに任せることで、一から翻訳する手間を省き、内容の把握やドラフト作成をスピーディーに行えます。これにより、語学力に自信がなくても国際業務への対応ハードルが下がります。

まとめ

  • 「聴く時間」を確保し、コンサルティング業務に移行するための唯一の手段が「作業のAI化」である
  • 起案業務は「手書きメモ」から脱却し、音声データとAIの掛け合わせでドラフト作成時間を劇的に短縮する
  • AIは「0から1を作る」のが得意。専門家は「80点を100点にする」判断業務に特化すべき
  • 遺言や家族信託契約書の条項作成も、適切なプロンプト(指示)があれば実務レベルのたたき台が一瞬で完成する

AIは、私たちの仕事を奪う敵ではありません。
私たちが「雑務」から解放され、「人間にしかできない高度な判断」や「お客様への共感」に集中するためのパートナーです。

しかし、こうして文章で読んでいるだけでは、本当のAIの実力や、具体的な導入手順までは伝わりきらないかもしれません。

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