新型コロナの長期化の影響でどう変わる?士業事務所の経営者が行うべきこと

コロナ関連の情報を整理していると、どうやら、この状況は1年以上は続きそうです。同業の先生からも、一部業務は増えつつも本業が激減したなど、そういった声を聞くようになってきました。

・今後、どのように事務所経営していったらいいのか?
・リモートワーク化するにはどうすればいいのか?
・スタッフの雇用はどうしたらいいのか?
・まず、何からとりかかればいいのか?

といった相談もよく受けます。長期化する、もしくは、恒常化する可能性があるこのコロナウィルスにおける、事務所運営の考え方についてお伝えします。

アフターコロナはなく、長期のウィズコロナで考えるべき

今は、自粛という流れで、病院に患者が殺到し医療崩壊を抑える方向で社会が動いています。

しかしながら、コロナウィルスから回復し、ウィルスへの免疫を獲得し、抗体をもち、通常の生活に戻れる人も同様に増えていかないので、最前線で経済を支えることができる人は少ない状況です。

抗体検査については、下記の記事など参照になるので、興味ある方は見てみてください。

》コロナ対策 抗体検査を急げ日本のお粗末な対応を是正するには、他国に学ぶしかない

》抗体検査、局面打開狙う 米欧、抵抗力ある人特定

感染拡大を抑え、ある程度この状況が沈静化しても、先進国から発展途上国に伝染が拡大、その後、第二波、第三波として、海外から再度、ウィルスが入流してくるということが容易に予想されます。新型コロナの影響の問題は、歴史は繰り返すとよく言われますが、100年前に実際にあったスペイン風邪の時の当時の状況が参考になります

下記の記事がわかりやすく解説しているので、一度見ておくといいです。

》日本はパンデミックをいかに乗り越えたか~100年前のパンデミック・スペイン風邪の教訓

今後、社会がコロナとの折り合いをつけて正常な活動を行えるようになるには、ワクチン・治療薬の開発が進み皆が受けれるようになるか、コロナウィルスから回復し、抗体検査を受けた、抗体保有者が増えるしかないので、やっぱり、この状況は1か月程度の自粛では終わりそうもありません。

そう考えると、士業・専門家など経営者は、この状況がずっと続くことを前提にコロナウィルスと折り合いをつけ、また、新たなウィルスの発生と同時に、同様の問題が起こる可能性があるという、ウィルスと共生していくという、ビジネスを組み立ていかなければならなそうです。

アフターコロナはないということも考えておかなければなりません

キャッシュと経営者の時間の確保が最重要

事務所経営を行うためには、キャッシュを回すことが最重要です。キャッシュがなければ、スタッフの人件費、事務所家賃など固定費を支払う事ができません。最優先で考えるべきことは、事務所のキャッシュ流出を可能な限り止め、お金がきちんと回る仕組みを作ることです。

事務所がきちんと運営できなければ、スタッフ、お客様、誰も守れません。雇用状況の改善・整理、ビジネスモデルの変更、新たな収益源を構築する、そのための情報を得る。すべての経営者の行為を行うためにはキャッシュがなければ何もできません。

そして、経営者が実際に動くための時間も確保する必要があります。

どうしても、士業・専門家はプレイヤーの意識強いため、今の目先の仕事、実務に目を向きがちですが、実務はスタッフがいるのであれば、スタッフに任せ、経営者は、将来のビジネスにたいして、今こそ、動くための時間を確保すべきです

運転資金を確保する

最低半年以上の運転資金を手元で持っていれば、不要かもしれないですが、そうでなければ、コロナ対策関連の融資を活用して、運転資金を調達しておく必要があります。今回の問題で、大企業でも資金難の懸念が出始めています。

》大企業にも資金難懸念3割減収、半年で4社に1社枯渇

 

現在、日本政策金融公庫で、コロナウィルス感染症特別貸付を行っています。

》新型コロナウイルス対策融資・保証まとめ最新版

当初3年間の基準金利より‐0.9%、資金用途が運転資金で借入でき、無担保です。しかも、元金据置が5年以内で設定できるため、据置期間は利息のみの支払ですることができます。

融資後は、利息の返済は必要ですが、後日、低減した利率の利息部分について、利子補給の制度が政府において検討されており、利子補給を受けることで、実質的に無利子で利用できる可能性もあります。とりあえず融資を受けておいて、利用しなかったら、後日繰り上げ返済してしまうというのも選択肢の一つです。

融資を受ける場合も、もし、株式会社など有限責任の法人をもっているのであれば、無担保無保証で借入ができるので、最悪、経営が上手くいかなかったとしても、経営者個人には債務が及ばないので、いくらでもやり直せるチャンスがあります。(ちなみに士業法人での借り入れは無限責任なので、士業法人では、経営者の債務は免れません)

だからこそ、融資を受けれる要件を満たせば、手元資金としてもっておくべきです。

スタッフの役割が変わる

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛と緊急事態宣言により、今後も回復が見込めないという理由で、全従業員を解雇したタクシー会社もでてきました。

東京のタクシー会社、全乗務員600人解雇へ 自粛影響

仕事が減少した事務所、助成金、補助金、コロナ対策融資などのサポートで業務が忙しい事務所もあると思いますが、超長期的に見ておかなければならないのが、巣ごもり消費、といわれる人々のオフラインからオンラインへの社会構造の変化と、今まであった対面医療診療、オンライン教育などが危機に伴い、実際に一気にオンライン化が進んでいっているということです。

オンライン化へ規制改革 政府あす推進会議 新型コロナ契機、医療や介護分野を点検
オンライン初診、13日から
資金繰り支援、手続き簡素に 雇用助成金、支給までの時間半減
長期休校、オンライン授業の環境整備急務 教員の習熟も
在宅勤務なのにハンコを押すために出社…

僕自身も通っているフィットネスジムのスタジオプログラムがオンラインで自宅から参加できるようになったため、
利用していますが、わざわざジムに通う必要がないと改めて実感しました。しかも、人気のインストラクターがやってくれるので、スタジオで新人や上手くないインストラクターのレッスンを受けるよりも効率が良く楽しめます。

このオンライン化の影響で気を付けなければいけないのが、教育も、オンラインセミナーもレッスンも優秀な人はWEBを活用し、ものすごく活躍できるという反面、新人や人気がない先生は、出番や活躍できなくなる可能性があるということです。

インターネットの世界では、GAFAをはじめ勝者総取りと言われますが、あらゆる業種で同じような状況が発生する可能性があり、個人にファン、フォロワーをつくるという発想がますます重要になってきます。

そうなると、もしかすると、手続き業務を処理するために今まで多くのスタッフを採用して経営する必要があったのが、オンラインが進む世界では、少人数の優秀なスタッフ、顧客から人気があるスタッフだけで成立し、人数がいなくてもビジネスが今まで以上の利益をあげることができる可能性があります。

人件費を雇用調整助成金で賄う

士業・専門家ビジネスで最も経費の占める割合が多いのが、人件費です。
当面のスタッフの雇用は守らなけらばならないし、今後の経済活動も経営者は考えていかなければなりません。

売上減少が見込めるようであれば、資金確保の次に動くべきことが、雇用調整助成金の活用です。

対象労働者1人あたり 8,330円が上限ですが、1か月5%以上の売上低下、計画届の事後提出、やむを得ず残業をしても助成金が受けられる要件も緩和されています。

僕自身も生前対策・家族信託案件の問い合わせが現状している状況と、既存案件も施設に訪問できないなど、時期の見合わせがあることから、売上減少する見込みが高いので、雇用調整助成金を4月から暫定的に全社員、パート一律に週1回特別休暇を与え、休業させています。

休業手当は100%支給しており、雇用調整助成金の限度額を超過部分は会社負担です。スタッフの人件費は変えず行っています。とりあえずは制度をつくり、運用してみて今後、特別休暇を増減させるか、支給率も100%のままでいくか否か判断していく予定です

今回の特別休暇の運用、リモートワークを追求していくと意外と自分たちで余計な仕事を作ってたっていうのも見えてきましたし、少し、残酷な言い方かもしれないですが、仕事ができる社員と仕事ができない社員が見えてきます

僕自身、新規でオンラインでビジネスが完結する仕組みづくりに取り掛かっており、当面の手元資金を確保しつつ、今は国からのの助成金を使って、人件費の補填をし、場合によっては、生産性を維持しながら、交代制による週三日休みを実現できるか、まずは、社会実験中です(笑)

守りの体制と同時に進めていくことも必要です。コロナ禍のなか、今進めるべきオンライン面談等の進め方については下記の記事に詳しく解説していますので、確認してみてください。

ウィズコロナの時代に士業・専門家の面談をオンラインへと切り替える方法とは!?

士業・専門家がZoom面談のために用意しておくべきツールとは!?

士業・専門家がコロナ禍でオンライン面談の誘導率、受任率を上げる方法とは!?

守りのみならず、攻めのための仕組みづくりも同時に進めていきましょう。

まとめ

  • 1年以上の長期にわたるウィズコロナでビジネスは考えるべき
  • まず、最初に取り組むべきことはキャッシュと経営者の時間の確保
  • 半年以上の運転資金はキャッシュで確保し、足りなければ融資をうける
  • スタッフの役割が処理から、以下にファン、フォロワーをもっているかに変わる
  • 人件費の流出を防止するために、雇用調整助成金は活用すべき

ウィズコロナを長期にわたって考慮してビジネスを行っていく必要があります。利益を出すには、売上を上げるのが一番ですが、コロナ関連ビジネス以外はこの状況だとすぐには上がりそうもありません。
そういった中、一番大事なのは、経営者の時間です

助成金を活用して人件費の流出を抑えたとしても経営者が作業に没頭されて、何もできなければ、何も変えられません。実務に目が行きがちですが、それでは何も変えられないし、情報を収集して実行していくこともできません。

現状維持は、衰退です。

スペインでは、国民全員に対して、ベーシックインカム(最低所得補償制度)が導入することを決定したというニュースがありました。

スペインで「ベーシック・インカム」導入、経済大臣が宣言

しかも、感染拡大の脅威が去った後も、制度を継続するといっています

働きたい人は働く、そうでない人は最低限度の所得を国から保障されながら生活する、まさに“好きなことをして生きていく社会”の到来です。今、この瞬間に既存の秩序と社会がガラガラポンと大きく変わっていく、そんな時代です。

これからをつくるために、今できることを試し、チャレンジしていく、変化を楽しみながら、まずは、経営者からはじめていきましょう。

士業・専門家が面談、セミナーをオンライン化する際のポイントとは?

Zoom活用セミナー

今まで対面で行ってきた士業・専門家がどのように面談やセミナーをオンラインに切り替えていくのか、そして、オンラインへ移行し、メールでの事前教育、オンライン面談・セミナーから実際の受任につなげるためのコツやポイントを詳しく解説し、大評だった2020年5月のセミナーを動画コンテンツとして視聴できるようにしました。

セミナーの中では今回の記事の中で紹介したオンラインセミナーの導線づくり、顧客への事前案内メールの雛形など実際に使っているツールも公開しています。ご興味のある方は、下記ページで詳しい内容を紹介しているので、是非確認してみてください。

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  • ZOOMを活用した顧客面談、セミナー手法とは!?
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